Qt WidgetsにおけるQScrollArea::resizeEvent()プログラミング：詳細解説

QScrollAreaは、コンテンツがウィンドウのサイズを超える場合にスクロールバーを提供するQt Widgetsクラスです。resizeEvent()関数は、ウィンドウのサイズが変更されたときに呼び出される仮想関数であり、コンテンツウィジェットのサイズを調整したり、スクロールバーの位置を更新したりするために使用されます。

QScrollArea::resizeEvent()の役割

resizeEvent()関数は、以下の役割を果たします。

スクロールバーの位置を更新する: コンテンツウィジェットの新しいサイズに基づいて、スクロールバーの位置を更新する必要があります。
コンテンツウィジェットのサイズを調整する: ウィンドウのサイズに合わせてコンテンツウィジェットのサイズを調整する必要があります。

基本的な実装

void QScrollArea::resizeEvent(QResizeEvent *event)
{
    QScrollArea::resizeEvent(event);

    // コンテンツウィジェットのサイズを調整する
    widget()->resize(viewport()->size());

    // スクロールバーの位置を更新する
    updateScrollBarGeometry();
}

この例では、widget()関数を使用してコンテンツウィジェットへの参照を取得し、viewport()->size()関数を使用してビューポートのサイズを取得しています。次に、resize()関数を使用してコンテンツウィジェットのサイズをビューポートのサイズに設定します。最後に、updateScrollBarGeometry()関数を使用してスクロールバーの位置を更新します。

詳細な実装

より複雑なレイアウトを持つ場合は、resizeEvent()関数内でより多くの処理を行う必要があります。たとえば、コンテンツウィジェットが複数の行または列に配置されている場合は、各行または列のサイズを調整する必要があります。また、コンテンツウィジェットが固定サイズを持っている場合は、スクロールバーを表示するかどうかを判断する必要があります。

例：コンテンツウィジェットを固定サイズに保つ

void QScrollArea::resizeEvent(QResizeEvent *event)
{
    QScrollArea::resizeEvent(event);

    // コンテンツウィジェットが固定サイズを持っている場合は、
    // スクロールバーを表示しない
    if (widget()->sizePolicy().controlSizeHint().width() == widget()->sizeHint().width() &&
        widget()->sizePolicy().controlSizeHint().height() == widget()->sizeHint().height()) {
        horizontalScrollBar()->hide();
        verticalScrollBar()->hide();
    } else {
        // コンテンツウィジェットが固定サイズでない場合は、
        // スクロールバーを表示する
        horizontalScrollBar()->show();
        verticalScrollBar()->show();

        // コンテンツウィジェットのサイズを調整する
        widget()->resize(widget()->sizeHint());

        // スクロールバーの位置を更新する
        updateScrollBarGeometry();
    }
}

この例では、sizePolicy().controlSizeHint()関数を使用してコンテンツウィジェットの固定サイズを取得し、sizeHint()関数を使用してコンテンツウィジェットの推奨サイズを取得しています。コンテンツウィジェットの固定サイズが推奨サイズと一致する場合は、スクロールバーを非表示にします。そうでない場合は、スクロールバーを表示し、コンテンツウィジェットのサイズを推奨サイズに設定します。

#include <QApplication>
#include <QScrollArea>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // コンテンツウィジェットを作成する
    QWidget *widget = new QWidget;
    widget->setMinimumSize(QSize(200, 100));
    widget->setMaximumSize(QSize(400, 200));

    // スクロールエリアを作成する
    QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;
    scrollArea->setWidget(widget);

    // ウィンドウを表示する
    scrollArea->show();

    return app.exec();
}

この例では、QWidgetクラスを使用してコンテンツウィジェットを作成し、QScrollAreaクラスを使用してスクロールエリアを作成しています。コンテンツウィジェットは、最小サイズと最大サイズを設定されています。スクロールエリアは、コンテンツウィジェットをウィジェットとして設定しています。

コンテンツウィジェットを固定サイズに保つ例

#include <QApplication>
#include <QScrollArea>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // コンテンツウィジェットを作成する
    QWidget *widget = new QWidget;
    widget->setFixedSize(QSize(200, 100));

    // スクロールエリアを作成する
    QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;
    scrollArea->setWidget(widget);

    // ウィンドウを表示する
    scrollArea->show();

    return app.exec();
}

この例では、setFixedSize()関数を使用してコンテンツウィジェットの固定サイズを設定しています。

より複雑なレイアウトの例

#include <QApplication>
#include <QGridLayout>
#include <QScrollArea>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // コンテンツウィジェットを作成する
    QWidget *widget = new QWidget;

    // グリッドレイアウトを作成する
    QGridLayout *gridLayout = new QGridLayout;

    // ボタンを作成してグリッドレイアウトに追加する
    for (int i = 0; i < 3; ++i) {
        for (int j = 0; j < 3; ++j) {
            QPushButton *button = new QPushButton("Button " + QString::number(i * 3 + j + 1));
            gridLayout->addWidget(button, i, j);
        }
    }

    // グリッドレイアウトをコンテンツウィジェットに設定する
    widget->setLayout(gridLayout);

    // スクロールエリアを作成する
    QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;
    scrollArea->setWidget(widget);

    // ウィンドウを表示する
    scrollArea->show();

    return app.exec();
}

この例では、QGridLayoutクラスを使用してグリッドレイアウトを作成し、ボタンをグリッドレイアウトに追加しています。グリッドレイアウトは、コンテンツウィジェットに設定されています。

QLayout を使用する

QLayout クラスを使用すると、コンテンツウィジェットを自動的にレイアウトすることができます。QScrollArea は、コンテンツウィジェットのレイアウトを管理するために内部的に QLayout を使用しています。ただし、独自のレイアウトを定義したい場合は、QScrollArea に QLayout を直接設定することもできます。

例：QVBoxLayout を使用してコンテンツウィジェットを垂直方向に配置する

#include <QApplication>
#include <QVBoxLayout>
#include <QScrollArea>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // コンテンツウィジェットを作成する
    QWidget *widget = new QWidget;

    // QVBoxLayout を作成する
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;

    // ボタンを作成してレイアウトに追加する
    for (int i = 0; i < 3; ++i) {
        QPushButton *button = new QPushButton("Button " + QString::number(i + 1));
        layout->addWidget(button);
    }

    // レイアウトをコンテンツウィジェットに設定する
    widget->setLayout(layout);

    // スクロールエリアを作成する
    QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;
    scrollArea->setWidget(widget);

    // ウィンドウを表示する
    scrollArea->show();

    return app.exec();
}

QSizePolicy を使用する

QSizePolicy クラスを使用すると、コンテンツウィジェットのサイズヒントと最小サイズ/最大サイズを設定することができます。QScrollArea は、コンテンツウィジェットの QSizePolicy を考慮してスクロールバーを表示するかどうかを判断します。

例：コンテンツウィジェットの最小サイズを設定する

#include <QApplication>
#include <QScrollArea>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // コンテンツウィジェットを作成する
    QWidget *widget = new QWidget;

    // コンテンツウィジェットの最小サイズを設定する
    widget->setSizePolicy(QSizePolicy::MinimumExpanding, QSizePolicy::MinimumExpanding);

    // スクロールエリアを作成する
    QScrollArea *scrollArea = new QScrollArea;
    scrollArea->setWidget(widget);

    // ウィンドウを表示する
    scrollArea->show();

    return app.exec();
}

カスタムレイアウトアルゴリズムを実装する

独自のレイアウトアルゴリズムを実装したい場合は、QScrollArea の paintEvent() 関数をオーバーライドすることができます。paintEvent() 関数内で、コンテンツウィジェットのサイズと位置を計算し、ペイントすることができます。

この方法は、高度なレイアウトが必要な場合にのみ使用してください。

QScrollArea::resizeEvent() は、コンテンツウィジェットのサイズを調整したり、スクロールバーの位置を更新したりする最も一般的な方法です。ただし、QLayout や QSizePolicy を使用したり、カスタムレイアウトアルゴリズムを実装したりすることもできます。