Qt: 画面の向きに合わせてアプリを自動調整！ QScreen::orientationの魔法

QScreen::orientation は、Qt GUI で画面の向きを取得するためのプロパティです。画面の向きは、ユーザーがデバイスをどのように傾けたかによって変化します。このプロパティを使用すると、アプリケーションを画面の向きに合わせて調整したり、ユーザーの向き変更に反応したりすることができます。

QScreen::orientation の種類

QScreen::orientation には、以下の4つの値があります。

Qt::InvertedPortraitOrientation
画面が逆さまの縦向きであることを示します。
Qt::InvertedLandscapeOrientation
画面が逆さまの横向きであることを示します。
Qt::PortraitOrientation
画面が縦向きであることを示します。
Qt::LandscapeOrientation
画面が横向きであることを示します。

QScreen::orientation の使用方法

QScreen::orientation を使用するには、まず QScreen オブジェクトを取得する必要があります。QScreen オブジェクトは、QGuiApplication::primaryScreen() 関数を使用して取得できます。

次に、QScreen オブジェクトの orientation() プロパティを呼び出すことで、現在の画面の向きを取得できます。

QScreen* screen = QGuiApplication::primaryScreen();
Qt::ScreenOrientation orientation = screen->orientation();

QScreen::orientation の使用例

QScreen::orientation を使用して、アプリケーションを画面の向きに合わせて調整する例を以下に示します。

void updateOrientation() {
  QScreen* screen = QGuiApplication::primaryScreen();
  Qt::ScreenOrientation orientation = screen->orientation();

  if (orientation == Qt::LandscapeOrientation) {
    // 横向きレイアウトを適用する
  } else if (orientation == Qt::PortraitOrientation) {
    // 縦向きレイアウトを適用する
  } else {
    // その他の向き
  }
}

このコードは、画面の向きが変更されるたびに updateOrientation() 関数が呼び出されます。この関数は、画面の向きに応じて適切なレイアウトを適用します。

QScreen::orientation の注意点

QScreen::orientation は、画面の物理的な向きを表します。ユーザーが画面の向きを変更しても、画面の回転が完了するまでこのプロパティの値が更新されない場合があります。

また、QScreen::orientation は、画面の仮想的な向きを表さないことに注意する必要があります。一部のデバイスでは、画面の仮想的な向きをソフトウェアで設定することができます。このような場合、QScreen::orientation の値は、画面の物理的な向きではなく、仮想的な向きを反映します。

#include <QApplication>
#include <QScreen>
#include <QWidget>

class MyWindow : public QWidget {
public:
  MyWindow() {
    setWindowTitle("QScreen::orientation example");

    connect(QGuiApplication::instance(), &QGuiApplication::screenChanged, this, &MyWindow::updateSize);
  }

  void updateSize() {
    QScreen* screen = QGuiApplication::primaryScreen();
    Qt::ScreenOrientation orientation = screen->orientation();

    if (orientation == Qt::LandscapeOrientation) {
      resize(640, 480);
    } else if (orientation == Qt::PortraitOrientation) {
      resize(480, 640);
    } else {
      // その他の向き
    }
  }
};

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  MyWindow window;
  window.show();

  return app.exec();
}

このコードでは、MyWindow クラスという名前の QWidget クラスを作成しています。このクラスのコンストラクタは、ウィンドウのタイトルを設定し、screenChanged シグナルに connect() 関数を使用して接続します。

screenChanged シグナルは、画面が変更されたときに発行されます。このシグナルハンドラは、updateSize() 関数を呼び出してウィンドウのサイズを更新します。

代替方法 1: QSensor

QSensor クラスを使用すると、デバイスの加速度計やジャイロスコープなどのセンサーデータにアクセスできます。これらのセンサーデータを使用して、デバイスの向きを計算することができます。

QSensor sensor(Qt::Accelerometer);

if (sensor.isActive()) {
  QVector3D acceleration = sensor.value().toVector3D();

  float pitch = atan2(acceleration.y(), acceleration.z()) * 180.0 / M_PI;
  float roll = atan2(acceleration.x(), acceleration.z()) * 180.0 / M_PI;

  // ここで pitch と roll の値を使用して画面の向きを判断する
}

この方法は、QScreen::orientation よりも精度が高いかもしれませんが、より複雑な実装が必要になります。

代替方法 2: QEventLoop::registerObject

QEventLoop::registerObject() 関数を使用して、QEventLoop にオブジェクトを登録することができます。オブジェクトが変更されたときに、QEventLoop はシグナルを発行します。このシグナルハンドラを使用して、画面の向きを取得することができます。

void updateOrientation() {
  QScreen* screen = QGuiApplication::primaryScreen();
  Qt::ScreenOrientation orientation = screen->orientation();

  // ここで orientation の値を使用して画面の向きを判断する
}

QEventLoop::instance()->registerObject(screen, QEventLoop::ApplicationUpdates);

connect(QEventLoop::instance(), &QEventLoop::ApplicationUpdates, this, &MyWindow::updateOrientation);

この方法は、QScreen::orientation よりも柔軟性が高いかもしれませんが、より多くのコードが必要になります。

代替方法 3: プラットフォーム固有の API

一部のプラットフォームでは、画面の向きを取得するためのプラットフォーム固有の API が提供されています。これらの API を使用すると、QScreen::orientation よりも効率的に画面の向きを取得できる場合があります。

QScreen::orientation を使用するかどうか

QScreen::orientation を使用するかどうかは、アプリケーションの要件によって異なります。一般的には、QScreen::orientation はシンプルで使いやすいので、多くの場合これが最良の選択肢となります。ただし、より高い精度や柔軟性が必要な場合は、上記の代替方法を検討する必要があります。

Platform-specific API documentation (varies by platform)