Qt GUIにおける破線描画のすべて：QPen::setDashPattern()を使いこなす
QPen::setDashPattern() 関数は、Qt GUIにおける描画において、線の破線パターンを設定するために使用されます。この関数は、線描きのスタイルを Qt::CustomDashLine に変更し、指定されたパターンに従って破線を描画します。
使用方法
void QPen::setDashPattern(const QVector<qreal> &pattern);
引数
pattern: 破線パターンの要素を浮動小数点数のベクトルとして指定します。このベクトルは偶数個の要素を持ち、1番目の要素は線分の長さ、2番目の要素は間隔の長さを表します。
例
QPen pen;
pen.setColor(Qt::black);
QVector<qreal> dashes;
dashes << 4.0 << 2.0; // 4ピクセルの線、2ピクセルの間隔
pen.setDashPattern(dashes);
painter->setPen(pen);
painter->drawLine(10, 20, 100, 20);
この例では、黒いペンを作成し、4ピクセルの線と2ピクセルの間隔を持つ破線パターンを設定します。その後、ペインタにこのペンを設定し、破線を描画します。
QPen::setStyle()関数を使用して、線のスタイルをQt::CustomDashLineに設定することもできます。- 線幅が0の場合、破線パターンは適用されません。
- 破線パターンの要素数は偶数である必要があります。
QPen::setDashPattern()関数は、Qt 4.1以降で使用できます。
破線パターンの種類を変更する
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPen>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QLabel label;
label.resize(200, 100);
QPainter painter(&label);
// 4ピクセルの線、2ピクセルの間隔を持つ破線
QPen pen1(Qt::black);
QVector<qreal> dashes1{4.0, 2.0};
pen1.setDashPattern(dashes1);
painter.setPen(pen1);
painter.drawLine(10, 20, 100, 20);
// 8ピクセルの線、4ピクセルの間隔を持つ破線
QPen pen2(Qt::red);
QVector<qreal> dashes2{8.0, 4.0};
pen2.setDashPattern(dashes2);
painter.setPen(pen2);
painter.drawLine(10, 40, 100, 40);
// 点線
QPen pen3(Qt::blue);
pen3.setStyle(Qt::DotLine);
painter.setPen(pen3);
painter.drawLine(10, 60, 100, 60);
// 縮小点線
QPen pen4(Qt::green);
pen4.setStyle(Qt::DashDotLine);
painter.setPen(pen4);
painter.drawLine(10, 80, 100, 80);
label.show();
return app.exec();
}
破線パターンの間隔を調整する
この例では、破線パターンの間隔を調整することで、線の密度を変化させています。
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPen>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QLabel label;
label.resize(200, 100);
QPainter painter(&label);
QPen pen(Qt::black);
pen.setDashPattern({4.0}); // 線のみ、間隔なし
for (int i = 0; i <= 10; ++i) {
pen.setDashPattern({4.0, i * 0.2});
painter.setPen(pen);
painter.drawLine(10 + i * 20, 20, 10 + i * 20, 80);
}
label.show();
return app.exec();
}
この例では、破線パターンの色を変更することで、線の視覚効果を変化させています。
#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPen>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QLabel label;
label.resize(200, 100);
QPainter painter(&label);
QPen pen;
pen.setDashPattern({4.0, 2.0});
for (int i = 0; i <= 10; ++i) {
pen.setColor(QColor(i * 25, 255 - i * 25, 0));
painter.setPen(pen);
painter.drawLine(10 + i * 20, 20, 10 + i * 20, 80);
}
label.show();
return app.exec();
}
カスタムペインタクラスを使用する
カスタムペインタクラスを作成して、独自の描画ロジックを実装することで、より柔軟な破線パターンを作成できます。この方法は、複雑なパターンやアニメーション付きパターンが必要な場合に適しています。
利点
- 複雑なパターンやアニメーション付きパターンを作成できる
- 柔軟性が高い
欠点
- パフォーマンスが低下する可能性がある
- 複雑でコード量が多くなる
例
class MyCustomPen : public QPen {
public:
void paint(QPainter *painter) const override {
// カスタムの破線パターンを描画するロジックを実装する
}
};
int main() {
MyCustomPen pen;
pen.setColor(Qt::black);
QPainter painter(widget);
painter.setPen(pen);
painter.drawLine(10, 20, 100, 20);
return 0;
}
QPainterPath を使用する
QPainterPath を使用して、破線パターンの形状を定義し、それを線に描画することができます。この方法は、ベクターグラフィックスと互換性のある破線パターンが必要な場合に適しています。
利点
- スケーリングや回転に強い
- ベクターグラフィックスと互換性がある
欠点
QPen::setDashPattern()関数よりも複雑
例
QPainterPath path;
path.moveTo(10, 20);
path.lineTo(20, 20);
path.moveTo(25, 20);
path.lineTo(35, 20);
QPen pen(Qt::black);
pen.setWidth(2);
QPainter painter(widget);
painter.setPen(pen);
painter.drawPath(path);
OpenGL を使用する
OpenGL を使用して、3D グラフィックスで破線パターンを描画することができます。この方法は、高度な3D グラフィックスアプリケーションが必要な場合に適しています。
利点
- 高度な3D グラフィックスエフェクトを実現できる
欠点
- 処理能力を必要とする
- OpenGL の知識が必要
例
// OpenGL の初期化コード
glBegin(GL_LINES);
glVertex3f(0.0f, 0.0f, 0.0f);
glVertex3f(100.0f, 0.0f, 0.0f);
// カスタムの破線パターンを描画する OpenGL コード
glEnd();
サードパーティライブラリを使用する
Qt には、破線パターンの描画に役立つサードパーティライブラリがいくつかあります。これらのライブラリは、独自の機能やパフォーマンスの向上を提供する場合があります。
利点
- 独自の機能やパフォーマンスの向上を提供する場合がある
欠点
- ライセンスの問題が発生する可能性がある
- ライブラリの使用方法を習得する必要がある