【保存版】Qt Widgets QMenu::enterEvent()の使い方とサンプルコード集

QMenu::enterEvent()は、Qt WidgetsライブラリにおけるQMenuクラスの仮想関数であり、マウスカーソルがメニュー領域に入った際に発生するイベントを処理するために使用されます。この関数は、メニューの表示状態や動作を制御するために役立ちます。

機能

QMenu::enterEvent()は、QEvent型の引数を受け取ります。このイベントオブジェクトには、マウスカーソルの位置やボタンの状態などの情報が含まれています。この情報を使用して、メニューの表示状態や動作を制御することができます。

例

以下のコード例は、マウスカーソルがメニュー領域に入った際にメニューを非表示にする例です。

void MyMenu::enterEvent(QEvent *event)
{
    if (event->type() == QEvent::Enter) {
        hide();
    }
}

このコードでは、enterEvent()関数がQEvent::Enterタイプのイベントを受け取った場合、hide()関数を呼び出してメニューを非表示にしています。

QMenu::enterEvent()関数は、メニューの表示状態や動作を制御する以外にも、さまざまな用途に使用することができます。例えば、メニュー項目のハイライトや、ツールチップの表示などに利用できます。

例1：マウスカーソルがメニュー領域に入った際にメニューを非表示にする

void MyMenu::enterEvent(QEvent *event)
{
    if (event->type() == QEvent::Enter) {
        hide();
    }
}

例2：マウスカーソルがメニュー項目上に入った際に項目をハイライトする

void MyMenu::enterEvent(QEvent *event)
{
    QMenu::enterEvent(event);

    if (event->type() == QEvent::Enter) {
        QAction *action = dynamic_cast<QAction *>(event->source());
        if (action) {
            action->setHighlighted(true);
        }
    }
}

void MyMenu::leaveEvent(QEvent *event)
{
    QMenu::leaveEvent(event);

    if (event->type() == QEvent::Leave) {
        QAction *action = dynamic_cast<QAction *>(event->source());
        if (action) {
            action->setHighlighted(false);
        }
    }
}

例3：マウスカーソルがメニュー領域に入った際にツールチップを表示する

void MyMenu::enterEvent(QEvent *event)
{
    if (event->type() == QEvent::Enter) {
        QAction *action = dynamic_cast<QAction *>(event->source());
        if (action) {
            QString tooltip = action->toolTip();
            if (!tooltip.isEmpty()) {
                QToolTip::showText(globalPos(), tooltip);
            }
        }
    }
}

void MyMenu::leaveEvent(QEvent *event)
{
    QToolTip::hide();
}

これらの例はあくまでも基本的な使い方を示したものです。QMenu::enterEvent() 関数は、さまざまな目的に合わせて拡張することができます。

代替方法

以下に、QMenu::enterEvent() の代替方法をいくつか紹介します。

QMenu::connectSignalsSlots()関数を使用して、QAction::triggered()` 信号とスロットを接続する
この方法は、メニュー項目が選択されたときにのみアクションを実行する場合に有効です。

connect(myMenu->actions(), &QAction::triggered, this, &MyClass::onActionTriggered);

QMenu::installEventFilter()` 関数を使用して、イベントフィルタをインストールする
この方法は、メニュー領域内で発生するすべてのイベントを処理する場合に有効です。

myMenu->installEventFilter(this);

QMenu::setAttribute(Qt::WA_NoMousePropagation)` 属性を設定する
この方法は、マウスイベントがメニュー領域から親ウィジェットに伝達されないようにする場合に有効です。

myMenu->setAttribute(Qt::WA_NoMousePropagation);

それぞれの方法の利点と欠点

方法	利点	欠点
`QMenu::connectSignalsSlots()`	特定のアクションにのみ反応できる	メニュー項目が選択されていない場合は反応しない
`QMenu::installEventFilter()`	メニュー領域内で発生するすべてのイベントを処理できる	すべてのイベントを処理する必要があるため、コードが煩雑になる可能性がある
`QMenu::setAttribute(Qt::WA_NoMousePropagation)`	マウスイベントが親ウィジェットに伝達されない	メニュー領域内でマウスイベントを処理できなくなる

最適な方法の選択

使用する方法は、状況によって異なります。

マウスイベントが親ウィジェットに伝達されないようにしたい場合は、QMenu::setAttribute(Qt::WA_NoMousePropagation) 属性を設定するのが最良の方法です。
メニュー領域内で発生するすべてのイベントを処理する必要がある場合は、QMenu::installEventFilter() 関数を使用するのが最良の方法です。
特定のアクションにのみ反応したい場合は、QMenu::connectSignalsSlots() 関数を使用するのが最良の方法です。