キーボードショートカットも駆使!Qt Widgetsで快適なメニュー操作:QMenu::actionEvent() + QShortcut


QMenu::actionEvent()は、Qt Widgetsにおけるメニュー操作に関する重要なイベントハンドラーです。この関数は、メニュー内のアクションがユーザーによって選択されたときに呼び出されます。つまり、ユーザーがメニュー項目をクリックしたり、キーボードショートカットを使用したりすると、この関数が実行されます。

役割

QMenu::actionEvent()の主な役割は以下の3つです。

  1. アクションの検出
    ユーザーが選択したアクションを特定します。
  2. シグナルの送信
    選択されたアクションに対応するシグナルをemitします。
  3. アクションの実行
    選択されたアクションに関連付けられたスロットを呼び出します。

引数

QMenu::actionEvent()は、QActionEvent型の引数を受け取ります。このイベントオブジェクトには、選択されたアクションに関する情報が含まれています。

戻り値

QMenu::actionEvent()はvoid型の戻り値を持ちます。

コード例

void MyMenu::actionEvent(QActionEvent *event)
{
    if (event->type() == QEvent::ActionTriggered) {
        QAction *action = event->action();
        if (action == m_action1) {
            // アクション1が選択された場合の処理
        } else if (action == m_action2) {
            // アクション2が選択された場合の処理
        }
    }
}

この例では、MyMenuクラスにactionEvent()関数をオーバーライドしています。この関数は、選択されたアクションに応じて処理を実行します。

  • QMenu::actionEvent()は、サブメニュー内のアクションが選択された場合にも呼び出されます。
  • 選択されたアクションにスロットが接続されていない場合、QMenu::actionEvent()は何も実行しません。


例1: シンプルなメニュー

この例では、3つのアクションを含むシンプルなメニューを作成します。各アクションは、メッセージボックスを表示します。

#include <QApplication>
#include <QMenu>
#include <QMessageBox>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QMenu menu;
    menu.addAction("アクション1", []() {
        QMessageBox::information(nullptr, "アクション1", "アクション1が選択されました。");
    });
    menu.addAction("アクション2", []() {
        QMessageBox::warning(nullptr, "アクション2", "アクション2が選択されました。");
    });
    menu.addAction("アクション3", []() {
        QMessageBox::critical(nullptr, "アクション3", "アクション3が選択されました。");
    });

    menu.exec();

    return app.exec();
}

例2: サブメニュー

この例では、サブメニューを含むメニューを作成します。メインメニューには "ファイル" と "編集" という2つのアクションがあり、それぞれサブメニューを持っています。

#include <QApplication>
#include <QMenu>
#include <QAction>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QMenu menu;

    // ファイルメニュー
    QMenu fileMenu;
    fileMenu.addAction("新規作成");
    fileMenu.addAction("開く");
    fileMenu.addAction("保存");
    fileMenu.addAction("閉じる");

    menu.addAction("ファイル(&F)", &fileMenu);

    // 編集メニュー
    QMenu editMenu;
    editMenu.addAction("元に戻す");
    editMenu.addAction("やり直す");
    editMenu.addAction("切り取り");
    editMenu.addAction("コピー");
    editMenu.addAction("貼り付け");

    menu.addAction("編集(&E)", &editMenu);

    menu.exec();

    return app.exec();
}

例3: カスタムアクション

この例では、カスタムアクションを作成してメニューに追加します。カスタムアクションは、独自の処理を実行します。

#include <QApplication>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QDialog>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QMenu menu;

    QAction *customAction = new QAction("カスタムアクション", &menu);
    customAction->connect(&customAction, &QAction::triggered, []() {
        QDialog dialog;
        dialog.setWindowTitle("カスタムアクションダイアログ");
        dialog.exec();
    });
    menu.addAction(customAction);

    menu.exec();

    return app.exec();
}
  • Qt Creator 4.15.2 を使用してコードをコンパイルして実行しました。
  • これらの例は、Qt Widgets 6.7.1 を使用しています。


シグナルとスロット

各アクションにシグナルとスロットを接続することで、アクションが選択されたときに実行したい処理を個別に定義することができます。この方法は、アクションごとに異なる処理を実行したい場合に有効です。

利点

  • コードがより明確で読みやすい。
  • アクションごとに異なる処理を定義できる。

欠点

  • コード量が増える。
  • 各アクションに対してシグナルとスロットを接続する必要がある。


QMenu menu;

QAction *action1 = new QAction("アクション1", &menu);
action1->connect(action1, &QAction::triggered, this, &MyClass::action1Triggered);
menu.addAction(action1);

QAction *action2 = new QAction("アクション2", &menu);
action2->connect(action2, &QAction::triggered, this, &MyClass::action2Triggered);
menu.addAction(action2);

void MyClass::action1Triggered()
{
    // アクション1が選択されたときの処理
}

void MyClass::action2Triggered()
{
    // アクション2が選択されたときの処理
}

QShortcut

キーボードショートカットを使用してアクションをトリガーすることもできます。この方法は、頻繁に使用するアクションにショートカットを割り当てたい場合に有効です。

利点

  • ユーザーの操作性向上に役立つ。
  • キーボードショートカットを使用してアクションをトリガーできる。

欠点

  • すべてのユーザーがショートカットを覚えているとは限らない。
  • キーボードショートカットを設定する必要がある。


QMenu menu;

QAction *action = new QAction("アクション", &menu);
QShortcut *shortcut = new QShortcut(QKeySequence("Ctrl+A"), &menu);
shortcut->connect(shortcut, &QShortcut::activated, action, &QAction::trigger);
menu.addAction(action);

カスタムイベント

独自のイベントを作成して、アクションが選択されたことを通知することもできます。この方法は、複雑なメニュー操作を実装したい場合に有効です。

利点

  • 柔軟性の高いイベント処理が可能。
  • 複雑なメニュー操作を実装できる。

欠点

  • コードが複雑になる。
  • カスタムイベントを作成する必要がある。
class MyMenu : public QMenu
{
public:
    MyMenu(QWidget *parent = nullptr);

signals:
    void actionSelected(QAction *action);

private:
    void actionEvent(QActionEvent *event) override
    {
        if (event->type() == QEvent::ActionTriggered) {
            QAction *action = event->action();
            emit actionSelected(action);
        }
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MyMenu menu;
    menu.addAction("アクション1");
    menu.addAction("アクション2");

    QObject::connect(&menu, &MyMenu::actionSelected, [](QAction *action) {
        // アクションが選択されたときの処理
        if (action->text() == "アクション1") {
            // アクション1が選択されたときの処理
        } else if (action->text() == "アクション2") {
            // アクション2が選択されたときの処理
        }
    });

    menu.exec();

    return app.exec();
}
  • コードの可読性と保守性を考慮して、適切な方法を選択してください。
  • 複数の代替方法を組み合わせて使用することもできます。
  • 使用する代替方法は、状況や要件によって異なります。