Qt Widgets チュートリアル：QGraphicsItem::setTransformations()でアイテム変換をマスターしよう

QGraphicsItem::setTransformations() は、Qt WidgetsライブラリにおけるQGraphicsItemクラスのメソッドで、グラフィカルアイテムに対して複数の変換を適用するために使用されます。このメソッドは、リスト形式で渡されたQTransformオブジェクトをアイテムの変換リストに追加します。これらの変換は、アイテムの位置、回転、スケーリングなど、様々な操作を定義します。

使用方法

void setTransformations(const QList<QTransform>& transformations);

引数

transformations: アイテムに適用する変換のリスト。各要素はQTransformオブジェクトを表します。

戻り値

なし

詳細

QGraphicsItem::setTransformations() メソッドは、アイテムの変換リストを直接操作します。既存の変換を削除するには、空のリストを渡します。変換の順序は重要であり、リスト内の最初の変換が最初に適用され、その後に続く変換が順番に適用されます。

例

次のコードは、矩形アイテムを回転、拡大、移動する例です。

QGraphicsRectItem* item = new QGraphicsRectItem(0, 0, 100, 50);

QList<QTransform> transformations;
transformations << QTransform().rotate(45);
transformations << QTransform().scale(2, 2);
transformations << QTransform().translate(50, 50);

item->setTransformations(transformations);

このコードでは、まず QGraphicsRectItem オブジェクトを作成します。次に、変換リストを作成し、回転、拡大、移動の変換を追加します。最後に、setTransformations() メソッドを使用して、アイテムにこの変換リストを設定します。

アイテムの変換をリセットするには、resetTransform() メソッドを使用します。
変換の順序は重要です。リスト内の最初の変換が最初に適用され、その後に続く変換が順番に適用されます。
QGraphicsItem::setTransformations() メソッドは、アイテムがシーンに属している場合にのみ有効です。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QGraphicsScene scene;
    QGraphicsRectItem* item = new QGraphicsRectItem(0, 0, 100, 50);

    QList<QTransform> transformations;
    transformations << QTransform().rotate(45);
    transformations << QTransform().scale(2, 2);
    transformations << QTransform().translate(50, 50);

    item->setTransformations(transformations);
    scene.addItem(item);

    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

例2：楕円アイテムを拡大、移動する

この例では、楕円アイテムを拡大、移動するコードを紹介します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsEllipseItem>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QGraphicsScene scene;
    QGraphicsEllipseItem* item = new QGraphicsEllipseItem(0, 0, 100, 50);

    QList<QTransform> transformations;
    transformations << QTransform().scale(2, 1.5);
    transformations << QTransform().translate(75, 25);

    item->setTransformations(transformations);
    scene.addItem(item);

    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

例3：テキストアイテムを回転、移動、傾斜させる

この例では、テキストアイテムを回転、移動、傾斜させるコードを紹介します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsTextItem>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QGraphicsScene scene;
    QGraphicsTextItem* item = new QGraphicsTextItem("Hello, World!");

    QList<QTransform> transformations;
    transformations << QTransform().rotate(30);
    transformations << QTransform().translate(50, 50);
    transformations << QTransform().shear(-0.2, 0);

    item->setTransformations(transformations);
    scene.addItem(item);

    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

これらの例は、QGraphicsItem::setTransformations() メソッドを使用して、様々な変換をアイテムに適用する方法を示しています。

変換の順序は重要です。リスト内の最初の変換が最初に適用され、その後に続く変換が順番に適用されます。
アイテムの変換は、QTransform オブジェクトを使用して定義されます。
各例では、QGraphicsScene と QGraphicsView を使用してアイテムをシーンに表示しています。

個別の変換メソッドを使用する

アイテムに対して単一の変換を適用する場合は、個別の変換メソッドを使用するのが効率的です。例えば、アイテムを回転させるには setRotation() メソッド、拡大するには setScale() メソッド、移動するには setPos() メソッドを使用できます。

利点

必要な変換のみを適用できる
コードが簡潔で分かりやすい

欠点

変換の順序を意識する必要がある
複数の変換を適用する場合は煩雑になる

例

item->setRotation(45);
item->setScale(2, 2);
item->setPos(50, 50);

QTransformオブジェクトを直接設定する

利点

変換の順序を明確に制御できる

欠点

QTransformオブジェクトの操作に慣れている必要がある
コードが冗長になる

例

QTransform transform;
transform.rotate(45);
transform.scale(2, 2);
transform.translate(50, 50);

item->setTransform(transform);

カスタム変換を実装する

より複雑な変換を必要とする場合は、カスタム変換を実装することができます。この方法は、高度な制御が必要な場合に役立ちます。

利点

他の変換と組み合わせることができる
任意の変換を定義できる

欠点

数学的な知識が必要になる
コードが複雑になる

例

class MyTransform : public QTransform
{
public:
    void setSkew(qreal xSkew, qreal ySkew)
    {
        m_matrix[2][0] = xSkew;
        m_matrix[3][1] = ySkew;
    }
};

MyTransform transform;
transform.rotate(45);
transform.scale(2, 2);
transform.translate(50, 50);
transform.setSkew(0.1, 0.2);

item->setTransform(transform);

互換性：古いバージョンの Qt では、すべての変換メソッドが利用できない場合があります。
パフォーマンス：個別の変換メソッドは、setTransform() メソッドよりも高速な場合があります。