Qt Widgetsプログラミング：QGraphicsItem::mapFromParent()で座標変換を簡単に行う

QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは、親アイテムの座標系における点を、現在のアイテムの座標系に変換します。これは、アイテム間の座標変換が必要な場合に役立ちます。

使用方法

QPointF mappedPoint = item->mapFromParent(parentPoint);

この例では、parentPoint は親アイテムの座標系における点であり、mappedPoint は現在のアイテムの座標系における対応する点となります。

詳細

QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは、現在のアイテムの変換行列を使用して、親アイテムの座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換します。変換行列は、item->transform() メソッドを使用して取得できます。

例

次の例では、親アイテムの座標系における点 (10, 20) を現在のアイテムの座標系に変換します。

QGraphicsItem *item = new QGraphicsItem();
item->setTransform(QTransform::translate(50, 30));

QPointF parentPoint(10, 20);
QPointF mappedPoint = item->mapFromParent(parentPoint);

qDebug() << "Mapped point: " << mappedPoint;

このコードは次の出力を生成します。

Mapped point: (60, 50)

変換行列が非可逆変換の場合は、QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは正しく動作しません。
QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは、現在のアイテムが親アイテムを持つ場合にのみ使用できます。

QGraphicsItem::mapToParent() メソッドは、QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドの逆操作を実行します。
QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは、QGraphicsItem::mapFromScene() メソッドと似ていますが、QGraphicsItem::mapFromScene() メソッドはシーン座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsItem>

class MyItem : public QGraphicsItem
{
public:
    MyItem()
    {
        setFlags(QGraphicsItem::ItemIsMovable);
    }

protected:
    void mousePressEvent(QGraphicsSceneMouseEvent *event) override
    {
        QPointF parentPoint = event->pos();
        QPointF mappedPoint = mapFromParent(parentPoint);

        qDebug() << "Mouse pressed at parent point: " << parentPoint;
        qDebug() << "Mapped point: " << mappedPoint;
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QGraphicsScene scene;
    MyItem *item = new MyItem();
    item->setPos(50, 50);
    scene.addItem(item);

    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、次の出力が生成されます。

Mouse pressed at parent point: (10, 20)
Mapped point: (60, 70)

代替方法

カスタム変換関数の使用
独自の変換関数を定義して、親アイテムの座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換できます。この方法は、複雑な座標変換が必要な場合に役立ちます。
シーン座標系への変換
親アイテムの座標系における点をシーン座標系に変換し、その後、現在のアイテムの変換行列を使用してシーン座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換できます。この方法は、複数のアイテム間の座標変換が必要な場合に役立ちます。
変換行列の直接操作
現在のアイテムの変換行列 (item->transform()) を直接操作することで、親アイテムの座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換できます。この方法は、より柔軟な制御が可能ですが、QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドよりも複雑になる可能性があります。

各方法の詳細

変換行列の直接操作

QPointF parentPoint(10, 20);
QTransform transform = item->transform();
QPointF mappedPoint = transform.map(parentPoint);

qDebug() << "Mapped point: " << mappedPoint;

シーン座標系への変換

QPointF parentPoint(10, 20);
QPointF scenePoint = item->scenePos() + parentPoint;
QPointF mappedPoint = item->transform().map(scenePoint);

qDebug() << "Mapped point: " << mappedPoint;

カスタム変換関数の使用

QPointF parentPoint(10, 20);
QPointF mappedPoint = customTransformFunction(parentPoint, item);

qDebug() << "Mapped point: " << mappedPoint;

それぞれの方法の利点と欠点

方法	利点	欠点
`QGraphicsItem::mapFromParent()`	シンプルで使いやすい	柔軟性が低い
変換行列の直接操作	柔軟性が高い	複雑になる可能性がある
シーン座標系への変換	複数のアイテム間の座標変換に役立つ	余分な計算が必要
カスタム変換関数の使用	複雑な座標変換に役立つ	定義と実装が必要

QGraphicsItem::mapFromParent() メソッドは、多くの場合、親アイテムの座標系における点を現在のアイテムの座標系に変換するのに最適な方法ですが、状況によっては代替方法の方が適切な場合があります。上記の代替方法を理解することで、ニーズに合った最適な方法を選択することができます。

複雑な座標変換が必要な場合は、パフォーマンスを最適化するために、カスタム変換関数を定義することを検討してください。
どの方法を選択する場合でも、変換行列が非可逆変換の場合は、正しく動作しない可能性があることに注意してください。