Qt WidgetsでQGraphicsItem::setFocus()を使う際のサンプルコード

QGraphicsItem::setFocus() は、Qt WidgetsライブラリにおけるQGraphicsItemクラスのメソッドであり、特定のQGraphicsItemにキーボード入力のフォーカスを設定します。フォーカスを持つアイテムは、キーボードイベントを受け取り、ユーザー入力に応答することができます。

使用方法

QGraphicsItem::setFocus() メソッドは、以下の形式で使用されます。

void QGraphicsItem::setFocus(Qt::FocusReason reason = Qt::OtherFocusReason);

このメソッドには、オプション引数 reason が指定できます。この引数は、フォーカスがどのように設定されたかを指します。デフォルト値は Qt::OtherFocusReason です。

例

以下のコード例は、QGraphicsEllipseItem にフォーカスを設定する方法を示しています。

QGraphicsEllipseItem *ellipseItem = new QGraphicsEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
scene->addItem(ellipseItem);
ellipseItem->setFocus();

注意点

フォーカスを持つアイテムは、QGraphicsItem::keyPressEvent() メソッドでキーボードイベントを受け取ることができます。
フォーカスを持つアイテムは、QGraphicsItem::hasFocus() メソッドを使用して取得できます。
QGraphicsItem::setFocus() メソッドは、アイテムがフォーカス可能である場合にのみ有効です。アイテムがフォーカス可能かどうかは、QGraphicsItem::isFocusable() メソッドを使用して確認できます。

応用例

QGraphicsItem::setFocus() メソッドは、さまざまな用途に使用できます。以下はその例です。

アイテム間を移動できるようにする
アイテムのプロパティを編集できるようにする
ユーザーが特定のアイテムを選択または操作できるようにする

QGraphicsItem::setFocus() メソッドは、QGraphicsView クラスの setFocus() メソッドとは異なります。QGraphicsView クラスの setFocus() メソッドは、ビュー自体にフォーカスを設定します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsEllipseItem>
#include <QKeyEvent>

class MyEllipseItem : public QGraphicsEllipseItem
{
public:
    MyEllipseItem(const QRectF &rect)
        : QGraphicsEllipseItem(rect)
    {
        // フォーカス可能にする
        setFocusPolicy(Qt::StrongFocusPolicy);
    }

protected:
    void keyPressEvent(QKeyEvent *event) override
    {
        if (event->key() == Qt::Key_Up) {
            // 上方向キーが押されたら、アイテムを上に移動する
            setPos(pos() + QPointF(0, -5));
        } else if (event->key() == Qt::Key_Down) {
            // 下方向キーが押されたら、アイテムを下に移動する
            setPos(pos() + QPointF(0, 5));
        }
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // シーンを作成
    QGraphicsScene scene;

    // アイテムを作成
    MyEllipseItem *ellipseItem = new MyEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));

    // シーンにアイテムを追加
    scene.addItem(ellipseItem);

    // ビューを作成
    QGraphicsView view(&scene);
    view.show();

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、以下のようなウィンドウが表示されます。

赤い楕円形のアイテムをクリックすると、そのアイテムにフォーカスが設定されます。その後、上下方向キーを押すと、アイテムが上下に移動します。

QGraphicsView::setFocusItem() メソッドを使用する

QGraphicsView::setFocusItem() メソッドは、QGraphicsView クラスに属するメソッドであり、ビュー内に表示されている特定のアイテムにフォーカスを設定します。このメソッドは、QGraphicsItem::setFocus() メソッドよりも簡潔で、ビュー内のアイテムを直接参照する必要がないという利点があります。

QGraphicsView *view = new QGraphicsView(&scene);
view->setFocusItem(ellipseItem);
view->show();

QKeyEvent を生成してアイテムに送信する

QKeyEvent クラスは、キーボードイベントを表すクラスであり、QGraphicsItem::keyPressEvent() メソッドに送信することで、アイテムにフォーカスを設定することができます。この方法は、より詳細な制御が必要な場合に役立ちます。

QKeyEvent event(QEvent::KeyPress, Qt::Key_Tab, Qt::NoModifier, "");
ellipseItem->keyPressEvent(&event);

アイテムのプロパティを変更してフォーカスを誘導する

一部のアイテムは、setSelected() や setZValue() などのプロパティを変更することで、フォーカスを誘導することができます。この方法は、アイテムの状態に応じてフォーカスを設定したい場合に役立ちます。

ellipseItem->setSelected(true);

フォーカスポリシーを設定する

アイテムのフォーカスポリシーを設定することで、フォーカスを獲得する際の動作を制御することができます。Qt::StrongFocusPolicy は、アイテムがフォーカス可能な状態であれば常にフォーカスを獲得するように設定します。

ellipseItem->setFocusPolicy(Qt::StrongFocusPolicy);

選択

どの代替方法が最適かは、状況によって異なります。シンプルな場合は QGraphicsView::setFocusItem() メソッドが最適ですが、より詳細な制御が必要な場合は QKeyEvent を生成する方法が適しています。アイテムの状態に応じてフォーカスを設定したい場合は、アイテムのプロパティを変更する方法が適しています。