【初心者向け】Qt Widgets：QGraphicsItem::resetTransform()でアイテム操作をマスター

QGraphicsItem::resetTransform()関数は、Qt WidgetsライブラリにおけるQGraphicsItemクラスのメソッドであり、アイテムの変換行列をリセットするために使用されます。変換行列とは、アイテムの位置、回転、スケーリングなどの情報を表現する行列です。

用途

resetTransform()関数は、以下の状況で使用されます。

アイテムを別のアイテムに関連付けたい場合
アイテムの位置、回転、スケーリングをプログラムで操作した後、元の状態に戻したい場合
アイテムを初期状態に戻したい場合

使用方法

resetTransform()関数は、以下のコードのように呼び出すことができます。

item->resetTransform();

このコードは、itemという名前のQGraphicsItemインスタンスの変換行列をリセットします。

例

以下の例では、QGraphicsEllipseItemインスタンスを作成し、その位置、回転、スケーリングをプログラムで操作します。その後、resetTransform()関数を使用して、アイテムを元の状態に戻します。

QGraphicsEllipseItem *item = new QGraphicsEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
scene->addItem(item);

item->setPos(50, 50);
item->setRotation(45);
item->setScale(2, 1);

QTimer::singleShot(1000, item, SLOT(resetTransform()));

このコードを実行すると、楕円形アイテムが画面に表示され、1秒後に元の位置、回転、スケーリングに戻ります。

resetTransform()関数は、アイテムの形状には影響を与えません。アイテムの形状を変更するには、shape()関数を使用する必要があります。
resetTransform()関数は、アイテムの親アイテムの影響を受けません。親アイテムの変換行列は、子アイテムの変換行列に適用されます。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsItem>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);

  QGraphicsEllipseItem *item = new QGraphicsEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
  scene.addItem(item);

  view.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、楕円形アイテムが画面の中央に表示されます。

例2: アイテムの位置、回転、スケーリングをプログラムで操作した後、元の状態に戻す

#include <QApplication>
#include <QGraphicsItem>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QTimer>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);

  QGraphicsEllipseItem *item = new QGraphicsEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
  scene.addItem(item);

  item->setPos(50, 50);
  item->setRotation(45);
  item->setScale(2, 1);

  QTimer::singleShot(1000, item, SLOT(resetTransform()));

  view.show();

  return app.exec();
}

例3: アイテムを別のアイテムに関連付ける

この例では、QGraphicsEllipseItemインスタンスを作成し、そのアイテムをQGraphicsRectItemインスタンスに関連付けます。その後、resetTransform()関数を使用して、楕円形アイテムを矩形アイテムの中央に配置します。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsItem>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);

  QGraphicsRectItem *rectItem = new QGraphicsRectItem(QRectF(0, 0, 200, 100));
  scene.addItem(rectItem);

  QGraphicsEllipseItem *ellipseItem = new QGraphicsEllipseItem(QRectF(0, 0, 100, 50));
  ellipseItem->setParentItem(rectItem);

  ellipseItem->resetTransform();

  view.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、矩形アイテムと楕円形アイテムが画面に表示されます。楕円形アイテムは矩形アイテムの中央に配置されます。

代替方法

以下に、QGraphicsItem::resetTransform()の代替方法をいくつか紹介します。

setPos()、setRotation()、setScale()関数を使用する: アイテムの位置、回転、スケーリングを個別に設定することで、変換行列をリセットすることができます。

item->setPos(0, 0);
item->setRotation(0);
item->setScale(1, 1);

setTransform()関数を使用する: 単位行列を使用して、アイテムの変換行列をリセットすることができます。

QTransform transform;
transform.setToIdentity();
item->setTransform(transform);

item->reset();

それぞれの方法の比較

方法	利点	欠点
`setPos()`, `setRotation()`, `setScale()`	個別の操作が可能	コードが冗長になる可能性がある
`setTransform()`	シンプルなコード	アイテムのすべてのプロパティがリセットされる
`reset()`	すべてのプロパティをリセットできる	必要なプロパティのみをリセットできない

最適な方法を選択

最適な方法は、状況によって異なります。

アイテムのすべてのプロパティをデフォルト値にリセットしたい場合は、reset()関数を使用します。
シンプルなコードで変換行列をリセットしたい場合は、setTransform()関数を使用します。
アイテムの位置、回転、スケーリングのみをリセットしたい場合は、setPos(), setRotation(), setScale()関数を使用するのが最も効率的です。

アイテムの親アイテムにQGraphicsItem::ItemTransformationModeプロパティが設定されている場合は、resetTransform()関数を使用してもアイテムがリセットされない場合があります。
アイテムにアニメーションを適用している場合は、resetTransform()関数を使用するとアニメーションが中断される可能性があります。