CMake の `AUTOMOC_PATH_PREFIX` プロパティ: Qt ターゲット向け `moc` コマンド出力を自在に制御


機能

  • AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを使用すると、ソースコードツリー内の特定のディレクトリに moc コマンドの出力を配置することができます。これにより、ビルドシステムの複雑さを軽減し、コードの整理を容易にすることができます。
  • パスプレフィックスは、CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX 変数で設定されます。この変数はデフォルトで OFF に設定されています。
  • AUTOMOC_PATH_PREFIXON の場合、CMake は moc コマンドに -p オプションを生成し、Qt ターゲットのパスプレフィックスを指定します。

利点

  • 複数の Qt ターゲットを扱う場合に、それぞれのターゲットに異なるパスプレフィックスを設定することができます。
  • コードを整理し、プロジェクトの保守性を向上させることができます。
  • ソースコードツリー内の特定のディレクトリに moc コマンドの出力を配置することで、ビルドシステムを簡素化することができます。

設定方法

AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティは、ターゲットプロパティとして設定することができます。以下の例をご覧ください。

target_properties(my_target PROPERTIES AUTOMOC_PATH_PREFIX "/path/to/moc/output")

この例では、my_target ターゲットで moc コマンドを実行する際に、/path/to/moc/output ディレクトリにパスプレフィックスが設定されます。

注意事項

  • AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを設定すると、moc コマンドの出力が指定されたディレクトリに配置されます。既存のファイルは上書きされる可能性があります。
  • パスプレフィックスは、有効なディレクトリパスである必要があります。
  • AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティは、Qt ターゲットのみで使用できます。

プログラミング例

以下の例は、AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを使用して、Qt ターゲットで moc コマンドを実行する方法を示しています。

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)

project(my_project)

set(CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX "/path/to/moc/output")

add_executable(my_target my_target.cpp)

target_link_libraries(my_target Qt5Core)

この例では、my_project プロジェクトが作成され、my_target という名前の実行可能ファイルがビルドされます。moc コマンドの出力は /path/to/moc/output ディレクトリに配置されます。



例 1: 単一の Qt ターゲット

この例では、my_target という名前の Qt ターゲットを作成し、AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを使用して moc コマンドの出力を /path/to/moc/output ディレクトリに配置します。

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)

project(my_project)

set(CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX "/path/to/moc/output")

add_executable(my_target my_target.cpp)

target_link_libraries(my_target Qt5Core)

例 2: 複数の Qt ターゲット

この例では、my_target1my_target2 という名前の 2 つの Qt ターゲットを作成し、それぞれ異なる AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを設定します。

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)

project(my_project)

set(CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET1 "/path/to/moc/output1")
set(CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET2 "/path/to/moc/output2")

add_executable(my_target1 my_target1.cpp)

target_properties(my_target1 PROPERTIES AUTOMOC_PATH_PREFIX "${CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET1}")
target_link_libraries(my_target1 Qt5Core)

add_executable(my_target2 my_target2.cpp)

target_properties(my_target2 PROPERTIES AUTOMOC_PATH_PREFIX "${CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET2}")
target_link_libraries(my_target2 Qt5Core)

例 3: サブディレクトリ

この例では、my_project サブディレクトリにある Qt ターゲットを作成し、AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを使用して moc コマンドの出力をサブディレクトリに配置します。

cmake_minimum_required(VERSION 3.16)

project(my_project)

set(CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX "/path/to/moc/output")

add_subdirectory(my_project)

my_project サブディレクトリ内の CMakeLists.txt ファイルは次のようになります。

add_executable(my_target my_target.cpp)

target_link_libraries(my_target Qt5Core)

説明

  • add_subdirectory コマンドを使用して、サブディレクトリ内の CMakeLists.txt ファイルを処理します。
  • target_link_libraries コマンドを使用して、ターゲットに必要なライブラリをリンクします。
  • target_properties コマンドを使用して、ターゲットプロパティを設定します。
  • add_executable コマンドを使用して、実行可能ファイルターゲットを作成します。
  • set コマンドを使用して、CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX 変数と CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET1 および CMAKE_AUTOMOC_PATH_PREFIX_MY_TARGET2 変数を設定します。
  • project コマンドを使用して、プロジェクトの名前を設定します。
  • 上記の例では、cmake_minimum_required コマンドを使用して、CMake の最小バージョンを 3.16 に設定します。
  • AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティを設定すると、moc コマンドの出力が指定されたディレクトリに配置されます。既存のファイルは上書きされる可能性があります。
  • パスプレフィックスは、有効なディレクトリパスである必要があります。
  • AUTOMOC_PATH_PREFIX プロパティは、Qt ターゲットのみで使用できます。
  • 上記の例はあくまでサンプルであり、実際のプロジェクトでは必要に応じて変更する必要があります。


"AUTOMOC_PATH_PREFIX" プロパティは、CMake で Qt ターゲットをビルドする際に役立つ便利な機能ですが、状況によっては別の方法で moc コマンドの出力を配置したい場合もあります。

代替方法

  • 手動で moc コマンドを実行する

最も簡単な代替方法は、手動で moc コマンドを実行することです。以下の例をご覧ください。

moc my_target.h -o my_target.cpp.moc

この例では、my_target.h ヘッダーファイルに対して moc コマンドを実行し、出力を my_target.cpp.moc ファイルに保存します。

  • CMAKE_AUTOMOC 変数を使用する

CMAKE_AUTOMOC 変数は、moc コマンドのパスを設定するために使用できます。以下の例をご覧ください。

set(CMAKE_AUTOMOC "/path/to/moc")

add_executable(my_target my_target.cpp)

target_link_libraries(my_target Qt5Core)

この例では、CMAKE_AUTOMOC 変数を /path/to/moc に設定し、my_target ターゲットを作成します。CMake は、指定された moc コマンドを使用してターゲットのヘッダーファイルを処理します。

  • カスタムビルドルールを使用する

カスタムビルドルールを使用して、moc コマンドの出力を指定したディレクトリに配置することができます。以下の例をご覧ください。

add_custom_command(
    TARGET my_target
    PRE_BUILD
    COMMAND ${CMAKE_AUTOMOC} -o ${CMAKE_CURRENT_BINARY_DIR}/moc/my_target.cpp.moc my_target.h
)

add_executable(my_target my_target.cpp)

target_link_libraries(my_target Qt5Core)

この例では、カスタムビルドルールを使用して moc コマンドを実行し、出力を moc サブディレクトリに配置します。

利点と欠点

各方法には、それぞれ利点と欠点があります。

  • 手動で moc コマンドを実行する

利点:

  • 最もシンプルで柔軟な方法

欠点:

  • 手動でコマンドを実行する必要がある

  • ビルドスクリプトが煩雑になる

  • ビルドスクリプトが簡潔になる
  • カスタムビルドルールを使用する

  • moc コマンドのパスを設定する必要がある

  • 出力を任意のディレクトリに配置できる
  • ビルドスクリプトが複雑になる