ヘッダーファイル管理のベストプラクティス：HEADER_SET_NAMEとCMake Modules
HEADER_SET_NAME の仕組み
HEADER_SET_NAME は、ターゲットの HEADER_SET プロパティに設定されます。HEADER_SET プロパティは、ターゲットに関連付けられたすべてのヘッダーファイルのリストをセミコロンで区切って保存します。HEADER_SET_NAME は、このリストの名前を定義します。
HEADER_SET_NAME は、通常、target_sources(FILE_SET) コマンドを使用して設定されます。このコマンドは、ターゲットに関連付けるヘッダーファイルのリストを指定します。HEADER_SET_NAME は、このリストの名前として自動的に設定されます。
HEADER_SET_NAME の利点
HEADER_SET_NAME を使用すると、ターゲットのヘッダーファイルをより効率的に管理できます。主な利点は次のとおりです。
- ヘッダーファイルの依存関係の管理
ターゲット間のヘッダーファイルの依存関係を管理しやすくなります。 - ヘッダーファイルの再利用
ターゲットのヘッダーファイルを他のターゲットで再利用できます。 - ヘッダーファイルの整理
ターゲットのヘッダーファイルを論理的なグループに整理できます。
次の例は、HEADER_SET_NAME を使用してターゲットのヘッダーファイルを管理する方法を示しています。
add_executable(my_program main.cpp)
target_sources(my_program_headers FILE_SET my_headers)
target_link_libraries(my_program my_headers)
この例では、my_program ターゲットに main.cpp ファイルと my_headers ディレクトリ内のすべてのヘッダーファイルが追加されます。my_headers ディレクトリ内のヘッダーファイルは my_program_headers という名前のヘッダーセットにグループ化されます。my_program ターゲットは my_headers ヘッダーセットにリンクされます。
add_executable(my_program main.cpp)
target_sources(my_program_headers1 FILE_SET my_headers/public/*.h)
target_sources(my_program_headers2 FILE_SET my_headers/private/*.h)
target_link_libraries(my_program my_program_headers1 my_program_headers2)
この例では、my_program ターゲットに main.cpp ファイルと my_headers ディレクトリ内のすべてのヘッダーファイルが追加されます。my_headers ディレクトリ内のヘッダーファイルは、my_program_headers1 と my_program_headers2 という名前の 2 つのヘッダーセットにグループ化されます。my_program_headers1 ヘッダーセットには my_headers/public ディレクトリ内のすべてのヘッダーファイルが含まれます。my_program_headers2 ヘッダーセットには my_headers/private ディレクトリ内のすべてのヘッダーファイルが含まれます。my_program ターゲットは、my_program_headers1 と my_program_headers2 ヘッダーセットにリンクされます。
次の例は、HEADER_SET_NAME を使用してターゲットのヘッダーファイルを他のターゲットで再利用する方法を示しています。
add_executable(my_program1 main1.cpp)
target_sources(my_program_headers FILE_SET my_headers)
target_link_libraries(my_program1 my_program_headers)
add_executable(my_program2 main2.cpp)
target_link_libraries(my_program2 my_program_headers)
この例では、my_program1 ターゲットと my_program2 ターゲットに main1.cpp ファイルと main2.cpp ファイルがそれぞれ追加されます。my_headers ディレクトリ内のすべてのヘッダーファイルは my_program_headers という名前のヘッダーセットにグループ化されます。my_program_headers ヘッダーセットは my_program1 ターゲットと my_program2 ターゲットの両方にリンクされます。これにより、my_headers ディレクトリ内のヘッダーファイルを両方のターゲットで再利用できます。
add_library(my_library my_library.cpp)
target_sources(my_library_headers FILE_SET my_headers/library/*.h)
target_include_directories(my_library my_headers)
add_executable(my_program main.cpp)
target_link_libraries(my_program my_library my_library_headers)
個々のヘッダーファイルをターゲットに追加する
最も単純な方法は、target_sources コマンドを使用して、ターゲットに追加するヘッダーファイルを個別に指定することです。これは、ヘッダーファイルの数が少ない場合や、ヘッダーファイルを論理的なグループに整理する必要がない場合に適しています。
add_executable(my_program main.cpp my_headers/public/header1.h my_headers/public/header2.h)
ディレクトリ全体をターゲットに追加する
target_sources コマンドを使用して、ディレクトリ全体をターゲットに追加することもできます。これは、ヘッダーファイルの数が多く、論理的なグループに整理する必要がない場合に適しています。
add_executable(my_program main.cpp my_headers)
カスタムターゲットを使用する
カスタムターゲットを使用して、ヘッダーファイルのリストを作成し、そのリストをターゲットに追加することもできます。これは、より複雑なヘッダーファイル管理が必要な場合に適しています。
add_custom_target(my_headers SOURCES my_headers/*.h)
add_executable(my_program main.cpp $<TARGET_SOURCES:my_headers>)
CMake Modules を使用する
ヘッダーファイル管理を自動化する CMake モジュールを使用することもできます。これは、ヘッダーファイルの依存関係が複雑な場合や、ヘッダーファイル管理を標準化したい場合に適しています。
HEADER_SET_NAME の代替方法を選択する際には、プロジェクトのニーズと要件を考慮することが重要です。HEADER_SET_NAME は、シンプルで使いやすい方法ですが、より複雑なヘッダーファイル管理が必要な場合は、他の方法がより適している場合があります。
- 最適な方法は、プロジェクトの特定の状況によって異なります。
- 複数の方法を組み合わせることもできます。
- 上記の代替方法はすべて、HEADER_SET_NAME と互換性があります。