COMMON_LANGUAGE_RUNTIME:CMakeの隠れた宝刀でランタイムライブラリ設定をマスター
CMake の "Properties: Targets" における "COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティは、プロジェクト全体で使用するランタイムライブラリを指定するために使用されます。これは、プロジェクトのすべてのターゲットが同じランタイムライブラリを使用することを保証するのに役立ちます。
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" の種類
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティには、以下の値を設定できます。
- OTHER
他のランタイムライブラリを使用します。 - CLANG
Clang Compiler ランタイムライブラリを使用します。 - GCC
GNU Compiler Collection ランタイムライブラリを使用します。 - DLL
Windows Dynamic Link Library を使用します。 - Unspecified
ランタイムライブラリは指定されません。
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" の設定方法
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティを設定するには、CMakeLists.txt ファイルで以下のコードを使用します。
set(CMAKE_EXE_LINKER_FLAGS "${CMAKE_EXE_LINKER_FLAGS} ${COMMON_LANGUAGE_RUNTIME_FLAGS}")
set(CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS "${CMAKE_SHARED_LINKER_FLAGS} ${COMMON_LANGUAGE_RUNTIME_FLAGS}")
set(CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS "${CMAKE_MODULE_LINKER_FLAGS} ${COMMON_LANGUAGE_RUNTIME_FLAGS}")
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" の利点
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティを設定することで、以下の利点が得られます。
- ビルドプロセスを簡略化できます。
- ターゲットごとにランタイムライブラリを手動で設定する必要がなくなります。
- プロジェクト全体のランタイムライブラリの整合性を保証します。
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" の例
以下の例では、プロジェクト全体で GCC ランタイムライブラリを使用するように設定しています。
set(CMAKE_COMMON_LANGUAGE_RUNTIME GCC)
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティは、CMake でプロジェクト全体のランタイムライブラリを簡単に設定するために使用できる便利な機能です。
- "COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティは、CMake 2.8 以降で使用できます。
- この説明が分かりやすく、プログラミングについて理解を深めるのに役立つことを願っています。
cmake_minimum_required(VERSION 2.8)
project(MyProject)
set(CMAKE_COMMON_LANGUAGE_RUNTIME GCC)
add_executable(MyProgram main.cpp)
このコードは、以下のことを行います。
- "main.cpp" ファイルから "MyProgram" という名前の実行可能ファイルを作成します。
- プロジェクト全体で GCC ランタイムライブラリを使用するように設定します。
- プロジェクトの名前を "MyProject" に設定します。
- CMake の最低バージョンを 2.8 に設定します。
例 2: Windows Dynamic Link Library (DLL) を使用する
cmake_minimum_required(VERSION 2.8)
project(MyProject)
set(CMAKE_COMMON_LANGUAGE_RUNTIME DLL)
add_executable(MyProgram main.cpp)
- "main.cpp" ファイルから "MyProgram" という名前の実行可能ファイルを作成します。
- プロジェクト全体で Windows Dynamic Link Library (DLL) を使用するように設定します。
- プロジェクトの名前を "MyProject" に設定します。
- CMake の最低バージョンを 2.8 に設定します。
cmake_minimum_required(VERSION 2.8)
project(MyProject)
set(CMAKE_COMMON_LANGUAGE_RUNTIME GCC)
add_executable(MyProgram1 main1.cpp)
set_target_properties(MyProgram1 PROPERTIES LINKER_LANGUAGE CXX)
add_executable(MyProgram2 main2.cpp)
set_target_properties(MyProgram2 PROPERTIES LINKER_LANGUAGE C)
target_link_libraries(MyProgram2 ${CMAKE_DL_LIBS})
- "MyProgram2" に Windows Dynamic Link Library (DLL) をリンクします。
- "main2.cpp" ファイルから C で書かれた "MyProgram2" という名前の実行可能ファイルを作成します。
- "main1.cpp" ファイルから C++ で書かれた "MyProgram1" という名前の実行可能ファイルを作成します。
- プロジェクト全体で GCC ランタイムライブラリを使用するように設定します。
- プロジェクトの名前を "MyProject" に設定します。
- CMake の最低バージョンを 2.8 に設定します。
- 実際のプロジェクトでは、必要に応じてコードを変更する必要があります。
- これらの例は、"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティの使い方を説明するためのものです。
ターゲットごとにランタイムライブラリを設定する
各ターゲットに対して個別に target_link_libraries
プロパティを使用してランタイムライブラリを設定することができます。 この方法は、プロジェクト全体で異なるランタイムライブラリを使用する必要がある場合に役立ちます。
長所
- 個々のターゲットのニーズに合わせたランタイムライブラリを選択することができます。
- プロジェクト全体で異なるランタイムライブラリを使用することができます。
短所
- プロジェクト全体でランタイムライブラリの一貫性を保つのが難しくなる可能性があります。
- ターゲットごとにランタイムライブラリを設定する必要があるため、設定が煩雑になる可能性があります。
例
cmake_minimum_required(VERSION 2.8)
project(MyProject)
set(CMAKE_EXE_LINKER_FLAGS "${CMAKE_EXE_LINKER_FLAGS} -Wl,--dynamic-linker=${MY_CUSTOM_RUNTIME}")
add_executable(MyProgram1 main1.cpp)
target_link_libraries(MyProgram1 ${CMAKE_THREAD_LIBS_INIT})
add_executable(MyProgram2 main2.cpp)
target_link_libraries(MyProgram2 MyCustomLib)
カスタム CMake モジュールを使用する
プロジェクト全体のランタイムライブラリ設定を管理するカスタム CMake モジュールを作成することができます。 この方法は、複雑なプロジェクトや、ランタイムライブラリの選択に複雑なロジックが必要な場合に役立ちます。
長所
- コードの重複を減らすことができます。
- 複雑なランタイムライブラリの選択ロジックをカプセル化することができます。
- プロジェクト全体のランタイムライブラリ設定をより詳細に制御することができます。
短所
- プロジェクトの習熟度が高くなります。
- カスタム CMake モジュールの作成と保守に時間がかかります。
例
# MyCustomRuntime.cmake
set(MY_CUSTOM_RUNTIME "/path/to/my/custom/runtime")
function(my_set_runtime_flags TARGET_NAME)
target_link_libraries(${TARGET_NAME} "-Wl,--dynamic-linker=${MY_CUSTOM_RUNTIME}")
endfunction()
# CMakeLists.txt
cmake_minimum_required(VERSION 2.8)
project(MyProject)
include(MyCustomRuntime)
add_executable(MyProgram main.cpp)
my_set_runtime_flags(MyProgram)
別のビルドシステムを使用する
CMake 以外にも、プロジェクトをビルドするためのツールはたくさんあります。の中には、"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" のようなプロパティを備えていないものもあります。
長所
- "COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" のような特定のプロパティに縛られないで済みます。
- プロジェクトの特定のニーズに合ったビルドシステムを選択することができます。
短所
- CMake ほど広くサポートされていないビルドシステムもあります。
- 新しいビルドシステムを習得する必要があります。
例
"COMMON_LANGUAGE_RUNTIME" プロパティは、多くの場合、CMake でプロジェクト全体のランタイムライブラリを設定するための優れた方法です。 ただし、状況によっては、上記の代替方法の方が適している場合があります。