CMakeでFindOpenSSLモジュールを使ってOpenSSLライブラリを楽々統合


CMakeのFindOpenSSLモジュールは、プロジェクトでOpenSSLライブラリを使用する場合に、そのライブラリを自動的に検出して設定する機能を提供します。このモジュールは、OpenSSLのヘッダーファイルとライブラリファイルの場所を特定し、必要な変数を設定することで、OpenSSLとの統合を簡素化します。

仕組み

FindOpenSSLモジュールは、以下の手順でOpenSSLライブラリを検索します。

  1. システムディレクトリ:モジュールはまず、/usr/local/usr などの標準的なシステムディレクトリでOpenSSLを検索します。
  2. 環境変数:次に、OPENSSL_INCLUDE_DIROPENSSL_LIB_DIR などの環境変数をチェックして、OpenSSLの場所を特定します。
  3. レジストリ:Windowsシステムでは、レジストリを使用してOpenSSLのインストール場所を検索します。
  4. 手動指定:上記の方法でOpenSSLが見つからない場合は、CMAKE_INCLUDE_PATHCMAKE_LIBRARY_PATH などの変数を設定することで、OpenSSLの場所を手動で指定できます。

モジュールによって設定される変数

FindOpenSSLモジュールは、以下の変数を設定します。

  • OPENSSL_SSL_LIBRARY: OpenSSLのSSLライブラリのターゲット。
  • OPENSSL_CRYPTO_LIBRARY: OpenSSLの暗号化ライブラリのターゲット。
  • OPENSSL_VERSION: OpenSSLのバージョン。
  • OPENSSL_LIB_DIR: OpenSSLのライブラリファイルの場所。
  • OPENSSL_INCLUDE_DIR: OpenSSLのヘッダーファイルの場所。
  • OPENSSL_FOUND: OpenSSLライブラリが見つかったかどうかを示すブール値。

使用方法

FindOpenSSLモジュールを使用するには、以下のCMakeコマンドを使用します。

find_package(OpenSSL REQUIRED)

このコマンドは、OpenSSLライブラリを検索し、見つかった場合は必要な変数を設定します。REQUIRED オプションは、OpenSSLライブラリが見つからない場合にCMakeがエラーを生成することを意味します。

OpenSSLライブラリをオプションで使用する場合は、OPTIONAL オプションを使用できます。

find_package(OpenSSL)

このコマンドは、OpenSSLライブラリを検索しますが、見つからなくてもエラーは生成されません。

FindOpenSSLモジュールの利点

FindOpenSSLモジュールを使用する利点は次のとおりです。

  • 保守性: OpenSSLライブラリの場所が変更された場合、CMakeLists.txtファイルを編集する必要はありません。
  • 移植性: さまざまなプラットフォームで動作します。
  • 簡素性: 手動でOpenSSLライブラリの場所を設定する必要がなくなります。

FindOpenSSLモジュールの制限事項

FindOpenSSLモジュールには、いくつかの制限事項があります。

  • 柔軟性: 特定の要件に合わせてモジュールをカスタマイズすることは困難な場合があります。
  • 精度: 常に正確にOpenSSLライブラリを見つけることができるとは限りません。

FindOpenSSLモジュールに関する詳細については、以下のリソースを参照してください。

  • CMakeLists.txt ファイルで find_package コマンドを使用する前に、OpenSSL がインストールされていることを確認してください。
  • FindOpenSSL モジュールは、OpenSSL 1.0 以降をサポートしています。
  • CMakeのバージョン 3.0 以降で FindOpenSSL モジュールが利用可能です。


cmake_minimum_required(VERSION 3.0)

project(MyProject)

find_package(OpenSSL REQUIRED)

add_executable(MyProgram myprogram.cpp)
target_link_libraries(MyProgram OpenSSL::Crypto OpenSSL::SSL)

このコードは、以下のことを行います。

  1. CMakeのバージョン 3.0 以降を必要とします。
  2. MyProject という名前のプロジェクトを作成します。
  3. FindOpenSSLモジュールを使用して、OpenSSLライブラリを検索します。
  4. myprogram.cpp という名前のソースファイルから MyProgram という名前の実行可能ファイルを作成します。
  5. MyProgram 実行可能ファイルに OpenSSL::Crypto と OpenSSL::SSL ライブラリをリンクします。

このコードは、OpenSSLライブラリを使用して暗号化操作を実行するプロジェクトの出発点として使用できます。

  • target_link_libraries コマンドは、実行可能ファイルにリンクするライブラリを指定します。
  • add_executable コマンドは、ソースファイルから実行可能ファイルを作成します。
  • find_package コマンドは、FindOpenSSLモジュールを使用してOpenSSLライブラリを検索します。
  • project コマンドは、プロジェクトの名前を指定します。
  • cmake_minimum_required コマンドは、CMakeが実行するために必要な最小バージョンを指定します。
  • OpenSSLライブラリには、さまざまな機能が含まれています。詳細については、OpenSSLドキュメントを参照してください。
  • このコードは、OpenSSLライブラリを使用して暗号化操作を実行するプロジェクトの単純な例です。実際のプロジェクトでは、より複雑なコードが必要になる可能性があります。


手動設定

最も基本的な方法は、OpenSSLのヘッダーファイルとライブラリファイルの場所を手動で設定することです。これは、以下のCMake変数を使用して行うことができます。

  • CMAKE_LIBRARY_PATH: OpenSSLのライブラリファイルの場所
  • CMAKE_INCLUDE_PATH: OpenSSLのヘッダーファイルの場所

この方法は、FindOpenSSLモジュールよりも柔軟性がありますが、より煩雑でエラーが発生しやすい可能性があります。

cmake_minimum_required(VERSION 3.0)

project(MyProject)

set(CMAKE_INCLUDE_PATH "/usr/local/include/openssl")
set(CMAKE_LIBRARY_PATH "/usr/local/lib")

add_executable(MyProgram myprogram.cpp)
target_link_libraries(MyProgram -lcrypto -lssl)

上記の例では、OpenSSLのヘッダーファイルは /usr/local/include/openssl に、ライブラリファイルは /usr/local/lib にあると仮定しています。

サードパーティ製モジュール

FindOpenSSLモジュールの機能を拡張または置き換えるために、サードパーティ製モジュールを使用することができます。そのようなモジュールの例として、以下が挙げられます。

これらのモジュールは、FindOpenSSLモジュールよりも多くの機能を提供したり、特定のニーズに特化していたりする可能性があります。

カスタムスクリプト

高度な制御が必要な場合は、OpenSSLライブラリを検出して設定するカスタムスクリプトを作成することができます。この方法は、最も柔軟性がありますが、最も時間と労力がかかります。

cmake_minimum_required(VERSION 3.0)

project(MyProject)

# OpenSSLライブラリを検出するカスタムスクリプト
find_openssl.cmake

# カスタムスクリプトで設定された変数を使用する
add_executable(MyProgram myprogram.cpp)
target_link_libraries(MyProgram ${OPENSSL_CRYPTO_LIBRARY} ${OPENSSL_SSL_LIBRARY})

上記の例では、find_openssl.cmake という名前のカスタムスクリプトが、OpenSSLライブラリを検出して必要な変数を設定します。

pkg-config

pkg-configは、Unix系システムでソフトウェアパッケージの構成情報を管理するためのツールです。OpenSSLは、pkg-configファイルを提供しており、FindOpenSSLモジュールの代替として使用することができます。

cmake_minimum_required(VERSION 3.0)

project(MyProject)

find_package(PkgConfig REQUIRED)
pkg_check_modules(OPENSSL REQUIRED libcrypto libssl)

add_executable(MyProgram myprogram.cpp)
target_link_libraries(MyProgram ${OPENSSL_LIBRARIES})

上記の例では、pkg-configを使用してOpenSSLライブラリを検出し、必要なライブラリをリンクします。

最適な代替方法の選択

FindOpenSSLモジュールの代替方法を選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

  • メンテナンス性: 将来的に変更が発生した場合に、モジュールを更新および保守する容易さ。
  • スキルと経験: 手動設定、サードパーティ製モジュール、カスタムスクリプト、pkg-configのいずれを使用するかのスキルと経験。
  • プロジェクトの要件: プロジェクトがOpenSSLライブラリのどの機能を必要としているか。