CMake で HLA RTI 開発を成功させるためのヒント: FindRTI モジュールの活用法
FindRTI は、CMake のモジュールであり、HLA RTI (High Level Architecture Run-Time Infrastructure) のヘッダーファイルとライブラリを検出して設定します。HLA RTI は、分散シミュレーション環境において、シミュレーションアプリケーション間の通信と同期を可能にする標準化されたミドルウェアです。
FindRTI の機能
FindRTI は以下の機能を提供します。
- RTI 実装に依存しないシミュレーションアプリケーションの開発を支援
- 標準的な RTI ヘッダーファイルとライブラリの場所の設定
- インストールされている HLA RTI の検出
FindRTI の使用方法
FindRTI を使用する場合は、CMake のプロジェクトファイル内で以下のコマンドを使用します。
find_package(RTI REQUIRED)
このコマンドは、FindRTI モジュールを呼び出し、以下の変数を設定します。
RTI_LIBRARIES
: RTI 実装のライブラリRTI_INCLUDE_DIR
: 標準的な RTI ヘッダーファイルの場所RTI_FOUND
: インストールされている HLA RTI が見つかったかどうかを示すブール値
例
以下の例は、FindRTI を使用して、RTI 実装に依存しないシミュレーションアプリケーションをビルドする方法を示します。
cmake_minimum_required(VERSION 3.20)
find_package(RTI REQUIRED)
if(RTI_FOUND)
add_executable(example example.cpp)
target_link_libraries(example ${RTI_LIBRARIES})
else()
message(FATAL_ERROR "RTI not found")
endif()
この例では、find_package(RTI REQUIRED)
コマンドを使用して FindRTI モジュールを呼び出し、RTI がインストールされているかどうかを確認します。RTI がインストールされている場合、example.cpp
ファイルを使用して実行可能ファイル example
がビルドされます。target_link_libraries
コマンドを使用して、RTI 実装のライブラリが example
にリンクされます。RTI がインストールされていない場合、エラーメッセージが出力されます。
- FindRTI モジュールは、標準的な RTI ヘッダーファイルとライブラリのみを検索します。特定の RTI 実装のヘッダーファイルとライブラリが必要な場合は、手動で設定する必要があります。
- FindRTI モジュールは、CMake 3.20 以降で使用できます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.20)
find_package(RTI REQUIRED)
if(RTI_FOUND)
message(STATUS "RTI version: ${RTI_VERSION}")
add_executable(example example.cpp)
target_link_libraries(example ${RTI_LIBRARIES})
else()
message(FATAL_ERROR "RTI not found")
endif()
説明
cmake_minimum_required(VERSION 3.20)
: CMake の最低バージョンを 3.20 に設定します。find_package(RTI REQUIRED)
: FindRTI モジュールを呼び出し、RTI がインストールされているかどうかを確認します。if(RTI_FOUND)
: RTI がインストールされている場合、以下の処理を実行します。message(STATUS "RTI version: ${RTI_VERSION}")
: インストールされている RTI のバージョンを出力します。add_executable(example example.cpp)
:example.cpp
ファイルを使用して実行可能ファイルexample
をビルドします。target_link_libraries(example ${RTI_LIBRARIES})
: RTI 実装のライブラリをexample
にリンクします。
else()
: RTI がインストールされていない場合、エラーメッセージを出力します。
例
このコードを CMakeLists.txt
ファイルに保存し、以下のコマンドを実行してビルドできます。
cmake .
make
ビルドが成功すると、example
という実行可能ファイルが作成されます。この実行可能ファイルをを実行するには、以下のコマンドを実行します。
./example
- FindRTI モジュールは、標準的な RTI ヘッダーファイルとライブラリのみを検索します。特定の RTI 実装のヘッダーファイルとライブラリが必要な場合は、手動で設定する必要があります。
- このコードは、RTI 実装に依存しないシミュレーションアプリケーションの例です。実際のアプリケーションでは、RTI を使用してシミュレーションアプリケーション間の通信と同期を行う必要があります。
FindRTI の代替方法として、以下の方法が考えられます。
手動設定
FindRTI を使用せずに、以下の手順で手動で RTI ヘッダーファイルとライブラリを設定できます。
- RTI 実装のドキュメントを参照して、ヘッダーファイルとライブラリの場所を確認します。
- CMake のプロジェクトファイル内で、以下のコマンドを使用してヘッダーファイルとライブラリの場所を設定します。
set(RTI_INCLUDE_DIR "/path/to/rti/headers")
set(RTI_LIBRARIES "/path/to/rti/libs/librti.a")
- シミュレーションアプリケーションのソースコードで、RTI ヘッダーファイルをインクルードし、RTI ライブラリをリンクします。
#include <rti/rti.h>
int main() {
// RTI を使用するコード
return 0;
}
CMake モジュール
FindRTI の機能を拡張または置き換えるために、独自の CMake モジュールを作成することもできます。この方法により、FindRTI の制限を克服し、特定のニーズに合ったモジュールを作成することができます。
サードパーティのツール
CMake 以外のツールを使用して、RTI ヘッダーファイルとライブラリを検出および設定することもできます。
FindRTI の制限
FindRTI には、以下の制限があります。
- すべての RTI 実装をサポートしているわけではありません。
- クロスプラットフォーム対応していない場合があります。
- 標準的な RTI ヘッダーファイルとライブラリのみを検索します。特定の RTI 実装のヘッダーファイルとライブラリが必要な場合は、手動で設定する必要があります。
FindRTI の代替方法を選択する
FindRTI の代替方法を選択する際には、以下の点を考慮する必要があります。
- 使用する RTI 実装
- 開発者のスキルと経験
- プロジェクトの要件