【初心者向け】Qt GUIでVulkanキャプチャ:QVulkanWindow::grab()の使い方から応用例まで


QVulkanWindow::grab()は、Qt GUIライブラリでVulkan APIを利用するQVulkanWindowクラスに用意されている関数です。この関数は、Vulkanレンダリングされたウィンドウコンテンツを画像データとして取得するために使用されます。取得された画像は、QImage形式で返されます。

機能

grab()関数は、以下の機能を提供します。

  • 同期処理
    grab()関数は同期処理であり、関数が完了するまでプログラムはブロックされます。これは、画像データが確実に取得されることを保証しますが、パフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。
  • ウィンドウコンテンツのキャプチャ
    Vulkanレンダリングされたウィンドウの内容をピクセルレベルで取得できます。

使用方法

QVulkanWindow::grab()関数は、以下の手順で使用できます。

  1. QVulkanWindowオブジェクトを作成し、ウィンドウを作成します。
  2. grab()関数を呼び出し、QImageオブジェクトを取得します。

// QVulkanWindowオブジェクトを作成し、ウィンドウを作成
QVulkanWindow window;
window.create();

// ウィンドウコンテンツをキャプチャしてQImageオブジェクトを取得
QImage image = window.grab();

// 取得されたQImageオブジェクトを保存
image.save("window_capture.png");

注意事項

  • grab()関数は、すべてのVulkan対応プラットフォームで利用できるわけではありません。利用可能かどうかは、QVulkanWindow::supportsGrab()関数を使用して確認する必要があります。
  • grab()関数は同期処理であるため、頻繁に呼び出すとパフォーマンスが低下する可能性があります。パフォーマンスが重要な場合は、非同期フレームグラブ機能を使用することを検討してください。
  • grab()関数は、Vulkanレンダリングが完了した後にのみ呼び出す必要があります。そうでない場合は、正しくない画像データを取得する可能性があります。

上記の説明に加えて、以下の点にも注意する必要があります。

  • Qt GUIには、Vulkan API以外にもOpenGLやDirect3Dなどのグラフィックスライブラリを利用するクラスが用意されています。これらのクラスは、それぞれ異なる機能と利点を持っているので、用途に応じて適切なクラスを選択する必要があります。
  • QVulkanWindow::grab()関数は、Vulkan APIの知識をある程度必要とする中級から上級レベルのプログラミング技術を必要とします。


#include <QVulkanWindow>
#include <QImage>
#include <QFile>

int main() {
    // QVulkanWindowオブジェクトを作成し、ウィンドウを作成
    QVulkanWindow window;
    window.create();

    // ウィンドウが表示されるのを待つ
    window.show();
    QEventLoop loop;
    loop.exec();

    // ウィンドウコンテンツをキャプチャしてQImageオブジェクトを取得
    QImage image = window.grab();

    // 取得されたQImageオブジェクトをPNG形式で保存
    QFile file("window_capture.png");
    if (file.open(QIODevice::WriteOnly)) {
        image.save(&file, "PNG");
        file.close();
        qDebug() << "Window capture saved to window_capture.png";
    } else {
        qDebug() << "Failed to save window capture";
    }

    return 0;
}
  1. QVulkanWindowオブジェクトを作成し、ウィンドウを作成します (window.create())。
  2. ウィンドウが表示されるのを待ちます (window.show(); QEventLoop loop; loop.exec();)。
  3. grab()関数を使用してウィンドウコンテンツをキャプチャし、QImageオブジェクトを取得します (QImage image = window.grab();)。
  4. QFileオブジェクトを使用してPNG形式のファイルを開き (QFile file("window_capture.png"); file.open(QIODevice::WriteOnly);)、save()関数を使用して取得されたQImageオブジェクトをファイルに保存します (image.save(&file, "PNG");)。
  5. ファイルを閉じ (file.close();)、保存が成功したことをログに記録します (qDebug() << "Window capture saved to window_capture.png";)。
  6. エラーが発生した場合は、ログに記録します (qDebug() << "Failed to save window capture";)。


  • すべてのプラットフォームで利用可能ではない
    grab()関数は、すべてのVulkan対応プラットフォームで利用できるわけではありません。
  • Vulkan APIへの依存
    grab()関数はVulkan APIを使用しており、Vulkan APIに関する知識が必要となります。
  • 同期処理
    grab()関数は同期処理であり、関数が完了するまでプログラムはブロックされます。これは、パフォーマンスへの影響が懸念される場合や、リアルタイム処理が必要な場合に問題となる可能性があります。

これらの制限を克服するために、QVulkanWindow::grab()の代替方法をいくつか検討することができます。

QPainter を使用したキャプチャ

QPainterクラスは、Qt GUIライブラリで提供される汎用的な描画クラスです。QPainterを使用して、Vulkanレンダリングされたウィンドウコンテンツをオフスクリーンレンダリングし、QImageオブジェクトとして取得することができます。

QImage image(window.width(), window.height(), QImage::Format_ARGB32);
QPainter painter(&image);

// Vulkanレンダリング処理を行う

painter.end();

// 取得されたQImageオブジェクトを処理する

この方法は、Vulkan APIへの依存を排除し、非同期処理が可能という利点があります。ただし、QPainterを使用したキャプチャは、Vulkanレンダリングよりもパフォーマンスが低下する可能性があります。

第三者ライブラリの使用

Qt GUI以外にも、Vulkanレンダリングされたウィンドウコンテンツをキャプチャするためのライブラリがいくつか存在します。これらのライブラリは、QVulkanWindow::grab()よりも高速、効率的、または機能が豊富な場合があります。

  • Khronos Vulkan SDK: Vulkan API公式のSDKには、キャプチャ機能を含むいくつかのユーティリティツールが含まれています。
  • Vulkan Capture: Vulkan APIを使用してウィンドウコンテンツをキャプチャするためのオープンソースライブラリです。
  • QtConcurrent: Qt公式のマルチスレッドライブラリであり、非同期キャプチャ機能を提供します。

これらのライブラリを使用する場合は、ライブラリのドキュメントを参照し、使用方法を理解する必要があります。

スクリーンショットツール

単純なキャプチャであれば、OS標準のスクリーンショットツールを使用することもできます。ただし、スクリーンショットツールは、Vulkanレンダリング固有の機能を提供していない場合があります。

最適な方法の選択

QVulkanWindow::grab()の代替方法は、状況によって異なります。パフォーマンスが重要であれば、QPainterを使用したキャプチャや第三者ライブラリの使用を検討する必要があります。Vulkan APIへの依存を排除したい場合は、QPainterを使用したキャプチャが最適です。単純なキャプチャであれば、スクリーンショットツールを使用することができます。

上記以外にも、QVulkanWindow::renderIntoTexture()関数を使用してテクスチャにレンダリングし、そのテクスチャから画像データを取得する方法もあります。