QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数の詳細解説と代替方法

QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数は、Qt GUI におけるテキストオブジェクトの自然なサイズ を計算します。自然なサイズは、テキストオブジェクトの内容を適切に表示するために必要な最小限の幅と高さを指します。この関数は、テキストフォーマット、ドキュメント、およびテキストオブジェクトの位置情報に基づいて計算されます。

構文

QSize QTextObjectInterface::intrinsicSize(const QTextDocument *doc, int posInDocument) const

パラメータ

posInDocument: テキストオブジェクトの位置
doc: テキストオブジェクトを含むドキュメントへのポインタ

戻り値

テキストオブジェクトの自然なサイズを表す QSize 構造体

詳細

QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数は、テキストオブジェクトの内容をレンダリングするために必要な最小限の領域を計算します。この計算には、フォントサイズ、行間、段落設定などのテキストフォーマット情報が含まれます。また、ドキュメント内のテキストオブジェクトの位置も考慮されます。

この関数は、以下の状況で使用できます。

テキストオブジェクトの印刷領域を計算する
テキストオブジェクトをレイアウトする
テキストウィジェットのサイズを調整する

例

QTextDocument doc;
QTextObject *textObject = doc.findObject(posInDocument);
QSize size = textObject->intrinsicSize(&doc, posInDocument);

この例では、doc ドキュメント内の posInDocument 位置にあるテキストオブジェクトの自然なサイズを計算しています。結果は size 構造体に格納されます。

QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数は、テキストオブジェクトの内容に基づいて自然なサイズを計算しますが、実際の表示領域はウィジェットのサイズやレイアウトによって制限される場合があります。

この説明は、プログラミングの専門知識を持つユーザーを対象としています。
この説明は、Qt 6.7.2 を基にしています。他のバージョンでは、関数の動作やパラメータが異なる場合があります。

#include <QApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextEdit>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument doc;
  doc.setPlainText("This is an example text.");

  // テキストエディタを作成
  QTextEdit editor;
  editor.setDocument(&doc);

  // テキストオブジェクトの自然なサイズを取得
  QSize size = doc.rootFrame()->frameAt(0)->intrinsicSize(&doc);

  // テキストエディタのサイズを設定
  editor.resize(size);

  // テキストエディタを表示
  editor.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、テキストウィジェットのサイズがテキストの内容に合わせて自動的に調整されます。

例2：テキストオブジェクトをレイアウトする

この例では、QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数を使用して、テキストオブジェクトを水平方向に並べるレイアウトを作成します。

#include <QApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QHBoxLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument doc;
  doc.setPlainText("This is an example text.");

  // テキストフレームを作成
  QTextFrame *frame1 = doc.rootFrame()->createFrame();
  frame1->setMargin(10);
  frame1->setFrameFormat(QTextFrameFormat::SubframeFormat);
  frame1->setFrameText(doc.firstCursor().selection());

  QTextFrame *frame2 = doc.rootFrame()->createFrame();
  frame2->setMargin(10);
  frame2->setFrameFormat(QTextFrameFormat::SubframeFormat);
  frame2->setFrameText("Another example text.");

  // 水平方向のレイアウトを作成
  QHBoxLayout layout;
  layout.addWidget(frame1);
  layout.addWidget(frame2);

  // レイアウトをウィジェットに設定
  QWidget widget;
  widget.setLayout(&layout);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、2 つのテキストオブジェクトが水平方向に並んだレイアウトが表示されます。

例3：テキストオブジェクトの印刷領域を計算する

この例では、QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数を使用して、テキストオブジェクトの印刷領域を計算します。

#include <QApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument doc;
  doc.setPlainText("This is an example text.");

  // テキストオブジェクトの自然なサイズを取得
  QSize size = doc.rootFrame()->frameAt(0)->intrinsicSize(&doc);

  // ペインターを作成
  QPainter painter;
  painter.begin(QPrinter());

  // テキストオブジェクトを印刷
  doc.rootFrame()->draw(&painter, QRect(0, 0, size.width(), size.height()));

  // ペインターを終了
  painter.end();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、テキストオブジェクトがプリンターに印刷されます。

QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数は、テキストオブジェクトの自然なサイズを計算するために使用されます。しかし、この関数はいくつかの制限があります。

複雑なテキストレイアウトの場合、計算に時間がかかる場合があります。
計算されるサイズは、テキストフォーマットやドキュメントの位置情報に基づいており、実際の表示領域とは異なる場合があります。

これらの制限を回避するために、QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数の代替方法をいくつか検討することができます。

代替方法1：QTextLayout::boundingRect() 関数を使用する

QTextLayout::boundingRect() 関数は、テキストレイアウトの境界矩形を計算します。境界矩形は、テキストレイアウトの内容を完全に囲む最小限の矩形です。この関数は、QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数よりも高速で、実際の表示領域に近いサイズを計算することができます。

QSize size = layout->boundingRect().size();

代替方法2：QPainter::drawText() 関数を使用する

QPainter::drawText() 関数は、テキストを描画するために使用されます。この関数を使用して、テキストオブジェクトの内容を描画し、その描画領域のサイズを計算することができます。

QPainter painter;
painter.begin(QPixmap(size));
painter.drawText(QPoint(0, 0), text);
painter.end();

QSize size = painter.device()->size();

代替方法3：フォントメトリクスを使用する

フォントメトリクスは、フォントに関する情報を提供します。フォントメトリクスを使用して、テキストオブジェクトの内容をレンダリングするために必要な最小限の幅と高さを計算することができます。

QFontMetrics fm(font);
int width = fm.width(text);
int height = fm.height(text);

QSize size(width, height);

最適な方法を選択する

使用する代替方法は、テキストオブジェクトの種類、複雑性、およびパフォーマンス要件によって異なります。

パフォーマンスが重要な場合は、フォントメトリクスを使用する方が高速な場合があります。
複雑なテキストレイアウトの場合は、QPainter::drawText() 関数を使用して、より正確なサイズを計算することができます。
単純なテキストオブジェクトの場合は、QTextLayout::boundingRect() 関数が最適な選択肢です。

テキストオブジェクトの内容が変更された場合は、サイズを再計算する必要があります。
上記の代替方法は、QTextObjectInterface::intrinsicSize() 関数と同じ結果を保証するものではありません。