【Qt入門】QTextStream::atEnd()を使ったテキストファイル読み込み実践ガイド

2025-05-27

atEnd()関数は、ストリームからこれ以上読み取るデータがない場合にtrueを返します。そうでない場合はfalseを返します。
QTextStreamは、ファイルやデバイス（QIODevice）からのテキストの読み書きを容易にするクラスです。

一般的な使用例

テキストファイルを行ごとに読み込む際などに、ファイルの終端に到達したかどうかを確認するためにwhileループの条件としてよく使用されます。

#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main() {
    QFile file("mytextfile.txt"); // 読み込むファイル名を指定

    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "ファイルを開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream in(&file); // QFileをQTextStreamに関連付け

    while (!in.atEnd()) { // ストリームの終端に達するまでループ
        QString line = in.readLine(); // 1行読み込む
        qDebug() << line; // 読み込んだ行を表示
    }

    file.close(); // ファイルを閉じる
    return 0;
}

この例では、mytextfile.txtというファイルを開き、QTextStreamを使ってその内容を1行ずつ読み込み、コンソールに出力しています。while (!in.atEnd())が、ファイルが終端に達するまで読み込みを続ける条件となっています。

QTextStreamで読み込み操作を行った後、ストリームのポインタが進みます。一度終端に到達すると、再度読み込むためにはseek(0)などでストリームの開始位置に戻す必要があります。
ストリームの最初の読み取り操作の前にatEnd()を呼び出すと、期待する結果が得られない場合があります。ストリームがエンコーディングを自動検出できるように、最初の読み取り操作の後にatEnd()をチェックすることが推奨されることがあります。
一部の特殊なファイルシステム（例: Linuxの/proc配下のファイルなど）では、ファイルサイズがゼロであっても読み込み時にデータが生成されるため、atEnd()が常にtrueを返すことがあります。このような場合は、readLine()が空の文字列を返すかどうかで判断するなど、異なるアプローチが必要になることがあります。
QTextStream::atEnd()は、基になるQIODevice（この場合QFile）のatEnd()を呼び出します。

atEnd() が常に true を返す、または予期せず true になる

原因

ソケットなどのシーケンシャルデバイス
QIODevice::atEnd() のドキュメントにも記載がありますが、ソケットのようなシーケンシャルなデバイスでは、データがまだ到着していない場合でも atEnd() が true を返すことがあります。これは、デバイスがこれ以上データがないと判断するのではなく、単に「現時点ではデータが利用可能ではない」ということを示しているためです。しかし、その後データが到着すると、readLine() などで読み込めるようになります。
空のファイル
ファイルが本当に空の場合、開いた直後に atEnd() は true を返します。これはエラーではありませんが、初めて使用する際に「なぜ何も読み込めないのか」と誤解することがあります。
QTextStream と QIODevice の同期のずれ
QTextStream を使っているにもかかわらず、その下のレイヤーの QIODevice (例: QFile) を直接操作して読み書きを行うと、両者の内部的な位置ポインタがずれてしまい、atEnd() が誤った値を返すことがあります。
ファイルやデバイスが開かれていない、または読み取り可能でない
QTextStream が有効な QIODevice に関連付けられていない場合、または開くことに失敗している場合、atEnd() はすぐに true を返します。

トラブルシューティング

ソケットの場合は readyRead() シグナルと canReadLine() を活用する
ネットワークプログラミングで QTextStream を使用する場合、atEnd() は信頼性が低くなることがあります。代わりに、QIODevice::readyRead() シグナルと QIODevice::canReadLine() 関数を使用して、実際に読み取り可能なデータがあるかどうかを判断する方が適切です。

// QTcpSocket *socket; // 接続済みのソケット
// QTextStream in(socket);

// readyRead() シグナルが発火したスロット内で
void MyClass::readFromSocket() {
    if (socket->bytesAvailable() > 0) { // データがあるかを確認 (より堅牢)
        while (in.canReadLine()) { // 読み込める行があるかを確認
            QString line = in.readLine();
            qDebug() << "受信した行:" << line;
        }
    }
}

QTextStream のみを介して読み書きする
QTextStream を使用している間は、関連付けられた QIODevice を直接操作しないでください。例えば、QFile::readAll() や QFile::readLine() を QTextStream と併用すると、内部バッファとポインタがずれ、atEnd() の信頼性が低下します。

QIODevice::open() の成功を確認する
ファイルを開く際は、必ず QFile::open() の戻り値をチェックし、成功していることを確認してください。

QFile file("myfile.txt");
if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
    qDebug() << "エラー: ファイルを開けませんでした。" << file.errorString();
    return; // エラー処理
}
QTextStream in(&file);
// ...

最後の行が読み込まれない

原因

atEnd() を while ループの条件として使用する場合、多くのテキストファイルは最終行に改行コードが含まれていないことがあります。readLine() は改行コードまでを読み込みますが、改行コードがない場合でもデータがあれば読み込みを試みます。しかし、ループ条件が !in.atEnd() のままだと、最終行を読み込んだ後、ストリームが終端に達し、ループが終了してしまうことがあります。

トラブルシューティング

より厳密な行処理
ファイルに最後の改行がない場合の厳密な処理が必要な場合は、atEnd() だけでなく、readLine() が返す文字列の長さや、その後にatEnd() がどうなるかを確認する必要があります。
readAll() を使う（すべて読み込む場合）
ファイル全体を一度に読み込む場合は、readAll() が最も簡単で確実です。
```
QString allContent = in.readAll();
qDebug() << allContent;
```

ループの最後に readLine() の戻り値をチェックする
readLine() が空の文字列を返した場合でも、それがファイルの終端によるものなのか、単に空行なのかを区別する必要があります。

while (!in.atEnd()) {
    QString line = in.readLine();
    // line が空文字列でも、atEnd() が false であればまだデータがある可能性（改行のみの行など）
    // 最後の行が改行なしの場合、このループで読み込まれる
    qDebug() << line;
}
// もし最後の行が改行なしで、かつその行だけを特別に処理したい場合は、
// ループ終了後に in.readAll() で残りを読み込むことも検討

マルチスレッド環境での問題

原因

QTextStream (およびその下の QIODevice) はスレッドセーフではありません。複数のスレッドから同じ QTextStream オブジェクトにアクセスすると、競合状態が発生し、データ破損や予期せぬ atEnd() の挙動を引き起こす可能性があります。

トラブルシューティング

ミューテックスなどによる排他制御
複数のスレッドで一つの QTextStream を共有する必要がある場合は、QMutex などのメカニズムを使用して、ストリームへのアクセスを排他的に保護する必要があります。ただし、これは複雑になるため、通常は各スレッドで個別のストリームを持つ方が推奨されます。
各スレッドで個別の QTextStream を使用する
各スレッドが独自の QFile と QTextStream インスタンスを持つようにします。

エンコーディングの問題

原因

QTextStream はデフォルトでUTF-8を使用します。しかし、読み込もうとしているファイルが異なるエンコーディング（Shift-JIS、EUC-JP、UTF-16など）で保存されている場合、正しくデコードできず、atEnd() が期待通りに動作しない（例: ファイルの途中で読み込みが止まる）ことがあります。

BOM (Byte Order Mark) の自動検出
QTextStream はデフォルトでUTF-8, UTF-16, UTF-32のBOMを自動検出します。もしファイルにBOMがあるにもかかわらず、それがうまく機能しない場合は、明示的にエンコーディングを設定することを検討してください。

正しいエンコーディングを設定する
QTextStream::setCodec() を使用して、ファイルのエンコーディングを明示的に指定します。

QFile file("mytextfile_sjis.txt");
if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
    // エラー処理
}
QTextStream in(&file);
in.setCodec("Shift-JIS"); // または適切なコーデック名

while (!in.atEnd()) {
    QString line = in.readLine();
    qDebug() << line;
}
file.close();

例1: テキストファイルを1行ずつ読み込む（最も一般的な使用例）

これは QTextStream::atEnd() の最も典型的な使用方法です。ファイルの内容を行ごとに処理する場合に非常に便利です。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    // テスト用のファイルを作成 (または既存のファイルを使用)
    // このプログラムを実行する前に、"example.txt" が存在することを確認してください。
    // 例: "Hello Qt\nThis is a test.\nEnd of file."
    QFile file("example.txt");

    // ファイルを読み込みモードで開く
    // QIODevice::Text フラグは、テキストエンコーディングを正しく処理するために重要です。
    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "エラー: ファイル 'example.txt' を開けませんでした。";
        qDebug() << "理由:" << file.errorString();
        return 1; // エラー終了
    }

    // QTextStream をファイルに関連付ける
    QTextStream in(&file);

    qDebug() << "ファイルの内容を読み込みます:";

    // atEnd() が false である限り、つまりファイルの終端に達していない限りループを続ける
    while (!in.atEnd()) {
        QString line = in.readLine(); // 1行読み込む (改行文字は含まれない)
        qDebug() << "読み込んだ行:" << line;
    }

    // ファイルを閉じる (QFile オブジェクトがスコープを外れると自動的に閉じられますが、明示的に閉じても問題ありません)
    file.close();

    qDebug() << "ファイルの読み込みが完了しました。";

    return 0;
}

説明

ファイルの終端に達すると in.atEnd() は true を返し、ループが終了します。
in.readLine() はストリームから1行を読み取り、QString として返します。改行文字は読み取られた文字列には含まれません。
while (!in.atEnd()) ループは、ストリームがファイルの終端に達するまで繰り返し実行されます。
QTextStream オブジェクトを QFile オブジェクトへのポインタで初期化します。
QFile オブジェクトを作成し、open() で読み取りモード (ReadOnly) とテキストモード (Text) で開きます。

例2: `QTextStream::readAll()` との比較

atEnd() を使用して行ごとに読み込む代わりに、ファイル全体を一度に読み込む場合は readAll() が簡単です。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    QFile file("example.txt"); // 例1と同じファイルを使用

    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "エラー: ファイル 'example.txt' を開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream in(&file);

    qDebug() << "ファイルの内容をまとめて読み込みます (readAll):";
    QString allContent = in.readAll(); // ファイルの内容全体を読み込む
    qDebug() << allContent; // すべてのコンテンツを表示

    // readAll() を呼び出した後、ストリームは終端に達しているはず
    qDebug() << "atEnd() の状態 (readAll後):" << in.atEnd(); // true を出力

    file.close();

    return 0;
}

説明

この方法は、ファイル全体をメモリにロードしても問題ない場合にシンプルです。
readAll() の呼び出し後、ストリームは終端に達しているため、in.atEnd() は true を返します。
in.readAll() を呼び出すと、ストリームの残りのすべてのデータが読み込まれます。

例3: `QTextStream::atEnd()` を使用してファイルから特定の情報を検索する

ファイル全体を読み込むのではなく、特定のパターンが見つかったら読み込みを停止するような場合にも atEnd() は有効です。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    QFile file("log.txt"); // 例: ログファイルなど
    // log.txt の内容の例:
    // INFO: Application started.
    // DEBUG: Loading config...
    // ERROR: Database connection failed!
    // INFO: User logged in.
    // DEBUG: Processing data...
    // INFO: Application shutting down.

    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "エラー: ファイル 'log.txt' を開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream in(&file);

    qDebug() << "ログファイルから最初のエラーを検索します:";
    bool foundError = false;

    while (!in.atEnd()) {
        QString line = in.readLine();
        if (line.contains("ERROR")) { // 行に "ERROR" が含まれているかチェック
            qDebug() << "エラー発見！:" << line;
            foundError = true;
            break; // 最初のエラーが見つかったらループを抜ける
        }
    }

    if (!foundError) {
        qDebug() << "ログファイル中にエラーは見つかりませんでした。";
    }

    file.close();

    return 0;
}

説明

エラーが見つかったら、foundError フラグを立てて break でループを終了します。これにより、ファイルの残りを読み込む必要がなくなります。
各行が特定の文字列（この場合は "ERROR"）を含んでいるかを QString::contains() でチェックします。
while (!in.atEnd()) ループを使って行ごとに読み込みます。

例4: 空のファイルの扱い

atEnd() は、ファイルが空の場合には開いた直後に true を返します。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    // 空のファイルを作成
    QFile emptyFile("empty.txt");
    if (!emptyFile.open(QIODevice::WriteOnly | QIODevice::Text | QIODevice::Truncate)) {
        qDebug() << "エラー: 空のファイルを作成できませんでした。";
        return 1;
    }
    emptyFile.close(); // ファイルを閉じる (空のまま)

    // その空のファイルを開いて読み込む
    if (!emptyFile.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "エラー: 空のファイルを開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream inEmpty(&emptyFile);

    qDebug() << "空のファイルを開いた直後の atEnd() の状態:" << inEmpty.atEnd(); // true を出力

    // このループは実行されない
    while (!inEmpty.atEnd()) {
        QString line = inEmpty.readLine();
        qDebug() << "読み込んだ行 (空のファイル):" << line;
    }

    emptyFile.close();

    return 0;
}

結果として、while ループは一度も実行されません。
QTextStream を関連付けた直後、inEmpty.atEnd() は true を返します。これは、ストリームの開始位置が既に終端であるためです。
その後、この空のファイルを読み込みモードで開きます。
empty.txt というファイルを書き込みモードで開いてすぐに閉じ、空のファイルを作成します。

QTextStream::readLine() の戻り値をチェックする

QTextStream::readLine() は、読み込むべきデータがない場合に空の QString を返します。しかし、ファイルに空行が含まれる場合も空の QString が返されるため、単に空の文字列かどうかで判断すると、途中の空行で読み込みが終了してしまう可能性があります。

このため、readLine() の戻り値が空文字列であり、かつ atEnd() も true である場合にのみ終端と判断するのがより正確です。ただし、readLine() が実際に空の文字列を返した場合でも、それがファイルの終端によるものか、単に空行なのかを区別するには、atEnd() と組み合わせるのが結局は一番確実です。

しかし、もしストリームから「有効なデータ」が読み取れなくなった時点で終了したいのであれば、readLine() の戻り値の isNull() や isEmpty() を使うことも考えられます。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    QFile file("example_with_empty_lines.txt");
    // example_with_empty_lines.txt の内容の例:
    // Line 1
    //
    // Line 3
    //

    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "ファイルを開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream in(&file);
    QString line;

    // readLine() が null 文字列を返すまでループ (ファイル終端を意味する)
    // ただし、これはQt 6.0以降の readLine() の振る舞いを考慮する必要があります。
    // Qt 5系では、ファイル終端で空のQStringを返しますが、nullではありません。
    // そのため、isEmpty() と atEnd() の組み合わせがより安全です。
    while (!(line = in.readLine()).isNull()) {
        qDebug() << "読み込んだ行:" << line;
    }

    // Qt 5系の場合（より一般的な方法）
    qDebug() << "\n--- Qt 5系での読み込み方法 (isEmpty()とatEnd()の組み合わせ) ---";
    file.seek(0); // ファイルポインタを先頭に戻す
    while (!in.atEnd()) { // atEnd()で終端を確認
        QString currentLine = in.readLine();
        // currentLine.isEmpty() && in.atEnd() でファイルの最後の空行を判断する場合もある
        qDebug() << "読み込んだ行:" << currentLine;
    }

    file.close();
    return 0;
}

ポイント

readLine().isNull() は、Qt 6.0以降の readLine() のオーバーロードで、ファイル終端に到達したときに QString() (null文字列) を返す場合があります。しかし、一般的な使用では isEmpty() や atEnd() を組み合わせる方が多いです。
空行とファイルの終端を区別する必要がある場合は、atEnd() との組み合わせが最も堅牢です。
readLine() は、ストリームの終端に達した場合、あるいは読み取るべきデータがない場合に空の QString を返します。

QIODevice::bytesAvailable() または QIODevice::canReadLine() を使用する (特にネットワーク/非同期I/Oの場合)

QTextStream は内部的に QIODevice を使用しています。特にネットワークソケット (QTcpSocket など) やパイプのようなシーケンシャルデバイスを扱う場合、atEnd() は常に正確な情報を提供しないことがあります。データがまだ到着していない場合でも atEnd() が true を返す可能性があるためです。

このような非同期 I/O の場合、QIODevice の提供する以下の関数やシグナルを利用する方がより適切です。

QIODevice::readyRead() シグナル: 新しいデータが読み取り可能になったときに発火します。通常、このシグナルに接続されたスロット内で bytesAvailable() や canReadLine() をチェックしてデータを読み込みます。
QIODevice::canReadLine(): 次の改行まで読み取るのに十分なデータがバッファに存在するかどうかを返します。改行で区切られたデータを扱う場合に特に役立ちます。
QIODevice::bytesAvailable(): 読み取り可能なバイト数を返します。これを使って、データが実際にバッファに存在するかどうかを確認できます。

#include <QCoreApplication>
#include <QTcpServer>
#include <QTcpSocket>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

class Server : public QTcpServer {
    Q_OBJECT
public:
    Server(QObject *parent = nullptr) : QTcpServer(parent) {
        connect(this, &QTcpServer::newConnection, this, &Server::onNewConnection);
    }

    void startServer() {
        if (listen(QHostAddress::Any, 12345)) {
            qDebug() << "サーバーがポート 12345 でリッスンを開始しました。";
        } else {
            qDebug() << "サーバーの開始に失敗しました。";
        }
    }

private slots:
    void onNewConnection() {
        QTcpSocket *socket = nextPendingConnection();
        qDebug() << "新しい接続:" << socket->peerAddress().toString();
        connect(socket, &QTcpSocket::readyRead, this, &Server::readFromSocket);
        connect(socket, &QTcpSocket::disconnected, socket, &QTcpSocket::deleteLater);
    }

    void readFromSocket() {
        QTcpSocket *socket = qobject_cast<QTcpSocket*>(sender());
        if (!socket) return;

        QTextStream in(socket);
        // atEnd() は非同期デバイスでは信頼性が低い可能性があるため、canReadLine() を使う
        while (in.canReadLine()) { // 読み取れる行があるか確認
            QString line = in.readLine();
            qDebug() << "受信:" << line;
            // エコーバックする例
            QTextStream out(socket);
            out << "Echo: " << line << "\n";
            out.flush(); // 即座に送信
        }
        // ここで atEnd() をチェックしても、まだデータが到着する可能性があるため、
        // データの終端を判断する基準としては不適切であることに注意
        // クライアントがソケットを閉じた場合、disconnected シグナルで検知する
    }
};

#include "main.moc" // mocファイルをインクルード (Q_OBJECTを使用する場合)

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);
    Server server;
    server.startServer();
    return a.exec();
}

説明

ソケットが閉じられたかどうかは disconnected シグナルで処理します。
while (in.canReadLine()) を使用して、実際に読み取れる行があるかどうかを確認します。これは、atEnd() よりも非同期デバイスでより堅牢なチェック方法です。
readFromSocket() スロット内で、QTextStream を使ってソケットからデータを読み込みます。
この例では、QTcpServer を使用して簡単なエコーサーバーを構築しています。

QFile::readAll() を使用する

ファイル全体を一度に読み込みたい場合は、QTextStream を介して readAll() を呼び出すか、直接 QFile::readAll() を使用できます。この場合、終端チェックは不要です。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    QFile file("large_data.txt"); // 大きなファイルでもよい

    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "ファイルを開けませんでした。";
        return 1;
    }

    // ファイル全体を読み込む
    QString content = file.readAll(); // QTextStream を介さずに直接 QFile から読み込む
    qDebug() << "ファイルの内容:\n" << content;

    file.close();
    return 0;
}

説明

QFile::open() に QIODevice::Text フラグを指定していれば、QFile::readAll() もテキストエンコーディングを考慮します。
QFile::readAll() は、ファイルの内容全体を QByteArray として読み込みます。テキストデータの場合、QString::fromUtf8() などで QString に変換できます。

固定サイズのチャンクで読み込む (read(qint64 maxlen))

ファイル全体を一度にメモリに読み込むのが難しい場合や、特定のサイズのブロックでデータを処理したい場合は、QTextStream::read(qint64 maxlen) を使用して固定サイズのチャンクで読み込むことができます。この場合、atEnd() を使用してストリームの終端を検出します。

#include <QCoreApplication>
#include <QFile>
#include <QTextStream>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication a(argc, argv);

    QFile file("large_text_file.txt");
    if (!file.open(QIODevice::ReadOnly | QIODevice::Text)) {
        qDebug() << "ファイルを開けませんでした。";
        return 1;
    }

    QTextStream in(&file);
    const int chunkSize = 1024; // 1KBずつ読み込む
    int chunkCount = 0;

    while (!in.atEnd()) {
        QString chunk = in.read(chunkSize); // 指定されたバイト数（文字数）まで読み込む
        if (!chunk.isEmpty()) {
            qDebug() << "チャンク " << ++chunkCount << " (" << chunk.length() << "文字):" << chunk.left(50) << "...";
            // ここでチャンクを処理する
        } else {
            // read() が空を返した場合でも、atEnd() がまだfalseなら
            // データが利用可能になるのを待つ必要がある非同期デバイスの場合
            // または、読み取るべきデータが一時的にない場合がある
            if (!in.atEnd()) {
                qDebug() << "一時的に読み取れるデータがありませんが、終端ではありません。";
                // リアルタイム性が求められる場合は、ここで少し待つなどの処理が必要になることも
            }
        }
    }

    file.close();
    qDebug() << "ファイルの読み込みが完了しました。";

    return 0;
}

この方法でも atEnd() は有効な終端検出手段です。
in.read(chunkSize) は、最大 chunkSize 文字（またはそれ未満の残りの文字）を読み込みます。

Qt QTextStream::device()徹底解説: テキスト処理の核となるQIODeviceとは？

もう少し詳しく説明します。QTextStreamは、テキストデータ（文字の並び）を読み書きするための便利なクラスです。ファイル、ネットワークソケット、メモリ上のデータなど、様々な「デバイス」に対して、統一された方法でテキストを扱うことができます。

Qt QTextStreamの一般的なエラーとトラブルシューティング：デストラクタの役割とは？

QtプログラミングにおけるQTextStream::~QTextStream()は、QTextStreamクラスのデストラクタを指します。C++では、クラス名にチルダ（~）を付けたものがデストラクタです。デストラクタは、そのクラスのオブジェクトが破棄される際に自動的に呼び出される特殊なメンバ関数です。

Qtプログラミング必見！QTextStreamとエンコーディングの代替手法

QTextStream::encoding()は、QTextStreamオブジェクトが現在使用しているテキストエンコーディング（文字コード）を取得するための関数です。QTextStreamは、Qtフレームワークでテキストの読み書きを行うためのクラスです。QFileなどのQIODevice（入出力デバイス）と連携して動作し、ファイルや文字列などのテキストデータを簡単に扱うことができます。

QTextStream::fieldAlignment()

具体的には、以下のいずれかの値を返します。QTextStream::AlignTrailing: 数値の場合、符号や基数プレフィックスが数値の直前に表示され、全体が右寄せされます。文字列の場合はAlignRightと同じです。QTextStream::AlignLeading: 数値の場合、符号や基数プレフィックス（例: "0x"）がフィールドの先頭に表示され、残りの部分は右寄せされます。文字列の場合はAlignLeftと同じです。

QTextStream::fieldWidth()でつまずかない！Qtのテキスト出力エラーと解決策

QTextStream::fieldWidth() は、Qtの QTextStream クラスのメンバ関数で、現在設定されている「フィールド幅」を返します。QTextStream は、ファイルやデバイス、文字列などに対してテキストの読み書きを行うためのクラスです。テキストを出力する際に、特定のフォーマットで出力したい場合に、この「フィールド幅」という概念が重要になります。

QTextStream::flush()は必要？Qtファイル書き込みのベストプラクティス

QTextStreamは、ファイルやデバイスに対してテキストデータを読み書きするためのQtのクラスです。データを書き込む際、通常はすぐに物理的なファイルやデバイスに書き込まれるわけではありません。効率化のため、データは一度「バッファ」と呼ばれる一時的なメモリ領域に蓄えられます。

日本語対応も安心！Qt QTextStreamでのBOM生成とエンコーディングのベストプラクティス

BOM は、Unicode テキストファイルで、そのファイルがどの UTF (UTF-8, UTF-16, UTF-32 など) でエンコードされているか、そしてバイトの順序 (エンディアン、Big-Endian か Little-Endian か) がどうなっているかを示すために、ファイルの先頭に挿入される特別なバイト列です。

QTextStreamで進数を操る：integerBase()とsetIntegerBase()の使い方

具体的には以下の通りです。基数の設定 setIntegerBase()関数を使って、読み書きする整数の基数を明示的に設定できます。例えば、16進数で読み書きしたい場合はsetIntegerBase(16)と設定します。デフォルトの動作読み取り時デフォルトでは0が返されます。これは、QTextStreamが数値のプレフィックス（例：0xは16進数、0から始まる場合は8進数）を自動的に検出して基数を判断することを意味します。書き込み時デフォルトでは10（10進数）が使用されます。

QtプログラミングにおけるQTextStream::locale()徹底解説

ロケールとは、ある特定の地域や文化圏における言語、日付と時刻の形式、数値の表現方法（小数点や桁区切り）、通貨記号などの慣習を定義する情報のことです。例えば、日本では小数点にピリオドを、桁区切りにカンマを使うのが一般的ですが、ヨーロッパの一部では小数点にカンマを、桁区切りにピリオドを使う場合があります。

【Qt入門】QTextStream::numberFlags()を使った数値出力のカスタマイズ方法

QTextStream::numberFlags() は、Qt プログラミングにおける QTextStream クラスのメンバ関数で、数値の出力形式を制御するためのフラグ群を取得します。QTextStream は、テキストの読み書きを便利に行うためのクラスで、ファイル、バイト配列、QString など、様々なI/Oデバイスを扱えます。数値を出力する際に、例えば16進数で表示するか、常に符号を表示するか、小数点以下の桁数を強制するか、といった細かな設定をしたい場合に numberFlags() で現在の設定を取得し、setNumberFlags() で変更します。

【Qt入門】QTextStream::atEnd()を使ったテキストファイル読み込み実践ガイド

atEnd() が常に true を返す、または予期せず true になる

最後の行が読み込まれない

マルチスレッド環境での問題

エンコーディングの問題

例1: テキストファイルを1行ずつ読み込む（最も一般的な使用例）

例2: QTextStream::readAll() との比較

例3: QTextStream::atEnd() を使用してファイルから特定の情報を検索する

例4: 空のファイルの扱い

QTextStream::readLine() の戻り値をチェックする

QIODevice::bytesAvailable() または QIODevice::canReadLine() を使用する (特にネットワーク/非同期I/Oの場合)

QFile::readAll() を使用する

固定サイズのチャンクで読み込む (read(qint64 maxlen))

例2: `QTextStream::readAll()` との比較

例3: `QTextStream::atEnd()` を使用してファイルから特定の情報を検索する