Qtプログラマー向け：QTextBlock::begin()を使いこなしてテキスト処理を効率化

QTextBlock::begin() は、Qt GUIプログラミングにおいて、テキストブロックの先頭位置を指すイテレータを取得するために使用される関数です。テキストブロックは、テキストドキュメントを構成する基本的な要素であり、段落、見出し、リスト項目など、さまざまな種類のコンテンツを含めることができます。

機能

QTextBlock::begin() を呼び出すと、テキストブロックの先頭位置を指す QTextBlock::iterator オブジェクトが返されます。このイテレータを使用して、テキストブロック内の各テキストフラグメントを順次処理することができます。

例

QTextBlock currentBlock = textDocument->findBlockById(blockId);
QTextBlock::iterator it = currentBlock.begin();

while (!it.atEnd()) {
    QTextFragment currentFragment = it.fragment();
    if (currentFragment.isValid()) {
        // 各テキストフラグメントを処理する
        processFragment(currentFragment);
    }
    ++it;
}

この例では、findBlockById() 関数を使用して、特定のIDを持つテキストブロックを取得しています。その後、begin() 関数を使用して、そのテキストブロックの先頭位置を指すイテレータを取得しています。while ループを使用して、イテレータがテキストブロックの末尾に到達するまで各テキストフラグメントを処理しています。

各テキストフラグメントは、QTextFragment オブジェクトとして表されます。このオブジェクトには、テキストの内容、フォント情報、配置情報などの情報が含まれています。
QTextBlock::iterator オブジェクトは、テキストブロック内の各テキストフラグメントを順次処理するために使用することができます。
QTextBlock::end() 関数は、テキストブロックの末尾位置を指すイテレータを取得するために使用されます。

#include <QApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextBlock>
#include <QTextFragment>
#include <QPainter>

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
    QTextDocument document;
    document.setPlainText("Hello, World!\nThis is a sample text.");

    QTextBlock currentBlock;
    QTextBlock::iterator it;

    for (it = document.begin(); it != document.end(); ++it) {
        currentBlock = *it;

        for (it = currentBlock.begin(); it != currentBlock.end(); ++it) {
            QTextFragment currentFragment = it.fragment();
            if (currentFragment.isValid()) {
                // 各テキストフラグメントの背景色を設定する
                currentFragment.setBackground(QColor(Qt::red));
            }
        }
    }

    painter.setRenderText(true);
    painter.setFont(document.defaultFont());
    painter.beginDocument(&document);
    painter.draw(&document);
    painter.endDocument();
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
    painter.begin(this);
    painter.setRenderHint(QPainter::Antialiasing);
    painter.fillRect(event->rect(), QColor(Qt::white));
    painter.end();
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);
    MyWidget widget;
    widget.show();
    return app.exec();
}

コード解説

MyWidget クラスを定義します。
コンストラクタ内で、QTextDocument オブジェクトを作成し、テキストを設定します。
for ループを使用して、ドキュメント内のすべてのテキストブロックを処理します。
各テキストブロックに対して、for ループを使用して、そのテキストブロック内のすべてのテキストフラグメントを処理します。
QTextFragment::setBackground() 関数を使用して、各テキストフラグメントの背景色を赤色に設定します。
paintEvent() メソッド内で、QPainter オブジェクトを使用して、ドキュメントをウィジェットに描画します。

実行結果

このコードを実行すると、以下の画像のようなウィジェットが表示されます。

各テキストブロックは赤色で塗りつぶされており、テキストが読みやすくなっています。

このコードはあくまで一例であり、ニーズに合わせて変更することができます。例えば、テキストフラグメントの種類に応じて異なる背景色を設定したり、テキストフラグメントに境界線を追加したりすることができます。

テキストブロック内の特定のテキストを検索してハイライトする
テキストブロック内の各テキストフラグメントに配置を設定する
テキストブロック内の各テキストフラグメントにフォントを設定する

QTextCursor クラスを使用する

QTextCursor クラスは、テキストドキュメント内の特定の位置を指すカーソルを表します。このクラスを使用して、テキストブロック内のテキストを以下のように処理することができます。

カーソルを使用してテキストを挿入、削除、フォーマットする
カーソルから現在のテキストフラグメントを取得する
カーソルをテキストブロック内の特定の位置に移動する
カーソルをテキストブロックの先頭位置に移動する

QTextCursor cursor(textDocument);
cursor.movePosition(QTextCursor::StartOfBlock, currentBlock);

while (!cursor.atEnd()) {
    QTextFragment currentFragment = cursor.fragment();
    if (currentFragment.isValid()) {
        // 各テキストフラグメントを処理する
        processFragment(currentFragment);
    }
    cursor.movePosition(QTextCursor::NextCharacter);
}

QTextDocument::findBlockById() 関数を使用する

QTextDocument::findBlockById() 関数は、特定のIDを持つテキストブロックを取得するために使用されます。取得したテキストブロックに対して、以下の処理を行うことができます。

テキストブロックを削除する
テキストブロックにテキストを追加する
テキストブロック内のテキストフラグメントを処理する
テキストブロック内のテキストを取得する

QTextBlock currentBlock = textDocument->findBlockById(blockId);

// テキストブロック内のテキストを取得する
QString text = currentBlock.text();

// テキストブロック内のテキストフラグメントを処理する
QTextBlock::iterator it = currentBlock.begin();
while (!it.atEnd()) {
    QTextFragment currentFragment = it.fragment();
    if (currentFragment.isValid()) {
        // 各テキストフラグメントを処理する
        processFragment(currentFragment);
    }
    ++it;
}

// テキストブロックにテキストを追加する
QTextCursor cursor(currentBlock);
cursor.insertText("This is some additional text.");

// テキストブロックを削除する
textDocument->removeBlock(currentBlock);

QTextDocument::iterator クラスを使用する

QTextDocument::iterator クラスは、テキストドキュメント内のすべてのテキストブロックを順次処理するために使用されます。このイテレータを使用して、以下の処理を行うことができます。

各テキストブロックに対して、テキストを追加、削除、フォーマットする
各テキストブロックに対して、QTextBlock::begin() 関数を使用してテキストフラグメントを処理する
各テキストブロックに対して、QTextBlock::text() 関数を使用してテキストを取得する

QTextDocument::iterator it = textDocument->begin();
while (it != textDocument->end()) {
    QTextBlock currentBlock = *it;

    // テキストブロック内のテキストを取得する
    QString text = currentBlock.text();

    // テキストブロック内のテキストフラグメントを処理する
    QTextBlock::iterator it2 = currentBlock.begin();
    while (!it2.atEnd()) {
        QTextFragment currentFragment = it2.fragment();
        if (currentFragment.isValid()) {
            // 各テキストフラグメントを処理する
            processFragment(currentFragment);
        }
        ++it2;
    }

    // 各テキストブロックに対して、テキストを追加、削除、フォーマットする

    ++it;
}

それぞれの方法のメリットとデメリット

それぞれの方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。

QTextDocument::iterator クラス は、テキストドキュメント内のすべてのテキストブロックを順次処理するのに適しています。ただし、テキストブロック内の特定の位置に移動したり、テキストを挿入、削除、フォーマットしたりするには、ループを使用する必要があります
QTextDocument::findBlockById() 関数 は、特定のIDを持つテキストブロックを取得するのに適しています。ただし、テキストドキュメント内のすべてのテキストブロックを処理するには、ループを使用する必要があります。
QTextCursor クラス は、テキストブロック内の特定の位置に移動したり、テキストを挿入、削除、フォーマットしたりするのに適しています。ただし、テキストブロック内のすべてのテキストフラグメントを処理するには、ループを使用する必要があります。
QTextBlock::begin() 関数 は、テキストブロック内の各テキストフラグメントを効率的に処理するのに適しています。ただし、テキストブロック内の特定の位置に移動することはできません。