Qt GUIプログラミング:QSurfaceFormat::stencilBufferSize()を使いこなして、ワンランク上のアプリケーション開発へ


QSurfaceFormat::stencilBufferSize()は、Qt GUIにおけるステンシルバッファのサイズを取得する関数です。ステンシルバッファは、主に以下の用途で使用されます。

  • アンチエイリアシング: MSAAと呼ばれるアンチエイリアシング手法で使用されます。
  • シャドウボリューム: シャドウボリューム法と呼ばれるレンダリング手法で使用されます。
  • 画像処理: 特定のピクセルをマスクしたり、ステンシルテクスチャを作成したりするために使用されます。

関数詳細

int QSurfaceFormat::stencilBufferSize() const

この関数は、ステンシルバッファのサイズをビット数で返します。返される値は、常に2の累乗となります。

QSurfaceFormat format;
format.setStencilBufferSize(8); // ステンシルバッファのサイズを8ビットに設定

// ...

// ステンシルバッファを使用する処理
  • ステンシルバッファは、すべてのグラフィックカードでサポートされているわけではありません。使用前に、QSurfaceFormat::hasStencil()関数を使用して、サポートされていることを確認してください。
  • ステンシルバッファのサイズは、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。必要以上に大きなサイズを設定すると、パフォーマンスが低下する可能性があります。


#include <QCoreApplication>
#include <QSurfaceFormat>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // ステンシルバッファのサイズを8ビットに設定
    QSurfaceFormat format;
    format.setStencilBufferSize(8);

    // ウィンドウを作成
    QWidget window;
    window.setFormat(format);
    window.show();

    return app.exec();
}

例2:ステンシルバッファを使用して画像をマスクする

#include <QCoreApplication>
#include <QPainter>
#include <QSurfaceFormat>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // ステンシルバッファのサイズを8ビットに設定
    QSurfaceFormat format;
    format.setStencilBufferSize(8);

    // ウィンドウを作成
    QWidget window;
    window.setFormat(format);
    window.show();

    // ペインタを作成
    QPainter painter(&window);

    // ステンシルバッファを有効にする
    painter.beginStencil();

    // 画像を描画
    painter.drawPixmap(0, 0, QPixmap("image.png"));

    // ステンシルバッファを無効にする
    painter.endStencil();

    // マスクされた画像を描画
    painter.setRenderHint(QPainter::AntiAlias);
    painter.fillRect(0, 0, window.width(), window.height(), Qt::red);

    return app.exec();
}

説明

例1では、QSurfaceFormat::setStencilBufferSize()関数を使用して、ステンシルバッファのサイズを8ビットに設定しています。その後、QWidget::setFormat()関数を使用して、ウィンドウにこのフォーマットを設定しています。

例2では、ステンシルバッファを使用して画像をマスクしています。まず、painter.beginStencil()関数を使用して、ステンシルバッファを有効にします。その後、painter.drawPixmap()関数を使用して、画像を描画します。最後に、painter.endStencil()関数を使用して、ステンシルバッファを無効にします。

次に、painter.setRenderHint()関数を使用して、アンチエイリアシングを有効にします。最後に、painter.fillRect()関数を使用して、マスクされた画像を描画します。



QGLContext::setStencilBufferSize() を使用する

QGLContext::setStencilBufferSize() 関数は、OpenGL コンテキストのステンシルバッファのサイズを設定するために使用されます。この関数は、QSurfaceFormat::stencilBufferSize() と同じ機能を提供しますが、OpenGL コンテキストを使用している場合にのみ使用できます。

QGLContext context;
context.setFormat(format);
context.create();
context->makeCurrent(window);

// ステンシルバッファのサイズを8ビットに設定
context->setStencilBufferSize(8);

// ...

// ステンシルバッファを使用する処理

QPainter::setRenderHint(QPainter::AntiAlias, true) を使用する

QPainter::setRenderHint() 関数は、ペインタの描画ヒントを設定するために使用されます。QPainter::AntiAlias ヒントを有効にすると、アンチエイリアシングが有効になります。アンチエイリアシングは、エッジのジャギーを滑らかにするために使用されますが、ステンシルバッファを使用するよりもパフォーマンスが低くなります。

QPainter painter(&window);

// アンチエイリアシングを有効にする
painter.setRenderHint(QPainter::AntiAlias, true);

// ...

// 画像を描画
painter.drawPixmap(0, 0, QPixmap("image.png"));

// ...

カスタムシェーダーを使用する

カスタムシェーダーを使用して、ステンシルバッファに独自の処理を適用することもできます。これは、より高度な制御が必要な場合に役立ちます。

// シェーダープログラムを作成
QGLShaderProgram program;
program.addShaderFromSourceFile(QGLShader::Vertex, "vertex.vert");
program.addShaderFromSourceFile(QGLShader::Fragment, "fragment.frag");
program.link();

// シェーダープログラムを有効にする
program.bind();

// ...

// ステンシルバッファ処理を行うカスタムシェーダーコード

// ...

// シェーダープログラムを無効にする
program.release();

どの方法を選択するべきか

どの方法を選択するかは、状況によって異なります。

  • より高度な制御が必要な場合は、カスタムシェーダーを使用します。
  • シンプルなアンチエイリアシングが必要な場合は、QPainter::setRenderHint() を使用できます。
  • OpenGL コンテキストを使用している場合は、QGLContext::setStencilBufferSize() を使用する必要があります。