Qt GUI プログラミング: 影描画のテクニックをマスターしよう！ QSurfaceFormat::setStencilBufferSize() を徹底解説

QSurfaceFormat::setStencilBufferSize() は、Qt GUI における ステンシルバッファのサイズ を設定するために用いられる関数です。ステンシルバッファは、主に以下の用途に使用されます。

画像処理: ステンシルバッファを使用して、画像処理を行うことができます。
オブジェクトの描画順序の制御: ステンシルバッファを使用して、特定のオブジェクトのみを描画したり、特定のオブジェクトを描画しないようにすることができます。

関数詳細

void QSurfaceFormat::setStencilBufferSize(int size);

この関数は、ステンシルバッファのサイズを size ビットに設定します。size は、1 ビットから 32 ビット までの値を指定できます。

デフォルト値

ステンシルバッファのデフォルトサイズは、8 ビット です。

使用例

QSurfaceFormat format;
format.setStencilBufferSize(16);

// QWindow または QGLWidget を作成し、format を設定する

この例では、ステンシルバッファのサイズを 16 ビット に設定しています。

ステンシルバッファを使用すると、パフォーマンスが低下する可能性があります。
ステンシルバッファのサイズは、ハードウェアによって制限される場合があります。

#include <QApplication>
#include <QSurfaceFormat>
#include <QGLWidget>

class ShadowWidget : public QGLWidget
{
public:
    ShadowWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void initializeGL();
    void paintGL();
};

ShadowWidget::ShadowWidget(QWidget *parent) : QGLWidget(parent)
{
    // ステンシルバッファのサイズを 16 ビットに設定
    QSurfaceFormat format;
    format.setStencilBufferSize(16);
    setFormat(format);
}

void ShadowWidget::initializeGL()
{
    // OpenGL の初期化
    glEnable(GL_DEPTH_TEST);
    glEnable(GL_STENCIL_TEST);
}

void ShadowWidget::paintGL()
{
    // 影を描画
    glStencilFunc(GL_ALWAYS, 1, 1);
    glColorMask(GL_FALSE, GL_FALSE, GL_FALSE, GL_FALSE);
    glStencilOp(GL_REPLACE, GL_REPLACE, GL_REPLACE);
    drawObject();

    // 元のオブジェクトを描画
    glStencilFunc(GL_EQUAL, 1, 1);
    glColorMask(GL_TRUE, GL_TRUE, GL_TRUE, GL_TRUE);
    glStencilOp(GL_KEEP, GL_KEEP, GL_KEEP);
    drawObject();
}

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    ShadowWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードでは、以下の処理が行われています。

ShadowWidget クラスを作成します。
コンストラクタで、QSurfaceFormat オブジェクトを作成し、setStencilBufferSize() 関数を使用してステンシルバッファのサイズを 16 ビットに設定します。
initializeGL() 関数で、OpenGL の初期化を行います。
paintGL() 関数で、影を描画します。
- glStencilFunc() 関数を使用して、ステンシルバッファのテスト条件を設定します。
- glColorMask() 関数を使用して、カラーバッファへの書き込みを無効にします。
- glStencilOp() 関数を使用して、ステンシルバッファの操作を設定します。
- drawObject() 関数を使用して、オブジェクトを描画します。
元のオブジェクトを描画します。
- glStencilFunc() 関数を使用して、ステンシルバッファのテスト条件を設定します。
- glColorMask() 関数を使用して、カラーバッファへの書き込みを有効にします。
- glStencilOp() 関数を使用して、ステンシルバッファの操作を設定します。
- drawObject() 関数を使用して、オブジェクトを描画します。
main() 関数で、Qt アプリケーションを作成して実行します。

ステンシルバッファを使用して影を描画する方法は他にもたくさんあります。
このコードはあくまで例であり、実際の用途に合わせて変更する必要があります。

方法 1: QGLContext を使用する

QGLContext クラスには、setStencilBufferSize() 関数と同様の機能を提供する setStencil() メソッドがあります。このメソッドは、QGLWidget または QGLContext オブジェクトを作成する際に使用できます。

QGLContext context;
context.setStencil(16);

// QGLWidget または QGLContext を作成し、context を設定する

方法 2: QSettings を使用する

QSettings クラスを使用して、ステンシルバッファのサイズをアプリケーション設定として保存することができます。

QSettings settings("MyCompany", "MyApp");
settings.setValue("stencilBufferSize", 16);

// QSurfaceFormat format;
// format.setStencilBufferSize(settings.value("stencilBufferSize").toInt());

// QWindow または QGLWidget を作成し、format を設定する

方法 3: 環境変数を使用する

QT_STENCIL_BUFFER_SIZE という環境変数を使用して、ステンシルバッファのサイズを設定することができます。

#ifdef Q_OS_WIN32
setenv("QT_STENCIL_BUFFER_SIZE", "16", 1);
#else
putenv("QT_STENCIL_BUFFER_SIZE=16");
#endif

// QSurfaceFormat format;
// format.setStencilBufferSize(qEnvironment("QT_STENCIL_BUFFER_SIZE").toInt());

// QWindow または QGLWidget を作成し、format を設定する

環境変数: QSettings を使用するよりもシンプルですが、すべてのユーザーが環境変数を設定できるわけではないという欠点があります。
QSettings: アプリケーション設定としてステンシルバッファのサイズを保存することができます。これは、複数のアプリケーション間でステンシルバッファのサイズを共有したい場合に便利です。
QGLContext::setStencil(): QSurfaceFormat::setStencilBufferSize() と同様の機能を提供しますが、QGLWidget または QGLContext オブジェクトを作成する際にのみ使用できます。
QSurfaceFormat::setStencilBufferSize(): 最もシンプルでわかりやすい方法ですが、アプリケーション設定や環境変数を使用するよりも柔軟性に欠けます。