Qt Widgetsのスワイプジェスチャをレベルアップ：QSwipeGesture::swipeAngleで実現できる高度な機能

swipeAngle の値は、-180度から180度の範囲で表現されます。0度の方向は、ウィジェットの座標系における正の X 軸と一致します。正の値は、右上方向へのスワイプを示し、負の値は左下方向へのスワイプを示します。

swipeAngle の具体的な用途は以下の通りです。

スワイプのアニメーションを制御する
スワイプアニメーションの速度や方向を、swipeAngle の値に基づいて調整することができます。
スワイプの感度を調整する
アプリケーションのロジックに応じて、特定の角度範囲内でのみスワイプを有効にすることができます。例えば、45度未満のスワイプのみを有効にして、誤ったスワイプを検知しないようにすることができます。
スワイプの方向をより詳細に判別する
horizontalDirection プロパティだけでは、左右または上下へのスワイプしか区別できません。一方、swipeAngle を使用すれば、斜め方向へのスワイプの方向も特定できます。

swipeAngle を使用するには、以下の手順が必要です。

QSwipeGesture オブジェクトを作成する
ウィジェットにスワイプジェスチャを追加するには、QSwipeGesture オブジェクトを作成し、ウィジェットに関連付けます。
swipeAngle プロパティにアクセスする
QSwipeGesture オブジェクトの swipeAngle プロパティにアクセスすることで、スワイプジェスチャの角度を取得できます。

QSwipeGesture* swipeGesture = new QSwipeGesture(widget);
swipeGesture->connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::swipe, [=](QSwipeGesture* gesture) {
    qreal angle = gesture->swipeAngle();
    // スワイプ角度に基づいて処理を行う
});

swipeAngle の値は、スワイプジェスチャが終了した時点での角度を表します。スワイプ中における角度の変化を追跡するには、QSwipeGesture::stateChanged シグナルを接続する必要があります。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QSwipeGesture>

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label("Swipe to change color");
  label.setAlignment(Qt::AlignCenter);

  QSwipeGesture* swipeGesture = new QSwipeGesture(&label);
  swipeGesture->connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::swipe, [&label](QSwipeGesture* gesture) {
    qreal angle = gesture->swipeAngle();

    if (angle > 45) { // 右上方向へのスワイプ
      label.setStyleSheet("background-color: red");
    } else if (angle < -45) { // 左下方向へのスワイプ
      label.setStyleSheet("background-color: blue");
    } else { // 垂直方向へのスワイプ
      label.setStyleSheet("background-color: green");
    }
  });

  label.show();

  return app.exec();
}

このコードでは、label というラベルウィジェットを作成し、"Swipe to change color" というテキストを表示しています。QSwipeGesture オブジェクトを作成し、ラベルウィジェットに関連付けます。

swipe シグナルは、スワイプジェスチャが完了したときに発生します。シグナルハンドラ内では、swipeAngle プロパティを使用してスワイプジェスチャの角度を取得します。角度に応じて、ラベルウィジェットの背景色を変更します。

説明

コードを実行するには、Qt Widgets ライブラリをプロジェクトに追加する必要があります。
このコードは、Qt Creator 4.15.2 と Qt 5.15.2 でテストされています。

ジェスチャの速度を取得するには、speed プロパティを使用できます。
スワイプジェスチャの開始位置と終了位置を取得するには、startPos と endPos プロパティを使用できます。
より複雑なロジックを実装するために、swipeAngle の値をさまざまな方法で使用できます。

代替方法

- startPos と endPos プロパティは、スワイプジェスチャの開始位置と終了位置をピクセル単位で取得できます。
- これらの位置情報を使用して、スワイプの方向と角度を計算することができます。
- 数学的な計算が必要となりますが、より柔軟な制御が可能になります。

QSwipeGesture* swipeGesture = new QSwipeGesture(widget);
swipeGesture->connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::swipe, [&label](QSwipeGesture* gesture) {
    QPointF startPos = gesture->startPos();
    QPointF endPos = gesture->endPos();

    qreal dx = endPos.x() - startPos.x();
    qreal dy = endPos.y() - startPos.y();

    qreal angle = atan2(dy, dx) * 180 / M_PI; // 角度を計算

    // スワイプ角度に基づいて処理を行う
});

QLineF オブジェクト
- startPos と endPos を使用して、QLineF オブジェクトを作成することができます。
- QLineF オブジェクトの angle() メソッドを使用して、スワイプの角度を取得できます。

QSwipeGesture* swipeGesture = new QSwipeGesture(widget);
swipeGesture->connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::swipe, [&label](QSwipeGesture* gesture) {
    QPointF startPos = gesture->startPos();
    QPointF endPos = gesture->endPos();

    QLineF line(startPos, endPos);
    qreal angle = line.angle(); // 角度を計算

    // スワイプ角度に基づいて処理を行う
});

ジェスチャ認識ライブラリ
- Qt 以外のジェスチャ認識ライブラリを使用することもできます。
- 多くのライブラリは、swipeAngle のような機能を提供しています。
- 特定の要件に合致したライブラリを選択することができます。

各方法の比較

方法	利点	欠点
`swipeAngle`	シンプルで使いやすい	角度の精度が低い場合がある
`startPos` と `endPos`	より柔軟な制御が可能	数学的な計算が必要
`QLineF`	`swipeAngle` よりも精度が高い	計算量が多い
ジェスチャ認識ライブラリ	特定の要件に合致した機能を提供	ライブラリの習得が必要

状況に応じて、最適な代替方法を選択する必要があります。

特定の要件に合致した機能が必要な場合は、ジェスチャ認識ライブラリを使用するのがおすすめです。
より柔軟な制御や精度が必要な場合は、startPos と endPos または QLineF を使用するのがおすすめです。
シンプルで使いやすい方法が必要な場合は、swipeAngle を使用するのがおすすめです。

ジェスチャ認識は複雑なトピックであり、詳細な理解にはさらなる調査が必要です。
上記の代替方法は、あくまでも例です。状況に応じて、より適切な方法がある可能性があります。