【初心者向け】Qt Widgetsのスワイプ検出：QSwipeGestureクラスのしくみとサンプルコード

QSwipeGestureクラスは、Qt Widgetsライブラリの一部であり、ユーザーがウィジェット上で行ったスワイプジェスチャーを検知するための機能を提供します。これは、タッチスクリーンデバイスやマウス操作におけるユーザーの直感的な操作を可能にする強力なツールです。

主な機能

• ジェスチャー開始と終了時の座標を取得する
• スワイプ角度を計算する
• 水平方向と垂直方向のスワイプ方向を検出する

使用方法

1. ウィジェットにQSwipeGestureオブジェクトをインストールする

QSwipeGesture *swipeGesture = new QSwipeGesture(widget);

1. シグナルとスロットを接続する

connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::stateChanged, this, &MyWidget::onSwipeStateChanged);

1. シグナルハンドラを実装する

void MyWidget::onSwipeStateChanged(QSwipeGesture::State state)
{
    if (state == QGesture::Started) {
        // スワイプ開始時の処理
    } else if (state == QGesture::Updated) {
        // スワイプ中の処理
    } else if (state == QGesture::Finished) {
        // スワイプ終了時の処理
        // horizontalDirection() and verticalDirection() を使ってスワイプ方向を判断
        // swipeAngle() を使ってスワイプ角度を取得
    } else if (state == QGesture::Canceled) {
        // ジェスチャーがキャンセルされた時の処理
    }
}

• QSwipeGestureクラスは、マルチタッチジェスチャーもサポートします。

例

以下のコードは、ウィジェット上で左スワイプが検出されたときにラベルのテキストを変更する例です。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

private:
    QLabel label;
    QSwipeGesture *swipeGesture;

public slots:
    void onSwipeStateChanged(QSwipeGesture::State state);
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
    label.setText("スワイプしてください");

    swipeGesture = new QSwipeGesture(this);
    connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::stateChanged, this, &MyWidget::onSwipeStateChanged);
}

void MyWidget::onSwipeStateChanged(QSwipeGesture::State state) {
    if (state == QGesture::Finished && swipeGesture->horizontalDirection() == QSwipeGesture::Left) {
        label.setText("左にスワイプされました");
    }
}

このコードは、以下のようになります。

1. MyWidgetという名前の新しいウィジェットクラスを作成します。
2. labelという名前のラベルを作成し、"スワイプしてください"というテキストを設定します。
3. swipeGestureという名前のQSwipeGestureオブジェクトを作成し、thisウィジェットにインストールします。
4. stateChangedシグナルをonSwipeStateChangedスロットに接続します。
5. onSwipeStateChangedスロットを実装し、ジェスチャーが終了した場合にスワイプ方向をチェックします。
6. 左スワイプが検出された場合、ラベルのテキストを "左にスワイプされました" に変更します。

---

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QWidget>
#include <QSwipeGesture>

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

private:
    QLabel label;
    QSwipeGesture *swipeGesture;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
    label.setText("スワイプしてください");

    swipeGesture = new QSwipeGesture(this);
    connect(swipeGesture, &QSwipeGesture::stateChanged, this, &MyWidget::onSwipeStateChanged);
}

void MyWidget::onSwipeStateChanged(QSwipeGesture::State state) {
    if (state == QGesture::Finished && swipeGesture->horizontalDirection() == QSwipeGesture::Left) {
        label.setText("左にスワイプされました");
    }
}

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    MyWidget widget;
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードの説明は以下の通りです。

1. • QApplication: Qtアプリケーションのメインクラスを宣言します。
   • QLabel: ラベルウィジェットクラスを宣言します。
   • QWidget: ウィジェットクラスを宣言します。
   • QSwipeGesture: スワイプジェスチャーを検出するためのクラスを宣言します。

2. MyWidgetクラスの定義

   • MyWidgetという名前の新しいウィジェットクラスを定義します。
   • publicセクションには、このクラスのパブリックメンバーと関数を宣言します。
   • privateセクションには、このクラスのプライベートメンバーと関数を宣言します。

3. コンストラクタ

   • MyWidgetクラスのコンストラクタを定義します。
   • 親ウィジェットをparentパラメータとして受け取ります。
   • labelという名前のラベルを作成し、"スワイプしてください"というテキストを設定します。
   • swipeGestureという名前のQSwipeGestureオブジェクトを作成し、thisウィジェットにインストールします。
   • stateChangedシグナルをonSwipeStateChangedスロットに接続します。

4. onSwipeStateChangedスロット

   • ジェスチャーの状態が変化したときに呼び出されるスロットです。
   • ジェスチャーが終了した場合 (state == QGesture::Finished) かつ、スワイプ方向が左 (swipeGesture->horizontalDirection() == QSwipeGesture::Left) であることを確認します。
   • 左スワイプが検出された場合、ラベルのテキストを "左にスワイプされました" に変更します。

5. main関数

   • Qtアプリケーションのメイン関数を定義します。
   • QApplicationオブジェクトを作成し、コマンドライン引数を処理します。
   • MyWidgetウィジェットを作成し、表示します。
   • QApplication::exec()関数を呼び出して、アプリケーションを実行します。

例の説明

1. このコードは、MyWidgetという名前の新しいウィジェットクラスを作成します。
2. このウィジェットには、"スワイプしてください"というテキストを表示するラベルがあります。
3. ウィジェットには、QSwipeGestureオブジェクトもインストールされています。
4. このオブジェクトは、ユーザーがウィジェット上でスワイプしたかどうかを検出します。
5. ユーザーが左にスワイプすると、ラベルのテキストが "左にスワイプされました" に変更されます。

この例は、QSwipeGestureクラスを使用して、ユーザーのインタラクションをアプリケーションに追加する方法を示す基本的な例です。

• コードを実行するには、Qtライブラリがインストールされている必要があります。
• このコードは、Qt CreatorなどのIDEを使用してコンパイルして実行できます。

---

QPanGestureクラス

• 欠点:
  • QSwipeGestureクラスよりも複雑で、学習曲線が少し高くなります。
  • スワイプジェスチャーのみを検出する場合は、オーバーキルになる可能性があります。
• 利点:
  • より汎用性が高く、ドラッグ、ピンチ、ズームなどのジェスチャーも検出できます。
  • ジェスチャーの開始点と終了点、移動距離などの詳細な情報にアクセスできます。

QMouseEventクラス

• 欠点:
  • タッチスクリーンデバイスでは使用できません。
  • スワイプ方向や角度などの詳細な情報にアクセスできません。
• 利点:
  • 非常に軽量で、シンプルです。
  • マウスイベントの処理に既に慣れている場合は、学習曲線がほとんどありません。

カスタムジェスチャー実装

• 欠点:
  • 複雑で時間のかかる作業になる可能性があります。
  • QSwipeGestureクラスやQPanGestureクラスよりも多くのコードを書く必要
• 利点:
  • アプリケーションの特定のニーズに完全に沿ったジェスチャー処理を実装できます。

代替方法を選択する際の考慮事項

• 開発時間: アプリケーションの開発に費やせる時間はどれくらいですか？
• 開発者のスキル: どのくらいのプログラミング知識を持っていますか？
• プラットフォーム: どのようなプラットフォームでアプリケーションを実行しますか？
• 必要な機能: どのようなジェスチャーを検出する必要がありますか？

具体的な例

以下に、具体的な例をいくつか示します。

• ジェスチャー認識がアプリケーションの中核機能である場合: カスタムジェスチャー実装は、アプリケーションの特定のニーズに完全に沿ったジェスチャー処理を実装できるため、最良の選択となる可能性があります。
• 複雑なデスクトップアプリケーションの場合: QPanGestureクラスは、より多くのジェスチャーと詳細な情報へのアクセスを提供するため、より良い選択となる可能性があります。
• シンプルなモバイルアプリケーションの場合: QSwipeGestureクラスは、スワイプジェスチャーを検出するための簡単な方法を提供するため、適切な選択となる可能性があります。