Qt GUIでテキストレイアウトを極める!QStaticText::setText()とQTextOptionの連携技


QStaticText::setText()は、Qt GUIライブラリにおけるQStaticTextクラスのメソッドの一つで、QStaticTextオブジェクトに表示するテキストを設定するために使用されます。QStaticTextは、テキストとレイアウト情報を事前に計算してキャッシュすることで、テキスト描画処理を効率化する機能を提供します。

メソッドの詳細

void QStaticText::setText(const QString &text);

このメソッドは、QString型の引数textを必要とし、QStaticTextオブジェクトに表示するテキスト内容を設定します。テキストが変更された場合、レイアウト情報も再計算されるため、描画処理のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

QStaticText staticText;
staticText.setText("Hello, World!");

// ...

painter.drawStaticText(position, staticText);

この例では、QStaticTextオブジェクトを作成し、setText()メソッドを使用して"Hello, World!"というテキストを設定しています。その後、drawStaticText()メソッドを使用して、painterオブジェクトにstaticTextオブジェクトを描画しています。

  • QStaticTextは、QPainter::drawText()よりもパフォーマンスが優れている場合がありますが、常にそうとは限りません。
  • テキストのレイアウトをカスタマイズしたい場合は、QTextOptionクラスを使用して設定することができます。
  • QStaticTextは、テキストが頻繁に変更されない場合にのみ使用するのが効率的です。
  • 本解説は、Qt GUI 6.7.2を対象としています。他のバージョンでは、メソッド名や引数の型などが異なる場合があります。


例1: 基本的な使用

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QStaticText>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.setText("Hello, World!");

  QPainter painter(&label);
  QStaticText staticText(label.text());
  staticText.setTextFormat(Qt::TextFormat::Bold);

  painter.drawStaticText(label.rect(), staticText);

  label.show();

  return app.exec();
}

この例では、QLabelウィジェットに"Hello, World!"というテキストを表示するコードです。QStaticTextオブジェクトを作成し、setText()メソッドを使用してテキストを設定しています。その後、drawStaticText()メソッドを使用して、painterオブジェクトにstaticTextオブジェクトを描画しています。

例2: テキストオプションの設定

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QStaticText>
#include <QTextOption>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.setText("Hello, World!");

  QPainter painter(&label);
  QStaticText staticText(label.text());

  QTextOption textOption;
  textOption.setAlignment(Qt::AlignCenter);
  staticText.setTextOption(textOption);

  painter.drawStaticText(label.rect(), staticText);

  label.show();

  return app.exec();
}

この例は、QStaticTextオブジェクトのテキスト配置を中央揃えにするコードです。QTextOptionオブジェクトを作成し、setAlignment()メソッドを使用して配置を設定しています。その後、setTextOption()メソッドを使用して、staticTextオブジェクトにtextOptionオブジェクトを設定しています。

例3: カスタムフォントの設定

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QStaticText>
#include <QFont>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.setText("Hello, World!");

  QPainter painter(&label);
  QStaticText staticText(label.text());

  QFont font("Arial", 16);
  staticText.setFont(font);

  painter.drawStaticText(label.rect(), staticText);

  label.show();

  return app.exec();
}

この例は、QStaticTextオブジェクトにカスタムフォントを設定するコードです。QFontオブジェクトを作成し、フォントファミリーとサイズを設定しています。その後、setFont()メソッドを使用して、staticTextオブジェクトにfontオブジェクトを設定しています。



QPainter::drawText()を使用する

QPainter::drawText()は、より汎用性の高いテキスト描画メソッドであり、QStaticText以外にも様々なテキストオブジェクトに適用できます。QStaticTextと異なり、レイアウト情報を事前に計算する必要がないため、テキストが頻繁に変更される場合などに効率的です。

QPainter painter(&widget);
painter.drawText(position, text);

QLabelを使用する

QLabelは、テキストを表示するためのQt GUIウィジェットです。QStaticTextよりもシンプルで軽量な方法でテキストを表示したい場合に適しています。QLabelは、テキストだけでなく、フォント、色、配置などの書式設定も容易に行うことができます。

QLabel label(text);
label.setParent(widget);
label.setGeometry(position, size);

QTextDocumentを使用する

QTextDocumentは、より複雑なテキストレイアウトを扱う場合に適しています。段落、見出し、リスト、画像などの要素を含むリッチテキストを構築することができます。

QTextDocument document;
document.setHtml(text);

QPainter painter(&widget);
painter.drawRenderText(position, document);

カスタム描画を使用する

上記の方法がすべて不適切な場合は、独自の描画ルーチンを実装することができます。これは、高度なカスタマイズが必要な場合や、パフォーマンスが非常に重要な場合に役立ちます。

void paintEvent(QPaintEvent *event) {
  QPainter painter(this);

  // テキストの描画処理
}

選択の指針

どの方法を選択するかは、状況によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。

  • パフォーマンス: パフォーマンスが非常に重要な場合は、カスタム描画を使用する必要があります。
  • カスタマイズ性: 高度なカスタマイズが必要な場合は、カスタム描画を使用する必要があります。
  • 変更頻度: テキストが頻繁に変更される場合は、QPainter::drawText()が効率的です。
  • テキストの複雑さ: シンプルなテキストの場合は、QPainter::drawText()QLabelが適しています。リッチテキストの場合は、QTextDocumentを使用する必要があります。
  • 各方法にはそれぞれ長所と短所があります。最適な方法は、個々のニーズによって異なります。