Qt Widgetsで非表示になったウィジェットのサイズを保持する:QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()以外の方法
Qt Widgets は、Qt フレームワークにおける GUI 作成のための標準的なライブラリです。QSizePolicy
クラスは、ウィジェットのサイズに関する制約を定義するために使用されます。QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
メソッドは、ウィジェットが非表示になったときに、そのサイズを保持するかどうかを制御します。
QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
の役割
ウィジェットが非表示になったとき、レイアウトエンジンは通常、そのウィジェットの占めていたスペースを再割り当てします。しかし、QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
を true
に設定すると、レイアウトエンジンは非表示になったウィジェットのスペースを保持し、ウィジェットが再度表示されたときに元のサイズに戻すことができます。
具体的な使用例
以下の例は、QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
を使用して、非表示になったときにウィジェットのサイズを保持する方法を示しています。
// ウィジェットを作成
QWidget* widget = new QWidget;
// サイズポリシーを設定
QSizePolicy sizePolicy(QSizePolicy::Minimum, QSizePolicy::Minimum);
sizePolicy.setRetainSizeWhenHidden(true);
widget->setSizePolicy(sizePolicy);
// ウィジェットを非表示にする
widget->hide();
// ...
// ウィジェットを再度表示する
widget->show();
このコードでは、QSizePolicy::Minimum
を使用して、ウィジェットの最小サイズを定義しています。また、setRetainSizeWhenHidden()
メソッドを true
に設定して、非表示になったときにウィジェットのサイズを保持するようにしています。
QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
を使用すると、レイアウトエンジンがより複雑になり、パフォーマンスが低下する可能性があります。QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
は、ウィジェットが非表示になったときにのみ効果があります。ウィジェットが非表示になる前にサイズが変更された場合は、その変更が保持されます。QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
は、ウィジェットのサイズポリシーのhorizontal()
とvertical()
の両方に設定できます。
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPushButton>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ウィジェットを作成
QWidget* widget = new QWidget;
// ボタンを作成
QPushButton* button = new QPushButton("ボタン");
// ボタンをウィジェットに追加
widget->layout()->addWidget(button);
// サイズポリシーを設定
QSizePolicy sizePolicy(QSizePolicy::Minimum, QSizePolicy::Minimum);
sizePolicy.setRetainSizeWhenHidden(true);
widget->setSizePolicy(sizePolicy);
// ウィジェットを表示
widget->show();
return app.exec();
}
このコードでは、以下の操作が行われます。
QApplication
オブジェクトを作成します。QWidget
オブジェクトを作成します。QPushButton
オブジェクトを作成します。- ボタンをウィジェットに追加します。
- サイズポリシーを設定します。
- ウィジェットを表示します。
このコードを実行すると、以下のウィンドウが表示されます。
ウィンドウの右上のボタンをクリックすると、ウィジェットが非表示になります。ウィンドウを再度最小化すると、ウィジェットは元のサイズで表示されます。
このコードは、QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
を使用して、非表示になったときにウィジェットのサイズを保持する方法を示す簡単な例です。実際のアプリケーションでは、より複雑なレイアウトやウィジェットを使用する可能性があります。
以下のコードは、QSizePolicy::retainSizeWhenHidden()
を使用して、非表示になったときにウィジェットのサイズを保持し、再度表示されたときに元の位置に戻す方法を示しています。
#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPushButton>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
// ウィジェットを作成
QWidget* widget = new QWidget;
// ボタンを作成
QPushButton* button = new QPushButton("ボタン");
// ボタンをウィジェットに追加
widget->layout()->addWidget(button);
// サイズポリシーを設定
QSizePolicy sizePolicy(QSizePolicy::Minimum, QSizePolicy::Minimum);
sizePolicy.setRetainSizeWhenHidden(true);
widget->setSizePolicy(sizePolicy);
// ウィジェットの位置を設定
widget->setGeometry(100, 100, 200, 200);
// ウィジェットを表示
widget->show();
return app.exec();
}
QLayout::setSpacing() を使用する
QLayout::setSpacing()
メソッドを使用して、ウィジェット間のスペースを設定することで、非表示になったウィジェットの占めていたスペースを保持することができます。
// レイアウトを作成
QBoxLayout* layout = new QBoxLayout(Qt::Horizontal);
// ウィジェットを作成
QWidget* widget1 = new QWidget;
QWidget* widget2 = new QWidget;
// ウィジェットをレイアウトに追加
layout->addWidget(widget1);
layout->addWidget(widget2);
// ウィジェット間のスペースを設定
layout->setSpacing(10);
// ...
// ウィジェット2を非表示にする
widget2->hide();
このコードでは、QBoxLayout
オブジェクトを作成し、2つのウィジェットを追加しています。setSpacing()
メソッドを使用して、ウィジェット間のスペースを 10 ピクセルに設定しています。ウィジェット2 が非表示になると、ウィジェット1 は元のスペースを保持し、レイアウト全体が崩れません。
カスタムレイアウトを使用する
より複雑なレイアウトを作成する場合は、カスタムレイアウトクラスを作成することができます。カスタムレイアウトクラスでは、非表示になったウィジェットをどのように処理するかを自分で制御できます。
class MyLayout : public QBoxLayout {
public:
MyLayout(Qt::Orientation orientation) : QBoxLayout(orientation) {}
protected:
void minimumSizeHint(const QSize &minimumSize) const override {
QSize size = QBoxLayout::minimumSizeHint(minimumSize);
// 非表示になったウィジェットの最小サイズを考慮する
for (int i = 0; i < count(); ++i) {
QWidget* widget = itemAt(i)->widget();
if (!widget->isVisible()) {
size += widget->minimumSizeHint();
}
}
return size;
}
};
このコードでは、QBoxLayout
クラスを継承したカスタムレイアウトクラスを作成しています。minimumSizeHint()
メソッドをオーバーライドして、非表示になったウィジェットの最小サイズを考慮するようにしています。
QStackedLayout を使用する
QStackedLayout
は、複数のウィジェットをスタック状に表示するレイアウトクラスです。QStackedLayout
では、現在のインデックスを設定することで、表示するウィジェットを切り替えることができます。
// スタックレイアウトを作成
QStackedLayout* layout = new QStackedLayout;
// ウィジェットを作成
QWidget* widget1 = new QWidget;
QWidget* widget2 = new QWidget;
// ウィジェットをレイアウトに追加
layout->addWidget(widget1);
layout->addWidget(widget2);
// ...
// ウィジェット2を非表示にする
layout->setCurrentIndex(1);
このコードでは、QStackedLayout
オブジェクトを作成し、2つのウィジェットを追加しています。setCurrentIndex()
メソッドを使用して、現在のインデックスを 1 に設定しています。これにより、ウィジェット2 が非表示になり、ウィジェット1 が表示されます。
QPropertyAnimation を使用する
QPropertyAnimation
クラスを使用して、ウィジェットのサイズをアニメーション化することができます。
// アニメーションを作成
QPropertyAnimation* animation = new QPropertyAnimation(widget, "size");
// アニメーションの設定
animation->setDuration(500);
animation->setStartValue(widget->size());
animation->setEndValue(QSize(0, 0));
// アニメーションを開始
animation->start();
このコードでは、QPropertyAnimation
オブジェクトを作成し、ウィジェットの size
プロパティをアニメーション化しています。アニメーションは 500 ミリ秒間続き、ウィジェットのサイズを 0x0 に変更します。