Qt GUI でフォントを自在に操る: QPaintEngineState::font() とその代替方法

使用方法

QPaintEngineState::font() メソッドを使用するには、まず QPaintEngineState オブジェクトを取得する必要があります。これは、QPainter オブジェクトの painterEngine() メソッドを使用して取得できます。

QPaintEngineState *state = painter->painterEngine()->state();

次に、state オブジェクトの font() メソッドを呼び出すことで、現在のフォント情報にアクセスできます。

QFont font = state->font();

取得された QFont オブジェクトには、フォントファミリ、サイズ、スタイルなどの情報が含まれています。これらの情報を使用して、テキストを描画したり、フォントを他の目的で使用したりすることができます。

例

次の例は、QPaintEngineState::font() を使用して、現在のフォント情報を取得し、その情報をコンソールに出力する方法を示しています。

QPainter painter;
QPaintEngineState *state = painter->painterEngine()->state();
QFont font = state->font();

qDebug() << "Font family:" << font.family();
qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
qDebug() << "Font style:" << font.style();

QPaintEngineState::font() メソッドは、ペイントエンジンの現在のフォント情報のみを取得します。フォントを変更するには、QPainter オブジェクトの setFont() メソッドを使用する必要があります。

#include <QApplication>
#include <QPainter>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // ウィジェットを作成
    QWidget widget;
    widget.show();

    // ペイントイベントハンドラを設定
    widget.installEventFilter(new PaintEventFilter);

    return app.exec();
}

class PaintEventFilter : public QObject {
public:
    bool eventFilter(QObject *obj, QEvent *event) override {
        if (event->type() == QEvent::Paint) {
            // ペイントイベントを取得
            QPaintEvent *paintEvent = static_cast<QPaintEvent *>(event);

            // ペイントエンジンを取得
            QPainter painter(paintEvent->painter());
            QPaintEngineState *state = painter->painterEngine()->state();

            // フォント情報取得
            QFont font = state->font();

            // フォント情報をコンソールに出力
            qDebug() << "Font family:" << font.family();
            qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
            qDebug() << "Font style:" << font.style();
        }

        return QObject::eventFilter(obj, event);
    }
};

説明

main() 関数は Qt アプリケーションを作成し、ウィジェットを表示します。
PaintEventFilter クラスは、ウィジェットのペイントイベントを処理するために使用されます。
eventFilter() メソッドは、ペイントイベントが発生したときに呼び出されます。
ペイントイベントからペイントエンジンを取得し、その状態オブジェクトを取得します。
font() メソッドを使用して、現在のフォント情報を取得します。
取得されたフォント情報 (フォントファミリ、サイズ、スタイル) をコンソールに出力します。

実行方法

上記コードをコンパイルして実行すると、ウィジェットが表示され、コンソールに現在のフォント情報が出力されます。

コードを実行するには、Qt ライブラリがインストールされている必要があります。
このコードは、Qt GUI の基本的な使用方法を示すものです。より複雑なアプリケーションでは、異なる方法で QPaintEngineState::font() メソッドを使用する必要があります。

QPainter::font()` メソッド

QPainter::font() メソッドは、現在のペインターで使用されているフォント情報を取得します。この方法は、QPaintEngineState::font() メソッドよりもシンプルで、多くの場合で十分な情報を得ることができます。

利点

ペイントエンジンの状態に依存しない
シンプルで使いやすい

欠点

ペイントエンジンの状態を変更したい場合は使用できない
ペイントエンジンの現在の状態ではなく、ペインターで使用されているフォントのみを取得する

例

QPainter painter;
QFont font = painter->font();

qDebug() << "Font family:" << font.family();
qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
qDebug() << "Font style:" << font.style();

QPainter::textFont()` メソッド

QPainter::textFont() メソッドは、現在のペインターで使用されているテキストフォント情報を取得します。この方法は、テキストを描画する場合に役立ちます。

利点

フォントスタイルやサイズなどの詳細な情報が取得できる
テキストを描画する場合に特化している

欠点

ペイントエンジンの状態を変更したい場合は使用できない
ペイントエンジンの現在の状態ではなく、ペインターで使用されているテキストフォントのみを取得する

例

QPainter painter;
QFont font = painter->textFont();

qDebug() << "Font family:" << font.family();
qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
qDebug() << "Font style:" << font.style();

QTextDocument::font()` メソッド

QTextDocument::font() メソッドは、指定されたテキストフォーマットで使用されているフォント情報を取得します。この方法は、リッチテキストを描画する場合に役立ちます。

利点

フォントスタイル、サイズ、色などの詳細な情報が取得できる
リッチテキストを描画する場合に特化している

欠点

ペイントエンジンの状態を変更したい場合は使用できない
ペイントエンジンの現在の状態ではなく、指定されたテキストフォーマットで使用されているフォントのみを取得する

例

QTextDocument document;
QTextFormat format;

// テキストフォーマットを設定
format.setFont(QFont("Arial", 12, QFont::Bold));

// テキストを追加
document.setPlainText("Hello, World!");

// フォント情報取得
QFont font = document.font(format);

qDebug() << "Font family:" << font.family();
qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
qDebug() << "Font style:" << font.style();

カスタムロジック

上記のいずれの方法も適切でない場合は、カスタムロジックを使用してフォント情報を取得する必要があります。

利点

複雑な状況にも対応できる
必要な情報のみを取得できる

欠点

デバッグが困難になる
コードが複雑になる

// カスタムロジックを使用してフォント情報を取得
QFont font = getFontFromCustomLogic();

qDebug() << "Font family:" << font.family();
qDebug() << "Font size:" << font.pointSize();
qDebug() << "Font style:" << font.style();