Qt GUI で壁紙やテクスチャを描く：QPainter::drawTiledPixmap() の代替方法

基本的な構文

void QPainter::drawTiledPixmap(const QRect &targetRect, const QPixmap &pixmap);

引数

pixmap: 敷き詰めるピクセルマップオブジェクト
targetRect: ピクセルマップを敷き詰める領域を定義するQRectオブジェクト

動作

targetRect の大きさに合わせて、pixmap を繰り返し複製します。
複製したピクセルマップを、targetRect 内に隙間なく敷き詰めます。
ピクセルマップの境界を超える部分は描画されません。

例

QRect targetRect(0, 0, 200, 100);
QPixmap pixmap("wallpaper.png");

QPainter painter(&widget);
painter.drawTiledPixmap(targetRect, pixmap);

この例では、"wallpaper.png" というピクセルマップを、幅200ピクセル、高さ100ピクセルの領域に敷き詰めて描画します。

高解像度ディスプレイでは、pixmap のデバイスピクセル比を考慮して描画されます。
QPainter の変換設定は、drawTiledPixmap() にも適用されます。
pixmap のサイズが targetRect のサイズよりも大きい場合、pixmap の一部のみが targetRect 内に描画されます。
pixmap のサイズが targetRect のサイズよりも小さい場合、pixmap は繰り返し複製され、targetRect 全体を覆うまで敷き詰められます。

QPainter::drawTiledPixmap() の利点

コードがシンプルで分かりやすい
壁紙やテクスチャなどの表現に適している
大面積を効率的に描画できる

高解像度ディスプレイでは、pixmap のデバイスピクセル比を考慮する必要がある
繰り返しパターンの継ぎ目が目立つ場合がある
ピクセルマップのサイズが大きすぎると、パフォーマンスが低下する可能性がある

例 1: 壁紙を描画

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPixmap>

class WallpaperWidget : public QLabel {
public:
    WallpaperWidget(const QString &fileName) {
        QPixmap pixmap(fileName);
        if (pixmap.isNull()) {
            return;
        }

        setFixedSize(pixmap.size());
    }

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
        QPainter painter(this);
        painter.drawTiledPixmap(rect(), pixmap);
    }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    WallpaperWidget widget("wallpaper.png");
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードは、"wallpaper.png" というピクセルマップを、ウィジェットのサイズにに合わせて敷き詰めて描画します。

例 2: テクスチャを描画

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPixmap>

class TextureWidget : public QLabel {
public:
    TextureWidget(const QString &fileName) {
        QPixmap pixmap(fileName);
        if (pixmap.isNull()) {
            return;
        }

        setFixedSize(pixmap.size());
    }

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
        QPainter painter(this);

        // テクスチャを回転させる
        painter.setRenderHint(QPainter::Antialiasing);
        painter.rotate(45);

        painter.drawTiledPixmap(rect(), pixmap);
    }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    TextureWidget widget("texture.png");
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードは、"texture.png" というピクセルマップを、ウィジェットのサイズにに合わせて敷き詰め、45度回転させて描画します。

例 3: 変換設定を適用

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPainter>
#include <QPixmap>

class TransformedWidget : public QLabel {
public:
    TransformedWidget(const QString &fileName) {
        QPixmap pixmap(fileName);
        if (pixmap.isNull()) {
            return;
        }

        setFixedSize(pixmap.size());
    }

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
        QPainter painter(this);

        // ピクセルマップを拡大縮小する
        painter.scale(2, 2);

        // ピクセルマップを移動する
        painter.translate(50, 50);

        painter.drawTiledPixmap(rect(), pixmap);
    }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    TransformedWidget widget("wallpaper.png");
    widget.show();

    return app.exec();
}

このコードは、"wallpaper.png" というピクセルマップを、2倍に拡大縮小し、(50, 50) の位置に移動させて描画します。

これらの例は、QPainter::drawTiledPixmap() の基本的な使用方法を示しています。より複雑な描画を行う場合は、QPainter の他の機能と組み合わせて使用することができます。

Qt のバージョンによって、API の仕様が異なる場合があります。最新の情報は、Qt の公式ドキュメントを参照してください。
上記のコードはあくまで例であり、実際の用途に合わせて変更する必要があります。

QPainter::drawPixmap() を繰り返し呼び出す

void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
    QPainter painter(this);

    QPixmap pixmap("wallpaper.png");
    int width = pixmap.width();
    int height = pixmap.height();

    for (int x = 0; x < width * 2; x += width) {
        for (int y = 0; y < height * 2; y += height) {
            painter.drawPixmap(x, y, pixmap);
        }
    }
}

この方法は、QPainter::drawTiledPixmap() とほぼ同じ効果を得ることができますが、コードが冗長になり、処理速度が遅くなる可能性があります。

利点

コードが比較的単純

欠点

処理速度が遅い
コードが冗長

QGLWidget を使用する

class WallpaperWidget : public QGLWidget {
public:
    WallpaperWidget() {
        setFixedSize(200, 100);
    }

protected:
    void paintGL() override {
        QPixmap pixmap("wallpaper.png");
        glBindTexture(GL_TEXTURE_2D, 0);

        glTexImage2D(GL_TEXTURE_2D, 0, GL_RGB, pixmap.width(), pixmap.height(), 0, GL_RGB, GL_UNSIGNED_BYTE, pixmap.bits());

        glEnable(GL_TEXTURE_2D);
        glBegin(GL_QUADS);
            glTexCoord2f(0.0f, 0.0f); glVertex2f(0.0f, 0.0f);
            glTexCoord2f(1.0f, 0.0f); glVertex2f(200.0f, 0.0f);
            glTexCoord2f(1.0f, 1.0f); glVertex2f(200.0f, 100.0f);
            glTexCoord2f(0.0f, 1.0f); glVertex2f(0.0f, 100.0f);
        glEnd();
        glDisable(GL_TEXTURE_2D);
    }
};

この方法は、OpenGL を使用してピクセルマップをテクスチャとして描画します。処理速度が速く、高解像度ディスプレイにも対応できますが、OpenGL の知識が必要になります。

利点

滑らかな描画
高解像度ディスプレイに対応
処理速度が速い

欠点

コードが複雑
OpenGL の知識が必要

QImage を使用する

void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
    QPainter painter(this);

    QImage image("wallpaper.png");
    image = image.scaled(width(), height(), Qt::KeepAspectRatio);

    for (int x = 0; x < width; x += image.width()) {
        for (int y = 0; y < height; y += image.height()) {
            painter.drawImage(x, y, image);
        }
    }
}

この方法は、QImage を使用してピクセルマップを描画します。QPainter::drawTiledPixmap() よりも柔軟性が高く、さまざまな効果を適用することができますが、処理速度が遅くなる可能性があります。

利点

さまざまな効果を適用できる
柔軟性が高い

欠点

処理速度が遅い

void paintEvent(QPaintEvent *event) override {
    QPainter painter(this);

    QSvgRenderer renderer("wallpaper.svg");
    renderer.setRenderHints(QPainter::Antialiasing, true);

    for (int x = 0; x < width; x += renderer.viewBox().size().width()) {
        for (int y = 0; y < height; y += renderer.viewBox().size().height()) {
            painter.translate(x, y);
            renderer.render(painter);
            painter.translate(-x, -y);
        }
    }
}

Qt GUIにおける線描画の極意：QPainter::drawLine()を使いこなす

Qt GUIは、C++ベースのクロスプラットフォームなGUI開発フレームワークです。QPainterは、Qt GUIにおける描画操作を司る重要なクラスです。その中でも、QPainter::drawLine()関数は、最も基本的な描画機能の一つとして、線を描画するために使用されます。

【応用例満載】Qt GUIプログラミング：QPainter::drawPoint()を駆使して点描画をマスター

QPainter::drawPoint() は、Qt GUI プログラミングにおいて、指定された座標に点を描画するための関数です。これは、最も基本的な描画操作の一つであり、様々なグラフィカル表現の基盤となります。関数詳細この関数は、QPoint 型の引数 point を受け取り、その座標 (point

Qt GUIで三角形を描画：QPainter::drawPolygon()徹底解説

QPainter::drawPolygon() 関数は、Qt GUIアプリケーションでポリゴンを描画するために使用されます。ポリゴンとは、一連の点で接続された閉じた形状です。この関数は、ペイントデバイス上にポリゴンの輪郭を描画します。構文パラメータ

Qt GUIで折れ線を描く：QPainter::drawPolyline()の使い方とサンプルコード

QPainter::drawPolyline()は、Qt GUIライブラリで提供される関数の一つであり、複数の点を繋いで折れ線を描くために使用されます。これは、線画や図形の描画など、様々なグラフィック表現において重要な役割を果たします。構文

【初心者向け】Qt GUI: drawStaticText() を使ってテキストを描画しよう

Qt GUIライブラリには、2Dグラフィックス描画機能を提供するQPainterクラスがあります。QPainterクラスには、様々な描画操作を行うためのメソッドが用意されており、その中にはテキスト描画のためのdrawText()メソッドとdrawStaticText()メソッドがあります。

Qt GUI で壁紙やテクスチャを描く：QPainter::drawTiledPixmap() の代替方法

引数pixmap: 敷き詰めるピクセルマップオブジェクトtargetRect: ピクセルマップを敷き詰める領域を定義するQRectオブジェクト動作targetRect の大きさに合わせて、pixmap を繰り返し複製します。複製したピクセルマップを、targetRect 内に隙間なく敷き詰めます。

Qt GUI プログラミングにおける QPainter::end() 関数の役割と使い方

QPainter::begin() 関数は、描画処理を開始するために使用されます。この関数は、描画対象となるデバイス (例: ウィジェット、ウィンドウ、オフスクリーン画像) と描画オプション (例: ペン、ブラシ、変換マトリックス) を指定します。

【初心者向け】Qt GUIの透明度表現：サンプルコードで理解するQPainter::opacity()

Qt GUIライブラリのQPainterクラスは、様々なグラフィック要素を描画するための機能を提供します。その中でもQPainter::opacity()メソッドは、描画される要素の透明度を設定するための重要な機能です。このメソッドを活用することで、半透明な要素を描画したり、重ね合わせ効果を表現したりすることができます。

Qt GUIで複雑な描画を実現！QPainter::save()とQPainter::restore()をマスターしよう

クリッピングパス描画される領域を制限するために使用されます。変換描画されるオブジェクトを回転、移動、拡大縮小する際に使用されます。ブラシ塗りつぶしの色、パターンなどを設定します。ペン線の色、太さ、スタイルなどを設定します。これらの設定は、ペインタオブジェクトを使用する間に変更されることがよくあります。例えば、ある部分だけ別の色で描画したい場合、その部分だけペンとブラシを変更してから描画し、その後元の設定に戻す必要があります。

【初心者向け】Qt GUIでブラシの原点を設定して描画をもっと自由に！QPainter::setBrushOrigin()チュートリアル

QPainter::setBrushOrigin() は、Qt GUIにおける描画操作において、ブラシの原点を設定するための関数です。ブラシは、図形の内側を塗りつぶすために使用されるパターンや色を定義します。ブラシの原点は、ブラシのパターンがどのように配置されるかを決定します。