【初心者向け】Qt GUI: drawStaticText() を使ってテキストを描画しよう

Qt GUIライブラリには、2Dグラフィックス描画機能を提供するQPainterクラスがあります。QPainterクラスには、様々な描画操作を行うためのメソッドが用意されており、その中にはテキスト描画のためのdrawText()メソッドとdrawStaticText()メソッドがあります。

drawText()メソッド

drawText()メソッドは、指定されたテキストを指定された位置に描画します。このメソッドは、テキスト描画の基本的な操作に使用できますが、テキストの内容やレイアウトが頻繁に変更される場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。

drawStaticText()メソッド

drawStaticText()メソッドは、テキストの内容やレイアウトが頻繁に変更されない場合に、drawText()メソッドよりも効率的にテキストを描画するために使用されます。このメソッドは、テキストの内容とレイアウトを事前に準備しておき、描画時にその情報を再利用することで、パフォーマンスを向上させます。

drawStaticText()メソッドの利点

テキスト描画のパフォーマンスを向上させ、アプリケーション全体の応答速度を改善できる
テキストの内容やレイアウトが頻繁に変更されない場合に、drawText()メソッドよりも効率的にテキストを描画できる

drawStaticText()メソッドの注意点

アフィン変換以外の変換はサポートされていない
テキストの内容やレイアウトを変更する場合は、prepare()メソッドを呼び出して、新しい情報に基づいてレイアウトを再計算する必要がある

drawStaticText()メソッドの使用例

QStaticText text("Hello, World!");
text.prepare();

QPainter painter(&widget);
painter.drawStaticText(10, 20, text);

この例では、"Hello, World!"というテキストを(10, 20)という位置に描画します。prepare()メソッドは、テキストの内容とレイアウトに基づいてレイアウトを計算します。

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>
#include <QtGui/QStaticText>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QPainter painter(&label);
  painter.setPen(Qt::black);

  // 矩形を描画
  painter.drawRect(10, 10, 80, 50);

  // テキストを描画
  QStaticText text("Hello, World!");
  text.prepare();
  painter.drawStaticText(100, 30, text);

  label.show();

  return app.exec();
}

例2：テキストを回転させて描画

この例では、"Hello, World!"というテキストを45度回転させて描画します。

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>
#include <QtGui/QStaticText>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QPainter painter(&label);
  painter.setPen(Qt::black);

  // テキストを45度回転
  painter.translate(100, 50);
  painter.rotate(45);

  QStaticText text("Hello, World!");
  text.prepare();
  painter.drawStaticText(0, 0, text);

  label.show();

  return app.exec();
}

例3：テキストの色とフォントを設定

この例では、"Hello, World!"というテキストの色とフォントを設定して描画します。

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>
#include <QtGui/QStaticText>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QPainter painter(&label);

  // テキストの色を設定
  painter.setPen(Qt::red);

  // テキストのフォントを設定
  QFont font("Arial", 24);
  painter.setFont(font);

  QStaticText text("Hello, World!");
  text.prepare();
  painter.drawStaticText(20, 40, text);

  label.show();

  return app.exec();
}

QTextLayout クラス

QTextLayout クラスは、より複雑なテキストレイアウトを作成するために使用できます。QTextLayout クラスを使用すると、段落、インデント、タブ、行間隔などの書式設定をテキストに適用することができます。

利点

テキストを複数行に分割できる
書式設定をテキストに適用できる
より複雑なテキストレイアウトを作成できる

欠点

メモリ使用量が多くなる
QPainter::drawStaticText() よりも処理速度が遅い

例

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>
#include <QtGui/QTextLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QTextLayout layout;
  layout.setText("Hello, World!\nThis is a multi-line text.");

  QPainter painter(&label);
  painter.setPen(Qt::black);

  layout.draw(&painter, QRect(10, 10, 180, 80));

  label.show();

  return app.exec();
}

QTextImage クラス

QTextImage クラスは、テキストを画像に変換するために使用できます。QTextImage クラスを使用すると、テキストの外観を完全に制御することができます。

利点

テキストを他のアプリケーションで使用できる
テキストを画像として保存できる
テキストの外観を完全に制御できる

欠点

メモリ使用量が多くなる
QPainter::drawStaticText() よりも処理速度が遅い

例

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>
#include <QtGui/QTextImage>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QTextImage image("Hello, World!");
  image.setColor(Qt::black);
  image.setFont(QFont("Arial", 24));

  QPainter painter(&label);
  painter.drawImage(10, 10, image);

  label.show();

  return app.exec();
}

カスタム描画

QPainter::drawStaticText() 以外の方法でテキストを描画したい場合は、カスタム描画を行うことができます。カスタム描画は、より多くの柔軟性と制御を提供しますが、より複雑なコードを書く必要があります。

利点

他の描画操作と組み合わせることができる
テキスト描画を完全に制御できる

欠点

パフォーマンスが低下する可能性がある
コードが複雑になる

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QLabel>
#include <QtGui/QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label;
  label.resize(200, 100);

  QPainter painter(&label);
  painter.setPen(Qt::black);

  // カスタム描画コード
  for (int i = 0; i < 10; i++) {
    painter.drawText(20 + i * 20, 50, "Hello");
  }

  label.show();

  return app.exec();
}