Qt GUI:ウィジェットの移動を検知してウィジェットのサイズを更新する方法 - QMoveEvent::pos()の例


QMoveEvent::pos() は、Qt GUI プログラミングにおいて、ウィジェットが移動された新しい位置を取得するための重要な関数です。この関数は、ウィジェットの移動を検知し、それに応じた処理を行う際に役立ちます。

機能

QMoveEvent::pos() は、QPoint 型の値を返します。この値は、ウィジェットの左上角の座標を表します。座標は、ウィジェットの親ウィジェット座標系に対する相対的な位置を示します。

使用方法

QMoveEvent::pos() は、QWidget::moveEvent() メソッド内で使用されます。このメソッドは、ウィジェットが移動されたときに呼び出されます。

void QWidget::moveEvent(QMoveEvent *event)
{
    QPoint newPos = event->pos();
    // 新しい位置に基づいて処理を行う
}

以下の例は、ウィジェットが移動されたときに、新しい位置をログに記録する方法を示しています。

void MyWidget::moveEvent(QMoveEvent *event)
{
    QPoint newPos = event->pos();
    qDebug() << "Widget moved to:" << newPos;
}
  • ウィジェットがウィンドウシステムによって移動された場合、QMoveEvent が発行されない場合があります。
  • トップレベルウィジェットの場合、QMoveEvent::pos() はウィンドウフレームを除いた位置を返します。
  • setAccepted() メソッドを使用して、イベントが処理されたかどうかを明示的に設定できます。
  • isAccepted() メソッドを使用して、イベントが処理されたかどうかを確認できます。
  • QMoveEvent::oldPos() 関数は、ウィジェットが移動された前の位置を取得します。


例 1: ウィジェットが移動されたときに新しい位置をログに記録する

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void moveEvent(QMoveEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::moveEvent(QMoveEvent *event)
{
    QPoint newPos = event->pos();
    qDebug() << "Widget moved to:" << newPos;
}

例 2: ウィジェットが移動されたときにウィジェットのサイズを更新する

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void moveEvent(QMoveEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::moveEvent(QMoveEvent *event)
{
    QPoint newPos = event->pos();
    QSize newSize = size();

    // ウィジェットのサイズを更新
    newSize.setWidth(newPos.x() + width());
    newSize.setHeight(newPos.y() + height());
    resize(newSize);
}

例 3: ウィジェットが移動されたときにウィジェットを中央揃えにする

class MyWidget : public QWidget
{
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void moveEvent(QMoveEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent)
{
}

void MyWidget::moveEvent(QMoveEvent *event)
{
    QPoint newPos = event->pos();
    QRect screenRect = QGuiApplication::desktop()->screenGeometry();

    // ウィジェットを中央揃えにする
    int x = (screenRect.width() - width()) / 2;
    int y = (screenRect.height() - height()) / 2;
    move(x, y);
}

これらの例は、QMoveEvent::pos() 関数の使用方法を理解するための出発点として役立ちます。具体的なニーズに合わせてコードを調整することができます。

  • これらの例では、イベントハンドラー内で event->accept() を呼び出してイベントを処理しています。これは、イベントが処理されたことを示します。


geometry() メソッド

geometry() メソッドは、ウィジェットの現在のジオメトリ (位置とサイズ) を QRect 型の値として返します。この値を使用して、ウィジェットの左上角の座標を取得することができます。

QPoint newPos = widget->geometry().topLeft();

利点

  • シンプルで分かりやすい

欠点

  • 移動イベントが発生していない場合でも使用できるため、常に最新の位置を反映しているわけではない
  • ウィジェットのフレームを含めた位置を返す

frameGeometry() メソッド

frameGeometry() メソッドは、ウィジェットのフレームを含めた現在のジオメトリを QRect 型の値として返します。この値を使用して、ウィジェットの左上角の座標を取得することができます。

QPoint newPos = widget->frameGeometry().topLeft();

利点

  • フレームを含めた位置を返す

欠点

  • 移動イベントが発生していない場合でも使用できるため、常に最新の位置を反映しているわけではない
  • geometry() メソッドよりも複雑

mapToParent() メソッド

mapToParent() メソッドは、ウィジェットの座標を親ウィジェット座標系に変換します。この方法を使用して、ウィジェットの親ウィジェットに対する相対的な位置を取得することができます。

QPoint newPos = widget->mapToParent(widget->pos());

利点

  • 親ウィジェット座標系に対する相対的な位置を返す

欠点

  • ウィジェットが親ウィジェットを持たない場合、この方法は使用できません

ウィジェットのプロパティにアクセスする

ウィジェットのプロパティに直接アクセスして、その位置を取得することもできます。ただし、この方法は非推奨であり、将来の Qt バージョンで動作しなくなる可能性があります。

int x = widget->x();
int y = widget->y();
QPoint newPos(x, y);

利点

  • シンプルで分かりやすい

欠点

  • フレームを含めた位置を返さない
  • 非推奨であり、将来の Qt バージョンで動作しなくなる可能性がある

QMoveEvent::pos() は、ウィジェットの新しい位置を取得するための最も一般的な方法ですが、状況によっては上記の代替方法の方が適している場合があります。どの方法を使用するかは、具体的なニーズと要件によって異なります。

  • 実際のコードでは、適切な名前の変数を使用する必要があります。
  • 上記の例では、widget という変数が移動されたウィジェットを表します。