QMenuBar::paintEvent() メソッドの解説とサンプルコード
QMenuBar は、Qt Widgets ライブラリで提供される、アプリケーションウィンドウの上部に配置されるメニューバーを作成するためのクラスです。paintEvent() メソッドは、QMenuBar ウィジェットの外観を更新するために呼び出される仮想関数です。このメソッドをオーバーライドすることで、メニューバーの外観をカスタマイズすることができます。
paintEvent() メソッドの役割
paintEvent() メソッドは、QPaintEvent オブジェクトを引数として受け取ります。このオブジェクトには、更新が必要な領域に関する情報が含まれています。paintEvent() メソッド内では、QPainter オブジェクトを使用して、メニューバーの背景、メニュー項目、アイコンなどを描画します。
paintEvent() メソッドの例
void QMenuBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
// ペインタを取得
QPainter painter(this);
// メニューバーの背景を描画
painter.setBrush(palette().base());
painter.drawRect(rect());
// メニュー項目を描画
for (int i = 0; i < menus().size(); ++i) {
QMenu *menu = menus().at(i);
QRect rect = menu->menuRect();
painter.setPen(palette().text());
painter.drawText(rect.center(), Qt::AlignCenter, menu->title());
}
}
この例では、paintEvent() メソッド内で、メニューバーの背景とメニュー項目を描画しています。背景はベースカラーで塗りつぶし、メニュー項目はテキストカラーで中央揃えに描画されています。
paintEvent() メソッドのカスタマイズ
paintEvent() メソッドをオーバーライドすることで、メニューバーの外観を自由にカスタマイズすることができます。例えば、以下のようなカスタマイズが可能です。
- メニュー項目の配置を変更する
- メニュー項目にアイコンを追加する
- メニュー項目のフォントやサイズを変更する
- メニューバーの背景色やグラデーションを変更する
注意事項
paintEvent() メソッドをオーバーライドする場合は、以下の点に注意する必要があります。
- 描画処理は、ウィジェットのスタイルシートと矛盾しないようにする必要があります。
- 描画処理は、できるだけ効率的に行う必要があります。
- 描画処理は、イベントループ内で実行される必要があります。
#include <QApplication>
#include <QMenuBar>
#include <QMenu>
class MyMenuBar : public QMenuBar
{
public:
MyMenuBar(QWidget *parent = nullptr);
protected:
void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};
MyMenuBar::MyMenuBar(QWidget *parent) : QMenuBar(parent)
{
// メニューを追加
QMenu *fileMenu = new QMenu(this);
fileMenu->addAction("新規作成");
fileMenu->addAction("開く");
fileMenu->addAction("保存");
fileMenu->addAction("終了");
addMenu(fileMenu);
QMenu *editMenu = new QMenu(this);
editMenu->addAction("元に戻す");
editMenu->addAction("やり直す");
editMenu->addAction("切り取り");
editMenu->addAction("コピー");
editMenu->addAction("貼り付け");
addMenu(editMenu);
}
void MyMenuBar::paintEvent(QPaintEvent *event)
{
// ペインタを取得
QPainter painter(this);
// メニューバーの背景を描画
painter.setBrush(QColor(0, 0, 255)); // 青色
painter.drawRect(rect());
// メニュー項目を描画
for (int i = 0; i < menus().size(); ++i) {
QMenu *menu = menus().at(i);
QRect rect = menu->menuRect();
painter.setPen(palette().text());
painter.setFont(QFont("Arial", 16)); // フォントサイズ 16pt
painter.drawText(rect.center(), Qt::AlignCenter, menu->title());
}
}
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication app(argc, argv);
MyMenuBar menuBar;
menuBar.show();
return app.exec();
}
このコードを実行すると、次のようなメニューバーが表示されます。
この例はあくまでも基本的な例であり、paintEvent() メソッドを使用して、さらに複雑なカスタマイズを行うことも可能です。
- メニュー項目のテキストを描画するために、
painter.drawText()関数を使用しています。 - メニュー項目のフォントサイズを設定するために、
painter.setFont()関数を使用しています。 - メニューバーの背景色を設定するために、
painter.setBrush()関数を使用しています。
代替方法
- スタイルシートを使用する
スタイルシートは、Qt Widgets アプリケーションの外観をカスタマイズするための強力なツールです。QMenuBar には、さまざまなプロパティを設定するためのスタイルシートプロパティが用意されています。例えば、次のようなスタイルシートを使用して、メニューバーの背景色を変更することができます。
QMenuBar {
background-color: blue;
}
また、スタイルシートを使用して、メニュー項目のフォント、サイズ、アイコンなどを設定することもできます。
メリット
- クロスプラットフォーム対応
- メンテナンスが容易
- コードが簡潔で読みやすい
デメリット
- 動的なスタイル変更には不向き
- 複雑なカスタマイズには不向き
- QStyle を使用する
QStyle クラスは、Qt Widgets アプリケーションの外観を制御するための API を提供します。QMenuBar には、さまざまなスタイルプロパティを設定するための QStyle メソッドが用意されています。例えば、次のようなコードを使用して、メニューバーの背景色を変更することができます。
QMenuBar menuBar;
menuBar.setStyle(new QFusionStyle());
menuBar.setBackgroundColor(QColor(0, 0, 255)); // 青色
メリット
- 動的なスタイル変更に対応
- 複雑なカスタマイズに対応
デメリット
- クロスプラットフォーム対応でない場合がある
- メンテナンスが難しい場合がある
- コードが冗長になる可能性がある
- カスタムウィジェットを使用する
QMenuBar を完全に置き換えるために、カスタムウィジェットを作成することもできます。この方法を使用すると、メニューバーの外観と動作を完全に制御することができます。
メリット
- 複雑なカスタマイズに対応
- 完全な制御が可能
- デバッグが難しい
- コードが複雑になる
- 開発量が多くなる