【初心者向け】Qt WidgetsでMDIエリアを操作：QMdiArea::activateNextSubWindow()メソッド完全解説

QMdiArea::activateNextSubWindow()メソッドは、Qt Widgetsライブラリで提供されるQMdiAreaクラスのメソッドであり、現在アクティブなサブウィンドウから次のサブウィンドウへとフォーカスを移動させるために使用されます。このメソッドは、MDIエリア内に複数のサブウィンドウが存在する場合に、効率的にナビゲーションを行うために役立ちます。

メソッドの動作

activateNextSubWindow()メソッドを呼び出すと、以下の処理が行われます。

現在アクティブなサブウィンドウが特定されます。
アクティブなサブウィンドウの次のサブウィンドウが決定されます。
次のサブウィンドウが存在する場合、そのサブウィンドウがアクティブ化されます。
次のサブウィンドウが存在しない場合、処理は終了します。

サブウィンドウの順序は、QMdiArea::WindowOrderプロパティによって決定されます。このプロパティは、CreationOrder、ActivationOrder、TabOrderのいずれかの値に設定することができます。

TabOrder
サブウィンドウがタブウィジェットに表示されている場合、タブの順序で並べられます。
ActivationOrder
サブウィンドウが最後にアクティブ化された順序で並べられます。
CreationOrder
デフォルトの順序であり、サブウィンドウが作成された順序で並べられます。

メソッドの利点

activateNextSubWindow()メソッドを使用する利点は次のとおりです。

コードが簡潔になり、読みやすくなります。
マウス操作に頼らずに、サブウィンドウを操作することができます。
キーボードショートカットを使用して、サブウィンドウ間を迅速に移動することができます。

メソッドの例

以下のコード例は、activateNextSubWindow()メソッドを使用して、MDIエリア内のサブウィンドウ間をキーボードショートカットで移動する方法を示しています。

void MainWindow::on_nextSubWindow_triggered()
{
  mdiArea->activateNextSubWindow();
}

このコードでは、nextSubWindowというアクションがトリガーされると、mdiAreaオブジェクトのactivateNextSubWindow()メソッドが呼び出されます。これにより、現在アクティブなサブウィンドウから次のサブウィンドウへとフォーカスが移動します。

QMdiArea::activateNextSubWindow()メソッドは、Qt Widgetsライブラリで提供される便利なメソッドであり、MDIエリア内のサブウィンドウ間を効率的にナビゲーションすることができます。このメソッドを活用することで、ユーザーインターフェースの使いやすさを向上させることができます。

QMdiArea::subWindowList()メソッドは、MDIエリア内に存在するすべてのサブウィンドウのリストを取得するために使用されます。
QMdiArea::setActiveSubWindow()メソッドは、特定のサブウィンドウをアクティブ化するために使用されます。
QMdiArea::activatePreviousSubWindow()メソッドは、activateNextSubWindow()メソッドと同様に、現在アクティブなサブウィンドウから前のサブウィンドウへとフォーカスを移動させるために使用されます。

#include <QApplication>
#include <QMdiArea>
#include <QMainWindow>
#include <QTextEdit>

class MainWindow : public QMainWindow
{
public:
    MainWindow()
    {
        mdiArea = new QMdiArea;
        setCentralWidget(mdiArea);

        createSubWindows();

        connect(mdiArea, &QMdiArea::subWindowActivated, this, &MainWindow::onSubWindowActivated);
    }

private:
    void createSubWindows()
    {
        for (int i = 0; i < 3; ++i)
        {
            QTextEdit *textEdit = new QTextEdit;
            textEdit->setWindowTitle(QString("SubWindow %1").arg(i + 1));
            mdiArea->addSubWindow(textEdit);
        }
    }

    void onSubWindowActivated(QMdiSubWindow *subWindow)
    {
        if (subWindow)
        {
            statusBar()->showMessage(QString("SubWindow %1 activated").arg(subWindow->windowTitle()));
        }
    }

signals:
    void nextSubWindowTriggered();

public slots:
    void on_nextSubWindow_triggered()
    {
        mdiArea->activateNextSubWindow();
    }

private:
    QMdiArea *mdiArea;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    MainWindow mainWindow;
    mainWindow.show();

    QAction *nextSubWindowAction = new QAction(QIcon(":/icons/next.png"), "&Next", &mainWindow);
    nextSubWindowAction->setShortcut(QKeySequence::QKeySequence(Qt::Key_N, Qt::Modifier::Control));
    connect(nextSubWindowAction, &QAction::triggered, &mainWindow, &MainWindow::on_nextSubWindow_triggered);

    mainWindow.menuBar()->addAction(nextSubWindowAction);

    return app.exec();
}

コードの説明

このコードは、以下の手順で動作します。

MainWindowクラスが作成されます。
mdiAreaオブジェクトが作成され、中央ウィジェットとして設定されます。
createSubWindows()関数が呼び出され、3つのサブウィンドウがMDIエリアに追加されます。
subWindowActivatedシグナルが、onSubWindowActivated()スロットに接続されます。
nextSubWindowActionというアクションが作成され、nextSubWindowというメニュー項目に追加されます。
nextSubWindowActionがトリガーされると、on_nextSubWindow_triggered()スロットが呼び出されます。
on_nextSubWindow_triggered()スロットでは、mdiArea->activateNextSubWindow()メソッドが呼び出され、現在アクティブなサブウィンドウから次のサブウィンドウへとフォーカスが移動します。

実行方法

このコードを実行するには、以下の手順が必要です。

Qt Creatorなどの統合開発環境を使用して、プロジェクトを作成します。
上記のコードをプロジェクトに追加します。
プロジェクトをビルドして実行します。

動作確認

コードを実行すると、以下のようになります。

ステータスバーには、現在アクティブなサブウィンドウのタイトルが表示されます。
「Next」メニュー項目をクリックするか、Ctrl + Nキーを押すと、現在アクティブなサブウィンドウから次のサブウィンドウへとフォーカスが移動します。
メニューバーに「Next」というメニュー項目が表示されます。
3つのサブウィンドウがMDIエリアに表示されます。

カスタマイズ

このコードは、ニーズに合わせてカスタマイズすることができます。たとえば、以下のことができます。

ステータスバーに表示する情報を変更する
キーボードショートカットを変更する
サブウィンドウの数と内容を変更する

QMdiArea::activateNextSubWindow()メソッドは、MDIエリア内のサブウィンドウ間を効率的にナビゲーションするために役立ちますが、状況によっては代替方法の方が適している場合があります。以下では、activateNextSubWindow()の代替方法として考えられるいくつかの方法をご紹介します。

サブウィンドウのリストを直接操作する

QMdiArea::subWindowList()メソッドを使用して、MDIエリア内に存在するすべてのサブウィンドウのリストを取得することができます。このリストを操作することで、特定のサブウィンドウをアクティブ化することができます。

QList<QMdiSubWindow *> subWindowList = mdiArea->subWindowList();

// 特定のインデックスのサブウィンドウをアクティブ化
int index = 2;
if (index < subWindowList.size())
{
    subWindowList.at(index)->activate();
}

この方法は、特定のサブウィンドウを直接アクティブ化したい場合に有効です。

キーボードショートカットをカスタマイズする

activateNextSubWindow()メソッドは、デフォルトでCtrl + Nキーに割り当てられています。このショートカットキーを変更することで、他のキーに割り当てることができます。

QAction *nextSubWindowAction = new QAction(QIcon(":/icons/next.png"), "&Next", this);
nextSubWindowAction->setShortcut(QKeySequence(Qt::Key_N, Qt::Modifier::Control));
connect(nextSubWindowAction, &QAction::triggered, this, &MainWindow::on_nextSubWindow_triggered);

// ショートカットキーを変更
nextSubWindowAction->setShortcut(QKeySequence(Qt::Key_Right));

この方法は、ユーザーの好みに合わせてショートカットキーをカスタマイズしたい場合に有効です。

カスタムシグナルとスロットを使用する

activateNextSubWindow()メソッドを使用する代わりに、カスタムシグナルとスロットを使用して、サブウィンドウ間のナビゲーションを制御することができます。

class MainWindow : public QMainWindow
{
public:
    MainWindow()
    {
        mdiArea = new QMdiArea;
        setCentralWidget(mdiArea);

        createSubWindows();

        connect(this, &MainWindow::nextSubWindow, mdiArea, &QMdiArea::activateNextSubWindow);
    }

private:
    void createSubWindows()
    {
        for (int i = 0; i < 3; ++i)
        {
            QTextEdit *textEdit = new QTextEdit;
            textEdit->setWindowTitle(QString("SubWindow %1").arg(i + 1));
            mdiArea->addSubWindow(textEdit);
        }
    }

signals:
    void nextSubWindow();

public slots:
    void on_nextSubWindow_triggered()
    {
        emit nextSubWindow();
    }

private:
    QMdiArea *mdiArea;
};

この方法は、より柔軟なナビゲーションロジックを実装したい場合に有効です。

サブウィンドウのタブを使用する

MDIエリア内にサブウィンドウのタブを表示する場合は、タブをクリックすることでサブウィンドウを切り替えることができます。

QMdiSubWindow *subWindow = new QTextEdit;
subWindow->setWindowTitle("SubWindow");
mdiArea->addSubWindow(subWindow);

// サブウィンドウをタブに追加
mdiArea->addSubWindow(subWindow, Qt::SubWindowMode::AddToTab);

この方法は、MDIエリア内のサブウィンドウを視覚的に整理したい場合に有効です。