Qt Widgetsでドラッグ操作の性能を向上させる：QListView::startDrag()のパフォーマンスチューニング

QListView::startDrag() メソッドは、QListView ウィジェット内のアイテムをドラッグ操作を開始するために使用されます。ドラッグ操作は、マウスのボタンを押してアイテムをクリックし、その後マウスを移動することで開始されます。

メソッドの詳細

void QListView::startDrag(Qt::DropActions supportedActions);

引数

supportedActions: ドラッグ操作でサポートされるドロップアクションをビットマスクで指定します。可能な値は以下の通りです。
- Qt::CopyAction: アイテムのコピーを許可します。
- Qt::MoveAction: アイテムの移動を許可します。
- Qt::LinkAction: アイテムのリンクを作成することを許可します。
- Qt::NoDropAction: ドラッグ操作を許可しません。

戻り値

なし

使用方法

QListView::startDrag() メソッドは、QListView ウィジェットの mousePressEvent() メソッド内で通常呼び出されます。このメソッドは、ドラッグ操作を開始するために必要な情報を設定します。

例

void MyListView::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
    if (event->button() == Qt::LeftButton) {
        QModelIndex index = indexAt(event->pos());
        if (index.isValid()) {
            startDrag(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
        }
    }
}

この例では、QListView ウィジェットの左ボタンがクリックされたときに、startDrag() メソッドが呼び出されます。このメソッドは、indexAt() メソッドを使用してマウスカーソル下のアイテムのインデックスを取得し、そのインデックスが有効であるかどうかを確認します。有効な場合は、supportedActions 引数に Qt::CopyAction と Qt::MoveAction を指定して startDrag() メソッドを呼び出し、ドラッグ操作を開始します。

ドラッグ操作の外観をカスタマイズするには、QDrag オブジェクトの setPixmap() メソッドや setMimeData() メソッドを使用できます。
QListView::startDrag() メソッドは、ドラッグ操作の開始のみを処理します。ドラッグ操作中のアイテムの移動やドロップ処理は、QMimeData オブジェクトと QDrag オブジェクトを使用して行う必要があります。

上記以外にも、QListView ウィジェットのドラッグ操作に関する情報は以下の通りです。

setRowHidden() メソッド: 行を表示または非表示にします。
isRowHidden() メソッド: 行が非表示かどうかを確認します。
setDropIndicatorPosition() メソッド: ドロップインジケータの位置を設定します。
setDragDropMode() メソッド: ドラッグ操作のモードを設定します。

#include <QApplication>
#include <QListView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QMimeData>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // モデルを作成
    QStandardItemModel model;
    for (int i = 0; i < 10; ++i) {
        QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("Item %1").arg(i));
        model.appendRow(item);
    }

    // リストビューを作成
    QListView listView;
    listView.setModel(&model);

    // ドラッグ開始イベントハンドラを接続
    QObject::connect(&listView, &QListView::mousePressEvent,
                      &listView, &MyListView::mousePressEvent);

    // ウィジェットを表示
    listView.show();

    return app.exec();
}

void MyListView::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
    if (event->button() == Qt::LeftButton) {
        QModelIndex index = indexAt(event->pos());
        if (index.isValid()) {
            startDrag(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);

            // ドラッグデータを作成
            QMimeData *mimeData = new QMimeData;
            mimeData->setText(index.data().toString());

            // ドラッグを開始
            QDrag drag(this);
            drag.setMimeData(mimeData);
            drag.exec(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
        }
    }
}

このコードでは、以下の処理が行われます。

QStandardItemModel オブジェクトを作成し、10 個のアイテムを追加します。
QListView オブジェクトを作成し、モデルを設定します。
mousePressEvent() メソッドを QListView オブジェクトの mousePressEvent シグナルに接続します。
mousePressEvent() メソッド内で、左ボタンがクリックされたときに、startDrag() メソッドを使用してドラッグ操作を開始します。
ドラッグデータを作成し、QDrag オブジェクトを使用してドラッグを開始します。

代替方法

QAbstractItemModel::dataChanged() シグナルを使用する

アイテムのデータが変更されたとき、QAbstractItemModel::dataChanged() シグナルを発行して、ビューに更新を通知することができます。ビューは、このシグナルを処理して、必要に応じてドラッグ操作を開始することができます。

void MyModel::setData(const QModelIndex &index, const QVariant &value,
                      const Qt::ItemFlags &flags)
{
    QAbstractItemModel::setData(index, value, flags);

    // データ変更シグナルを発行
    emit dataChanged(index, index);
}

この例では、MyModel クラスの setData() メソッドで、データ変更シグナルを発行しています。ビューは、このシグナルを処理して、ドラッグ操作を開始することができます。

QDrag オブジェクトを直接作成する

QDrag オブジェクトを直接作成して、ドラッグ操作を開始することもできます。この方法は、より柔軟な制御が必要な場合に役立ちます。

void MyListView::mousePressEvent(QMouseEvent *event)
{
    if (event->button() == Qt::LeftButton) {
        QModelIndex index = indexAt(event->pos());
        if (index.isValid()) {
            // ドラッグデータを作成
            QMimeData *mimeData = new QMimeData;
            mimeData->setText(index.data().toString());

            // ドラッグを開始
            QDrag drag(this);
            drag.setMimeData(mimeData);
            drag.exec(Qt::CopyAction | Qt::MoveAction);
        }
    }
}

この例では、QListView オブジェクトの mousePressEvent() メソッド内で、QDrag オブジェクトを直接作成してドラッグ操作を開始しています。

どちらの方法を選択するべきか

どの方法を選択するかは、状況によって異なります。

ドラッグ操作をより詳細に制御したい場合
QAbstractItemModel::dataChanged() シグナルを使用するか、QDrag オブジェクトを直接作成する必要があります。
シンプルなドラッグ操作の場合
QListView::startDrag() メソッドを使用するのが最も簡単です。

ドラッグ操作のドロップ処理を行うには、QDropEvent シグナルを処理する必要があります。
ドラッグ操作の外観をカスタマイズするには、QDrag オブジェクトの setPixmap() メソッドや setMimeData() メソッドを使用できます。