【保存版】Qt GUIにおけるアクセシブルオブジェクトの状態取得：QAccessibleInterface::state()の使い方

QAccessibleInterface::state() メソッドは、Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシブルオブジェクトの現在の状態を取得するために使用されます。アクセシブルオブジェクトとは、スクリーンリーダーや点字ディスプレイなどの補助技術によって利用できる、ユーザーインタラクション可能な要素を指します。

状態フラグ

QAccessibleInterface::state() メソッドは、QAccessible::State 型の値を返します。この型は、ビットフラグの集合であり、オブジェクトの状態を表すさまざまな情報を含みます。主な状態フラグは以下の通りです。

QAccessible::State::Checked
オブジェクトがチェックされているかどうかを示します。
QAccessible::State::Hidden
オブジェクトが隠されているかどうかを示します。
QAccessible::State::Pressed
オブジェクトが押されているかどうかを示します。
QAccessible::State::Selected
オブジェクトが選択されているかどうかを示します。
QAccessible::State::Focused
オブジェクトがフォーカスされているかどうかを示します。
QAccessible::State::Enabled
オブジェクトが有効かどうかを示します。

使用方法

QAccessibleInterface::state() メソッドを使用するには、まずアクセシブルオブジェクトを取得する必要があります。これは、QAccessibleInterface::role() メソッドや QAccessibleInterface::findChild() メソッドなどのメソッドを使用して行うことができます。

アクセシブルオブジェクトを取得したら、QAccessibleInterface::state() メソッドを呼び出してその状態を取得できます。メソッドの戻り値は QAccessible::State 型であり、オブジェクトの状態を表すビットフラグの集合です。

例

以下の例は、QAccessibleInterface::state() メソッドを使用して、ボタンの状態を取得する方法を示しています。

QAccessibleInterface *button = accessibleInterfaceAt(QPoint(100, 100));
if (button && button->isValid()) {
    QAccessible::State state = button->state();
    if (state & QAccessible::State::Enabled) {
        qDebug() << "Button is enabled";
    }
    if (state & QAccessible::State::Focused) {
        qDebug() << "Button is focused";
    }
    if (state & QAccessible::State::Selected) {
        qDebug() << "Button is selected";
    }
    if (state & QAccessible::State::Pressed) {
        qDebug() << "Button is pressed";
    }
}

QAccessibleInterface::state() メソッドは、アクセシブルオブジェクトの状態を非同期的に取得します。つまり、メソッドを呼び出した直後に状態が変化する可能性があります。確実に最新の状態を取得するには、QAccessibleInterface::updateAccessibleInterface() メソッドを呼び出して、オブジェクトの状態を更新する必要があります。

#include <QApplication>
#include <QAccessible>
#include <QPushButton>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QPushButton button("Button");
    button.show();

    QAccessibleInterface *buttonAccessibleInterface = QAccessible::accessibleInterface(&button);
    if (buttonAccessibleInterface && buttonAccessibleInterface->isValid()) {
        while (true) {
            QAccessible::State state = buttonAccessibleInterface->state();

            qDebug() << "Button state:";
            if (state & QAccessible::State::Enabled) {
                qDebug() << "  Enabled";
            }
            if (state & QAccessible::State::Focused) {
                qDebug() << "  Focused";
            }
            if (state & QAccessible::State::Selected) {
                qDebug() << "  Selected";
            }
            if (state & QAccessible::State::Pressed) {
                qDebug() << "  Pressed";
            }

            QThread::sleep(1000);
        }
    }

    return app.exec();
}

このコードを実行すると、ボタンがクリックされたり、フォーカスされたり、隠されたりすると、ログメッセージが出力されます。

return app.exec(); は、Qt アプリケーションを実行します。
} は、無限ループを終了します。
QThread::sleep(1000); は、1秒間スリープします。
qDebug() << " Enabled"; は、ボタンが有効であることを示すログメッセージを出力します。
if (state & QAccessible::State::Enabled) { は、ボタンが有効かどうかを確認します。
qDebug() << "Button state:"; は、ログメッセージを出力して、ボタンの状態のラベルを付けます。
QAccessible::State state = buttonAccessibleInterface->state(); は、ボタンの状態を取得します。
while (true) { は、無限ループを開始します。
if (buttonAccessibleInterface && buttonAccessibleInterface->isValid()) { は、アクセシブルインターフェースが取得できたかどうかを確認し、有効かどうかを確認します。
QAccessibleInterface *buttonAccessibleInterface = QAccessible::accessibleInterface(&button); は、ボタンのアクセシブルインターフェースを取得します。
button.show(); は、ボタンを表示します。
QPushButton button("Button"); は、ボタンを作成し、そのテキストを "Button" に設定します。
QApplication app(argc, argv); は、Qt アプリケーションオブジェクトを作成します。
#include <QPushButton> は、QPushButton クラスのヘッダーファイルをインクルードします。
#include <QApplication> と #include <QAccessible> は、Qt GUI アプリケーションに必要なヘッダーファイルをインクルードします。

ログメッセージをより詳細にするようにコードを拡張できます。
ボタンの状態に基づいてアクションを実行するようにコードを拡張できます。
他のアクセシブルオブジェクトの状態を取得するようにコードを拡張できます。

特定の状態フラグのみを取得する

QAccessibleInterface::state() メソッドは、オブジェクトの状態を表すビットフラグの集合を返します。しかし、特定の状態フラグのみを取得したい場合は、QAccessibleInterface クラスの他のメソッドを使用する方が効率的です。

例えば、ボタンがフォーカスされているかどうかを確認したい場合は、QAccessibleInterface::isFocused() メソッドを使用できます。このメソッドは、ボタンがフォーカスされているかどうかを示すブール値を返します。

QAccessibleInterface *buttonAccessibleInterface = QAccessible::accessibleInterface(&button);
if (buttonAccessibleInterface && buttonAccessibleInterface->isValid()) {
    if (buttonAccessibleInterface->isFocused()) {
        qDebug() << "Button is focused";
    }
}

オブジェクトの状態の変化を監視する

例えば、ボタンがクリックされたときにアクションを実行したい場合は、QAccessibleInterface::stateChanged() シグナルに接続できます。このシグナルは、ボタンの状態が変化したときに送信されます。

QAccessibleInterface *buttonAccessibleInterface = QAccessible::accessibleInterface(&button);
if (buttonAccessibleInterface && buttonAccessibleInterface->isValid()) {
    connect(buttonAccessibleInterface, &QAccessibleInterface::stateChanged, this, &MyClass::onStateChanged);
}

MyClass::onStateChanged() スロットは、ボタンの状態が変化したときに呼び出されます。このスロット内で、ボタンの状態に基づいてアクションを実行できます。

void MyClass::onStateChanged(QAccessibleInterface *interface) {
    QAccessible::State state = interface->state();
    if (state & QAccessible::State::Pressed) {
        qDebug() << "Button was clicked";
    }
}

より詳細な状態情報にアクセスする

例えば、ボタンのテキストを取得したい場合は、QAccessibleValueInterface インターフェースを使用できます。このインターフェースは、ボタンのテキストを含む値プロパティを提供します。

QAccessibleInterface *buttonAccessibleInterface = QAccessible::accessibleInterface(&button);
if (buttonAccessibleInterface && buttonAccessibleInterface->isValid()) {
    QAccessibleValueInterface *valueInterface = QAccessibleInterface::as<QAccessibleValueInterface>(buttonAccessibleInterface);
    if (valueInterface) {
        QString text = valueInterface->currentValue().toString();
        qDebug() << "Button text: " << text;
    }
}