Qt GUIアクセシビリティ：テーブルセルの行数取得に役立つ「QAccessibleTableCellInterface::rowExtent()」

QAccessibleTableCellInterface::rowExtent() 関数は、Qt GUIにおけるアクセシビリティ機能の一つとして、アクセシブルなテーブルセルが占める行数を返します。この関数は、視覚障がい者などのユーザーがテーブル構造を理解し、操作できるようにするために重要です。

詳細

QAccessibleTableCellInterface クラスは、IAccessibleTable2 Cell インターフェースを実装し、アクセシブルなテーブルセルの情報を提供します。rowExtent() 関数は、このクラスの仮想関数の一つであり、以下の情報を返します。

セルが占める行数

この情報は、スクリーンリーダーなどの補助技術によって、ユーザーに読み上げられたり、画面表示されたりします。

#include <QAccessibleTableCellInterface>

// ...

QAccessibleInterface *cell = table->cellAt(row, column);
QAccessibleTableCellInterface *tableCell = cell->asInterface<QAccessibleTableCellInterface>();
int rowExtent = tableCell->rowExtent();

// rowExtent 変数には、セルの行数が格納されます。

アクセシビリティ機能は、Qt GUI アプリケーションをより多くのユーザーにとって利用しやすくするために重要です。QAccessibleTableCellInterface クラスのようなクラスを活用することで、開発者はアクセシブルなテーブルセルを作成し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
QAccessibleTableCellInterface クラスには、rowExtent() 関数以外にも、columnExtent(), columnHeaderCells(), columnIndex(), isSelected(), rowIndex(), table() などの仮想関数があります。これらの関数は、それぞれセルの列数、列ヘッダーセル、列インデックス、選択状態、行インデックス、所属テーブルに関する情報を提供します。

#include <QApplication>
#include <QAccessibleTableCellInterface>
#include <QTableView>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // テーブルウィジェットを作成
  QTableView tableView;
  tableView.setModel(new QStandardItemModel(10, 5));

  // セルをクリックして、行数を取得
  QModelIndex index = tableView.selectionModel()->currentIndex();
  QAccessibleInterface *cell = tableView.model()->data(index, Qt::UserRole);
  QAccessibleTableCellInterface *tableCell = cell->asInterface<QAccessibleTableCellInterface>();
  int rowExtent = tableCell->rowExtent();

  // 取得した行数を表示
  qDebug() << "行数:" << rowExtent;

  // テーブルウィジェットを表示
  tableView.show();

  return app.exec();
}

QApplication オブジェクトを作成し、アプリケーションイベントループを開始します。
QTableView オブジェクトを作成し、標準モデルを設定します。
ユーザーがセルをクリックしたときに、選択されたセルの行インデックスを取得します。
行インデックスに基づいて、アクセシブルなセルインターフェースを取得します。
rowExtent() 関数を呼び出して、セルの行数を取得します。
取得した行数をコンソールに出力します。
テーブルウィジェットを表示します。

アクセシビリティ機能を正しく実装するには、QAccessible クラスや QAccessibleInterface クラスなどの他のクラスも使用する必要があります。

セルが複数の行にまたがる場合は、正確な行数を返しません。
セルの行数が 1 以上の場合はのみ有効です。

これらの制限を回避するために、以下の代替方法を検討することができます。

セルの行インデックスとテーブル行数を取得する

QModelIndex index = table->selectionModel()->currentIndex();
int rowIndex = index.row();
int rowCount = table->model()->rowCount();

// セルが占める行数は、rowIndex から rowCount を引いた値になります。
int rowExtent = rowCount - rowIndex;

セルのコンテンツ領域の高さを取得する

QAccessibleInterface *cell = table->cellAt(row, column);
QRectF cellRect = cell->rect();
int rowExtent = cellRect.height();

セルのコンテンツを解析する

QModelIndex index = table->selectionModel()->currentIndex();
QVariant data = table->model()->data(index);

// セルのコンテンツが複数行の場合は、行数をカウントします。
if (data.canConvert<QString>()) {
  QString text = data.value<QString>();
  QStringList lines = text.split("\n");
  int rowExtent = lines.size();
}

セルのコンテンツが複数行にまたがる場合、上記の代替方法は正確な行数を返さない場合があります。
上記の代替方法は、状況によっては QAccessibleTableCellInterface::rowExtent() 関数よりもパフォーマンスが低下する可能性があります。