アクセシビリティを Qt GUI アプリケーションに実装：QAccessibleInterface::setText() を使いこなす

QAccessibleInterface::setText() 関数は、Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシビリティ機能の重要な要素です。この関数は、アクセシブルオブジェクトのテキストプロパティを設定するために使用されます。アクセシブルオブジェクトとは、スクリーンリーダーなどの補助技術によって認識および操作できるユーザーインターフェース要素です。

機能

setText() 関数は、以下の 2 つの引数を受け取ります。

• text: 設定するテキスト文字列。
• t: 設定するテキストプロパティの種類。QAccessible::Text 型の列挙体で定義されており、Name、Description、Value などの値が含まれます。

この関数は、指定されたテキストプロパティを text で指定された値に設定します。ただし、すべてのオブジェクトがテキストプロパティの書き込みをサポートしているわけではないことに注意する必要があります。多くのオブジェクトでは、テキストプロパティは読み取り専用であり、setText() 関数を呼び出しても効果がない場合があります。

例

QAccessibleInterface *iface = accessibleInterface();
iface->setText(QAccessible::Name, "My Button");

この例では、iface という名前のアクセシブルインターフェースオブジェクトの Name テキストプロパティを "My Button" という文字列に設定しています。

アクセシビリティの重要性

アクセシビリティは、すべてのユーザーがアプリケーションを操作できるようにするために不可欠です。QAccessibleInterface::setText() などの関数は、開発者がアクセシブルなアプリケーションを作成するための重要なツールを提供します。

• アクセシブルな Web サイト: 視覚障害を持つユーザーを含むすべてのユーザーが利用できる Web サイトです。
• スクリーンリーダー: 視覚障害を持つユーザーがコンピューターを操作するために使用するソフトウェアです。
• Qt Accessibility Framework: Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシビリティ機能を提供するフレームワークです。

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例 1: ボタンのテキストを設定する

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QPushButton>
#include <QtAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPushButton button("My Button");
  button.show();

  QAccessibleInterface *iface = button.accessibleInterface();
  iface->setText(QAccessible::Name, "My Accessible Button");

  return app.exec();
}

この例では、My Button というラベルのボタンを作成し、My Accessible Button という名前のアクセシブルな名前を設定します。

例 2: プログレスバーの値を設定する

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QProgressBar>
#include <QtAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QProgressBar progressBar;
  progressBar.setValue(50);
  progressBar.show();

  QAccessibleInterface *iface = progressBar.accessibleInterface();
  iface->setText(QAccessible::Value, "50%");

  return app.exec();
}

この例では、50% の値を持つプログレスバーを作成し、50% というアクセシブルな値を設定します。

例 3: カスタムウィジェットのテキストを設定する

#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QWidget>
#include <QtAccessible>

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget() {
    setAccessibleInterface(new MyAccessibleInterface(this));
  }
};

class MyAccessibleInterface : public QAccessibleInterface {
public:
  MyAccessibleInterface(QWidget *widget) : QAccessibleInterface(widget) {}

  virtual QString text(QAccessible::TextRole role) const override {
    if (role == QAccessible::Name) {
      return "My Custom Widget";
    } else {
      return QAccessibleInterface::text(role);
    }
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  MyWidget widget;
  widget.show();

  return app.exec();
}

この例では、MyCustomWidget という名前のアクセシブルな名前を持つカスタムウィジェットを作成します。

これらの例は、QAccessibleInterface::setText() 関数の使用方法を示すほんの一例です。この関数は、さまざまな種類のアクセシブルオブジェクトのテキストプロパティを設定するために使用できます。

• これらの例では、QAccessibleInterface クラスの派生クラスを使用して、カスタムウィジェットのアクセシブルなテキストを設定する方法を示しています。これは、より複雑なアクセシビリティ要件を処理する必要がある場合に役立ちます。

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QAccessible::role() と QAccessible::state() を使用する

QAccessible::role() と QAccessible::state() 関数は、オブジェクトの役割と状態を取得するために使用できます。これらの情報を組み合わせることで、オブジェクトのテキストを動的に生成することができます。

例

QAccessibleInterface *iface = accessibleInterface();
QAccessible::Role role = iface->role();

if (role == QAccessible::Button) {
  QString text = iface->text(QAccessible::Name);
  if (!text.isEmpty()) {
    text += " (";
    text += QString::number(iface->state(QAccessible::Value));
    text += "%)";
  }
  iface->setText(QAccessible::Value, text);
}

この例では、ボタンの役割を持つオブジェクトのテキストを、ボタンの名前と現在の値の組み合わせで設定します。

カスタム QAccessibleInterface クラスを作成する

より複雑なアクセシビリティ要件を処理する必要がある場合は、カスタム QAccessibleInterface クラスを作成することができます。このクラスでは、text() メソッドをオーバーライドして、オブジェクトのテキストを動的に生成することができます。

例

class MyAccessibleInterface : public QAccessibleInterface {
public:
  MyAccessibleInterface(QWidget *widget) : QAccessibleInterface(widget) {}

  virtual QString text(QAccessible::TextRole role) const override {
    if (role == QAccessible::Name) {
      return "My Custom Widget";
    } else {
      return QAccessibleInterface::text(role);
    }
  }
};

Qt Mobility Framework を使用する

Qt Mobility Framework は、Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシビリティ機能を拡張するフレームワークです。このフレームワークには、QAbstractAccessibleTableModel や QAbstractAccessibleItem などのクラスが含まれており、より複雑なアクセシビリティ要件を処理することができます。

例

#include <QtMobility/QtMobility>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QAccessibleTableModel *model = new QAccessibleTableModel(this);
  // ... (モデルを初期化する)

  QTableView tableView;
  tableView.setModel(model);
  tableView.show();

  return app.exec();
}

この例では、アクセシブルなテーブルビューを作成します。

プラットフォーム固有の API を使用する

一部のプラットフォームでは、Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシビリティ機能を拡張するためのプラットフォーム固有の API が提供されています。これらの API を使用することで、より高度なアクセシビリティ機能を実装することができます。

例

#ifdef Q_OS_WIN32
  // Windows API を使用する
#elif Q_OS_MAC
  // Cocoa API を使用する
#endif

この例では、Windows または macOS プラットフォームでプラットフォーム固有の API を使用する方法を示しています。

最適な方法の選択

QAccessibleInterface::setText() の代替方法は、状況によって異なります。シンプルなアクセシビリティ要件の場合は、QAccessible::role() と QAccessible::state() を使用する方法が最適です。より複雑なアクセシビリティ要件の場合は、カスタム QAccessibleInterface クラスを作成するか、Qt Mobility Framework またはプラットフォーム固有の API を使用する必要があります。

• これらの代替方法は、すべて QAccessibleInterface::setText() 関数よりも複雑な場合があります。