読み取り専用SpinBoxの作成と制御：Qt WidgetsにおけるQAbstractSpinBox::readOnlyプロパティの徹底解説

QAbstractSpinBox::readOnly プロパティは、QAbstractSpinBox ウィジェットが読み取り専用かどうかを制御します。読み取り専用モードでは、ユーザーは値を編集することはできませんが、クリップボードへのコピーやドラッグアンドドロップは引き続き可能です。

使用方法

QAbstractSpinBox::readOnly プロパティを設定するには、次のコードを使用します。

spinBox->setReadOnly(true);

このコードを実行すると、spinBox ウィジェットが読み取り専用モードになります。

bool isReadOnly = spinBox->isReadOnly();

このコードは、spinBox ウィジェットが読み取り専用かどうかを bool 型の変数 isReadOnly に格納します。

例

次のコードは、QAbstractSpinBox ウィジェットを作成し、読み取り専用モードに設定する方法を示しています。

QAbstractSpinBox *spinBox = new QAbstractSpinBox;
spinBox->setReadOnly(true);

このコードを実行すると、ユーザーは spinBox ウィジェットの値を編集することはできませんが、クリップボードへのコピーやドラッグアンドドロップは引き続き可能です。

QAbstractSpinBox ウィジェットを完全に無効化するには、setEnabled(false) メソッドを使用します。
QAbstractSpinBox::readOnly プロパティは、QLineEdit::readOnly プロパティと似ています。ただし、QAbstractSpinBox::readOnly プロパティは、スピンボックスのボタンも無効化します。

例 1: 読み取り専用 SpinBox の作成

#include <QApplication>
#include <QAbstractSpinBox>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // 読み取り専用 SpinBox の作成
  QAbstractSpinBox *spinBox = new QAbstractSpinBox;
  spinBox->setReadOnly(true); // 読み取り専用モードに設定
  spinBox->setValue(10); // 初期値を 10 に設定

  // ウィジェットを表示
  spinBox->show();

  return app.exec();
}

ユーザーはスピンボックスの値を編集することはできませんが、クリップボードへのコピーやドラッグアンドドロップは引き続き可能です。

#include <QApplication>
#include <QAbstractSpinBox>
#include <QPushButton>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // SpinBox とボタンの作成
  QAbstractSpinBox *spinBox = new QAbstractSpinBox;
  QPushButton *toggleButton = new QPushButton("読み取り専用/編集可能");

  // 接続
  connect(toggleButton, &QPushButton::clicked, spinBox, [spinBox]() {
    spinBox->setReadOnly(!spinBox->isReadOnly()); // 読み取り専用状態を切り替える
  });

  // レイアウト
  QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;
  layout->addWidget(spinBox);
  layout->addWidget(toggleButton);

  // ウィジェットを表示
  QWidget *widget = new QWidget;
  widget->setLayout(layout);
  widget->show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、次の画像のような SpinBox とボタンが表示されます。

ボタンをクリックすると、SpinBox の読み取り専用状態が切り替わります。

QVBoxLayout オブジェクトを使用して、spinBox と toggleButton を垂直方向に配置します。
QPushButton がクリックされたときに、spinBox->setReadOnly(!spinBox->isReadOnly()) コードが実行されます。このコードは、spinBox の現在の読み取り専用状態を反転させます。
例 2 では、QAbstractSpinBox オブジェクトと QPushButton オブジェクトを作成します。
例 1 では、QAbstractSpinBox オブジェクトを作成し、setReadOnly(true) メソッドを使用して読み取り専用モードに設定します。

QSpinBox::setButtonSymbols(QAbstractSpinButton::NoButtons)

この方法は、SpinBox のスピンボタンを非表示にすることで、ユーザーが値を編集できないようにします。ただし、クリップボードへのコピーやドラッグアンドドロップは引き続き可能です。

spinBox->setButtonSymbols(QAbstractSpinButton::NoButtons);

QAbstractSpinBox::setEnabled(false)

この方法は、SpinBox 全体を無効化することで、ユーザーが値を編集したり、スピンボタンを使用したりできないようにします。

spinBox->setEnabled(false);

QLineEdit を使用する

QLineEdit は、スピン機能のない単純なテキスト入力フィールドです。QLineEdit を使用して数値を入力フィールドを作成し、setReadOnly(true) メソッドを使用して読み取り専用にすることで、SpinBox の代替として使用できます。

QLineEdit *lineEdit = new QLineEdit;
lineEdit->setValidator(new QIntValidator(0, 100)); // 0 から 100 までの整数のみ入力可能
lineEdit->setReadOnly(true);

カスタム QSpinBox クラスを作成する

QAbstractSpinBox は継承可能なクラスであるため、独自の QSpinBox クラスを作成して、readOnly プロパティ以外の方法で読み取り専用状態を制御することができます。

例

class ReadOnlySpinBox : public QSpinBox {
public:
  ReadOnlySpinBox(QWidget *parent = nullptr);

  void setValue(int value) override {
    if (!isReadOnly()) {
      QSpinBox::setValue(value);
    }
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  ReadOnlySpinBox *spinBox = new ReadOnlySpinBox;
  spinBox->setValue(10);
  spinBox->show();

  return app.exec();
}

この例では、ReadOnlySpinBox という新しいクラスを作成しています。このクラスは QSpinBox を継承し、setValue() メソッドをオーバーライドして、読み取り専用モードでは値を変更できないようにしています。

選択方法

どの代替方法を使用するかは、状況によって異なります。

複雑な要件がある場合は、カスタム QSpinBox クラスを作成します。
スピン機能のない単純なテキスト入力フィールドが必要な場合は、QLineEdit を使用します。
SpinBox 全体を無効化する必要がある場合は、setEnabled(false) を使用します。
単にスピンボタンを非表示にするだけでよい場合は、setButtonSymbols(QAbstractSpinButton::NoButtons) を使用するのが最も簡単です。

QAbstractSpinBox には、setButtonStyle() や setSpecialValueText() などの他のプロパティもいくつかあります。これらのプロパティを使用して、SpinBox の外観や動作をさらにカスタマイズすることができます。