パフォーマンスもメモリも安心！Qt GUIのテキストレイアウト更新にQAbstractTextDocumentLayout::updateBlock()を活用

QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock() 関数は、Qt GUI において QTextDocument 内のブロックが更新された際に呼び出されるシグナルです。テキストの挿入、削除、書式設定の変更など、ブロックの内容が変更されるたびにこのシグナルが emit され、レイアウトエンジンにブロックの再レイアウトを指示します。

役割

このシグナルは、テキストレイアウトの効率的な更新を可能にする重要な役割を果たします。テキストコンテンツが頻繁に変更される場合、updateBlock() シグナルを使用することで、レイアウトエンジンが変更されたブロックのみを再計算し、全体のレイアウトを再構築する必要性を回避することができます。

メリット

• コードの簡潔化: ブロックの更新処理を個別に記述する必要がなくなり、コードが簡潔になる
• メモリ使用量の削減: 全体的なレイアウトを再構築する必要がないため、メモリ使用量を削減
• パフォーマンスの向上: レイアウトエンジンの負荷を軽減し、テキストレイアウトの更新処理を高速化

仕組み

QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock() シグナルは、QTextBlock オブジェクトを引数として渡されます。このオブジェクトには、更新されたブロックに関する情報が含まれています。レイアウトエンジンはこの情報に基づいて、ブロックのレイアウトを再計算し、画面に表示します。

例

以下のコード例は、QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock() シグナルに接続し、ブロックが更新された際にログメッセージを出力する方法を示しています。

void MyTextDocumentLayout::connectSignals() {
  connect(this, &QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock, this, &MyTextDocumentLayout::handleUpdateBlock);
}

void MyTextDocumentLayout::handleUpdateBlock(const QTextBlock &block) {
  qDebug() << "Block updated:" << block.text();
}

このコードでは、connectSignals() 関数が updateBlock() シグナルを handleUpdateBlock() スロットに接続しています。 handleUpdateBlock() スロットは、更新されたブロックのテキストをログメッセージとして出力します。

---

#include <QCoreApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextBlock>
#include <QAbstractTextDocumentLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QCoreApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument document;

  // ブロックを作成してテキストを追加
  QTextBlock block;
  block.setText("This is a block of text.");
  document.insertBlock(block);

  // レイアウトエンジンを取得
  QAbstractTextDocumentLayout *layout = document.documentLayout();

  // シグナルに接続
  connect(layout, &QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock, [](const QTextBlock &block) {
    qDebug() << "Block updated:" << block.text();
  });

  // ブロックのテキストを更新
  block.setText("This is updated text.");

  return app.exec();
}

例 2: ブロックの書式設定を更新する

#include <QCoreApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextBlock>
#include <QAbstractTextDocumentLayout>
#include <QFont>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QCoreApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument document;

  // ブロックを作成してテキストを追加
  QTextBlock block;
  block.setText("This is a block of text.");
  document.insertBlock(block);

  // レイアウトエンジンを取得
  QAbstractTextDocumentLayout *layout = document.documentLayout();

  // シグナルに接続
  connect(layout, &QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock, [](const QTextBlock &block) {
    qDebug() << "Block updated:" << block.text();
  });

  // ブロックのフォントサイズを更新
  QFont font;
  font.setPointSize(16);
  block.setFont(font);

  return app.exec();
}

例 3: ブロックを削除する

#include <QCoreApplication>
#include <QTextDocument>
#include <QTextBlock>
#include <QAbstractTextDocumentLayout>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QCoreApplication app(argc, argv);

  // テキストドキュメントを作成
  QTextDocument document;

  // ブロックを作成してテキストを追加
  QTextBlock block;
  block.setText("This is a block of text.");
  document.insertBlock(block);

  // レイアウトエンジンを取得
  QAbstractTextDocumentLayout *layout = document.documentLayout();

  // シグナルに接続
  connect(layout, &QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock, [](const QTextBlock &block) {
    qDebug() << "Block updated:" << block.text();
  });

  // ブロックを削除
  document.removeBlock(block);

  return app.exec();
}

これらの例は、QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock() シグナルの使用方法を理解するための出発点として役立ちます。具体的な実装は、個々のニーズに合わせて調整する必要があります。

• QTextBlock クラスは、QTextDocument 内のテキストブロックを表すクラスです。ブロックのテキスト、書式設定、位置などの情報にアクセスするために使用できます。
• QAbstractTextDocumentLayout クラスは、QTextDocument クラスによって内部的に使用される抽象クラスです。直接インスタンスを作成することはできません。
• 上記の例では、qDebug() 関数を使用してログメッセージを出力しています。実際のアプリケーションでは、適切なデバッグ手法を使用してシグナルの処理を確認してください。

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QTextDocument::setModified() を使用する

QTextDocument::setModified() メソッドを使用すると、ドキュメントが変更されたことを示すフラグを設定できます。レイアウトエンジンはこのフラグを検知し、必要に応じてレイアウトを再計算します。

利点

• シグナル接続の必要がない
• シンプルで使いやすい

欠点

• すべてのブロックが再レイアウトされるため、パフォーマンスが低下する可能性がある
• 個々のブロックの更新を追跡できない

例

// テキストドキュメントを取得
QTextDocument *document = ...;

// ブロックのテキストを更新
QTextBlock block = document.findBlockById(blockId);
block.setText("This is updated text.");

// ドキュメントが変更されたことを示す
document->setModified(true);

QTextBlock::setUserData() を使用する

QTextBlock::setUserData() メソッドを使用して、ブロックにカスタムデータを保存できます。レイアウトエンジンはこのデータを使用して、ブロックの更新を検知し、必要に応じてレイアウトを再計算します。

利点

• 必要なブロックのみを再レイアウトできるため、パフォーマンスが向上する
• 個々のブロックの更新を追跡できる

欠点

• シグナル接続の必要がない
• setUserData() と userData() メソッドの使用方法を理解する必要がある

例

// テキストドキュメントを取得
QTextDocument *document = ...;

// ブロックのテキストを更新
QTextBlock block = document.findBlockById(blockId);
block.setText("This is updated text.");

// ブロックが更新されたことを示すカスタムデータを保存
block.setUserData(MyBlockUpdateDataKey, true);

カスタムシグナルを使用する

独自のシグナルを作成して、ブロックが更新されたことを通知できます。レイアウトエンジンはこのシグナルをリスニングし、必要に応じてレイアウトを再計算します。

利点

• 必要なロジックをシグナルハンドラに実装できる
• 柔軟性が高い

欠点

• シグナル接続の必要
• 開発と保守が複雑になる

例

class MyTextDocumentLayout : public QAbstractTextDocumentLayout {
public:
  QSignalEmitter<const QTextBlock &> blockUpdated;

protected:
  void updateBlock(const QTextBlock &block) override {
    blockUpdated.emit(block);
    QAbstractTextDocumentLayout::updateBlock(block);
  }
};

// テキストドキュメントを作成
QTextDocument document;

// レイアウトエンジンを作成
MyTextDocumentLayout layout;
document.setDocumentLayout(&layout);

// シグナルに接続
layout.blockUpdated.connect([](const QTextBlock &block) {
  qDebug() << "Block updated:" << block.text();
});

// ブロックのテキストを更新
QTextBlock block = document.findBlockById(blockId);
block.setText("This is updated text.");

どの代替方法が最適かは、個々のニーズと要件によって異なります。単純な更新の場合は QTextDocument::setModified() を使用するのが最も簡単ですが、より複雑な更新の場合は QTextBlock::setUserData() またはカスタムシグナルを使用する方が適切な場合があります。

• カスタムシグナルを使用する場合は、シグナルの名前と引数を慎重に選択する必要があります。
• パフォーマンスとメモリ使用量を考慮して、最適な代替方法を選択することが重要です。
• 上記の例はあくまで基本的な例であり、具体的な実装は、個々のニーズに合わせて調整する必要があります。