アクセシビリティ要件を満たすQt GUI開発: QAccessible::updateAccessibility() を含めた包括的なアプローチ

QAccessible::updateAccessibility() 関数は、Qt GUI アプリケーションにおけるアクセシビリティ機能の重要な役割を担っています。この関数は、アクセシビリティツールやスクリーンリーダーなどの支援技術に対して、GUI 要素の状態変化を通知するために使用されます。

機能

QAccessible::updateAccessibility() 関数は、以下の機能を提供します。

支援技術による GUI 操作を可能にする
変化内容をアクセシビリティツールに通知
GUI 要素の状態変化を検知

使用方法

QAccessible::updateAccessibility() 関数は、以下の引数を受け取ります。

reason: 変化の種類 (QAccessible::Event 型で指定)
child: 変化が発生した子要素 (必要に応じて指定)
object: 状態変化が発生した GUI 要素

例

QAccessibleEvent event(widget, QAccessible::StateChanged);
QAccessible::updateAccessibility(widget, 0, event);

この例では、widget という GUI 要素の状態変化を通知しています。event オブジェクトは、変化の種類を QAccessible::StateChanged として設定しています。

注意点

QAccessible::updateAccessibility() 関数は、GUI スレッドからのみ呼び出すことができます。また、この関数は頻繁に呼び出すとパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、適切なタイミングで呼び出すように注意する必要があります。

代替方法

Qt 5.15 以降では、QAccessible::updateAccessibility() 関数の代わりに、QAccessibleEvent オブジェクトを直接生成して送信することを推奨しています。

QAccessibleEvent event(widget, QAccessible::StateChanged);
event.send();

QAccessible::updateAccessibility() 関数は、アクセシビリティ機能を Qt GUI アプリケーションに実装する上で重要な役割を果たします。この関数の使用方法を理解することで、よりユーザーフレンドリーで使いやすいアプリケーションを開発することができます。

本解説は、Qt 6.x をベースとしています。他のバージョンでは、機能や使用方法が異なる場合があります。

#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPushButton button("ボタン");
  button.show();

  connect(&button, &QPushButton::clicked, &button, [
    &button() {
      QAccessibleEvent event(&button, QAccessible::StateChanged);
      QAccessible::updateAccessibility(&button, 0, event);
    }
  ]);

  return app.exec();
}

この例では、ボタンがクリックされたときに、QAccessible::updateAccessibility() 関数を使用して、ボタンの状態変化を通知しています。

例 2: テキスト入力欄の内容変更を通知

#include <QApplication>
#include <QLineEdit>
#include <QAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLineEdit lineEdit("テキスト入力欄");
  lineEdit.show();

  connect(&lineEdit, &QLineEdit::textEdited, &lineEdit, [
    &lineEdit() {
      QAccessibleEvent event(&lineEdit, QAccessible::ValueChanged);
      QAccessible::updateAccessibility(&lineEdit, 0, event);
    }
  ]);

  return app.exec();
}

この例では、テキスト入力欄の内容が編集されたときに、QAccessible::updateAccessibility() 関数を使用して、テキストの内容変更を通知しています。

例 3: スライダーの値変更を通知

#include <QApplication>
#include <QSlider>
#include <QAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QSlider slider(Qt::Horizontal);
  slider.setValue(50);
  slider.show();

  connect(&slider, &QSlider::valueChanged, &slider, [
    &slider() {
      QAccessibleEvent event(&slider, QAccessible::ValueChanged);
      QAccessible::updateAccessibility(&slider, 0, event);
    }
  ]);

  return app.exec();
}

この例では、スライダーの値が変更されたときに、QAccessible::updateAccessibility() 関数を使用して、スライダーの値変更を通知しています。

理由

QAccessible::updateAccessibility() 関数は内部的に QAccessibleEvent オブジェクトを作成するため、直接生成して送信する方が効率的です。

代替方法

QAccessibleEvent event(widget, QAccessible::StateChanged);
event.send();

メリット

効率的

デメリット

少し複雑

QAccessible::valueChanged() 関数: 値が変更されたときに使用
QAccessible::textChanged() 関数: テキストが変更されたときに使用
QAccessible::descriptionChanged() 関数: 説明が変更されたときに使用
QAccessible::nameChanged() 関数: 名前が変更されたときに使用
QAccessible::roleChanged() 関数: 役割が変更されたときに使用

これらの関数は、それぞれ特定の状況でのみ使用できます。 状況に応じて適切な関数を選択してください。

本解説は、Qt 6.x をベースとしています。他のバージョンでは、機能や使用方法が異なる場合があります。

例

#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QAccessible>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPushButton button("ボタン");
  button.show();

  connect(&button, &QPushButton::clicked, &button, [
    &button() {
      QAccessibleEvent event(&button, QAccessible::StateChanged);
      event.send();
    }
  ]);

  return app.exec();
}

この例では、ボタンがクリックされたときに、event.send() 関数を使用して、ボタンの状態変化を通知しています。