Qt Widgetsチェックボックスの操作テクニック：QAbstractButton::checkedの便利な使い方

Qt WidgetsのQAbstractButton::checkedは、ボタンの状態（チェック済み/未チェック）を取得または設定するためのプロパティです。これは、QCheckBoxやQRadioButtonのようなチェックボックスボタンだけでなく、QPushButtonのようなプッシュボタンにも適用できます。

使用方法

チェック状態の取得

bool isChecked = button->isChecked();

このコードは、buttonというボタンのチェック状態を取得し、isChecked変数に格納します。チェック済みであればtrue、未チェックであればfalseが返されます。

チェック状態の設定

button->setChecked(true);

このコードは、buttonというボタンを強制的にチェック状態に設定します。

シグナルとの連携

QAbstractButtonは、ボタンの状態が変化したときに emit するシグナルをいくつか提供しています。toggled()シグナルは、ボタンのチェック状態が変化したときに emit され、その引数として新しいチェック状態が渡されます。

void onToggled(bool checked) {
  // ボタンの状態が変化したときの処理
}

connect(button, SIGNAL(toggled(bool)), this, SLOT(onToggled(bool)));

このコードは、buttonというボタンのtoggled()シグナルにonToggled()スロットを接続します。onToggled()スロットは、ボタンの状態が変化したときに呼び出され、引数として新しいチェック状態を受け取ります。

例

次のコードは、2つのチェックボックスを用意し、一方のチェック状態が変化したときに、もう一方のチェック状態を反転させる例です。

QCheckBox *checkBox1 = new QCheckBox("CheckBox 1");
QCheckBox *checkBox2 = new QCheckBox("CheckBox 2");

connect(checkBox1, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox2, SLOT(setChecked(bool)));
connect(checkBox2, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox1, SLOT(setChecked(bool)));

このコードでは、checkBox1がチェックされたときにcheckBox2が未チェックに、checkBox2がチェックされたときにcheckBox1が未チェックになります。

QAbstractButtonのチェック状態を変更するには、setChecked()プロパティを使用するだけでなく、click()やanimateClick()などのメソッドを呼び出すこともできます。
チェックボックスボタン以外にも、QRadioButtonやQToolButtonなどのボタンでもQAbstractButton::checkedプロパティを使用できます。
QAbstractButton::checkedプロパティは、ボタンが無効な場合は常にfalseを返します。

例1：チェックボックスの状態を反転する

この例では、ボタンをクリックすると、そのボタンの状態が反転します。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QPushButton *button = new QPushButton("ボタン");

  connect(button, SIGNAL(clicked()), button, SLOT(toggle()));

  button->show();

  return app.exec();
}

例2：チェックボックスの状態をグループ内で排他制御する

この例では、3つのチェックボックスを用意し、いずれかのチェックボックスがチェックされると、他のチェックボックスがすべて未チェックになります。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QCheckBox *checkBox1 = new QCheckBox("チェックボックス 1");
  QCheckBox *checkBox2 = new QCheckBox("チェックボックス 2");
  QCheckBox *checkBox3 = new QCheckBox("チェックボックス 3");

  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout;
  layout->addWidget(checkBox1);
  layout->addWidget(checkBox2);
  layout->addWidget(checkBox3);

  QWidget *widget = new QWidget;
  widget->setLayout(layout);

  connect(checkBox1, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox2, SLOT(setChecked(bool)));
  connect(checkBox1, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox3, SLOT(setChecked(bool)));
  connect(checkBox2, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox1, SLOT(setChecked(bool)));
  connect(checkBox2, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox3, SLOT(setChecked(bool)));
  connect(checkBox3, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox1, SLOT(setChecked(bool)));
  connect(checkBox3, SIGNAL(toggled(bool)), checkBox2, SLOT(setChecked(bool)));

  widget->show();

  return app.exec();
}

例3：ラジオボタンを使って選択状態を保持する

この例では、3つのラジオボタンを用意し、いずれかのラジオボタンが選択されると、その選択状態が保持されます。

#include <QtWidgets>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QRadioButton *radioButton1 = new QRadioButton("ラジオボタン 1");
  QRadioButton *radioButton2 = new QRadioButton("ラジオボタン 2");
  QRadioButton *radioButton3 = new QRadioButton("ラジオボタン 3");

  QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout;
  layout->addWidget(radioButton1);
  layout->addWidget(radioButton2);
  layout->addWidget(radioButton3);

  QWidget *widget = new QWidget;
  widget->setLayout(layout);

  radioButton1->setChecked(true); // 最初にラジオボタン1を選択

  QButtonGroup *buttonGroup = new QButtonGroup;
  buttonGroup->addButton(radioButton1);
  buttonGroup->addButton(radioButton2);
  buttonGroup->addButton(radioButton3);

  connect(buttonGroup, SIGNAL(buttonClicked(QAbstractButton *)), this, SLOT(onRadioButtonClicked(QAbstractButton *)));

  widget->show();

  return app.exec();
}

void onRadioButtonClicked(QAbstractButton *button) {
  // 選択されたラジオボタンの処理
  QString text = button->text();
  QMessageBox::information(this, "選択", "選択されたラジオボタン：" + text);
}

これらの例は、QAbstractButton::checkedプロパティのさまざまな使用方法を示しています。具体的なニーズに合わせてコードを調整することができます。

ボタンの状態に基づいてデータベースを更新する
ボタンの状態に応じてGUI要素を有効/無効にする
ボタンの状態をファイルに保存してロードする

シグナルとスロット

QAbstractButtonは、ボタンの状態が変化したときに emit するシグナルをいくつか提供しています。これらのシグナルを利用して、ボタンの状態を監視し、必要な処理を実行することができます。

利点

ボタンの状態変化に柔軟に対応できる
コードがより明確で読みやすくなる

欠点

QAbstractButton::checkedプロパティを使用するよりも若干コード量が多くなる

例

QPushButton *button = new QPushButton("ボタン");

connect(button, SIGNAL(toggled(bool)), this, SLOT(onToggled(bool)));

void onToggled(bool checked) {
  // ボタンの状態が変化したときの処理
}

カスタムプロパティ

ボタンにカスタムプロパティを設定し、そのプロパティを使用してボタンの状態を格納することができます。

利点

QAbstractButton::checkedプロパティとは異なる意味でボタンの状態を保持できる

欠点

カスタムプロパティを適切に管理する必要がある
コードが若干冗長になる

例

QPushButton *button = new QPushButton("ボタン");

button->setProperty("checked", false);

connect(button, SIGNAL(toggled(bool)), button, SLOT(setChecked(bool)));

void setChecked(bool checked) {
  button->setProperty("checked", checked);
}

直接メンバ変数を操作する

ボタンの状態を直接メンバ変数に格納することができます。

利点

コードが最も簡潔になる

欠点

ボタンの状態変化を適切に監視する必要がある
コードがわかりにくくなり、保守性が低下する

例

class MyWidget : public QWidget {
public:
  MyWidget() {
    button = new QPushButton("ボタン");
    connect(button, SIGNAL(clicked()), this, SLOT(onClicked()));
  }

private:
  QPushButton *button;
  bool isChecked = false;

signals:
  void checkedChanged(bool checked);

private slots:
  void onClicked() {
    isChecked = !isChecked;
    emit checkedChanged(isChecked);
  }
};

どの代替方法を使用するかは、状況によって異なります。コードの明確性、柔軟性、保守性などを考慮して、最適な方法を選択してください。

特定の状況では、独自のロジックを実装する方が効率的な場合もあります。
上記以外にも、QAbstractButton::isDown()やQAbstractButton::click()などのメソッドを使用して、ボタンの状態を判定することができます。