MariaDBでJSONデータをスマートに分析!JSON_CONTAINS_PATH関数の使い方から応用例まで


JSON_CONTAINS_PATH 関数は、MariaDB 10.2.3 以降で導入された、JSON データ構造内にある特定のパスが存在するかどうかを検査する関数です。この関数は、JSON データを扱うアプリケーションにおいて、データ構造の整合性や必要な情報が存在することを確認する際に役立ちます。

構文

JSON_CONTAINS_PATH(json_doc, return_arg, path [, path])

引数

  • path: 検査対象の JSON パス。ドット記法で指定します。ワイルドカード * および ** を使用できます。
  • return_arg: 以下のいずれかの値を返す
    • one: 少なくとも 1 つのパスが存在する場合に 1 を返す
    • all: すべてのパスが存在する場合に 1 を返す
  • json_doc: 検査対象の JSON ドキュメント

戻り値

  • 引数のいずれかが NULL の場合は NULL を返します。
  • 検査対象の JSON ドキュメント内に指定されたパスが存在する場合は 1 を返し、存在しない場合は 0 を返します。

詳細

  • return_arg 引数によって、検査結果の判定方法が変わります。
    • one を指定した場合、少なくとも 1 つのパスが存在すれば 1 を返します。
    • all を指定した場合、すべてのパスが存在しなければ 0 を返します。
  • 複数のパスを指定する場合は、カンマ区切りで記述します。
  • ワイルドカード ** は、任意のレベルのキーをワイルドカード検索します。
  • ワイルドカード * は、1 レベルのキーをワイルドカード検索します。
  • JSON_CONTAINS_PATH 関数は、JSON データ構造を階層的に探索し、指定されたパスが存在するかどうかを検査します。

以下の例では、employees テーブルの data 列に格納された JSON ドキュメント内に name キーが存在するかどうかを検査しています。

SELECT employee_id, JSON_CONTAINS_PATH(data, 'one', 'name') AS has_name
FROM employees;

このクエリは、employee_id 列と、data 列内の name キーが存在するかどうかを示す has_name 列を出力します。

  • ワイルドカードを使用した検索は、パフォーマンスに影響を与える可能性があることに注意する必要があります。
  • JSON_CONTAINS_PATH 関数は、JSON データ構造の整合性や必要な情報が存在することを確認する以外にも、複雑な JSON データ構造から必要な情報を取り出す際にも役立ちます。


SELECT employee_id, JSON_CONTAINS_PATH(data, 'one', 'name') AS has_name
FROM employees;

例 2: 複数パスの存在確認

この例では、customers テーブルの order_history 列に格納された JSON ドキュメント内に items.product_idshipping_address.city の両方のキーが存在するかどうかを検査しています。

SELECT customer_id, JSON_CONTAINS_PATH(order_history, 'one', 'items.product_id', 'shipping_address.city') AS has_valid_order
FROM customers;

このクエリは、customer_id 列と、order_history 列内の指定された 2 つのキーが存在するかどうかを示す has_valid_order 列を出力します。

例 3: ワイルドカードを使用した検索

この例では、products テーブルの details 列に格納された JSON ドキュメント内に * キーが存在するかどうかを検査しています。

SELECT product_id, JSON_CONTAINS_PATH(details, 'one', '*') AS has_details
FROM products;

このクエリは、product_id 列と、details 列内に少なくとも 1 つのキーが存在するかどうかを示す has_details 列を出力します。

例 4: すべてのパスが存在するかどうかを確認

この例では、invoices テーブルの data 列に格納された JSON ドキュメント内に invoice_number, items.product_id, shipping_address.city のすべてのキーが存在するかどうかを検査しています。

SELECT invoice_id, JSON_CONTAINS_PATH(data, 'all', 'invoice_number', 'items.product_id', 'shipping_address.city') AS is_valid_invoice
FROM invoices;

このクエリは、invoice_id 列と、data 列内に指定された 3 つのキーすべてが存在するかどうかを示す is_valid_invoice 列を出力します。

これらの例は、JSON_CONTAINS_PATH 関数の基本的な使用方法を示しています。この関数は、複雑な JSON データ構造を操作する際に、さまざまなバリエーションで使用することができます。

  • JSON_CONTAINS_PATH 関数は、JSON データ構造を階層的に探索するため、パフォーマンスに影響を与える可能性があることに注意する必要があります。


代替方法の選択

JSON_CONTAINS_PATH 関数の代替方法を選択する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

  • 互換性: 使用している MariaDB のバージョンによっては、すべての代替方法が利用可能とは限りません。
  • パフォーマンス: JSON_CONTAINS_PATH 関数は JSON データ構造を階層的に探索するため、複雑な構造を扱う場合はパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • 必要な処理: 単一パスの存在確認、複数パスの存在確認、ワイルドカード検索など、必要な処理内容によって適切な方法は異なります。

代替方法

以下に、JSON_CONTAINS_PATH 関数の代替となるいくつかの方法を紹介します。

JSON_EXTRACT 関数と比較演算子

JSON_EXTRACT 関数は、JSON ドキュメントから指定されたパスにある値を抽出します。この値を比較演算子 (=, !=, >, <, >=, <=) と組み合わせて使用することで、パスの存在確認を行うことができます。

SELECT employee_id,
       JSON_EXTRACT(data, '$.name') IS NOT NULL AS has_name
FROM employees;

利点:

  • 比較的軽い処理
  • シンプルで分かりやすい構文

欠点:

  • 複数のパスを同時に検査するには複数のクエリが必要
  • ワイルドカード検索には対応していない

JSON_QUERY 関数

JSON_QUERY 関数は、JSONPath を使用して JSON ドキュメントを検索し、結果を JSON 値または配列として返します。この結果を JSON_LENGTH 関数と組み合わせて使用することで、パスの存在確認を行うことができます。

SELECT employee_id,
       JSON_LENGTH(JSON_QUERY(data, '$.name')) > 0 AS has_name
FROM employees;

利点:

  • 1 つのクエリで複数のパスを同時に検査できる
  • ワイルドカード検索を含む複雑な検索に対応している

欠点:

  • JSON_CONTAINS_PATH 関数よりも処理が重い

サブクエリ

サブクエリを使用して、JSON ドキュメント内の特定の値を検査することもできます。

SELECT employee_id,
       EXISTS(
           SELECT 1
           FROM JSON_TABLE(data, '$[*] AS emp'
                       COLUMNS (name VARCHAR(255 PATH '$.name'))) emp
           WHERE emp.name IS NOT NULL
       ) AS has_name
FROM employees;

利点:

  • 柔軟性が高い

欠点:

  • パフォーマンスが劣る可能性がある
  • 複雑で読みづらい構文

ユーザー定義関数

複雑な処理や、上記の代替方法では対応できない要件がある場合は、ユーザー定義関数を作成することができます。

利点:

  • 完全な制御が可能

欠点:

  • 開発とメンテナンスの手間がかかる