CMakeでHLSLシェーダー最適化を無効化:"VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS"プロパティ徹底解説
"VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS" プロパティは、CMake で HLSL シェーダーファイル (.hlsl) のコンパイル時に、コンパイラによる最適化を無効化するかどうかを制御します。このプロパティは、"Properties: Source Files" カテゴリに属します。
用途
このプロパティは、以下のケースで役立ちます。
- 互換性: 古いハードウェアやドライバーと互換性を保つために、特定の最適化を無効化したい場合。
- パフォーマンス分析: シェーダーのパフォーマンスボトルネックを特定するために、最適化されていないコードを分析したい場合。
- デバッグ: シェーダーコードの動作をより詳細に理解するために、最適化されていない中間コードを生成したい場合。
使用方法
このプロパティを使用するには、以下の手順を実行します。
- CMakeLists.txt ファイルで、HLSL シェーダーファイルのターゲットを定義します。
- ターゲットのプロパティに追加し、"VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS" プロパティを
true
に設定します。
target_sources(my_shader my_shader.hlsl)
target_properties(my_shader PROPERTIES VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS TRUE)
注意点
- すべての最適化を無効化するのではなく、特定の最適化のみを無効化することも可能です。詳細は、FxCompiler ドキュメントを参照してください。
- このプロパティを設定すると、シェーダーのコンパイルと実行時間が長くなる可能性があります。
例
以下の例は、"my_shader.hlsl" ファイルのコンパイル時にすべての最適化を無効化する方法を示しています。
target_sources(my_shader my_shader.hlsl)
target_properties(my_shader PROPERTIES VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS TRUE)
以下の例は、"my_shader.hlsl" ファイルのコンパイル時にループ展開の最適化のみを無効化する方法を示しています。
target_sources(my_shader my_shader.hlsl)
target_properties(my_shader PROPERTIES VS_SHADER_DISABLE_LOOP_OPTIMIZATIONS TRUE)
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
set(SOURCE_FILES my_shader.hlsl)
add_executable(my_shader ${SOURCE_FILES})
target_link_libraries(my_shader d3dcompiler)
target_properties(my_shader PROPERTIES VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS TRUE)
説明
cmake_minimum_required
コマンドで、CMake の最小バージョンを 3.10 に設定します。project
コマンドで、プロジェクトの名前を "my_project" に設定します。set
コマンドで、ソースファイルのリストをSOURCE_FILES
変数に設定します。add_executable
コマンドで、実行可能ファイル "my_shader" を作成します。target_link_libraries
コマンドで、実行可能ファイルに必要なライブラリ (d3dcompiler) をリンクします。target_properties
コマンドで、ターゲット "my_shader" のプロパティを設定します。VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS
プロパティをTRUE
に設定することで、すべての最適化を無効化します。
実行方法
このコードを実行するには、以下のコマンドを実行します。
cmake .
make
結果
このコードを実行すると、"my_shader.exe" という実行可能ファイルが作成されます。この実行可能ファイルを実行すると、すべての最適化が無効化された HLSL シェーダーコードが実行されます。
- 他のコンパイラを使用する場合は、対応するプロパティ名と値を確認する必要があります。
- このコードは、Visual Studio で CMake を使用することを想定しています。
個別の最適化を無効化する
"VS_SHADER_DISABLE_OPTIMIZATIONS" プロパティは、すべての最適化を無効化しますが、特定の最適化のみを無効化したい場合は、個別に設定することができます。
target_properties(my_shader PROPERTIES VS_SHADER_DISABLE_LOOP_OPTIMIZATIONS TRUE)
上記の例では、ループ展開の最適化のみを無効化しています。
コンパイラオプションを使用する
Visual Studio で HLSL シェーダーファイルをコンパイルする場合は、コンパイラオプションを使用して最適化を無効化することもできます。
cl /Fo"my_shader.exe" /c my_shader.hlsl /DSHADER_DISABLE_OPTIMIZATION
上記の例では、/DSHADER_DISABLE_OPTIMIZATION
オプションを使用して、すべての最適化を無効化しています。
シェーダーファイル内でコメントアウトする
一部の最適化は、シェーダーファイル内でコメントアウトすることで無効化することができます。
// HLSL シェーダーコード
#pragma optimize(level, off)
// ...
#pragma optimize(level, on)
上記の例では、#pragma optimize
ディレクティブを使用して、コメントアウトされた部分内の最適化を無効化しています。
デバッガーを使用する
Visual Studio デバッガーを使用して、HLSL シェーダーの最適化を無効化することもできます。
- Visual Studio で HLSL シェーダーファイルをデバッグモードで開きます。
- ツール メニューから オプション を選択します。
- デバッガ > 全般 ページを選択します。
- シェーダーのデバッグ チェックボックスをオンにします。
- OK をクリックします。
最適な方法を選択する
どの方法を使用するかは、状況によって異なります。
- デバッガーを使用する場合は、デバッガーを使用している場合にのみ適しています。
- シェーダーファイル内でコメントアウトする場合は、単純な方法ですが、コードの可読性が低下する可能性があります。
- コンパイラオプションを使用する場合は、CMake を使用していない場合や、より多くの制御が必要な場合に適しています。
- 特定の最適化のみを無効化したい場合は、個別設定が最適です。