C/C++プログラマー必見!CMakeのKEEP_EXTENSIONプロパティでソースファイルの拡張子を制御
"KEEP_EXTENSION" プロパティは、CMake の "Properties: Source Files" カテゴリに属し、ソースファイルの拡張子をコンパイル後の出力ファイルにも保持するかどうかを制御します。デフォルトでは、CMake はソースファイルの言語に基づいて出力ファイルの拡張子を自動的に決定しますが、"KEEP_EXTENSION" プロパティを設定することで、この自動判定を無効化し、ソースファイルと同じ拡張子を維持することができます。
利点
"KEEP_EXTENSION" プロパティを使用する主な利点は、以下の2点が挙げられます。
- 分かりやすさの向上
ソースファイルと出力ファイルの拡張子が一致することで、プロジェクトのソースコード構造をより直感的に理解しやすくなります。特に、複数のプログラミング言語を混在させているプロジェクトにおいて、この利点は顕著です。 - ビルドシステムの簡素化
"KEEP_EXTENSION" プロパティを使用することで、出力ファイル名の推測や手動での命名の必要がなくなり、ビルドシステム全体をより簡潔に記述することができます。
設定方法
"KEEP_EXTENSION" プロパティは、以下の2つの方法で設定することができます。
- CMakeLists.txt ファイル
set_property(SOURCE my_source_file COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
- ターゲットプロパティ
add_executable(my_executable my_source_file)
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
注意点
"KEEP_EXTENSION" プロパティを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- プロジェクト内のすべてのソースファイルに "KEEP_EXTENSION" プロパティを適用する場合は、グローバル設定として設定することを検討してください。個々のソースファイルに設定するよりも効率的です。
- ソースファイルと出力ファイルの拡張子が一致していることを確認してください。異なる拡張子を指定すると、予期しない動作やエラーが発生する可能性があります。
例
以下は、"KEEP_EXTENSION" プロパティを使用して、C++ ソースファイル "my_code.cpp" をコンパイルし、出力ファイル "my_code.cpp" を生成する例です。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
add_executable(my_executable my_code.cpp)
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
add_executable(my_executable my_code.cpp)
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
この例では、"my_code.cpp" という C++ ソースファイルをコンパイルし、"my_code.cpp" という名前の出力ファイルを作成します。
例2: 複数のソースファイルを含むプロジェクト
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
set(SOURCE_FILES main.cpp my_functions.cpp)
add_executable(my_executable ${SOURCE_FILES})
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
この例では、"main.cpp" と "my_functions.cpp" という2つの C++ ソースファイルをコンパイルし、"my_executable" という名前の出力ファイルを作成します。ソースファイルの拡張子は保持されるため、出力ファイルは "main.cpp" と "my_functions.cpp" となります。
例3: グローバル設定
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
set_property(DIRECTORY ${CMAKE_CURRENT_SOURCE_DIR} PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
add_executable(my_executable main.cpp my_functions.cpp)
この例では、プロジェクト内のすべてのソースファイルに対して "KEEP_EXTENSION" プロパティをグローバル設定します。これにより、個々のソースファイルにプロパティを設定する必要がなくなります。
例4: ターゲットプロパティ
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
add_executable(my_executable my_code.cpp)
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
add_library(my_library my_functions.cpp)
この例では、"my_code.cpp" という C++ ソースファイルを "my_executable" という実行ファイルにコンパイルし、"my_functions.cpp" という C++ ソースファイルを "my_library" というライブラリにコンパイルします。"my_executable" は "KEEP_EXTENSION" プロパティの影響を受けますが、"my_library" は影響を受けません。
例5: 異なる拡張子のソースファイル
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(my_project)
add_executable(my_executable main.cpp my_functions.h)
target_properties(my_executable PROPERTIES COMPILE_FLAGS KEEP_EXTENSION)
この例では、"main.cpp" という C++ ソースファイルと "my_functions.h" という C ヘッダーファイルをコンパイルし、"my_executable" という名前の出力ファイルを作成します。"KEEP_EXTENSION" プロパティの影響を受け
るため、出力ファイルは "main.cpp" と "my_functions.h" となります。
これらの例は、"KEEP_EXTENSION" プロパティの使用方法を示すほんの一例です。具体的な使用方法は、プロジェクトの要件によって異なります。
- CMake の最新バージョンを使用していることを確認してください。
- プロジェクト内のすべてのソースファイルに "KEEP_EXTENSION" プロパティを適用する場合は、グローバル設定として設定することを検討してください。
- ソースファイルと出力ファイルの拡張子が一致していることを確認してください。
代替方法
"KEEP_EXTENSION" プロパティの代替方法として、以下の方法が考えられます。
ファイル名拡張子の手動設定
- コンパイルコマンドで出力ファイル名を指定する:
g++ -o my_executable.cpp my_code.cpp
- CMake の "SET_OUTPUT_DIR" プロパティを使用して出力ディレクトリを指定し、出力ファイル名を手動で設定する:
set(OUTPUT_DIR ${CMAKE_BINARY_DIR}/bin)
add_executable(my_executable my_code.cpp)
set_target_properties(my_executable PROPERTIES OUTPUT_NAME my_executable.cpp)
ビルドシステムの変更
- CMake を使用している場合は、CMakeLists.txt ファイルを編集して "SET_TARGET_PROPERTIES" コマンドを使用して出力ファイル名を指定することができます。
- Make などのビルドシステムを使用している場合は、Makefile を編集して出力ファイル名を指定することができます。
スクリプトの使用
- シェルスクリプトを使用して、ソースファイルをコンパイルし、出力ファイル名を変更することができます。
ツールの利用
- Rename ツールなどのツールを使用して、コンパイル後の出力ファイル名を変更することができます。
選択基準
"KEEP_EXTENSION" プロパティの代替方法を選択する際には、以下の点を考慮する必要があります。
- 個人的な好み
- 使用しているビルドシステム
- プロジェクトの規模と複雑性
例
以下は、"KEEP_EXTENSION" プロパティの代替方法の例です。
例1: ファイル名拡張子の手動設定
g++ -o my_executable my_code.cpp
このコマンドは、"my_code.cpp" というソースファイルをコンパイルし、"my_executable" という名前の出力ファイルを作成します。
例2: CMake の "SET_OUTPUT_DIR" プロパティ
set(OUTPUT_DIR ${CMAKE_BINARY_DIR}/bin)
add_executable(my_executable my_code.cpp)
set_target_properties(my_executable PROPERTIES OUTPUT_NAME my_executable.cpp)
この CMakeLists.txt ファイルは、"my_code.cpp" というソースファイルをコンパイルし、"bin" ディレクトリ内に "my_executable.cpp" という名前の出力ファイルを作成します。
例3: シェルスクリプト
#!/bin/bash
g++ -o my_executable my_code.cpp
mv my_executable my_executable.cpp
このスクリプトは、"my_code.cpp" というソースファイルをコンパイルし、"my_executable" という名前の出力ファイルを "my_executable.cpp" に変更します。
例4: Rename ツール
rename 's/^(\S+)$/\1.cpp/' my_executable
このコマンドは、"my_executable" という名前の出力ファイルの拡張子を ".cpp" に変更します。