【完全ガイド】Qt GUIでウィンドウを自由にカスタマイズする方法：QWindow::setFlag()の使い方から応用例まで

Qt GUIのQWindow::setFlag()関数は、ウィンドウの外観や動作を制御するためのフラグを設定します。この関数は、ウィンドウのタイトルバー、フレーム、閉じるボタンなどの要素の表示/非表示、ウィンドウのサイズ変更や移動の可否、マウスイベントの処理方法などを設定するために使用されます。

構文

void QWindow::setFlag(Qt::WindowFlags flags);

引数

flags: 設定するフラグをビットマスクで指定します。複数のフラグを同時に設定するには、ビットワイズOR演算子 (|) を使用します。

// ウィンドウのタイトルバーを表示する
window->setFlag(Qt::WindowTitleBar);

// ウィンドウのフレームを表示する
window->setFlag(Qt::Frame);

// ウィンドウの閉じるボタンを表示する
window->setFlag(Qt::WindowCloseButton);

// ウィンドウのサイズ変更を無効化する
window->setFlag(Qt::NoResize);

// ウィンドウの移動を無効化する
window->setFlag(Qt::NoMove);

// マウスホイールイベントを処理しない
window->setFlag(Qt::NoMouseWheel);

QWindow::setFlag() 関数は、ウィンドウが作成された後にのみ呼び出すことができます。
実際に設定されるフラグは、ウィンドウシステムによって制限される場合があります。
設定できるフラグは、Qt::WindowFlags enum によって定義されています。詳細については、Qt ドキュメントを参照してください。

QWindow::setFlag() 関数は、スレッドセーフではありません。マルチスレッド環境で使用する場合は、適切な同期メカニズムを導入する必要があります。
QWindow::setFlag() 関数は、QWidget クラスでも使用できます。

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィンドウを作成
  QWindow window;

  // ウィンドウのタイトルバーを表示
  window.setFlag(Qt::WindowTitleBar);

  // ウィンドウのフレームを表示
  window.setFlag(Qt::Frame);

  // ウィンドウの閉じるボタンを表示
  window.setFlag(Qt::WindowCloseButton);

  // ウィンドウの幅と高さを設定
  window.resize(320, 240);

  // ウィンドウを表示
  window.show();

  return app.exec();
}

例2：ウィンドウのサイズ変更と移動を無効化する

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィンドウを作成
  QWindow window;

  // ウィンドウのサイズ変更を無効化
  window.setFlag(Qt::NoResize);

  // ウィンドウの移動を無効化
  window.setFlag(Qt::NoMove);

  // ウィンドウの幅と高さを設定
  window.resize(320, 240);

  // ウィンドウを表示
  window.show();

  return app.exec();
}

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィンドウを作成
  QWindow window;

  // マウスホイールイベントを処理しない
  window.setFlag(Qt::NoMouseWheel);

  // ウィンドウの幅と高さを設定
  window.resize(320, 240);

  // ウィンドウを表示
  window.show();

  return app.exec();
}

スタイルシートの使用

Qt は、ウィジェットの外観をカスタマイズするための強力なスタイルシート機能を提供しています。スタイルシートを使用すれば、QWindow::setFlag() で設定できる多くのフラグと同等の効果を達成できます。

例：ウィンドウのタイトルバー、フレーム、閉じるボタンを非表示にする

QWindow {
  titleBar: none;
  frame: none;
  closeButton: none;
}

利点

複数のウィジェットに共通のデザインを適用しやすい
柔軟性の高いカスタマイズが可能
コードがより簡潔で分かりやすくなる

欠点

複雑なデザインを表現する場合には、コード量が多くなる
スタイルシートの知識が必要

ウィジェットのプロパティの設定

QWindow クラスだけでなく、QWidget クラスなどの他のウィジェットクラスでも、外観や動作を制御するためのプロパティが用意されています。これらのプロパティを使用すれば、QWindow::setFlag() で設定できる一部のフラグと同等の効果を達成できます。

例：ウィンドウのサイズ変更を無効化する

window->setSizePolicy(QSizePolicy::Fixed, QSizePolicy::Fixed);

利点

スタイルシートを使用するよりも軽量
コードが比較的単純

欠点

複雑なカスタマイズには向いていない
設定できるプロパティが限られている

カスタムウィジェットの作成

QWindow クラスを継承したカスタムウィジェットを作成すれば、QWindow::setFlag() では設定できないような独自の外観や動作をウィジェットに実装することができます。

利点

完全な自由度でウィジェットをカスタマイズできる

欠点

複雑な実装になる
開発コストが高い

ネイティブ API の使用

プラットフォーム固有のネイティブ API を使用すれば、QWindow::setFlag() では設定できないような低レベルな制御を行うことができます。

利点

プラットフォーム固有の機能にアクセスできる

コードの可搬性が低下する
プラットフォームごとに異なる API を使用する必要がある