Qtでワンランク上のGUI開発：QWindow::create()を使いこなして自由自在なウィンドウ設計

QWindow::create()は、Qt GUIアプリケーションにおいて、ウィンドウを作成するための重要な関数です。この関数は、様々な種類のウィンドウを作成するために使用でき、その汎用性と柔軟性により、様々なGUI設計に対応することができます。

機能

QWindow::create()関数は、以下の機能を提供します。

ウィンドウの初期位置とサイズの設定
x、y、width、heightパラメータを使用して、ウィンドウの初期位置とサイズを設定することができます。
ウィンドウフラグの設定
flagsパラメータを使用して、ウィンドウのフラグを設定することができます。例えば、Qt::Windowフラグを設定すると、ウィンドウがトップレベルウィンドウとなり、Qt::FramelessWindowHintフラグを設定すると、フレームレスウィンドウを作成することができます。
親ウィンドウの設定
親ウィンドウをparentパラメータで指定することができます。親ウィンドウが設定されている場合、作成されたウィンドウはその親ウィンドウの子ウィンドウとなります。
ウィンドウの種類の指定
ウィンドウの種類をWindowType列挙体を使用して指定することができます。例えば、WindowType::Widgetを指定すると、標準的なウィジェットウィンドウを作成し、WindowType::Popupを指定すると、ポップアップウィンドウを作成することができます。

コード例

以下のコード例は、QWindow::create()関数を使用して、標準的なウィジェットウィンドウを作成する方法を示しています。

QWindow* window = QWindow::create(nullptr, Qt::Window);
window->setTitle("My Window");
window->resize(500, 300);
window->show();

このコード例では、まずQWindow::create()関数を使用して、親ウィンドウをnullptrに設定し、Qt::Windowフラグを設定して、標準的なウィジェットウィンドウを作成します。次に、setTitle()関数を使用してウィンドウのタイトルを設定し、resize()関数を使用してウィンドウのサイズを設定します。最後に、show()関数を使用してウィンドウを表示します。

QWindow::create()関数を使用して作成されたウィンドウは、そのままではコンテンツを表示することができません。コンテンツを表示するには、ウィンドウ内にウィジェットを配置する必要があります。ウィジェットを配置するには、QWidget::create()関数などの関数を使用してウィジェットを作成し、addChild()関数を使用してウィンドウに追加します。

例1: 標準的なウィジェットウィンドウの作成

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // 標準的なウィジェットウィンドウを作成
  QWindow* window = QWindow::create(nullptr, Qt::Window);
  window->setTitle("My Window");
  window->resize(500, 300);
  window->show();

  return app.exec();
}

この例では、QWindow::create()関数を使用して、標準的なウィジェットウィンドウを作成します。このウィンドウにはタイトルバー、境界線、コントロールボタンなどの標準的な機能が備わっています。

例2: フレームレスウィンドウの作成

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // フレームレスウィンドウを作成
  QWindow* window = QWindow::create(nullptr, Qt::Window | Qt::FramelessWindowHint);
  window->setTitle("My Window");
  window->resize(500, 300);
  window->show();

  return app.exec();
}

この例では、Qt::FramelessWindowHintフラグをQWindow::create()関数に渡すことで、フレームレスウィンドウを作成します。このウィンドウにはタイトルバーや境界線が表示されません。

例3: ポップアップウィンドウの作成

#include <QApplication>
#include <QWindow>

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // 標準的なウィジェットウィンドウを作成
  QWidget* parentWidget = new QWidget;
  parentWidget->show();

  // ポップアップウィンドウを作成
  QWindow* window = QWindow::create(parentWidget, Qt::Popup);
  window->setTitle("My Popup Window");
  window->resize(300, 200);
  window->show();

  return app.exec();
}

この例では、parentパラメータをQWindow::create()関数に渡すことで、ポップアップウィンドウを作成します。このウィンドウは、parentWidgetウィンドウの子ウィンドウとして表示されます。

例4: カスタムウィンドウの作成

#include <QApplication>
#include <QWindow>
#include <QLabel>

int main(int argc, char* argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // カスタムウィンドウを作成
  QWindow* window = QWindow::create(nullptr, Qt::Window);
  window->setTitle("My Custom Window");
  window->resize(500, 300);

  // ラベルを作成してウィンドウに追加
  QLabel* label = new QLabel("Hello, World!");
  label->setAlignment(Qt::AlignCenter);
  window->setCentralWidget(label);

  window->show();

  return app.exec();
}

この例では、QWindow::create()関数を使用して、カスタムウィンドウを作成します。このウィンドウには、QLabelウィジェットが追加されて、"Hello, World!"というテキストが表示されます。

これらの例は、QWindow::create()関数を使用して作成できる様々な種類のウィンドウの一部を示すものです。

これらの例では、ウィンドウを表示するためにshow()関数を使用しています。ウィンドウを表示するには、この関数を呼び出す必要があります。

QWidget::create()

QWidget::create()は、ウィジェットウィンドウを作成するための関数です。QWindow::create()と同様に、親ウィンドウ、ウィンドウフラグ、初期位置とサイズを指定することができます。ただし、QWidget::create()は、以下の点でQWindow::create()よりも制限が少なく、より使いやすい場合があります。

シグナルとスロットの接続が容易
QWidget::create()で作成されたウィジェットウィンドウは、シグナルとスロットを簡単に接続することができます。
自動的にウィンドウシステムに登録される
QWidget::create()で作成されたウィジェットウィンドウは、自動的にウィンドウシステムに登録されます。つまり、ウィンドウを表示するためにshow()関数を呼び出す必要はありません。

例

QWidget* window = QWidget::create();
window->setTitle("My Window");
window->resize(500, 300);

// シグナルとスロットを接続
connect(window, &QWidget::closeEvent, [this](QCloseEvent* event) {
  // ウィンドウが閉じられたときに処理を行う
});

window->show();

QGraphicsView::create()

QGraphicsView::create()は、グラフィックスビューウィンドウを作成するための関数です。この関数は、QGraphicsSceneオブジェクトを管理するウィンドウを作成します。グラフィックスビューウィンドウは、2Dグラフィックスをレンダリングするために使用されます。

例

QGraphicsView* view = QGraphicsView::create();
view->setTitle("My Graphics View");
view->resize(500, 300);

// シーンを作成してビューに追加
QGraphicsScene* scene = new QGraphicsScene;
view->setScene(scene);

// いくつかのグラフィックスアイテムをシーンに追加
QGraphicsItem* item = scene->createRect(0, 0, 100, 100);
scene->addItem(item);

view->show();

QPlatformWindow::create()

QPlatformWindow::create()は、プラットフォーム固有のウィンドウを作成するための関数です。この関数は、低レベルなウィンドウアクセスを提供し、プラットフォーム固有の機能を使用する必要がある場合に役立ちます。

例

#include <QPlatformWindow>

QPlatformWindow* window = QPlatformWindow::create("X11");
window->setTitle("My Platform Window");
window->resize(500, 300);

// プラットフォーム固有の機能を使用する

window->show();

カスタムウィンドウクラス

独自の要件を満たすために、カスタムウィンドウクラスを作成することもできます。これは、複雑なウィンドウレイアウトや高度な機能が必要な場合に役立ちます。

例

class MyWindow : public QWindow
{
public:
  MyWindow(QWidget* parent = nullptr);

  void setTitle(const QString& title) override;
  void resize(int width, int height) override;

private:
  // カスタムウィンドウロジック
};

MyWindow::MyWindow(QWidget* parent)
  : QWindow(parent)
{
  // カスタムウィンドウの初期化
}

void MyWindow::setTitle(const QString& title)
{
  // タイトルを設定するカスタムロジック
}

void MyWindow::resize(int width, int height)
{
  // サイズを設定するカスタムロジック
}

どの代替方法を使用すべきか

どの代替方法を使用するかは、要件によって異なります。一般的に、以下のガイドラインに従うことができます。

複雑なウィンドウレイアウトや高度な機能が必要な場合は、カスタムウィンドウクラスを作成します。
プラットフォーム固有の機能を使用する必要がある場合は、QPlatformWindow::create()を使用します。
2Dグラフィックスをレンダリングする場合は、QGraphicsView::create()を使用します。
シンプルなウィジェットウィンドウを作成する場合は、QWidget::create()を使用します。

上記の代替方法は、すべてQWindowを継承しています。つまり、QWindowのすべての機能を利用することができます。