Qt Widgetsレイアウトの高度なテクニック：QWidgetItem::expandingDirections()を使いこなして、複雑なレイアウトを構築

この関数の役割

複数のアイテムが同じスペースを競合している場合、どのアイテムが優先的に拡張されるかを決定します。
アイテムが利用可能なスペースをどのように占有するかを制御します。
レイアウトマネージャーがアイテムを配置するときに、利用可能なスペースをどのように割り当てるかを決定します。

QWidgetItem *item = new QWidgetItem(widget);
item->expandingDirections(Qt::Horizontal | Qt::Vertical);

// レイアウトマネージャーがアイテムを水平方向と垂直方向に拡張します。
layout->addWidget(item);

アイテムが拡張できないようにするには、expandingDirections プロパティを Qt::None に設定します。
アイテムの拡張方向を変更するには、setExpandingDirections() 関数を使用します。
QWidgetItem::expandingDirections() 関数は、QSizePolicy クラスの horizontalStretch と verticalStretch プロパティと密接に関連しています。これらのプロパティは、アイテムがどれだけ拡張できるかを制御します。

上記の説明は、Qt Widgets 6.x をベースにしています。古いバージョンの Qt では、関数の動作や引数が異なる場合があります。

例 1: アイテムを水平方向と垂直方向に拡張する

#include <QApplication>
#include <QHBoxLayout>
#include <QLabel>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout(&widget);

  // アイテムを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  label1->setExpandingDirections(Qt::Horizontal | Qt::Vertical);

  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");
  label2->setExpandingDirections(Qt::Horizontal | Qt::Vertical);

  // アイテムをレイアウトに追加
  layout->addWidget(label1);
  layout->addWidget(label2);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

このコードを実行すると、次のようになります。

例 2: アイテムを水平方向にのみ拡張する

#include <QApplication>
#include <QHBoxLayout>
#include <QLabel>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout(&widget);

  // アイテムを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  label1->setExpandingDirections(Qt::Horizontal);

  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");
  label2->setExpandingDirections(Qt::Horizontal);

  // アイテムをレイアウトに追加
  layout->addWidget(label1);
  layout->addWidget(label2);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

例 3: アイテムを拡張しない

#include <QApplication>
#include <QHBoxLayout>
#include <QLabel>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // ウィジェットを作成
  QWidget widget;

  // レイアウトを作成
  QHBoxLayout *layout = new QHBoxLayout(&widget);

  // アイテムを作成
  QLabel *label1 = new QLabel("Label 1");
  label1->setExpandingDirections(Qt::None);

  QLabel *label2 = new QLabel("Label 2");
  label2->setExpandingDirections(Qt::None);

  // アイテムをレイアウトに追加
  layout->addWidget(label1);
  layout->addWidget(label2);

  // ウィジェットを表示
  widget.show();

  return app.exec();
}

コードを実行すると、各ラベルのサイズと配置が、設定した expandingDirections プロパティによってどのように変化するかを確認できます。
各例では、2 つのラベルを作成し、それぞれ異なる expandingDirections プロパティ設定を行います。
上記の例では、QHBoxLayout レイアウトマネージャーを使用しています。他のレイアウトマネージャーでも同様の動作が期待できます。

アイテムの配置が期待通りにならない場合は、他のプロパティも調整してみてください。
レイアウトマネージャーは、アイテムの expandingDirections プロパティだけでなく、他のプロパティ (minimumSize、maximumSize、sizePolicy など) も考慮してアイテムを配置します。

アイテムの minimumSize や maximumSize などの他のサイズ制約を考慮しません。
アイテムの拡張方向を Qt::Horizontal、Qt::Vertical、Qt::Horizontal | Qt::Vertical のいずれかにのみ設定できます。

これらの制限を克服するために、QWidgetItem::expandingDirections() 関数の代替方法をいくつか紹介します。

QSizePolicy を使用する

QSizePolicy クラスは、アイテムの最小サイズ、最大サイズ、拡張方向を制御するために使用できます。expandingDirections() 関数よりも柔軟性が高く、アイテムのサイズ制約を考慮することができます。

QSizePolicy policy;
policy.setHorizontalStretch(1);
policy.setVerticalStretch(1);
item->setSizePolicy(policy);

カスタムレイアウトマネージャーを使用する

カスタムレイアウトマネージャーを作成して、アイテムの配置を完全に制御することができます。この方法は、より複雑なレイアウトを作成する場合に役立ちます。

アイテムのサイズを手動で設定する

アイテムの sizeHint() メソッドを使用してアイテムの推奨サイズを取得し、setMinimumSize() と setMaximumSize() メソッドを使用してアイテムの最小サイズと最大サイズを設定することができます。その後、layout->addWidget(item) メソッドを使用してアイテムをレイアウトに追加します。

QSize size = item->sizeHint();
item->setMinimumSize(size);
item->setMaximumSize(size);
layout->addWidget(item);

アイテムを固定サイズにする

アイテムを固定サイズにするには、setFixedSize() メソッドを使用します。

item->setFixedSize(100, 50);
layout->addWidget(item);