QTreeViewでサブディレクトリを表示！setRootIndex()活用術

2025-05-27

QTreeView は、QAbstractItemModel のデータ（例えば、QStandardItemModel や QFileSystemModel など）を表示するためのウィジェットです。このモデルは階層的なデータを持ち、通常は一番上の親項目（いわゆるルート項目）から始まって、その子項目、さらにその子項目とツリー構造を形成します。

`setRootIndex()` の機能

通常、QTreeView はモデルの最上位の項目（QModelIndex() で表現される無効なインデックス、つまり「ルートのルート」）を表示します。しかし、setRootIndex() を使うことで、ツリーの表示を開始する基点を変更することができます。

具体的には、index 引数で指定された QModelIndex が、QTreeView に表示されるツリーの「新しいルート」として扱われます。これにより、指定されたインデックスの項目がツリーの一番上のレベルに表示され、その子項目がその下に表示されるようになります。

使用例

例えば、ファイルシステムを表示する QFileSystemModel を使用している場合を考えます。

QFileSystemModel *model = new QFileSystemModel();
model->setRootPath(QDir::homePath()); // ホームディレクトリをモデルのルートに設定

QTreeView *treeView = new QTreeView();
treeView->setModel(model);

// 通常、QTreeViewはモデルのルートパス（この場合はホームディレクトリ）を最上位に表示します。

// もし、ホームディレクトリ内の特定のサブディレクトリ（例えば "Documents"）を
// ツリーのルートとして表示したい場合：
QModelIndex documentsIndex = model->index(QDir::homePath() + "/Documents");
if (documentsIndex.isValid()) {
    treeView->setRootIndex(documentsIndex); // "Documents" を新しいルートとして設定
}

このコードでは、treeView->setRootIndex(documentsIndex); を呼び出すことで、QTreeView の表示が "Documents" フォルダをルートとして開始し、"Documents" フォルダ内のファイルやサブフォルダのみが表示されるようになります。

QModelIndex は、特定の行、列、および親を持つモデル内のデータの位置を示します。
指定する QModelIndex は、有効なインデックスである必要があります。無効なインデックス (QModelIndex()) を設定すると、ビューはモデルの最上位のルート（モデル全体）を表示するようになります。
setRootIndex() を呼び出すと、QTreeView は表示内容をリセットし、指定された新しいルートから再構築します。

無効な QModelIndex を設定する

エラーの状況
setRootIndex() に渡す QModelIndex が無効な場合（例えば、モデルに存在しないパスやIDを指定した場合など）。

よくある現象

アプリケーションがクラッシュする（特に、モデルの実装が不適切な場合）。
想定とは異なる、モデルの最上位のルートが表示される（QModelIndex() と同じ挙動）。
ツリービューが何も表示されない。

トラブルシューティング

モデルのデータを確認する
設定しようとしているインデックスが、実際にモデルの内部データ構造に存在するか確認します。
モデルの index() メソッドをデバッグする
QModelIndex を取得するために使用しているモデルの index() メソッドが正しく実装されているか確認してください。特にカスタムモデルを使用している場合は、index()、parent()、rowCount()、columnCount() の実装に問題がないか確認します。

isValid() で確認する
QModelIndex を setRootIndex() に渡す前に、必ず index.isValid() で有効性を確認してください。

QModelIndex myIndex = myModel->index(someRow, someColumn, someParentIndex);
if (myIndex.isValid()) {
    treeView->setRootIndex(myIndex);
} else {
    qDebug() << "Warning: Invalid QModelIndex provided to setRootIndex!";
}

setRootIndex() とモデルの変更のタイミング

エラーの状況
setRootIndex() を呼び出した後に、モデルの構造（列数、ヘッダーデータなど）が変更された場合。

よくある現象

ツリーの表示が一部欠けたり、更新されないように見える。
ヘッダーの表示が崩れる（列が正しく表示されない、予期しない列が表示されるなど）。

トラブルシューティング

QSortFilterProxyModel を使用している場合
QSortFilterProxyModel を介してデータを表示している場合、invalidateFilter() を呼び出すと、プロキシモデルのルートインデックスがリセットされることがあります。これによってビューの表示もリセットされるため、setRootIndex() の設定が上書きされてしまう可能性があります。この場合は、プロキシモデルの setSourceModel() やフィルター条件の変更後に再度 setRootIndex() を呼び出すことを検討してください。
モデルの dataChanged() や layoutChanged() シグナルを適切に発行する
モデルの変更があった場合は、QAbstractItemModel の適切なシグナル（dataChanged()、layoutChanged()、modelReset() など）を適切に発行する必要があります。これにより、ビューが変更を検知して更新されます。
setRootIndex() の後にモデルの変更を行う
理想的には、モデルの構造を変更する前に setRootIndex() を呼び出し、その後でモデルの変更を行うべきです。

パフォーマンスの問題

エラーの状況
非常に大きなデータセットを持つモデルに対して setRootIndex() を頻繁に呼び出す場合。

よくある現象

ツリービューの更新に時間がかかる。
アプリケーションが一時的にフリーズする。

トラブルシューティング

Lazy Loading / Virtual Model を検討する
非常に大規模なデータの場合、必要なデータだけをロードする「Lazy Loading」や、ビューポートに表示されるデータのみをモデルが提供する「Virtual Model」の実装を検討することで、パフォーマンスを向上させることができます。
遅延更新を検討する
大量のデータを扱う場合や、複雑な計算が必要な場合は、ユーザー操作に対して即座に setRootIndex() を呼び出すのではなく、一定時間待ってから（例えば QTimer::singleShot を使用して）更新を行うなど、遅延更新のメカニズムを検討します。
必要最小限の呼び出しに留める
setRootIndex() は、ツリービューの表示を大きく変更する操作なので、頻繁に呼び出すのは避けるべきです。

エラーの状況
QFileSystemModel と setRootIndex() を組み合わせて特定のディレクトリをルートに設定しようとするが、パス解決に問題がある場合。

よくある現象

空のツリーが表示される。
ツリービューが想定のディレクトリを表示しない。

トラブルシューティング

setRootPath() との関係
QFileSystemModel::setRootPath() は、モデルが監視する「ルート」ディレクトリを設定します。QTreeView::setRootIndex() は、そのモデルからどの項目をツリービューの「表示上のルート」にするかを設定します。この2つの「ルート」の違いを理解しておくことが重要です。通常、setRootPath() でモデルの対象範囲を絞り、setRootIndex() で表示の開始点を調整します。
QFileSystemModel::index() の引数を確認する
QFileSystemModel::index(const QString &path) を使用して QModelIndex を取得する場合、渡すパスが正確であるか確認してください。大文字・小文字の区別、スラッシュの向き（/）、存在しないパスなどが原因となることがあります。

QTreeView::setRootIndex() のトラブルシューティングのポイントは、以下の点に集約されます。

有効な QModelIndex を設定しているか？
モデルの変更と setRootIndex() の呼び出し順序は適切か？
パフォーマンス上の問題はないか？
使用しているモデル（特に QFileSystemModel など）の特性を理解しているか？

例 1: `QFileSystemModel` を使用して特定のディレクトリをルートにする

この例では、QFileSystemModel を使用してファイルシステムを表示し、特定のディレクトリを QTreeView のルートとして設定します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QFileSystemModel>
#include <QDir>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QPushButton>
#include <QLineEdit>
#include <QDebug>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // QFileSystemModel のセットアップ
    QFileSystemModel *model = new QFileSystemModel();
    // モデルのルートパスを設定（ここではホームディレクトリ）
    // QTreeView::setRootIndex() を使わない場合、このパスがツリーの最上位に表示されます。
    model->setRootPath(QDir::homePath());

    // QTreeView のセットアップ
    QTreeView *treeView = new QTreeView();
    treeView->setModel(model);
    treeView->setSortingEnabled(true); // ソートを有効にする

    // 特定のディレクトリをルートとして設定するための UI
    QLineEdit *pathLineEdit = new QLineEdit(QDir::homePath() + "/Documents"); // デフォルトパス
    QPushButton *setRootDirButton = new QPushButton("Set Root Directory");

    QObject::connect(setRootDirButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
        QString path = pathLineEdit->text();
        QModelIndex index = model->index(path); // パスから QModelIndex を取得

        if (index.isValid()) {
            treeView->setRootIndex(index); // 指定されたインデックスを新しいルートとして設定
            treeView->expand(index); // 新しいルートを展開
            qDebug() << "Root index set to:" << path;
        } else {
            qDebug() << "Invalid path or directory does not exist:" << path;
            // 無効なパスの場合、元のルートに戻すなどの処理も検討できます
            // treeView->setRootIndex(QModelIndex()); // モデルの最上位ルートに戻す
        }
    });

    // レイアウトの作成
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout();
    layout->addWidget(pathLineEdit);
    layout->addWidget(setRootDirButton);
    layout->addWidget(treeView);

    QWidget *window = new QWidget();
    window->setLayout(layout);
    window->setWindowTitle("QTreeView setRootIndex Example (FileSystem)");
    window->resize(800, 600);
    window->show();

    // 初期表示としてホームディレクトリ内の「Documents」をルートに設定する例
    QModelIndex initialDocumentsIndex = model->index(QDir::homePath() + "/Documents");
    if (initialDocumentsIndex.isValid()) {
        treeView->setRootIndex(initialDocumentsIndex);
        treeView->expand(initialDocumentsIndex);
    } else {
        qDebug() << "Initial 'Documents' path not found or invalid.";
    }


    return a.exec();
}

説明

QFileSystemModel を作成し、setRootPath(QDir::homePath()) でモデルの対象範囲をホームディレクトリに設定します。
QTreeView にモデルを設定します。
QLineEdit と QPushButton を用意し、ユーザーがパスを入力して「Set Root Directory」ボタンをクリックすると、そのパスをQModelIndex に変換し、treeView->setRootIndex(index) を呼び出します。
index.isValid() で QModelIndex の有効性をチェックすることが重要です。無効なインデックスを設定すると、何も表示されないか、モデルの最上位のルートが表示されてしまいます。
初期表示では、QDir::homePath() + "/Documents" をルートに設定しようとしています。

例 2: `QStandardItemModel` を使用してカスタムツリーのサブブランチをルートにする

この例では、手動で構築した QStandardItemModel から、特定のアイテムを QTreeView のルートとして設定します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QPushButton>
#include <QDebug>
#include <QMessageBox>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // QStandardItemModel のセットアップ
    QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel();
    model->setColumnCount(1); // 1列のモデル

    // ルートアイテム
    QStandardItem *rootItem = model->invisibleRootItem();

    // データツリーを構築
    QStandardItem *category1 = new QStandardItem("Category A");
    QStandardItem *item1_1 = new QStandardItem("Item A1");
    QStandardItem *item1_2 = new QStandardItem("Item A2");
    category1->appendRow(item1_1);
    category1->appendRow(item1_2);

    QStandardItem *category2 = new QStandardItem("Category B");
    QStandardItem *item2_1 = new QStandardItem("Item B1");
    QStandardItem *item2_2 = new QStandardItem("Item B2");
    QStandardItem *subCategory2_1 = new QStandardItem("Sub-Category B1");
    QStandardItem *subItem2_1_1 = new QStandardItem("Sub-Item B1.1");
    subCategory2_1->appendRow(subItem2_1_1);
    category2->appendRow(item2_1);
    category2->appendRow(item2_2);
    category2->appendRow(subCategory2_1);

    rootItem->appendRow(category1);
    rootItem->appendRow(category2);

    // QTreeView のセットアップ
    QTreeView *treeView = new QTreeView();
    treeView->setModel(model);
    treeView->expandAll(); // 全て展開

    // setRootIndex() を試すボタン
    QPushButton *setRootButtonCategoryA = new QPushButton("Set Root to 'Category A'");
    QPushButton *setRootButtonSubCategoryB1 = new QPushButton("Set Root to 'Sub-Category B1'");
    QPushButton *resetRootButton = new QPushButton("Reset Root (Show All)");

    QObject::connect(setRootButtonCategoryA, &QPushButton::clicked, [&]() {
        // "Category A" の QModelIndex を取得
        QModelIndex index = model->index(0, 0, QModelIndex()); // 0行0列、親は無効なインデックス(ルート)
        if (index.isValid()) {
            treeView->setRootIndex(index);
            treeView->expandAll(); // 新しいルートを展開
            qDebug() << "Root index set to 'Category A'";
        } else {
            qDebug() << "Failed to find 'Category A' index.";
        }
    });

    QObject::connect(setRootButtonSubCategoryB1, &QPushButton::clicked, [&]() {
        // "Sub-Category B1" の QModelIndex を取得
        // まず "Category B" のインデックスを取得
        QModelIndex categoryBIndex = model->index(1, 0, QModelIndex());
        if (categoryBIndex.isValid()) {
            // その後、"Category B" の子として "Sub-Category B1" のインデックスを取得
            QModelIndex subCategoryB1Index = model->index(2, 0, categoryBIndex); // Category B の3番目の子 (0-indexed)
            if (subCategoryB1Index.isValid()) {
                treeView->setRootIndex(subCategoryB1Index);
                treeView->expandAll(); // 新しいルートを展開
                qDebug() << "Root index set to 'Sub-Category B1'";
            } else {
                qDebug() << "Failed to find 'Sub-Category B1' index under 'Category B'.";
            }
        } else {
            qDebug() << "Failed to find 'Category B' index.";
        }
    });

    QObject::connect(resetRootButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
        // ルートをモデルの最上位に戻す
        treeView->setRootIndex(QModelIndex());
        treeView->expandAll(); // 全て展開
        qDebug() << "Root index reset to model's top level.";
    });

    // レイアウトの作成
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout();
    layout->addWidget(setRootButtonCategoryA);
    layout->addWidget(setRootButtonSubCategoryB1);
    layout->addWidget(resetRootButton);
    layout->addWidget(treeView);

    QWidget *window = new QWidget();
    window->setLayout(layout);
    window->setWindowTitle("QTreeView setRootIndex Example (StandardItemModel)");
    window->resize(800, 600);
    window->show();

    return a.exec();
}

説明

QStandardItemModel を作成し、手動で QStandardItem を追加してツリー構造を構築します。
「Set Root to 'Category A'」ボタンをクリックすると、model->index(0, 0, QModelIndex()) で「Category A」の QModelIndex を取得し、それを setRootIndex() に設定します。
「Set Root to 'Sub-Category B1'」ボタンをクリックすると、より深い階層の「Sub-Category B1」をルートに設定します。この場合、親のインデックス（categoryBIndex）を指定して子インデックスを取得している点に注目してください。
「Reset Root (Show All)」ボタンをクリックすると、treeView->setRootIndex(QModelIndex()) を呼び出します。引数なしの QModelIndex() は無効なインデックスを表し、これにより QTreeView はモデル全体の最上位のルートを表示するようになります。

この例では、QTreeView でユーザーが項目を選択した際に、その項目を新しいルートとして設定する方法を示します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QDebug>
#include <QItemSelectionModel>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // QStandardItemModel のセットアップ (例 2 と同じツリー構造を使用)
    QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel();
    model->setColumnCount(1);
    QStandardItem *rootItem = model->invisibleRootItem();

    QStandardItem *category1 = new QStandardItem("Category A");
    QStandardItem *item1_1 = new QStandardItem("Item A1");
    QStandardItem *item1_2 = new QStandardItem("Item A2");
    category1->appendRow(item1_1);
    category1->appendRow(item1_2);

    QStandardItem *category2 = new QStandardItem("Category B");
    QStandardItem *item2_1 = new QStandardItem("Item B1");
    QStandardItem *item2_2 = new QStandardItem("Item B2");
    QStandardItem *subCategory2_1 = new QStandardItem("Sub-Category B1");
    QStandardItem *subItem2_1_1 = new QStandardItem("Sub-Item B1.1");
    subCategory2_1->appendRow(subItem2_1_1);
    category2->appendRow(item2_1);
    category2->appendRow(item2_2);
    category2->appendRow(subCategory2_1);

    rootItem->appendRow(category1);
    rootItem->appendRow(category2);

    // QTreeView のセットアップ
    QTreeView *treeView = new QTreeView();
    treeView->setModel(model);
    treeView->expandAll();

    // ユーザーが項目をダブルクリックしたときにルートを変更する
    QObject::connect(treeView, &QTreeView::doubleClicked, [&](const QModelIndex &index) {
        if (index.isValid()) {
            treeView->setRootIndex(index);
            treeView->expandAll(); // 新しいルートを展開
            qDebug() << "Root index set to selected item:" << index.data().toString();
        }
    });

    // レイアウトの作成
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout();
    layout->addWidget(treeView);

    QWidget *window = new QWidget();
    window->setLayout(layout);
    window->setWindowTitle("QTreeView setRootIndex Example (Double Click)");
    window->resize(800, 600);
    window->show();

    return a.exec();
}

QTreeView の doubleClicked シグナルにスロットを接続します。
ユーザーが項目をダブルクリックすると、その項目の QModelIndex がシグナルによって渡されます。
この index をそのまま treeView->setRootIndex(index) に渡すことで、ダブルクリックされた項目がツリービューの新しいルートとして表示されます。

QSortFilterProxyModel を使用してフィルタリング/絞り込みを行う

QSortFilterProxyModel は、基になるモデル（ソースモデル）のデータを、フィルタリング、ソート、または再編成してビューに提供するためのプロキシモデルです。setRootIndex() がツリーの「表示上のルート」を変更するのに対し、QSortFilterProxyModel は「表示するデータそのもの」をフィルタリングすることで、ツリービューに表示される内容を絞り込むことができます。

メリット

元のモデルは変更されない
基になるモデルはそのまま保持され、ビューに表示されるデータだけが変更されます。
ソート
ソート順をカスタマイズできます。
柔軟なフィルタリング
正規表現やカスタムフィルターロジックを使用して、複雑なフィルタリングが可能です。
データの絞り込み
特定の条件に合致する項目だけを表示できます。

使用例
ある親項目に属する子項目だけを表示したい場合、その親項目をフィルター条件として設定できます。

// QStandardItemModel model; // 既存のモデル
// QTreeView treeView;       // 既存のツリービュー

QSortFilterProxyModel *proxyModel = new QSortFilterProxyModel();
proxyModel->setSourceModel(model);

// 例えば、特定の親の子のみを表示する場合
// proxyModel->setFilterRegExp("Item A1"); // 特定の項目をフィルタリング
// proxyModel->setFilterRole(Qt::DisplayRole); // フィルタリング対象のロール

// あるいは、カスタムフィルターを実装して、特定の子孫のみを表示する
// proxyModel->setFilterCaseSensitivity(Qt::CaseInsensitive);
// proxyModel->setDynamicSortFilter(true); // ソースモデルの変更を即座に反映

treeView->setModel(proxyModel);

// 注意: QSortFilterProxyModel で setRootIndex() を使用することも可能ですが、
// プロキシモデル自体がデータの絞り込みを行うため、setFilterRegExp() などと
// 組み合わせることで、表示内容を細かく制御できます。

モデルのデータを変更する（非推奨または注意が必要）

QTreeView::setRootIndex() がビューの表示方法を変更するのに対し、直接モデルのデータを変更して、ツリービューに表示される項目を限定する方法も考えられます。

方法

不要な項目を削除する
表示したくない項目をモデルから削除する。
親を変更する
表示したいサブツリーの親を、モデルの不可視のルート項目 (QStandardItemModel::invisibleRootItem()) に直接付け替える。

メリット

非常に直接的な方法。

デメリットと注意点

QFileSystemModelなどの組み込みモデルでは難しい/不可能
これらのモデルは内部的にデータを管理しているため、直接的な操作はできません。
モデルが「ビューの表示専用」になってしまう
再利用性が低下します。
データの管理が複雑
ユーザーが元のツリー全体に戻りたい場合、変更されたデータを元に戻すための複雑なロジックが必要になります。
データの破壊
モデルの構造を直接変更するため、元のツリー構造が失われる可能性があります。

この方法は、一般的に推奨されません。 モデルのデータを永続的に変更する場合や、ビューの表示がモデルのデータ構造と完全に一致する必要がある場合にのみ検討すべきです。

ビューポートのスクロールと展開

setRootIndex() は「表示上のルート」を設定しますが、単に特定の項目が画面に表示されるようにしたいだけであれば、scrollTo() や expand() といったメソッドを使用する方法もあります。

QTreeView::scrollTo(const QModelIndex &index, ScrollHint hint = EnsureVisible)
指定されたインデックスの項目がビューポートに表示されるようにスクロールします。

QTreeView::expand(const QModelIndex &index)
指定されたインデックスの項目を展開し、その子項目を表示します。

メリット

ユーザーの操作に応じて、項目を自動的に表示させたい場合に便利です。
既存のツリー構造は維持されたまま、特定の項目にフォーカスを当てることができます。

// QTreeView treeView;
// QStandardItemModel model;

// 特定の項目を検索し、それにスクロールして展開する
QModelIndex targetIndex = model->index(someRow, someColumn, someParentIndex);
if (targetIndex.isValid()) {
    treeView->expand(targetIndex); // ターゲット項目を展開
    treeView->scrollTo(targetIndex, QAbstractItemView::PositionAtCenter); // ビューポートの中心にスクロール
    treeView->setCurrentIndex(targetIndex); // 選択状態にする
}

モデルのデータを根本的に変更する必要がある場合
モデルのデータを直接操作することも可能ですが、データの永続性や管理の複雑さを考慮する必要があります。一般的には非推奨です。
特定の項目にユーザーの注意を引いたり、画面に表示させたいだけで、ツリーのルート自体は変更しない場合
scrollTo() や expand() を使用します。
特定の条件に合致する項目だけを表示したい場合（フィルタリングしたい場合）
QSortFilterProxyModel を使用するのが最も強力で柔軟な方法です。
表示するツリーの「開始点」を変更したい場合
QTreeView::setRootIndex() が最も直接的で適切な方法です。

Qt QTreeView::collapseAll()徹底解説：ツリー表示を効率的に折りたたむ方法

QTreeView は、Qtのウィジェットの一つで、階層的なデータをツリー形式で表示するために使われます。例えば、ファイルエクスプローラーのように、フォルダの中にさらにフォルダやファイルがあるような構造を表示するのに最適です。QTreeView::collapseAll() は、この QTreeView クラスのパブリックスロット (public slot) と呼ばれる関数です。この関数を呼び出すと、現在展開されている（開いている）ツリーのすべてのアイテムが閉じられ、階層が隠された状態になります。

Qt QTreeViewの「折りたたみ」を極める：collapsed()シグナルのすべて

Qt プログラミングにおける void QTreeView::collapsed() は、QTreeView ウィジェットが提供するシグナルの一つです。まず、QTreeView について簡単に説明します。QTreeView は、Qt のモデル/ビューアーキテクチャの一部であり、階層的なデータをツリー構造として表示するためのウィジェットです。例えば、ファイルエクスプローラーのようなツリー表示を実装する際に使用されます。ツリーの各項目（ノード）は、子項目を持つことができ、それらを「展開（expanded）」したり「折りたたむ（collapsed）」ことができます。

Qt 開発：QTreeView で columnAt() を活用したインタラクティブなUI実装

QTreeView::columnAt(int x) は、Qt の QTreeView クラスに属する関数の一つです。この関数は、指定された水平方向の座標（ピクセル単位）にある論理的な列のインデックスを返します。もう少し詳しく説明します。戻り値: 指定された x 座標が、いずれかの列の範囲内にある場合、その列の論理的なインデックス（0から始まる整数）が返されます。指定された x 座標が、どの列の範囲にも含まれない場合（例えば、ウィジェットの左端より左や、すべての列の右端より右）、通常は -1 が返されます。

QTreeViewでサブディレクトリを表示！setRootIndex()活用術

setRootIndex() の機能

使用例

無効な QModelIndex を設定する

setRootIndex() とモデルの変更のタイミング

パフォーマンスの問題

例 1: QFileSystemModel を使用して特定のディレクトリをルートにする

例 2: QStandardItemModel を使用してカスタムツリーのサブブランチをルートにする

QSortFilterProxyModel を使用してフィルタリング/絞り込みを行う

モデルのデータを変更する（非推奨または注意が必要）

ビューポートのスクロールと展開

`setRootIndex()` の機能

例 1: `QFileSystemModel` を使用して特定のディレクトリをルートにする

例 2: `QStandardItemModel` を使用してカスタムツリーのサブブランチをルートにする