Qt QTreeView: 列幅の取得・設定・自動調整を徹底解説!

2025-05-26

QTreeView::columnWidth(int column) const は、QtのQTreeViewクラスが提供するメソッドで、指定された列の現在の幅(ピクセル単位)を返します。



QTreeView::columnWidth()に関連するよくあるエラーとトラブルシューティング

QTreeView::columnWidth()自体は、単に列の幅を返すメソッドであるため、直接的にエラーを引き起こすことは稀です。しかし、このメソッドが期待通りの値を返さない場合や、関連する列幅の操作(setColumnWidth()resizeColumnToContents()など)がうまく機能しない場合に問題が発生することがよくあります。

主な問題と解決策は以下の通りです。

取得した列幅が0になる、または期待しない小さな値になる

問題の症状
columnWidth()を呼び出した際に0や非常に小さな値が返ってくるが、見た目には列が表示されている、あるいはもっと広い幅があるはずなのに、という状況。

原因

  • 遅延評価
    Qtのレイアウトシステムは、ウィジェットのサイズ計算を最適化するために、必要な時に遅延して実行されることがあります。特に、ビューがまだ表示されていない場合や、レイアウトが更新されていない場合に発生しやすいです。
  • 列が非表示になっている
    hideColumn()などで列が非表示になっている場合、幅が0として返されることがあります。
  • 初期化前またはデータセット前
    QTreeViewがまだ完全にレイアウトされていない、またはモデルにデータがセットされる前にcolumnWidth()を呼び出している可能性があります。ビューが内容を計算する前に幅を問い合わせても、正確な値は得られません。

トラブルシューティング

  • 列の表示状態を確認する
    isColumnHidden()を使用して、対象の列が非表示になっていないか確認します。
  • QApplication::processEvents()の使用(一時的なデバッグ目的)
    極端なケースでは、columnWidth()を呼び出す直前にQApplication::processEvents()を呼び出すことで、保留中のイベント(レイアウト更新など)を処理させ、正しい値を取得できる場合があります。ただし、これは通常推奨される方法ではなく、パフォーマンスに影響を与える可能性があるため、あくまでデバッグ目的や一時的な回避策として検討してください。
  • データセット後にrepaint()やupdate()を試す
    モデルにデータをセットした後、ビューを強制的に再描画することで、レイアウトが更新されることがあります。
  • 表示後に呼び出す
    QTreeViewが画面に表示された後(例えば、showEvent内や、メインウィンドウの表示後)にcolumnWidth()を呼び出すようにします。

setColumnWidth()で設定した幅が反映されない

問題の症状
setColumnWidth()で明示的に幅を設定しても、列の幅が変わらない。

原因

  • データがまだ存在しない
    resizeColumnToContents()も同様ですが、表示するデータがない状態で幅を設定しても、データが表示されたときに再度レイアウト計算が行われることがあります。
  • 無効な列インデックス
    存在しない列のインデックスを指定している。
  • QHeaderView::ResizeModeの設定
    QTreeViewのヘッダービュー(QTreeView::header()で取得できるQHeaderViewオブジェクト)のResizeMode設定が原因である可能性が非常に高いです。特にQHeaderView::Stretchモードが設定されている場合、ユーザーやプログラムによる個別の列幅設定は無視され、利用可能なスペース全体に列が引き伸ばされます。

トラブルシューティング

  • 正しい列インデックスを使用する
    列のインデックスは0から始まることを確認し、有効な範囲内のインデックスを指定します。

  • データ投入後に設定する
    モデルにデータがセットされ、ビューに表示された後に列幅を設定するようにします。

    • 特定の列の幅を固定したい場合は、QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::Fixed)を設定します。
    • ユーザーがリサイズできるようにしたい場合は、QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::Interactive)を設定します。
    • 全てのコンテンツに合わせて自動調整させたい場合は、QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::ResizeToContents)を設定し、必要に応じてresizeColumnToContents()を呼び出します。
    • 重要
      QHeaderView::Stretchが設定されていないことを確認してください。
    QHeaderView *header = treeView->header();
    header->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Interactive); // 3番目の列をインタラクティブにリサイズ可能にする
    treeView->setColumnWidth(2, 150); // その後で幅を設定
    

resizeColumnToContents()が正しく機能しない、または期待通りの幅にならない

問題の症状
resizeColumnToContents()を呼び出しても列の幅が内容に合わない、または短すぎる/長すぎる。

原因

  • ラップ設定
    セルのテキストが複数行にわたって表示されるように設定されている場合、そのテキストの幅を正確に計算するのが難しくなることがあります。
  • フォントやスタイルシートの影響
    フォントサイズやスタイルシート(CSS)がテキストの描画に影響を与え、幅の計算が期待通りにならないことがあります。
  • データ不足
    resizeColumnToContents()は、現在ビューに表示されている内容に基づいて幅を計算します。もし、ビューの可視範囲に表示されていないアイテムや、まだモデルにロードされていないアイテムがある場合、それらの内容が考慮されないため、正確な幅にならないことがあります。

トラブルシューティング

  • カスタムデリゲート
    複雑な描画を行うカスタムデリゲートを使用している場合、sizeHint()メソッドを正しく実装して、内容の適切なサイズを返すようにする必要があります。
  • QHeaderView::ResizeToContentsとの組み合わせ
    QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::ResizeToContents)を設定すると、ビューの表示内容が変更されるたびに自動的に列幅が調整されます。これにより、手動でresizeColumnToContents()を呼び出す必要がなくなることが多いです。
  • 十分な余白を考慮する
    resizeColumnToContents()で得られた値に、少量の余白(パディング)を追加することを検討します。
  • 全てのアイテムを考慮する(非推奨/代替案)
    理論的にはすべてのアイテムをビューにロードし、全てのアイテムが可視である状態でresizeColumnToContents()を呼び出すことで最も正確な幅が得られますが、大量のデータがある場合はパフォーマンスに悪影響を与えます。実用的ではないことが多いです。

columnWidth()が変更されたことを検出したい

問題の症状
ユーザーが列の幅を変更したときに、その変更をプログラムで検知したい。

解決策
QTreeViewのヘッダービュー (header()) からcolumnResized(int column, int oldSize, int newSize)シグナルを接続します。

QHeaderView *header = treeView->header();
connect(header, &QHeaderView::sectionResized,
        this, [&](int logicalIndex, int oldSize, int newSize) {
    qDebug() << "列" << logicalIndex << "の幅が" << oldSize << "から" << newSize << "に変更されました。";
    // ここで必要な処理を行う
});
  • Qtのドキュメントとフォーラムを確認する
    Qtの公式ドキュメントは非常に詳細であり、多くの情報が含まれています。また、QtのフォーラムやStack Overflowのようなコミュニティサイトでも、同様の問題が議論されていることがあります。
  • シンプルなコードで再現を試みる
    問題が複雑な場合は、関連する部分だけを抽出して、できるだけシンプルなQtアプリケーションを作成し、そこで問題が再現するかどうかを確認します。これにより、原因の特定が容易になります。
  • QDebugで値を確認する
    疑わしい場合は、qDebug() << treeView->columnWidth(colIndex);のようにデバッグ出力を使って、実際に返される値を確認することが非常に重要です。


列の幅を取得する基本的な例

この例では、QStandardItemModelを使用して簡単なツリービューを作成し、特定の列の現在の幅を取得して表示します。

#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QLabel>
#include <QPushButton>
#include <QDebug> // デバッグ出力用

class MainWindow : public QMainWindow
{
    Q_OBJECT

public:
    MainWindow(QWidget *parent = nullptr) : QMainWindow(parent)
    {
        // モデルの作成と設定
        QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(0, 3, this); // 3列
        model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前");
        model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "種類");
        model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "サイズ");

        // データの追加
        QList<QStandardItem*> parentItems;
        parentItems.append(new QStandardItem("ドキュメント"));
        parentItems.append(new QStandardItem("フォルダ"));
        parentItems.append(new QStandardItem("")); // 3列目は空
        model->appendRow(parentItems);

        QList<QStandardItem*> childItems1;
        childItems1.append(new QStandardItem("レポート.docx"));
        childItems1.append(new QStandardItem("DOCX"));
        childItems1.append(new QStandardItem("1.2 MB"));
        parentItems[0]->appendRow(childItems1);

        QList<QStandardItem*> childItems2;
        childItems2.append(new QStandardItem("画像"));
        childItems2.append(new QStandardItem("フォルダ"));
        childItems2.append(new QStandardItem(""));
        parentItems[0]->appendRow(childItems2);

        QList<QStandardItem*> grandChildItems1;
        grandChildItems1.append(new QStandardItem("写真.jpg"));
        grandChildItems1.append(new QStandardItem("JPG"));
        grandChildItems1.append(new QStandardItem("2.5 MB"));
        childItems2[0]->appendRow(grandChildItems1);

        // QTreeViewの作成とモデルの設定
        QTreeView *treeView = new QTreeView(this);
        treeView->setModel(model);
        treeView->setIndentation(20); // 階層のインデント

        // レイアウトの設定
        QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout();
        layout->addWidget(treeView);

        QLabel *widthLabel = new QLabel("列の幅: ", this);
        layout->addWidget(widthLabel);

        QPushButton *getWidthButton = new QPushButton("列0の幅を取得", this);
        layout->addWidget(getWidthButton);

        QWidget *centralWidget = new QWidget(this);
        centralWidget->setLayout(layout);
        setCentralWidget(centralWidget);

        // 列の幅を取得して表示するスロット
        connect(getWidthButton, &QPushButton::clicked, this, [=]() {
            // 列0の幅を取得
            int column0Width = treeView->columnWidth(0);
            widthLabel->setText(QString("列0の現在の幅: %1 px").arg(column0Width));
            qDebug() << "列0の幅:" << column0Width << "px";

            // 他の列の幅も取得してみる
            qDebug() << "列1の幅:" << treeView->columnWidth(1) << "px";
            qDebug() << "列2の幅:" << treeView->columnWidth(2) << "px";
        });

        // 最初の列の幅をコンテンツに合わせて自動調整
        // 注意: これを呼び出すタイミングは、データが完全にビューにロードされた後が良い
        // そうしないと、正確な幅が計算されない可能性があります。
        // ここでは、ウィンドウが表示された後に呼び出すために、QTimer::singleShotを使っています。
        QTimer::singleShot(100, this, [=]() {
            treeView->resizeColumnToContents(0);
            treeView->setColumnWidth(1, 100); // 1番目の列を固定幅に設定
            treeView->setColumnWidth(2, 80);  // 2番目の列を固定幅に設定
            qDebug() << "初期設定後の列0の幅:" << treeView->columnWidth(0) << "px";
            qDebug() << "初期設定後の列1の幅:" << treeView->columnWidth(1) << "px";
            qDebug() << "初期設定後の列2の幅:" << treeView->columnWidth(2) << "px";
        });
    }
};

#include "main.moc" // mocファイルをインクルード

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);
    MainWindow w;
    w.setWindowTitle("QTreeView::columnWidth() 例");
    w.show();
    return a.exec();
}

解説

  • setColumnWidth()を使って、他の列の幅を明示的に設定しています。
  • ウィンドウが表示された後にQTimer::singleShotを使ってresizeColumnToContents(0)を呼び出し、最初の列をコンテンツに合わせるようにしています。これは、ビューが実際に描画される前に幅を計算しようとすると、正確な値が得られない場合があるためです。
  • getWidthButtonをクリックすると、treeView->columnWidth(0)を呼び出して、最初の列の幅を取得し、QLabelに表示します。
  • QTreeViewにモデルを設定します。
  • QStandardItemModelを作成し、ダミーデータを追加しています。

ユーザーによる列幅の変更を検出する例

この例では、ユーザーが列の幅をマウスで変更したときに、その変更をQHeaderView::sectionResizedシグナルを介して検出し、デバッグ出力に表示します。

#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QDebug>

class MyTreeViewWindow : public QMainWindow
{
    Q_OBJECT

public:
    MyTreeViewWindow(QWidget *parent = nullptr) : QMainWindow(parent)
    {
        QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(0, 3, this);
        model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "ファイル名");
        model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "日付");
        model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "権限");

        // ダミーデータを追加
        QList<QStandardItem*> row1;
        row1 << new QStandardItem("document.pdf") << new QStandardItem("2023-01-15") << new QStandardItem("rwx");
        model->appendRow(row1);

        QList<QStandardItem*> row2;
        row2 << new QStandardItem("image.png") << new QStandardItem("2023-02-20") << new QStandardItem("rw-");
        model->appendRow(row2);

        QTreeView *treeView = new QTreeView(this);
        treeView->setModel(model);

        // ヘッダービューを取得
        QHeaderView *header = treeView->header();

        // 列のリサイズモードを設定
        // これにより、ユーザーが列をリサイズできるようになります
        header->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::Interactive); // 0番目の列はユーザーがリサイズ可能
        header->setSectionResizeMode(1, QHeaderView::Interactive); // 1番目の列もユーザーがリサイズ可能
        header->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Stretch);     // 2番目の列は残りスペースを埋める

        // 列の幅が変更されたときにシグナルを接続
        connect(header, &QHeaderView::sectionResized, this,
                [=](int logicalIndex, int oldSize, int newSize) {
            qDebug() << "列インデックス:" << logicalIndex
                     << "がリサイズされました。 古い幅:" << oldSize
                     << "px, 新しい幅:" << newSize << "px";
            // ここで、変更された列の新しい幅を QTreeView::columnWidth() で再確認できます
            qDebug() << "QTreeView::columnWidth(" << logicalIndex << ")による現在の幅:"
                     << treeView->columnWidth(logicalIndex) << "px";
        });

        // レイアウトの設定
        QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(new QWidget(this));
        layout->addWidget(treeView);
        setCentralWidget(layout->parentWidget());

        setWindowTitle("QTreeView 列幅変更検出例");
        resize(400, 300);
    }
};

#include "main.moc"

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);
    MyTreeViewWindow w;
    w.show();
    return a.exec();
}

解説

  • QHeaderView::sectionResizedシグナルをラムダ関数で接続し、ユーザーが列の幅を変更するたびにデバッグ出力にその情報を表示しています。logicalIndexoldSizenewSizeの各引数を通じて、どの列がどのように変更されたかを知ることができます。
  • setSectionResizeMode()を使って、各列のリサイズ動作を設定します。ここでは、0番目と1番目の列はユーザーが対話的にリサイズできるようにし、2番目の列は残りのスペースを埋めるように設定しています。
  • treeView->header()を使ってQHeaderViewオブジェクトを取得します。

resizeColumnToContents()とcolumnWidth()の組み合わせ例

この例では、ボタンをクリックするとすべての列の幅をコンテンツに合わせて自動調整し、その後、それぞれの列の最終的な幅をcolumnWidth()で取得して表示します。

#include <QApplication>
#include <QMainWindow>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QPushButton>
#include <QDebug>

class AutoResizeColumnsWindow : public QMainWindow
{
    Q_OBJECT

public:
    AutoResizeColumnsWindow(QWidget *parent = nullptr) : QMainWindow(parent)
    {
        QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(0, 3, this);
        model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "非常に長い項目名がここに来るかもしれません");
        model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "短い");
        model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "可変長のコンテンツ");

        // データを追加(異なる長さの文字列を含む)
        QList<QStandardItem*> item1;
        item1 << new QStandardItem("短いテキスト")
              << new QStandardItem("A")
              << new QStandardItem("これは最初の行の可変長テキストです。");
        model->appendRow(item1);

        QList<QStandardItem*> item2;
        item2 << new QStandardItem("もっと長いテキストの例")
              << new QStandardItem("BB")
              << new QStandardItem("短いコンテンツ");
        model->appendRow(item2);

        QList<QStandardItem*> item3;
        item3 << new QStandardItem("超ウルトラ長いテキストの例がここに来ます!")
              << new QStandardItem("CCC")
              << new QStandardItem("これもまた別の可変長のコンテンツです。かなり長くなることもあります。");
        model->appendRow(item3);

        QTreeView *treeView = new QTreeView(this);
        treeView->setModel(model);

        // ヘッダービューの設定(任意: 必要に応じて伸縮モードをInteractiveにするなど)
        QHeaderView *header = treeView->header();
        header->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive); // 全ての列をユーザーがリサイズ可能にする

        QPushButton *resizeButton = new QPushButton("全列をコンテンツに合わせる", this);
        QPushButton *checkWidthsButton = new QPushButton("現在の列幅を確認", this);

        connect(resizeButton, &QPushButton::clicked, this, [=]() {
            // 全ての列をコンテンツに合わせてリサイズ
            for (int i = 0; i < model->columnCount(); ++i) {
                treeView->resizeColumnToContents(i);
            }
            qDebug() << "すべての列がコンテンツに合わせてリサイズされました。";
            checkWidthsButton->click(); // リサイズ後にすぐに幅を確認
        });

        connect(checkWidthsButton, &QPushButton::clicked, this, [=]() {
            for (int i = 0; i < model->columnCount(); ++i) {
                qDebug() << "列" << i << "の幅:" << treeView->columnWidth(i) << "px";
            }
        });

        QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(new QWidget(this));
        layout->addWidget(treeView);
        layout->addWidget(resizeButton);
        layout->addWidget(checkWidthsButton);
        setCentralWidget(layout->parentWidget());

        setWindowTitle("QTreeView::resizeColumnToContents() 例");
        resize(600, 400);

        // 初期状態で列幅を自動調整
        QTimer::singleShot(100, this, [=]() {
            resizeButton->click();
        });
    }
};

#include "main.moc"

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);
    AutoResizeColumnsWindow w;
    w.show();
    return a.exec();
}
  • 初期表示時にも自動調整が走るように、QTimer::singleShotでボタンクリックをエミュレートしています。
  • checkWidthsButtonをクリックすると、columnWidth(i)を使って各列の現在の幅を取得し、デバッグ出力に表示します。resizeColumnToContents()が正しく機能しているかを確認できます。
  • resizeButtonをクリックすると、ループを使ってすべての列に対してtreeView->resizeColumnToContents(i)を呼び出しています。これにより、各列の幅がその列の最も長いコンテンツ(ヘッダーとデータを含む)に合わせて自動的に調整されます。
  • さまざまな長さの文字列を持つダミーデータをモデルに追加しています。


Qtプログラミングにおいて、QTreeView::columnWidth()は特定の列の幅(ピクセル単位)を取得するための直接的なメソッドですが、**「代替手段」**という文脈で考える場合、それは単に幅を取得するのではなく、列の幅を制御したり、ビューのレイアウトを管理したりするための他の方法や関連する概念を指すことが多いです。

QTreeView::columnWidth()は「取得」のためのものなので、直接的な「代替」はあまりありませんが、列幅の「設定」や「管理」の観点では多くの選択肢があります。

QTreeView::setColumnWidth(int column, int width) (列幅の直接設定)

これは最も直接的な「代替」ではなく、「対」になるメソッドです。columnWidth()で現在の幅を取得するのに対し、setColumnWidth()は明示的に幅を設定します。

  • 注意点
    QHeaderView::ResizeModeの設定(後述)によっては、この設定が無視されることがあります。特にQHeaderView::Stretchが設定されている場合は、このメソッドで設定した幅は無効になります。
  • 目的
    特定の列の幅を固定したい場合や、プログラムで計算した値に設定したい場合。

QTreeView::resizeColumnToContents(int column) (コンテンツに合わせた自動調整)

これは、columnWidth()で得られる値の「理想的な状態」をプログラムで実現するための強力な代替手段です。

  • 注意点
    • ビューにまだデータが完全にロードされていない場合や、ビューが表示されていない場合、正確な幅が計算されないことがあります。そのため、データ投入後やウィジェットが表示された後に呼び出すのが一般的です。
    • 大量のデータがある場合、すべてのコンテンツをスキャンするため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • 利点
    手動で最適な幅を計算する必要がなく、多様なデータ長に対応できます。
  • 目的
    列のコンテンツ(ヘッダーテキストとすべてのアイテムのテキスト/ウィジェット)が完全に表示されるように、自動的に列幅を調整したい場合。

QHeaderView::setSectionResizeMode(int logicalIndex, QHeaderView::ResizeMode mode) (ヘッダービューによる列のリサイズモード設定)

QTreeViewの列幅の挙動を最も根本的に制御するのが、水平ヘッダービュー (QTreeView::header()) のリサイズモードです。これはcolumnWidth()の「結果」に大きく影響を与えます。


  • QHeaderView *header = treeView->header();
    // 最初の列をコンテンツに合わせて自動調整(ユーザーはリサイズ不可)
    header->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::ResizeToContents);
    // 2番目の列をユーザーがリサイズできるようにする
    header->setSectionResizeMode(1, QHeaderView::Interactive);
    // 最後の列を残りスペースに広げる
    header->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Stretch);
    
  • QHeaderView::ResizeModeの主な値
    • QHeaderView::Interactive: ユーザーが列をリサイズできます。プログラムによるsetColumnWidth()も有効です。
    • QHeaderView::Fixed: ユーザーはリサイズできません。幅はsetColumnWidth()で設定された値、またはdefaultSectionSizeに固定されます。
    • QHeaderView::Stretch: 列は利用可能なスペースを埋めるように自動的に伸縮します。このモードでは、setColumnWidth()による手動設定や、ユーザーによるリサイズは無効になります。
    • QHeaderView::ResizeToContents: 列は常にコンテンツに合わせて自動調整されます(resizeColumnToContents()を自動で適用するようなもの)。ユーザーによるリサイズは無効です。
  • 目的
    • ユーザーが列をリサイズできるようにするかどうかを制御する。
    • 列が残りスペースを埋めるように自動的に伸縮するかどうかを制御する。
    • 列が常にコンテンツに合うように自動調整されるように設定する。

QHeaderView::sectionSize(int logicalIndex) (ヘッダービュー経由での幅取得)

QTreeView::columnWidth()は、内部的にヘッダービューの機能を使用しているため、QHeaderView::sectionSize()も同様に列の幅を取得できます。実際にはほとんど同じ値を返します。

  • 利点
    QTreeViewのヘッダービューに直接アクセスしていることを明示したい場合や、QHeaderViewの他のプロパティ(リサイズモードなど)を操作している文脈で一貫性を持たせたい場合に利用できます。
  • 目的
    特定の列の幅を取得する。

QHeaderView::resizeSection(int logicalIndex, int size) (ヘッダービュー経由での幅設定)

QTreeView::setColumnWidth()と同様に、ヘッダービュー経由で列の幅を設定できます。結果は同じです。

  • 目的
    特定の列の幅をプログラムで設定する。

QItemDelegate::sizeHint()のオーバーライド (カスタム描画における幅の提供)

QTreeView内の各アイテムの表示にQStyledItemDelegateなどのカスタムデリゲートを使用している場合、そのデリゲートのsizeHint()メソッドをオーバーライドすることで、アイテムの「推奨サイズ」をビューに伝えます。この情報は、resizeColumnToContents()が列幅を計算する際に利用されます。

  • 注意点
    sizeHint()はあくまで「推奨」であり、QHeaderView::ResizeModeの設定によっては、このヒントが完全に無視されることがあります(例: FixedStretchモード)。また、resizeColumnToContents()が呼び出されないと、このヒントが列幅に反映されないこともあります。
  • 目的
    複雑な描画や、テキストの折り返しなど、標準の計算では最適な幅が得られない場合に、カスタムロジックでアイテムの幅をビューに伝える。

モデルのheaderData()メソッドでQt::SizeHintRoleを返す

ごくまれなケースですが、モデルのheaderData()メソッドでQt::SizeHintRoleを処理し、ヘッダーセクションの推奨サイズを返すことができます。これは主にQTableViewのコンテキストでより関連性が高いですが、QTreeViewのヘッダービューもこの情報を利用する場合があります。

  • 注意点
    これもQItemDelegate::sizeHint()と同様に、ヘッダービューのリサイズモードによってその効果が限定されることがあります。
  • 目的
    モデルから直接、ヘッダーの推奨サイズを提供したい場合。

QTreeView::columnWidth()の「代替手段」は、単に幅を取得する以上の、**列幅の「管理」と「制御」**に関する様々な手法を指します。特にQHeaderViewを介したリサイズモードの設定は、QTreeViewの列幅の挙動を理解し、適切に制御するために非常に重要です。

プログラムで列幅を動的に調整したい場合は、以下の優先順位で検討すると良いでしょう。

  1. 自動調整で十分な場合
    QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::ResizeToContents)を検討し、必要に応じてresizeColumnToContents()を手動で呼び出す。
  2. 固定幅にしたい場合
    QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::Fixed)setColumnWidth(column, width)を組み合わせる。
  3. 残りスペースを埋めたい場合
    QHeaderView::setSectionResizeMode(column, QHeaderView::Stretch)を使用する(この場合、setColumnWidth()は無効)。
  4. 複雑な描画やサイズ計算が必要な場合
    カスタムデリゲートのsizeHint()をオーバーライドすることを検討する。