QTreeViewの列幅制御:columnResized()以外のQtプログラミング手法を徹底比較
QtにおけるQTreeView::columnResized()
は、QTreeView
ウィジェットのシグナルの一つです。これは、ツリービュー内の列の幅が変更されたときに発行されます。
シグナルの定義
void QTreeView::columnResized(int column, int oldSize, int newSize)
パラメータ
newSize
: 列の変更後の幅(ピクセル単位)。oldSize
: 列の変更前の幅(ピクセル単位)。column
: 幅が変更された列のインデックス(0から始まる)。
動作
QTreeView
は、階層的なデータを表示するためのウィジェットです。データは行と列で整理され、各列にはヘッダーがあります。ユーザーが列ヘッダーの境界線をドラッグして列の幅を変更すると、このcolumnResized()
シグナルが自動的に発行されます。
このシグナルは、通常、QTreeView
の内部的なメカニズムによって発行されますが、開発者はこのシグナルにスロットを接続することで、列の幅が変更されたときのカスタムな処理を実行できます。
例えば、アプリケーションで特定の列の幅を自動的に調整したり、ユーザーが列の幅を変更したときに設定を保存したりする場合に役立ちます。
// MyTreeViewクラスのヘッダーファイル (.h)
#include <QTreeView>
#include <QDebug>
class MyTreeView : public QTreeView
{
Q_OBJECT
public:
MyTreeView(QWidget *parent = nullptr);
private slots:
void handleColumnResized(int column, int oldSize, int newSize);
};
// MyTreeViewクラスの実装ファイル (.cpp)
#include "MyTreeView.h"
MyTreeView::MyTreeView(QWidget *parent)
: QTreeView(parent)
{
// columnResized シグナルをカスタムスロットに接続
connect(this, &QTreeView::columnResized,
this, &MyTreeView::handleColumnResized);
}
void MyTreeView::handleColumnResized(int column, int oldSize, int newSize)
{
qDebug() << "列" << column << "の幅が変更されました。";
qDebug() << " 旧幅:" << oldSize;
qDebug() << " 新幅:" << newSize;
// ここで、変更された列幅に基づいて何かカスタムな処理を行うことができます。
// 例: 設定ファイルに新しい幅を保存する、他のウィジェットのサイズを調整するなど。
}
この例では、MyTreeView
というQTreeView
を継承したクラスを作成し、columnResized
シグナルをhandleColumnResized
というカスタムスロットに接続しています。これにより、ユーザーが列の幅を変更するたびに、デバッグメッセージが出力され、その列のインデックス、変更前の幅、変更後の幅が確認できます。
ここでは、QTreeView
の列のサイズ変更に関連する一般的な問題とそのトラブルシューティングについて説明します。
シグナルが発行されない/期待通りに発行されない
問題
columnResized()
シグナルにスロットを接続したにもかかわらず、列のサイズを変更してもスロットが呼び出されない、または特定の状況下でしか呼び出されない。
原因とトラブルシューティング
-
モデルの変更による自動リサイズ
- 確認点
モデルのデータが変更されたときに、QTreeView
が自動的に列幅をresizeColumnToContents()
などで調整していませんか?この場合、ユーザー操作ではないためcolumnResized()
シグナルが発行されないことがあります。
- 確認点
-
自動サイズ調整モード
- 確認点
QHeaderView::setSectionResizeMode()
で、列のサイズ調整モードをQHeaderView::Interactive
に設定していますか?Fixed
やStretch
などのモードでは、ユーザーが手動でサイズを変更できないため、シグナルは発行されません。 - 例
treeView->header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive);
- 確認点
-
- 確認点
connect
文が正しく書かれているか確認してください。特に、シグナルとスロットの引数の型と数が一致しているか、オブジェクトのポインタが正しいかを確認します。 - 例
// 良い例 connect(treeView, &QTreeView::columnResized, this, &MyClass::handleColumnResized); // 間違いやすい例 (QTreeWidgetのシグナルと間違える) // connect(treeWidget, &QTreeWidget::columnResized, ...); // QTreeWidgetにはこのシグナルはない // QTreeWidgetの場合は QTreeWidget::header()->sectionResized が近い
QTreeView
はQAbstractItemView
を継承しており、ヘッダー(QHeaderView
)を持っています。ユーザーによる列のサイズ変更は、実際にはQHeaderView
が処理し、そのsectionResized(int logicalIndex, int oldSize, int newSize)
シグナルを発行します。QTreeView
は、このQHeaderView
のシグナルをcolumnResized()
として再発行(relay)しています。したがって、QTreeView
オブジェクトに対してcolumnResized
を接続すれば通常は問題ありませんが、もし動かない場合はQHeaderView
のシグナルを直接試してみるのも一案です。// QHeaderViewのシグナルを直接接続する例 connect(treeView->header(), &QHeaderView::sectionResized, this, &MyClass::handleHeaderSectionResized);
- 確認点
resizeColumnToContents()が期待通りに機能しない
問題
プログラムからQTreeView::resizeColumnToContents(int column)
を呼び出しても、列の幅が内容に合わない、または全く変更されない。
原因とトラブルシューティング
-
カスタムデリゲート
- 確認点
カスタムデリゲートを使用している場合、そのsizeHint()
が正しく実装されていますか?resizeColumnToContents()
は、デリゲートのsizeHint()
を使って内容の最適な幅を計算します。 - 対処法
カスタムデリゲートのsizeHint()
が、表示されるべき内容の正確なサイズを返すように修正します。
- 確認点
-
stretchLastSectionプロパティ
- 確認点
QHeaderView::stretchLastSection
がtrue
に設定されていませんか?このプロパティがtrue
の場合、最後の列が利用可能なスペースをすべて埋めるように伸縮するため、他の列のresizeColumnToContents()
の動作に影響を与える可能性があります。 - 対処法
必要に応じてtreeView->header()->setStretchLastSection(false);
を設定します。
- 確認点
-
タイミングの問題
- 確認点
QTreeView
がまだ完全に表示されていない、またはレイアウトが確定していない段階でresizeColumnToContents()
を呼び出していませんか? - 対処法
- ウィジェットが完全に表示された後に呼び出す(例:
QTimer::singleShot
で少し遅延させて呼び出す)。 showEvent
で呼び出す。- レイアウトの計算が完了した後に呼び出す。
- ウィジェットが完全に表示された後に呼び出す(例:
- 確認点
-
データ未設定
- 確認点
resizeColumnToContents()
を呼び出す時点で、モデルにデータが完全に設定されていますか?データがない、または一部しかない場合、最適な幅を計算できません。 - 対処法
モデルにデータがロードされた後にresizeColumnToContents()
を呼び出すようにしてください。特に、非同期でデータをロードしている場合は注意が必要です。
- 確認点
列の幅が「跳ねる」または不規則に変化する
問題
ユーザーが列の幅を変更する際、またはプログラムで変更した際に、列の幅が突然大きくなったり小さくなったり、意図しない挙動を示す。
原因とトラブルシューティング
-
再帰的な呼び出し/イベントループの問題
- 確認点
columnResized()
シグナルに接続されたスロット内で、さらに列のサイズを変更するような処理を呼び出していませんか?これが無限ループや予期せぬ再帰的な呼び出しを引き起こし、不安定な挙動になることがあります。 - 対処法
スロット内での列幅変更は慎重に行うか、イベント処理をブロックしないように工夫します。
- 確認点
-
再描画の問題
- 確認点
列幅の変更後にQTreeView
またはその親ウィジェットの再描画が適切に行われていますか? - 対処法
viewport()->update()
やrepaint()
を呼び出すことで、強制的に再描画を促すことができる場合があります。
- 確認点
-
複数の場所でのサイズ設定
- 確認点
列の幅を複数の場所(例: デザイナ、コード、resizeColumnToContents
、setColumnWidth
など)で設定していませんか?これらの設定が競合している可能性があります。 - 対処法
列の幅を制御するロジックを一元化し、競合する設定を排除します。
- 確認点
列の幅の保存と復元
問題
アプリケーションを終了して再起動すると、ユーザーが設定した列の幅が失われる。
原因とトラブルシューティング
- 保存ロジックの欠如
- 確認点
columnResized()
シグナルを利用して、列の幅(newSize
)をアプリケーション設定(例:QSettings
)に保存する処理を実装していますか? - 対処法
columnResized()
シグナルに接続されたスロット内で、変更後の列の幅をQSettings
などに保存する。- アプリケーションの起動時、または
QTreeView
が初期化される際に、保存された列幅をQTreeView::setColumnWidth()
で復元する。
- 例(保存部分)
void MyClass::handleColumnResized(int column, int oldSize, int newSize) { QSettings settings("MyCompany", "MyApp"); settings.setValue(QString("TreeViewColumnWidth_%1").arg(column), newSize); } // 復元部分 (コンストラクタなど) MyClass::MyClass(...) { // ... QSettings settings("MyCompany", "MyApp"); for (int i = 0; i < numberOfColumns; ++i) { // numberOfColumnsは列の総数 int savedWidth = settings.value(QString("TreeViewColumnWidth_%1").arg(i), -1).toInt(); if (savedWidth != -1) { treeView->setColumnWidth(i, savedWidth); } } // ... }
- 確認点
- Qtドキュメントの参照
QTreeView
、QHeaderView
、QAbstractItemView
のドキュメントを再確認し、プロパティや関数の意味を理解します。特に、QHeaderView::ResizeMode
は列の挙動に大きく影響します。 - 最小再現コード
問題を切り分けるために、問題が発生する最小限のコードを作成し、他の要素を排除してテストします。 - イベントフィルタ
複雑なケースでは、eventFilter()
を導入して、QEvent::Resize
などのイベントを捕捉し、何が起きているかをより詳細に把握することも有効です。 - qDebug()の活用
シグナルが発行されているか、スロットが呼び出されているか、パラメータの値が正しいかなどを確認するために、qDebug()
を使ってログを出力します。
Qt の QTreeView::columnResized()
シグナルに関連するプログラミング例をいくつかご紹介します。このシグナルは、ユーザーがツリービューの列の幅を変更したときに発行され、その変更をプログラムで検知し、対応する処理を行うのに役立ちます。
例 1: 列の幅変更イベントの検知と情報表示
これは最も基本的な例で、列の幅が変更されたときに、どの列がどのように変更されたかをデバッグ出力で確認します。
// main.cpp (簡単なアプリケーションの例)
#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStringListModel>
#include <QDebug> // デバッグ出力用
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QTreeView treeView;
// モデルの準備 (例としてQStringListModelを使用)
QStringListModel *model = new QStringListModel();
QStringList data;
data << "Item 1, Column A" << "Item 1, Column B" << "Item 1, Column C";
data << "Item 2, Column A" << "Item 2, Column B" << "Item 2, Column C";
data << "Item 3, Column A" << "Item 3, Column B" << "Item 3, Column C";
model->setStringList(data);
// QTreeViewを複数列表示できるように設定
// QStringListModelはデフォルトでは1列しか表示しないため、
// ここではQStandardItemModelやカスタムモデルの利用がより適切ですが、
// シグナルの動作確認のため簡易的に。
// 実際にはQStandardItemModelなどで列構造を定義します。
// この例では便宜上、単一のQListViewのような動作になりますが、
// QTreeViewのヘッダーをドラッグするとシグナルは発行されます。
// よりQTreeViewらしいモデル設定 (QStandardItemModelの推奨)
QStandardItemModel *standardModel = new QStandardItemModel(3, 3); // 3行3列
standardModel->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前");
standardModel->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "年齢");
standardModel->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "都市");
for (int row = 0; row < 3; ++row) {
for (int col = 0; col < 3; ++col) {
QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("データ %1-%2").arg(row+1).arg(col+1));
standardModel->setItem(row, col, item);
}
}
treeView.setModel(standardModel);
// columnResized シグナルをラムダ式で接続
// ラムダ式は、シグナルが発行されたときに直接実行される小さな関数のようなものです。
QObject::connect(&treeView, &QTreeView::columnResized,
[](int column, int oldSize, int newSize){
qDebug() << "--- 列幅変更イベント ---";
qDebug() << " 変更された列 (インデックス):" << column;
qDebug() << " 変更前の幅 (px):" << oldSize;
qDebug() << " 変更後の幅 (px):" << newSize;
qDebug() << "-------------------------";
});
// QHeaderView::setSectionResizeMode() でインタラクティブなリサイズを許可
// デフォルトはInteractiveなので通常は不要ですが、明示的に設定するのも良いでしょう。
treeView.header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive);
treeView.setWindowTitle("QTreeView Column Resize Example 1");
treeView.show();
return a.exec();
}
解説
treeView.header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive);
は、ユーザーが列のサイズをインタラクティブに変更できるように設定しています。- ユーザーが列ヘッダーの境界線をドラッグして列の幅を変更すると、このラムダ式が実行され、
qDebug()
を使ってコンソールに情報が出力されます。出力される情報には、変更された列のインデックス、変更前の幅、変更後の幅が含まれます。 QObject::connect()
を使用して、treeView
オブジェクトのcolumnResized
シグナルをラムダ式に接続しています。QStandardItemModel
を使用して、複数列を持つモデルを準備しています。これにより、QTreeView
が表形式でデータを表示し、列ヘッダーをユーザーがドラッグできるようになります。
例 2: 列の幅をアプリケーション設定に保存し、次回起動時に復元する
この例では、ユーザーが列の幅を変更したときにその幅をアプリケーションの設定(QSettings
)に保存し、次回アプリケーションを起動したときにその設定を読み込んで列の幅を復元する方法を示します。
// mytreeviewwidget.h
#ifndef MYTREEVIEWWIDGET_H
#define MYTREEVIEWWIDGET_H
#include <QWidget>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView> // QHeaderView を使うため
#include <QSettings> // 設定保存のため
class MyTreeViewWidget : public QWidget
{
Q_OBJECT
public:
explicit MyTreeViewWidget(QWidget *parent = nullptr);
~MyTreeViewWidget();
private slots:
// columnResized シグナルを受け取るスロット
void handleColumnResized(int column, int oldSize, int newSize);
private:
QTreeView *treeView;
QStandardItemModel *model;
// 列幅を保存・復元するヘルパー関数
void saveColumnWidths();
void restoreColumnWidths();
};
#endif // MYTREEVIEWWIDGET_H
// mytreeviewwidget.cpp
#include "mytreeviewwidget.h"
#include <QVBoxLayout>
#include <QDebug>
MyTreeViewWidget::MyTreeViewWidget(QWidget *parent)
: QWidget(parent)
{
// レイアウトの設定
QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(this);
treeView = new QTreeView(this);
layout->addWidget(treeView);
setLayout(layout);
// モデルの初期化と設定
model = new QStandardItemModel(5, 4, this); // 5行4列
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "ファイル名");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "サイズ");
model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "最終更新日");
model->setHeaderData(3, Qt::Horizontal, "タイプ");
// ダミーデータの追加
for (int row = 0; row < 5; ++row) {
model->setItem(row, 0, new QStandardItem(QString("document_%1.txt").arg(row + 1)));
model->setItem(row, 1, new QStandardItem(QString("%1 KB").arg((row + 1) * 100)));
model->setItem(row, 2, new QStandardItem(QDate::currentDate().addDays(-row).toString("yyyy/MM/dd")));
model->setItem(row, 3, new QStandardItem("テキストファイル"));
}
treeView->setModel(model);
// ヘッダーのインタラクティブなリサイズを許可 (デフォルトはInteractive)
treeView->header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive);
// columnResized シグナルをスロットに接続
connect(treeView, &QTreeView::columnResized,
this, &MyTreeViewWidget::handleColumnResized);
// 以前保存された列幅を復元
restoreColumnWidths();
setWindowTitle("QTreeView Persistent Column Widths");
resize(600, 400); // ウィンドウの初期サイズ
}
MyTreeViewWidget::~MyTreeViewWidget()
{
// デストラクタで特に何もする必要はありません(QObjectの親子関係で自動的に解放されます)
}
// columnResized シグナルを受け取るスロット
void MyTreeViewWidget::handleColumnResized(int column, int oldSize, int newSize)
{
qDebug() << "列" << column << "の幅が" << oldSize << "から" << newSize << "に変更されました。";
// 列幅が変更されるたびに保存
saveColumnWidths();
}
// 現在の列幅をQSettingsに保存する
void MyTreeViewWidget::saveColumnWidths()
{
QSettings settings("MyCompany", "MyApp"); // 会社名とアプリケーション名を指定
// 列の総数を取得
int columnCount = model->columnCount();
// 各列の幅を保存
for (int i = 0; i < columnCount; ++i) {
int width = treeView->columnWidth(i);
// "ColumnWidth/0", "ColumnWidth/1" のようなキーで保存
settings.setValue(QString("ColumnWidth/%1").arg(i), width);
}
qDebug() << "現在の列幅を保存しました。";
}
// QSettingsから列幅を読み込み、QTreeViewに適用する
void MyTreeViewWidget::restoreColumnWidths()
{
QSettings settings("MyCompany", "MyApp");
int columnCount = model->columnCount();
for (int i = 0; i < columnCount; ++i) {
// 保存された幅を読み込む。保存されていなければ-1をデフォルト値とする。
int savedWidth = settings.value(QString("ColumnWidth/%1").arg(i), -1).toInt();
if (savedWidth != -1) {
// 保存された幅があれば設定
treeView->setColumnWidth(i, savedWidth);
qDebug() << "列" << i << "の幅を" << savedWidth << "に復元しました。";
}
}
}
// main.cpp
#include <QApplication>
#include "mytreeviewwidget.h"
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
// QSettings がレジストリや設定ファイルを使用できるように設定
// Windows: HKEY_CURRENT_USER\Software\MyCompany\MyApp
// macOS: ~/Library/Preferences/MyCompany.MyApp.plist
// Linux: ~/.config/MyCompany/MyApp.conf (またはXDG_CONFIG_HOME)
QCoreApplication::setOrganizationName("MyCompany");
QCoreApplication::setApplicationName("MyApp");
MyTreeViewWidget widget;
widget.show();
return a.exec();
}
解説
main.cpp
でQCoreApplication::setOrganizationName()
とQCoreApplication::setApplicationName()
を設定することは、QSettings
が設定ファイルをどこに保存するかを決定するために重要です。restoreColumnWidths()
関数は、ウィジェットが初期化されるときに呼び出され、QSettings
から保存された列幅を読み込み、treeView->setColumnWidth()
を使って適用します。これにより、アプリケーションを再起動しても以前の列幅が維持されます。saveColumnWidths()
関数は、QSettings
を使用して各列の幅を永続的に保存します。キーはColumnWidth/0
、ColumnWidth/1
のように列インデックスに基づいて生成されます。handleColumnResized()
スロットをcolumnResized
シグナルに接続します。このスロットは、列幅が変更されるたびに呼び出され、saveColumnWidths()
関数を呼び出して現在の列幅を保存します。MyTreeViewWidget
クラスを作成し、その中にQTreeView
を含めます。
columnResized()
シグナル自体は幅を制限しませんが、列のサイズ調整に関連して、QHeaderView
の機能を使って列の最小幅や最大幅を設定できます。これは、ユーザーが列を極端に狭くしたり広げたりするのを防ぐのに役立ちます。
// main.cpp
#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QTreeView treeView;
QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(5, 3);
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "商品名");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "価格");
model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "在庫数");
for (int row = 0; row < 5; ++row) {
model->setItem(row, 0, new QStandardItem(QString("りんご %1").arg(row + 1)));
model->setItem(row, 1, new QStandardItem(QString("%1円").arg((row + 1) * 100)));
model->setItem(row, 2, new QStandardItem(QString("%1個").arg(row * 5 + 10)));
}
treeView.setModel(model);
// --- ここから列幅の制限設定 ---
// 0番目の列 (商品名) の最小幅を設定
treeView.header()->setMinimumSectionSize(150); // 全体の最小サイズ設定(これはあまり使わない)
treeView.header()->setMinimumSectionSize(0, 150); // 0番目の列の最小幅を150pxに設定
// treeView.setColumnWidth(0, 200); // 必要であれば初期幅を設定
// 1番目の列 (価格) の最大幅を設定
treeView.header()->setMaximumSectionSize(1, 100); // 1番目の列の最大幅を100pxに設定
// 2番目の列 (在庫数) はコンテンツに合わせてサイズ調整モードに設定
// これを設定しても、ユーザーは Interactive に設定されていれば手動で調整できる
treeView.header()->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::ResizeToContents);
// そして、ユーザーが手動で調整できるように Interactive にも設定
treeView.header()->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Interactive);
// columnResized シグナルももちろん接続可能
QObject::connect(&treeView, &QTreeView::columnResized,
[](int column, int oldSize, int newSize){
qDebug() << "列" << column << "が" << newSize << "にリサイズされました。";
});
treeView.setWindowTitle("QTreeView Column Width Limits Example");
treeView.show();
return a.exec();
}
QHeaderView::setSectionResizeMode(int logicalIndex, QHeaderView::ResizeMode mode)
: 各列のサイズ調整モードを設定します。QHeaderView::Interactive
: ユーザーが手動でサイズを変更できます。QHeaderView::ResizeToContents
: 列の内容に合わせて自動的にサイズが調整されます。QHeaderView::Fixed
: サイズは固定され、ユーザーは変更できません。QHeaderView::Stretch
: 列が利用可能なスペースを埋めるように伸縮します。
QHeaderView::setMaximumSectionSize(int logicalIndex, int size)
: 特定の列の最大幅を設定します。ユーザーはこの幅より広くすることはできません。QHeaderView::setMinimumSectionSize(int logicalIndex, int size)
: 特定の列(logicalIndex
)の最小幅(size
)を設定します。ユーザーはこの幅より狭くすることはできません。
プログラムによる明示的な列幅設定
ユーザーの操作ではなく、プログラム側で特定の列の幅を決定して設定する方法です。
-
void QHeaderView::resizeSection(int logicalIndex, int size)
- 説明
QTreeView
のヘッダービュー(treeView->header()
で取得)を介して、特定のセクション(列)の幅をリサイズします。機能的にはsetColumnWidth
と非常に似ていますが、より低レベルのヘッダービューの機能にアクセスします。 - 用途
setColumnWidth
と同様ですが、QHeaderView
の他のプロパティ(例:setSectionResizeMode
)と組み合わせて使用する際に、一貫性を保ちやすくなります。
- 説明
-
- 説明
指定されたcolumn
(列のインデックス)の幅をwidth
(ピクセル単位)に直接設定します。これは最も直接的な方法で、アプリケーションの起動時や、特定のイベント(例: ウィンドウのリサイズ、データのロード完了)に応じて列幅を固定したい場合によく使用されます。 - 用途
- 初期表示時の列幅設定。
- 特定の列を常に特定のサイズに維持したい場合。
- レイアウトの変更に伴う動的な幅調整。
- 注意点
このメソッドを呼び出してもcolumnResized()
シグナルは発行されません。
- 説明
コンテンツに基づいた自動リサイズ
列の幅を、その列の内容に合わせて自動的に調整させる方法です。特に、表示されるデータが可変である場合に便利です。
-
void QHeaderView::setSectionResizeMode(int logicalIndex, QHeaderView::ResizeMode mode)
- 説明
QHeaderView
の重要な機能で、各列(セクション)がどのようにリサイズされるかを定義します。 - QHeaderView::ResizeToContents
- 用途
resizeColumnToContents()
と同様に、内容に合わせて自動調整されます。このモードを設定すると、QTreeView
は内部的に列の内容が変更されたときに自動的にリサイズを試みます。ユーザーが手動でリサイズすることもできますが、その後もコンテンツに基づいて自動調整される場合があります。
- 用途
- QHeaderView::Interactive
- 用途
ユーザーが手動でドラッグして列の幅を変更できるようにします。columnResized()
シグナルはこのモードが設定されている場合にのみ発行されます。これがデフォルトのモードです。
- 用途
- QHeaderView::Stretch
- 用途
最後の列(またはこのモードが設定された列)が、残りの利用可能なスペースを埋めるように伸縮します。これにより、スクロールバーが表示されるのを防ぎ、ビューの幅に合わせて自動的に調整されます。
- 用途
- QHeaderView::Fixed
- 用途
列の幅を固定し、ユーザーもプログラムも変更できません。
- 用途
- 説明
-
void QTreeView::resizeColumnToContents(int column)
- 説明
指定されたcolumn
の幅を、その列内のすべてのアイテムの内容(テキスト、アイコンなど)が完全に表示されるように調整します。これは、列のデータを読み込んだ後や、データが変更された後に呼び出すと効果的です。 - 用途
- データのロード後、最適な初期幅を設定したい場合。
- データの変更に伴って列幅を自動調整したい場合。
- 注意点
- 多くの行がある場合、すべての行を調べて最適な幅を計算するため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- このメソッドを呼び出しても
columnResized()
シグナルは発行されません。 QHeaderView::ResizeToContents
モードと組み合わせて使用されることが多いです。
- 説明
より低レベルでリサイズイベントを捕捉したい場合、イベントフィルタを使用することも可能です。これはcolumnResized()
シグナルよりも汎用的なアプローチですが、特定の状況で役立つことがあります。
bool QObject::eventFilter(QObject *watched, QEvent *event)
- 説明
QTreeView
オブジェクトまたはそのヘッダービューにイベントフィルタをインストールし、QEvent::Resize
イベントなどを捕捉することで、ウィジェットのリサイズに関する詳細な制御を行うことができます。 - 用途
columnResized()
シグナルでは提供されない、より詳細なリサイズイベント情報が必要な場合。- 特定のイベントが発生したときに、独自のカスタムリサイズロジックを適用したい場合。
- 複数のウィジェットのリサイズイベントを一元的に管理したい場合。
- 注意点
イベントフィルタは強力ですが、慎重に使用しないと予期せぬ動作を引き起こす可能性があります。イベントを適切に処理しないと、他のイベントハンドラに影響を与えることもあります。
- 説明
QTreeView::columnResized()
シグナルはユーザー操作による列幅変更を検知するのに特化していますが、Qtではこれ以外にも列幅を制御するための多様な方法が提供されています。
- 低レベルなイベント処理
イベントフィルタをインストールし、より細かいリサイズイベントを捕捉してカスタム処理を行います。 - 挙動の制御
setSectionResizeMode()
を使用して、ユーザー操作によるリサイズ(Interactive
)、伸縮(Stretch
)、固定(Fixed
)などの挙動を定義します。 - 自動調整
resizeColumnToContents()
やsetSectionResizeMode(QHeaderView::ResizeToContents)
を使用して、内容に基づいて自動的に幅を調整させます。 - 即時的な設定
setColumnWidth()
やresizeSection()
を使用して、プログラムから直接幅を指定します。