Qt QTreeView::setColumnWidth()徹底解説：ツリービューのカラム幅を自在に操る

2025-05-26

QTreeView::setColumnWidth() は、Qtの QTreeView クラスが提供するpublicな関数で、指定されたカラム（列）の幅をピクセル単位で設定するために使用されます。

width (int)
指定したカラムに設定したい幅をピクセル単位で指定します。
column (int)
幅を設定したいカラムのインデックス（番号）を指定します。カラムは左から0, 1, 2...と数えられます。

用途

QTreeView は、階層的なデータをツリー形式で表示するためのウィジェットです。データは複数のカラム（列）を持つことができ、各カラムにはヘッダー（見出し）が表示されます。setColumnWidth() を使うと、これらのカラムの表示幅をプログラム的に制御することができます。

例えば、ファイルシステムのツリービューを表示する際に、ファイル名カラムは広く、サイズや日付カラムは狭く設定したい場合などに利用できます。

内部動作

QTreeView::setColumnWidth() は、実際には QTreeView のヘッダービュー（QHeaderView）の resizeSection() メソッドを呼び出すこととほぼ同等です。QHeaderView は、テーブルやツリーのカラムのヘッダー部分を管理するクラスです。

注意点

setModel() の後に呼び出す
setColumnWidth() は、QTreeView にモデル (QAbstractItemModel の派生クラス) を設定した後で呼び出すことが重要です。モデルを設定する前に呼び出すと、設定した幅が反映されない場合があります。これは、モデルが設定される際にヘッダービューが再構築される可能性があるためです。
resizeColumnToContents() との使い分け
カラムの内容に合わせて自動的に幅を調整したい場合は、resizeColumnToContents(int column) メソッドを使用します。これは、特に内容の長さが可変である場合に便利です。setColumnWidth() は、特定の固定幅を設定したい場合に適しています。
QHeaderView の設定との関係
QHeaderView の setSectionResizeMode() などの設定が setColumnWidth() の効果に影響を与えることがあります。例えば、QHeaderView::Stretch モードが設定されているカラムは、ビューの残りのスペースを埋めるように伸縮するため、setColumnWidth() で設定した固定幅が無視される可能性があります。固定幅にしたい場合は、QHeaderView::Fixed や QHeaderView::Interactive などのリサイズモードを検討する必要があります。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication a(argc, argv);

    // モデルを作成
    QStandardItemModel model(4, 3); // 4行3列のモデル

    // ヘッダーを設定
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "アイテム");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "説明");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "値");

    // データを入れる (例)
    QList<QStandardItem*> items;
    items.append(new QStandardItem("親項目 A"));
    items.append(new QStandardItem("詳細 A"));
    items.append(new QStandardItem("123"));
    model.appendRow(items);

    QList<QStandardItem*> childItems;
    childItems.append(new QStandardItem("子項目 A-1"));
    childItems.append(new QStandardItem("サブ詳細 A-1"));
    childItems.append(new QStandardItem("456"));
    model.item(0, 0)->appendRow(childItems); // 親項目Aの下に子項目を追加

    // QTreeViewを作成し、モデルを設定
    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // カラムの幅を設定
    treeView.setColumnWidth(0, 200); // 1列目（インデックス0）の幅を200ピクセルに設定
    treeView.setColumnWidth(1, 150); // 2列目（インデックス1）の幅を150ピクセルに設定
    treeView.setColumnWidth(2, 80);  // 3列目（インデックス2）の幅を80ピクセルに設定

    // (オプション) 最後のカラムが自動的に伸縮するのを防ぐ場合
    // treeView.header()->setStretchLastSection(false);

    treeView.setWindowTitle("QTreeView::setColumnWidth の例");
    treeView.show();

    return a.exec();
}

setColumnWidth() を呼び出すタイミングが早すぎる

これは最もよくある問題です。QTreeView は、モデルが設定された後にその構造（カラム数など）を把握します。そのため、モデルが設定される前に setColumnWidth() を呼び出しても、設定が反映されないことがあります。

問題の症状

アプリケーションの起動時など、初期化の段階で幅を設定しようとしても効果がない。
setColumnWidth() を呼び出しても、カラムの幅が変わらない。

トラブルシューティング

モデルのデータが準備できてから呼び出す
もしモデルにデータをロードするのに時間がかかる場合（例: ファイルシステムのスキャン、データベースからの読み込みなど）、データが完全にロードされてカラム数が確定した後に setColumnWidth() を呼び出すのが確実です。必要に応じて、モデルの modelReset() シグナルなどを利用して、モデルが完全に初期化されたことを検知してから幅を設定することも検討できます。
setModel() の後に呼び出す
常に treeView->setModel(myModel); の後に treeView->setColumnWidth(column, width); を呼び出すようにしてください。

QHeaderView のリサイズモード設定との競合

QTreeView のカラムの表示は、内部的に QHeaderView というクラスによって管理されています。QHeaderView には、カラムがどのようにリサイズされるかを制御する「リサイズモード」という設定があり、これが setColumnWidth() の効果を上書きすることがあります。

問題の症状

特定のカラムだけが常にビューの残りのスペースを埋めるように伸縮してしまう。
setColumnWidth() で幅を設定しても、ウィジェットのリサイズ時にカラムの幅が勝手に変わってしまう。

よくある競合モード

QHeaderView::ResizeToContents: このモードは、カラムの内容に合わせて自動的に幅を調整します。これも setColumnWidth() での固定幅設定と競合します。
QHeaderView::Stretch: このモードが設定されているカラムは、利用可能なスペースを埋めるように伸縮します。これにより、setColumnWidth() で設定された固定幅が無視される場合があります。特に、デフォルトで最後のカラムが Stretch モードになっていることが多いです（setStretchLastSection(true)）。

トラブルシューティング

QHeaderView::setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive) を全体に設定する
これにより、すべてのカラムがユーザーによる手動リサイズが可能になり、プログラムで設定した幅も維持されやすくなります。必要に応じて、個々のカラムに対して setSectionResizeMode(index, QHeaderView::Fixed) などで固定幅を設定します。

リサイズモードを確認・変更する
QTreeView のヘッダービューを取得し、各カラムのリサイズモードを確認・設定します。

QHeaderView* header = treeView->header();

// 特定のカラムを固定幅にする場合
header->setSectionResizeMode(column_index, QHeaderView::Fixed);
// もしくは、ユーザーが手動でリサイズできるようにする場合
header->setSectionResizeMode(column_index, QHeaderView::Interactive);

// 最後のカラムが伸縮するのを防ぐ場合
header->setStretchLastSection(false);

カラムインデックスの指定ミス

単純なミスですが、設定したいカラムとは異なるインデックスを指定していることがあります。

問題の症状

どのカラムの幅も変わらない（存在しないカラムを指定した場合）。
意図しないカラムの幅が変わる。

トラブルシューティング

インデックスを再確認する
カラムインデックスは0から始まることを確認し、目的のカラムの正しいインデックスを指定しているか再確認してください。

QTreeView が表示されていない、またはレイアウトが未確定

QTreeView がまだ画面に表示されていない状態や、親ウィジェットのレイアウトがまだ最終的に確定していない状態で幅を設定しようとすると、期待通りの結果にならないことがあります。

問題の症状

QLayout を使用している場合、レイアウトが初期化されるタイミングで幅がリセットされるように見える。
show() の前に setColumnWidth() を呼び出しても効果がない。

トラブルシューティング

イベントループでの遅延実行
ウィジェットが完全に表示され、レイアウトが計算された後に setColumnWidth() を呼び出すために、QTimer::singleShot(0, ...) を利用して遅延実行することを検討してください。これはイベントループの処理が一段落した後に実行されるため、UIの初期化が完了した状態で行うことができます。
```
// C++
QTimer::singleShot(0, [this, &treeView]() {
    treeView.setColumnWidth(0, 200);
    treeView.setColumnWidth(1, 150);
    // ...
});
```
(Python/PyQtの場合も同様に QTimer.singleShot(0, lambda: treeView.setColumnWidth(0, 200)) のように記述できます。)

スタイルシート (QSS) による影響

Qt Style Sheets (QSS) を使用して QTreeView またはその QHeaderView にスタイルを適用している場合、それがカラムの幅に影響を与えることがあります。

問題の症状

スタイルシートを適用すると、setColumnWidth() の設定が無視されるか、意図しない幅になる。

トラブルシューティング

スタイルシートとコードのバランス
スタイルシートで一般的な外観を設定し、特定のカラムの幅調整はC++コード（またはPythonコード）で行うなど、役割分担を明確にすると良いでしょう。
スタイルシートを確認する
カラムの幅やセクションのリサイズに関するスタイルシートの記述がないか確認してください。例えば、QHeaderView::section { width: ...; } のような指定があると、プログラムでの設定が上書きされる可能性があります。

データがない状態での resizeColumnToContents() との混同

setColumnWidth() は固定幅を設定しますが、resizeColumnToContents() はカラムの内容に合わせて幅を自動調整します。データがまだモデルにない状態で resizeColumnToContents() を呼び出しても、ヘッダーのテキストの幅しか考慮されないため、データが表示された後に幅が合わないという問題が発生します。

問題の症状

データがロードされた後に、幅が内容に合っていない。
初期表示ではカラムが狭すぎる（または広すぎる）。

setColumnWidth() と resizeColumnToContents() の適切な使い分け
固定幅が必要な場合は setColumnWidth()、内容に応じた自動調整が必要な場合は resizeColumnToContents() を使用し、それぞれの目的に応じて使い分けてください。
データロード後に resizeColumnToContents() を呼び出す
もし内容に応じた自動調整を行いたい場合は、モデルにデータが完全にロードされた後に resizeColumnToContents() を呼び出してください。

`QTreeView::setColumnWidth()` のプログラミング例

QTreeView::setColumnWidth(int column, int width) は、指定されたカラムの幅をピクセル単位で設定します。このメソッドを使う際は、QTreeView にモデルが設定されていることが重要です。

C++ の例

C++での QTreeView::setColumnWidth() の基本的な使用例です。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView> // QHeaderView を操作するために必要

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    // 1. モデルの作成と設定
    // QStandardItemModel は、シンプルなツリー構造データのための便利なモデルです。
    // 引数は (行数, 列数) です。ここでは4行3列のモデルを作成します。
    QStandardItemModel model(4, 3);

    // ヘッダー（カラム名）を設定します。
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "ファイル名"); // 0列目
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "種類");       // 1列目
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "サイズ");     // 2列目

    // モデルにデータを追加します。
    // 親項目 A
    QStandardItem* parentItemA = new QStandardItem("Documents");
    parentItemA->setChild(0, 1, new QStandardItem("フォルダ"));
    parentItemA->setChild(0, 2, new QStandardItem("不明"));
    model.setItem(0, 0, parentItemA);

    // 子項目 A-1
    QStandardItem* childItemA1 = new QStandardItem("report.docx");
    parentItemA->appendRow({childItemA1, new QStandardItem("DOCXファイル"), new QStandardItem("1.2 MB")});

    // 子項目 A-2
    QStandardItem* childItemA2 = new QStandardItem("image.png");
    parentItemA->appendRow({childItemA2, new QStandardItem("PNG画像"), new QStandardItem("350 KB")});

    // 親項目 B
    QStandardItem* parentItemB = new QStandardItem("Photos");
    parentItemB->setChild(0, 1, new QStandardItem("フォルダ"));
    parentItemB->setChild(0, 2, new QStandardItem("不明"));
    model.setItem(1, 0, parentItemB);

    // 子項目 B-1
    QStandardItem* childItemB1 = new QStandardItem("vacation.jpg");
    parentItemB->appendRow({childItemB1, new QStandardItem("JPG画像"), new QStandardItem("2.5 MB")});

    // 2. QTreeView の作成とモデルの設定
    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // 3. setColumnWidth() を使用してカラムの幅を設定
    // モデルが設定された後に呼び出すのが重要です。
    treeView.setColumnWidth(0, 250); // 0列目（ファイル名）の幅を250ピクセルに設定
    treeView.setColumnWidth(1, 100); // 1列目（種類）の幅を100ピクセルに設定
    treeView.setColumnWidth(2, 80);  // 2列目（サイズ）の幅を80ピクセルに設定

    // (オプション) QHeaderView の設定
    // デフォルトでは最後のカラムが自動的に伸縮する設定になっていることが多いです。
    // 固定幅にしたい場合は、その設定を無効にするか、リサイズモードを変更します。
    // 以下は最後のカラムの伸縮を無効にする例です。
    treeView.header()->setStretchLastSection(false);

    // 特定のカラムのリサイズモードをFixed（固定）に設定する例
    // header->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::Fixed);

    // 特定のカラムのリサイズモードをInteractive（ユーザーが手動でリサイズ可能）に設定する例
    // header->setSectionResizeMode(1, QHeaderView::Interactive);

    // QTreeView を表示
    treeView.setWindowTitle("QTreeView::setColumnWidth Example (C++)");
    treeView.resize(500, 300); // ウィンドウサイズを設定
    treeView.show();

    return app.exec();
}

コンパイルと実行 (Linux/macOS)

g++ your_file_name.cpp -o your_app_name $(pkg-config --cflags --libs Qt5Widgets Qt5Gui Qt5Core)
./your_app_name

コンパイルと実行 (Windows - MSVC)

Visual Studio または Qt Creator を使用してください。.pro ファイルを作成し、QT += widgets を追加します。

QT       += core gui widgets

SOURCES += \
    main.cpp

HEADERS +=

Python (PyQt/PySide) の例

Python (PyQt5 を使用) での QTreeView::setColumnWidth() の基本的な使用例です。PySide2/PySide6 でも同様に動作します。

import sys
from PyQt5.QtWidgets import QApplication, QTreeView, QMainWindow, QHeaderView
from PyQt5.QtGui import QStandardItemModel, QStandardItem
from PyQt5.QtCore import Qt, QTimer # 遅延実行のためにQTimerをインポート

class MyTreeViewApp(QMainWindow):
    def __init__(self):
        super().__init__()
        self.setWindowTitle("QTreeView::setColumnWidth Example (Python)")
        self.setGeometry(100, 100, 500, 300)

        # 1. モデルの作成と設定
        self.model = QStandardItemModel(4, 3) # 4行3列のモデル
        self.model.setHeaderData(0, Qt.Horizontal, "ファイル名")
        self.model.setHeaderData(1, Qt.Horizontal, "種類")
        self.model.setHeaderData(2, Qt.Horizontal, "サイズ")

        # モデルにデータを追加します。
        # 親項目 A
        parent_item_a = QStandardItem("Documents")
        parent_item_a.setChild(0, 1, QStandardItem("フォルダ"))
        parent_item_a.setChild(0, 2, QStandardItem("不明"))
        self.model.setItem(0, 0, parent_item_a)

        # 子項目 A-1
        child_item_a1 = QStandardItem("report.docx")
        parent_item_a.appendRow([child_item_a1, QStandardItem("DOCXファイル"), QStandardItem("1.2 MB")])

        # 子項目 A-2
        child_item_a2 = QStandardItem("image.png")
        parent_item_a.appendRow([child_item_a2, QStandardItem("PNG画像"), QStandardItem("350 KB")])

        # 親項目 B
        parent_item_b = QStandardItem("Photos")
        parent_item_b.setChild(0, 1, QStandardItem("フォルダ"))
        parent_item_b.setChild(0, 2, QStandardItem("不明"))
        self.model.setItem(1, 0, parent_item_b)

        # 子項目 B-1
        child_item_b1 = QStandardItem("vacation.jpg")
        parent_item_b.appendRow([child_item_b1, QStandardItem("JPG画像"), QStandardItem("2.5 MB")])


        # 2. QTreeView の作成とモデルの設定
        self.tree_view = QTreeView()
        self.tree_view.setModel(self.model)
        self.setCentralWidget(self.tree_view) # メインウィンドウの中央ウィジェットに設定

        # 3. setColumnWidth() を使用してカラムの幅を設定
        # ここで直接呼び出すのが最も一般的ですが、もしうまくいかない場合は、
        # QTimer.singleShot(0, self.set_column_widths) のように遅延実行を検討してください。
        self.set_column_widths()

        # (オプション) QHeaderView の設定
        # デフォルトでは最後のカラムが自動的に伸縮する設定になっていることが多いです。
        # 固定幅にしたい場合は、その設定を無効にするか、リサイズモードを変更します。
        self.tree_view.header().setStretchLastSection(False) # 最後のカラムの伸縮を無効にする

        # 特定のカラムのリサイズモードをFixed（固定）に設定する例
        # self.tree_view.header().setSectionResizeMode(0, QHeaderView.Fixed)

        # 特定のカラムのリサイズモードをInteractive（ユーザーが手動でリサイズ可能）に設定する例
        # self.tree_view.header().setSectionResizeMode(1, QHeaderView.Interactive)

    def set_column_widths(self):
        """カラムの幅を設定するヘルパーメソッド"""
        self.tree_view.setColumnWidth(0, 250) # 0列目（ファイル名）の幅を250ピクセルに設定
        self.tree_view.setColumnWidth(1, 100) # 1列目（種類）の幅を100ピクセルに設定
        self.tree_view.setColumnWidth(2, 80)  # 2列目（サイズ）の幅を80ピクセルに設定


if __name__ == '__main__':
    app = QApplication(sys.argv)
    window = MyTreeViewApp()
    window.show()
    sys.exit(app.exec_())

python your_script_name.py

モデルの作成とデータの設定
- QStandardItemModel は、QTreeView が表示するデータを保持するためのモデルです。行と列の数を指定して作成し、setHeaderData() でカラムのヘッダーを設定します。
- setItem() や appendRow() を使って QStandardItem オブジェクトをモデルに追加し、ツリー構造を構築します。
QTreeView のインスタンス化とモデルの関連付け
- QTreeView オブジェクトを作成し、setModel() メソッドを使って作成したモデルを関連付けます。このステップは setColumnWidth() を呼び出す前に必ず行う必要があります。
setColumnWidth() の呼び出し
- treeView.setColumnWidth(column_index, width_in_pixels) の形式で呼び出します。
- column_index は0から始まる整数で、幅を設定したいカラムの番号です。
- width_in_pixels はピクセル単位で、カラムに設定したい幅です。
QHeaderView の操作 (オプションだが重要)
- QTreeView のヘッダーは header() メソッドで取得できる QHeaderView オブジェクトによって管理されています。
- setStretchLastSection(False): デフォルトでは、最後のカラムがビューの残りのスペースを埋めるように伸縮する設定（Stretch モード）になっていることが多いです。setColumnWidth() で設定した固定幅を維持したい場合は、この設定を False にすることがよくあります。
- setSectionResizeMode(column_index, QHeaderView.Fixed): 特定のカラムを完全に固定幅にしたい場合に設定します。これにより、ユーザーが手動でリサイズすることもできなくなります。
- setSectionResizeMode(column_index, QHeaderView.Interactive): ユーザーが手動でカラムの幅をリサイズできるようにしつつ、初期幅を setColumnWidth() で設定したい場合に利用します。

QHeaderView::resizeSection() を直接呼び出す

QTreeView::setColumnWidth() は、内部的に QTreeView のヘッダービュー (QHeaderView オブジェクト) の resizeSection() メソッドを呼び出しています。したがって、QHeaderView を直接操作することで、同じ効果を得ることができます。

利点

QTreeView::header() を介して QHeaderView オブジェクトにアクセスします。
QHeaderView の他の詳細な設定 (setSectionResizeMode() など) と同時に、より一貫性のある方法でカラムの幅を管理したい場合に便利です。

コード例 (C++)

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView> // QHeaderView を操作するために必要

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QStandardItemModel model(4, 3);
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "列0");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "列1");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "列2");

    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // QHeaderView を取得
    QHeaderView* header = treeView.header();

    // resizeSection() を直接呼び出す
    header->resizeSection(0, 250); // 0列目の幅を250ピクセルに設定
    header->resizeSection(1, 100); // 1列目の幅を100ピクセルに設定

    // (補足) setColumnWidth() と同様に、モデル設定後に呼び出すことが重要です。
    // (補足) QHeaderView::Stretch モードとの競合にも注意が必要です。
    header->setStretchLastSection(false); // 最後のカラムが伸縮するのを防ぐ

    treeView.setWindowTitle("QHeaderView::resizeSection Example");
    treeView.resize(500, 300);
    treeView.show();

    return app.exec();
}

QTreeView::resizeColumnToContents() を使用する

このメソッドは、指定されたカラムの幅を、そのカラム内のすべてのアイテムの内容が収まるように自動的に調整します。setColumnWidth() のように固定値を設定するのではなく、動的に幅を計算して設定します。

利点

全てのカラムに対して resizeAllColumnsToContents() という便利なメソッドもあります (Qt 5.10以降)。
手動でピクセル値を計算する必要がありません。
カラムの内容が可変である場合に、常に最適な幅を維持できます。

注意点

QHeaderView::setSectionResizeMode(QHeaderView::ResizeToContents) を設定することでも同様の自動調整が行われますが、これはユーザーやプログラムによるリサイズを許可しません。resizeColumnToContents() は一度だけ幅を調整し、その後はユーザーがリサイズできます（リサイズモードが Interactive の場合）。
このメソッドは、データがモデルに完全にロードされた後に呼び出す必要があります。データがまだない、または一部しかロードされていない状態で呼び出すと、期待する結果が得られない場合があります。

コード例 (C++)

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QStandardItemModel model(2, 2);
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "非常に長いファイル名を表示するための列");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "短い情報");

    model.setItem(0, 0, new QStandardItem("これは非常に長いテキストを含む最初の項目です。"));
    model.setItem(0, 1, new QStandardItem("短い1"));
    model.setItem(1, 0, new QStandardItem("少し短いが、やはり長いテキスト。"));
    model.setItem(1, 1, new QStandardItem("短い2"));

    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // カラムの内容に合わせて幅を自動調整
    treeView.resizeColumnToContents(0); // 0列目を内容に合わせて調整
    treeView.resizeColumnToContents(1); // 1列目を内容に合わせて調整

    // (オプション) 全てのカラムを一度に調整する場合
    // treeView.resizeAllColumnsToContents(); // Qt 5.10+

    // (補足) ユーザーによるリサイズを許可しつつ、初期値を内容に合わせる
    treeView.header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive);
    treeView.header()->setStretchLastSection(false);

    treeView.setWindowTitle("QTreeView::resizeColumnToContents Example");
    treeView.resize(500, 300);
    treeView.show();

    return app.exec();
}

QHeaderView::setSectionResizeMode() と組み合わせる

これは setColumnWidth() の代替というよりは、その動作を制御するための重要な補完手段です。QHeaderView::setSectionResizeMode() を使用して、各カラムのリサイズ動作を設定できます。

リサイズモードの種類

QHeaderView::ResizeToContents: カラムは常にその内容に合わせて自動的に幅を調整します。ユーザーもプログラムも幅を変更することはできません。
QHeaderView::Stretch: カラムは利用可能なスペースを埋めるように自動的に伸縮します。setColumnWidth() で設定した固定値は無視されます。
QHeaderView::Interactive: ユーザーはカラムの幅を手動で変更できます。プログラムで setColumnWidth() などで設定した幅は初期値として適用されます。
QHeaderView::Fixed: ユーザーはカラムの幅を変更できません。プログラムで setColumnWidth() または resizeSection() を呼び出した値に固定されます。

利点

ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます（例：特定のカラムはユーザーがリサイズできるようにする）。
カラムのリサイズ動作を柔軟に制御できます。

コード例 (C++)

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QApplication app(argc, argv);

    QStandardItemModel model(2, 3);
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "固定幅");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "伸縮");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "対話型");

    model.setItem(0, 0, new QStandardItem("固定値"));
    model.setItem(0, 1, new QStandardItem("長いテキストがここに入ります"));
    model.setItem(0, 2, new QStandardItem("変更可能"));

    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // 0列目を固定幅に設定し、ユーザーによる変更を禁止
    treeView.setColumnWidth(0, 150); // 初期幅を設定
    treeView.header()->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::Fixed);

    // 1列目を伸縮モードに設定（ビューの残りのスペースを埋める）
    // setColumnWidth() は無視される
    treeView.header()->setSectionResizeMode(1, QHeaderView::Stretch);

    // 2列目に対話型（ユーザーがリサイズ可能）を設定し、初期幅を設定
    treeView.setColumnWidth(2, 120); // 初期幅を設定
    treeView.header()->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Interactive);

    // 最後のカラムの伸縮を無効にする (Stretch モードを適用するカラムがある場合は不要)
    treeView.header()->setStretchLastSection(false);


    treeView.setWindowTitle("QHeaderView::setSectionResizeMode Example");
    treeView.resize(600, 300);
    treeView.show();

    return app.exec();
}

スタイルシート (QSS) を使用する (非推奨または限定的)

QSS を使用して QHeaderView::section の width プロパティを設定することも技術的には可能ですが、通常は推奨されません。QSS は主にウィジェットの外観を定義するために使用され、動的なサイズ調整やユーザーとのインタラクションを考慮した複雑なレイアウトには向いていません。

柔軟性に欠けます。
width プロパティをQSSで設定すると、他のプログラム的な幅設定（setColumnWidth() など）を上書きしてしまう可能性があります。

// これは例であり、通常は setColumnWidth() や QHeaderView のメソッドを使うべきです
QString styleSheet = "QTreeView::branch { width: 15px; } QHeaderView::section { background-color: lightgray; width: 100px; }"; // width は固定値になりがち
treeView.setStyleSheet(styleSheet);

QHeaderView::setSectionResizeMode(): カラムのリサイズ動作（固定、伸縮、対話型、内容に合わせる）を制御する非常に重要なメソッド。setColumnWidth() と組み合わせて使うことで、より柔軟なUIを実現できます。
QTreeView::resizeColumnToContents(): カラムの内容に基づいて幅を自動調整したい場合に最適。データが完全にロードされた後に呼び出すのがポイント。
QHeaderView::resizeSection(): setColumnWidth() と同等の機能。QHeaderView の他の設定と一貫性を持たせる場合に直接使用することも可能。
QTreeView::setColumnWidth(): 特定のカラムに固定のピクセル幅を設定する最も直接的な方法。

Qt QTreeView::collapseAll()徹底解説：ツリー表示を効率的に折りたたむ方法

QTreeView は、Qtのウィジェットの一つで、階層的なデータをツリー形式で表示するために使われます。例えば、ファイルエクスプローラーのように、フォルダの中にさらにフォルダやファイルがあるような構造を表示するのに最適です。QTreeView::collapseAll() は、この QTreeView クラスのパブリックスロット (public slot) と呼ばれる関数です。この関数を呼び出すと、現在展開されている（開いている）ツリーのすべてのアイテムが閉じられ、階層が隠された状態になります。

Qt QTreeViewの「折りたたみ」を極める：collapsed()シグナルのすべて

Qt プログラミングにおける void QTreeView::collapsed() は、QTreeView ウィジェットが提供するシグナルの一つです。まず、QTreeView について簡単に説明します。QTreeView は、Qt のモデル/ビューアーキテクチャの一部であり、階層的なデータをツリー構造として表示するためのウィジェットです。例えば、ファイルエクスプローラーのようなツリー表示を実装する際に使用されます。ツリーの各項目（ノード）は、子項目を持つことができ、それらを「展開（expanded）」したり「折りたたむ（collapsed）」ことができます。

Qt 開発：QTreeView で columnAt() を活用したインタラクティブなUI実装

QTreeView::columnAt(int x) は、Qt の QTreeView クラスに属する関数の一つです。この関数は、指定された水平方向の座標（ピクセル単位）にある論理的な列のインデックスを返します。もう少し詳しく説明します。戻り値: 指定された x 座標が、いずれかの列の範囲内にある場合、その列の論理的なインデックス（0から始まる整数）が返されます。指定された x 座標が、どの列の範囲にも含まれない場合（例えば、ウィジェットの左端より左や、すべての列の右端より右）、通常は -1 が返されます。

Qt QTreeView::setColumnWidth()徹底解説：ツリービューのカラム幅を自在に操る

setColumnWidth() を呼び出すタイミングが早すぎる

QHeaderView のリサイズモード設定との競合

カラムインデックスの指定ミス

QTreeView が表示されていない、またはレイアウトが未確定

スタイルシート (QSS) による影響

データがない状態での resizeColumnToContents() との混同

QTreeView::setColumnWidth() のプログラミング例

C++ の例

Python (PyQt/PySide) の例

QHeaderView::resizeSection() を直接呼び出す

QTreeView::resizeColumnToContents() を使用する

QHeaderView::setSectionResizeMode() と組み合わせる

スタイルシート (QSS) を使用する (非推奨または限定的)

`QTreeView::setColumnWidth()` のプログラミング例