初心者向けQt QTreeView::headerHidden:サンプルコードで学ぶヘッダー操作
QTreeView
とは?
まず、QTreeView
について簡単に説明します。QTreeView
は、Qtのモデル/ビューフレームワークの一部であり、ツリー構造のデータを表示するためのウィジェットです。ファイルシステムや階層的なデータを表示する際によく使用されます。データはQAbstractItemModel
から提供され、QTreeView
はそのデータを視覚的に表現します。
headerHidden
プロパティとは?
QTreeView
は通常、各列のタイトル(ヘッダー)を表示します。これは、スプレッドシートの列名のようなものです。headerHidden
プロパティは、このヘッダー部分を表示するかどうかを真偽値(bool)で設定します。
- falseに設定した場合
ヘッダーは表示されます(これがデフォルト値です)。 - trueに設定した場合
ヘッダーは非表示になります。つまり、列のタイトルが表示されなくなります。
使用例
このプロパティは、通常、setHeaderHidden()
メソッドを使って設定します。
#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QTreeView>
#include <QtWidgets/QStandardItemModel>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QStandardItemModel model(4, 2); // 4行2列のモデルを作成
for (int row = 0; row < 4; ++row) {
for (int column = 0; column < 2; ++column) {
QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("Row:%0, Column:%1").arg(row).arg(column));
model.setItem(row, column, item);
}
}
// ヘッダーを設定 (任意)
model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "列1");
model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "列2");
QTreeView treeView;
treeView.setModel(&model);
// ヘッダーを非表示にする場合
treeView.setHeaderHidden(true); // ここでヘッダーを隠します
// ヘッダーを表示する場合 (デフォルトの動作)
// treeView.setHeaderHidden(false);
treeView.setWindowTitle("QTreeView::headerHidden の例");
treeView.show();
return a.exec();
}
上記のコードでは、treeView.setHeaderHidden(true);
の行によって、QTreeView
の列ヘッダーが表示されなくなります。もしこの行をコメントアウトするか、false
に設定すると、"列1"と"列2"というヘッダーが表示されます。
headerHidden
プロパティは、以下のような場合に役立ちます。
- カスタムヘッダー
QHeaderView
を直接操作して、より高度なカスタムヘッダーを実装する場合(ただし、この場合は通常、header()->hide()
を使用します)。 - 情報が不要な場合
ユーザーが列の内容をヘッダーなしで理解できるような、非常にシンプルなデータ構造の場合。 - デザイン上の理由
ヘッダーが視覚的に邪魔になる、またはデザインに合わない場合。
ヘッダーが非表示にならない、または表示されない
よくある原因
- レイアウトの問題
親ウィジェットのレイアウト設定によっては、ヘッダーが表示されるスペースが確保されていない場合があります。 - モデルにヘッダーデータが設定されていない
headerHidden(false)
(デフォルト)の状態でも、モデル側でheaderData()
メソッドが適切な値を返さない場合、ヘッダーは表示されても内容が空になります。 - QHeaderViewを直接操作している
QTreeView
は内部的にQHeaderView
を使用してヘッダーを管理しています。もし、treeView->header()->hide()
のようにQHeaderView
のメソッドを直接呼び出している場合、QTreeView::setHeaderHidden()
とは別の挙動になる可能性があります。両方を同時に使用すると混乱を招くことがあります。 - setModel()の前にsetHeaderHidden()を呼び出している
QTreeView
は、モデルが設定されるまではヘッダーを完全に構築していない場合があります。そのため、setModel()
の呼び出し前にsetHeaderHidden(true)
を設定しても、期待通りに動作しないことがあります。
トラブルシューティング
- レイアウトの確認
ウィジェットツリーとレイアウトの構造を確認し、QTreeView
に適切なスペースが割り当てられているか確認します。例えば、QVBoxLayout
やQHBoxLayout
にQTreeView
を追加しているか、QMainWindow
の中央ウィジェットに設定しているかなど。 - モデルのheaderData()を確認する
ヘッダーが表示されても内容が空の場合は、QAbstractItemModel::headerData()
(またはQStandardItemModel::setHorizontalHeaderLabels()
など)が正しくヘッダーテキストを返しているか確認します。 - 一貫した方法を使用する
QTreeView::setHeaderHidden()
を使用するか、QHeaderView::hide()
(またはsetVisible(false)
)を使用するかのどちらかに統一します。一般的にはQTreeView::setHeaderHidden()
が推奨されます。 - setModel()の後にsetHeaderHidden()を呼び出す
常にモデルを設定した後にヘッダーの表示設定を行うようにします。QTreeView treeView; treeView.setModel(&myModel); treeView.setHeaderHidden(true); // モデル設定後に呼び出す
ヘッダーの非表示/表示切り替え時に、列幅がリセットされる/おかしくなる
よくある原因
- QHeaderViewのstretchLastSectionプロパティ
QHeaderView
のstretchLastSection
プロパティがtrue
(デフォルト)の場合、最後の列が利用可能なすべてのスペースを埋めるように伸縮します。ヘッダーの表示/非表示が切り替わると、この伸縮の計算に影響が出ることがあります。 - 内部的なサイズ計算の変更
QTreeView
(およびその内部のQHeaderView
)は、ヘッダーの表示状態によって列の最適な幅を計算するロジックが変わることがあります。ヘッダーのテキストは、その列のデータよりも幅を取ることがあるため、表示/非表示を切り替えることで幅の計算がリセットされることがあります。
トラブルシューティング
- QHeaderView::setSectionResizeMode()を調整する
各列のリサイズモード(例:QHeaderView::ResizeToContents
、QHeaderView::Fixed
、QHeaderView::Interactive
)を設定することで、ヘッダー表示時の挙動をより細かく制御できます。 - QHeaderView::setStretchLastSection(false)を試す
最後のセクションの伸縮が原因である場合、このプロパティをfalse
に設定することで挙動が変わる可能性があります。treeView.header()->setStretchLastSection(false);
- 明示的に列幅を設定する
setColumnWidth()
やresizeColumnToContents()
を呼び出すタイミングを調整します。ヘッダーの表示状態が切り替わった後にこれらのメソッドを呼び出すことで、期待する幅に調整できます。treeView.setHeaderHidden(true); // ヘッダー非表示後に必要であれば列幅を再調整 treeView.resizeColumnToContents(0); treeView.setColumnWidth(1, 100);
よくある原因
- モデルの変更と同期されていない
モデルの列数などが変更された後に、ヘッダーの表示設定が古い情報に基づいて行われている可能性があります。 - QHeaderView::setSectionHidden()を使用している
QTreeView::setHeaderHidden(true)
でヘッダー全体を非表示にした後、特定の列だけをQHeaderView::setSectionHidden(columnIndex, true)
でさらに非表示にしている場合、setHeaderHidden(false)
で再表示しても、その特定の列は依然として非表示のままになります。
トラブルシューティング
- モデルの変更を適切に通知する
モデルの構造(列数など)が動的に変更される場合、beginInsertColumns()
/endInsertColumns()
やbeginRemoveColumns()
/endRemoveColumns()
などのモデルの通知メカニズムを適切に使用しているか確認します。これにより、ビューとヘッダーがモデルの変更に正しく反応するようになります。 - 個別の列の非表示状態を確認する
ヘッダーを再表示したのに特定の列だけが見えない場合、treeView->header()->isSectionHidden(columnIndex)
を呼び出して、その列が個別に非表示に設定されていないか確認します。もし非表示であれば、treeView->header()->setSectionHidden(columnIndex, false)
で表示に戻す必要があります。
QTreeView::headerHidden
はヘッダー全体の表示/非表示を制御するシンプルなプロパティですが、内部的なQHeaderView
の挙動や、列幅の計算、モデルのデータ構造との連携により、複雑な状況が生じることがあります。問題が発生した場合は、以下の点を確認すると良いでしょう。
- レイアウト
QTreeView
に十分なスペースが割り当てられているか。 - モデルのデータ
headerData()
が正しい内容を返しているか。 - QHeaderViewの他のプロパティ
setStretchLastSection()
やsetSectionResizeMode()
、setSectionHidden()
などの影響を確認する。 - setHeaderHidden()の呼び出しタイミング
setModel()
の後に行う。
例1: 基本的な使い方 - ヘッダーを非表示にして表示する
この例では、QTreeView
を作成し、setHeaderHidden(true)
でヘッダーを非表示にする方法を示します。
#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QMainWindow>
#include <QtWidgets/QTreeView>
#include <QtWidgets/QStandardItemModel>
#include <QtWidgets/QPushButton>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>
#include <QtWidgets/QWidget>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QMainWindow window;
QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(centralWidget);
QTreeView *treeView = new QTreeView(centralWidget);
QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(4, 2); // 4行2列のモデル
// モデルにデータを設定
for (int row = 0; row < 4; ++row) {
for (int col = 0; col < 2; ++col) {
QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("アイテム(%0,%1)").arg(row).arg(col));
model->setItem(row, col, item);
}
}
// ヘッダーデータを設定
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "列A");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "列B");
treeView->setModel(model);
// ★ ここでヘッダーを非表示に設定
treeView->setHeaderHidden(true);
layout->addWidget(treeView);
window.setCentralWidget(centralWidget);
window.setWindowTitle("QTreeView::headerHidden (基本)");
window.show();
return a.exec();
}
解説
QStandardItemModel
を作成し、データとヘッダーを設定します。QTreeView
にモデルを設定します。treeView->setHeaderHidden(true);
を呼び出すことで、アプリケーション起動時にヘッダー(「列A」「列B」)が非表示になります。- もし
false
に設定するか、この行をコメントアウトすると、ヘッダーが表示されます。
例2: ボタンでヘッダーの表示/非表示を切り替える
この例では、ボタンをクリックすることでQTreeView
のヘッダーの表示状態を動的に切り替える方法を示します。
#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QMainWindow>
#include <QtWidgets/QTreeView>
#include <QtWidgets/QStandardItemModel>
#include <QtWidgets/QPushButton>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>
#include <QtWidgets/QWidget>
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QMainWindow window;
QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(centralWidget);
QTreeView *treeView = new QTreeView(centralWidget);
QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(4, 2);
// モデルにデータを設定
for (int row = 0; row < 4; ++row) {
for (int col = 0; col < 2; ++col) {
QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("アイテム(%0,%1)").arg(row).arg(col));
model->setItem(row, col, item);
}
}
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "商品名");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "価格");
treeView->setModel(model);
QPushButton *toggleButton = new QPushButton("ヘッダー表示/非表示切り替え");
layout->addWidget(treeView);
layout->addWidget(toggleButton);
// ボタンのクリックシグナルとスロットを接続
QObject::connect(toggleButton, &QPushButton::clicked, [treeView, toggleButton]() {
bool isHidden = treeView->isHeaderHidden();
treeView->setHeaderHidden(!isHidden); // 現在の状態を反転させる
if (isHidden) {
toggleButton->setText("ヘッダーを非表示にする");
} else {
toggleButton->setText("ヘッダーを表示する");
}
});
// 初期状態のボタンテキストを設定
if (treeView->isHeaderHidden()) {
toggleButton->setText("ヘッダーを表示する");
} else {
toggleButton->setText("ヘッダーを非表示にする");
}
window.setCentralWidget(centralWidget);
window.setWindowTitle("QTreeView::headerHidden (動的切り替え)");
window.show();
return a.exec();
}
解説
QPushButton
を追加し、そのclicked()
シグナルをラムダ式で接続します。- ラムダ式内で、
treeView->isHeaderHidden()
を呼び出して現在のヘッダーの表示状態を取得します。 - 取得した状態を反転させて
treeView->setHeaderHidden()
に渡し、ヘッダーの表示/非表示を切り替えます。 - ボタンのテキストも現在の状態に合わせて変更します。
QTreeView::setHeaderHidden()
はヘッダー全体を非表示にしますが、QHeaderView
のメソッドを使用すると、個別の列を非表示にすることもできます。この例では、これらの挙動の違いと、それらがどのように相互作用するかを示します。
#include <QtWidgets/QApplication>
#include <QtWidgets/QMainWindow>
#include <QtWidgets/QTreeView>
#include <QtWidgets/QStandardItemModel>
#include <QtWidgets/QPushButton>
#include <QtWidgets/QVBoxLayout>
#include <QtWidgets/QHBoxLayout>
#include <QtWidgets/QWidget>
#include <QtWidgets/QHeaderView> // QHeaderViewを使用するために必要
int main(int argc, char *argv[])
{
QApplication a(argc, argv);
QMainWindow window;
QWidget *centralWidget = new QWidget(&window);
QVBoxLayout *mainLayout = new QVBoxLayout(centralWidget);
QTreeView *treeView = new QTreeView(centralWidget);
QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(4, 3); // 3列にする
// モデルにデータを設定
for (int row = 0; row < 4; ++row) {
for (int col = 0; col < 3; ++col) {
QStandardItem *item = new QStandardItem(QString("データ(%0,%1)").arg(row).arg(col));
model->setItem(row, col, item);
}
}
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "ID");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "名前");
model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "備考");
treeView->setModel(model);
mainLayout->addWidget(treeView);
QHBoxLayout *buttonLayout = new QHBoxLayout();
QPushButton *toggleAllHeaderButton = new QPushButton("全体ヘッダー表示/非表示");
QPushButton *toggleColumn1Button = new QPushButton("「名前」列ヘッダー表示/非表示");
buttonLayout->addWidget(toggleAllHeaderButton);
buttonLayout->addWidget(toggleColumn1Button);
mainLayout->addLayout(buttonLayout);
// 全体ヘッダーの切り替え
QObject::connect(toggleAllHeaderButton, &QPushButton::clicked, [treeView, toggleAllHeaderButton]() {
bool isHidden = treeView->isHeaderHidden();
treeView->setHeaderHidden(!isHidden);
if (isHidden) {
toggleAllHeaderButton->setText("全体ヘッダーを非表示にする");
} else {
toggleAllHeaderButton->setText("全体ヘッダーを表示する");
}
});
// 特定の列のヘッダーの切り替え (QHeaderView経由)
QObject::connect(toggleColumn1Button, &QPushButton::clicked, [treeView, toggleColumn1Button]() {
// 1列目 (インデックス0から始まる) のヘッダーを取得
QHeaderView *header = treeView->header();
bool isColumn1Hidden = header->isSectionHidden(1); // 「名前」は2列目なのでインデックス1
header->setSectionHidden(1, !isColumn1Hidden); // 1列目を非表示/表示
if (isColumn1Hidden) {
toggleColumn1Button->setText("「名前」列ヘッダーを非表示にする");
} else {
toggleColumn1Button->setText("「名前」列ヘッダーを表示する");
}
});
window.setCentralWidget(centralWidget);
window.setWindowTitle("QTreeView::headerHidden と QHeaderView::setSectionHidden の関係");
window.show();
return a.exec();
}
解説
- この例では3列のデータを用意しました。
- 「全体ヘッダー表示/非表示」ボタンは、
treeView->setHeaderHidden()
を使ってヘッダー全体の表示を切り替えます。 - 「「名前」列ヘッダー表示/非表示」ボタンは、
treeView->header()->setSectionHidden(1, ...)
を使って、インデックス1の列(「名前」列)のヘッダーのみを個別に表示/非表示に切り替えます。
- ヘッダー全体が非表示の状態(
isHeaderHidden()
がtrue
)から、setHeaderHidden(false)
で再表示すると、以前setSectionHidden(true)
で個別に非表示にされていた列は、依然として非表示のままです。 つまり、setHeaderHidden(false)
は、あくまで全体を「表示可能」な状態にするだけで、個別の非表示設定を上書きするわけではありません。 treeView->setHeaderHidden(true);
を呼び出すと、すべての列のヘッダーが非表示になります。この状態では、個別の列のsetSectionHidden(false)
を呼び出しても、ヘッダーは表示されません。
QTreeView::headerHidden
の代替方法や、関連するカスタマイズ方法をいくつか説明します。
QHeaderView::hide() または QHeaderView::setVisible(false) を使用する
QTreeView
のヘッダーは、実際には QHeaderView
クラスのインスタンスです。QTreeView
の header()
メソッドを通じてこの QHeaderView
オブジェクトにアクセスし、その可視性を直接制御できます。
特徴
QHeaderView
は、水平方向と垂直方向のヘッダー両方に使用されます。QTreeView
は水平ヘッダーにのみ対応します。QTreeView::setHeaderHidden(true)
と実質的に同じ効果をもたらします。内部的にはsetHeaderHidden
もこのメソッドを呼び出している可能性があります。
コード例
// QTreeViewのヘッダー全体を非表示にする
treeView->header()->hide();
// または
treeView->header()->setVisible(false);
// QTreeViewのヘッダー全体を表示する
treeView->header()->show();
// または
treeView->header()->setVisible(true);
QTreeView::setHeaderHidden() との違い
- 通常、
QTreeView::setHeaderHidden()
を使用する方が意図が明確で、QTreeView
の内部的な整合性を保つ上でより安全です。しかし、もし直接QHeaderView
オブジェクトを操作する他の理由がある場合(例えば、カスタムヘッダーを深く制御したい場合など)は、こちらを使用することもあります。 QHeaderView::hide()
はQHeaderView
自体の可視性を制御する汎用的なメソッドです。QTreeView::setHeaderHidden()
はQTreeView
のメソッドとして提供されており、QTreeView
の一部としてヘッダーの可視性を管理するための推奨されるインターフェースです。
個別の列のヘッダーを非表示にする (QHeaderView::setSectionHidden())
QTreeView::headerHidden
はヘッダー全体を対象としますが、特定の列のヘッダーのみを非表示にしたい場合は、QHeaderView
の setSectionHidden()
メソッドを使用します。
特徴
- これは
QTreeView::headerHidden
の代替というよりは、よりきめ細かい制御が必要な場合の補完的な方法です。 - ヘッダー全体は表示されたまま、選択した列のヘッダーだけが非表示になります。
コード例
// 0番目の列(最初の列)のヘッダーを非表示にする
treeView->header()->setSectionHidden(0, true);
// 1番目の列(2番目の列)のヘッダーを表示する
treeView->header()->setSectionHidden(1, false);
いつ使うか
- ユーザーが列の表示/非表示をカスタマイズできるようにしたい場合。
- 「ID」列のように、データがヘッダーなしでも自明な場合。
モデルのヘッダーデータを空にする (空の文字列を設定)
これは厳密にはヘッダーを「非表示」にする方法ではありませんが、ヘッダーに何も表示しないという点で似たような視覚的効果をもたらします。
特徴
QTreeView::setHeaderHidden(true)
のようにヘッダー領域が完全に消えるわけではないため、レイアウトの調整が必要になる場合があります。- ユーザーはヘッダーをクリックして列をソートしたり、ドラッグしてリサイズしたりすることは可能です(
QHeaderView
の設定によります)。 - ヘッダーの領域自体は存在しますが、テキストが表示されません。
コード例 (QStandardItemModel の場合)
QStandardItemModel *model = new QStandardItemModel(4, 2);
// ... モデルにデータを設定 ...
// ヘッダーデータを空文字列に設定
model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "");
model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "");
treeView->setModel(model);
// treeView->setHeaderHidden(true); は不要
いつ使うか
- ヘッダーのソートやリサイズ機能を残したいが、ヘッダーテキストが邪魔な場合。
- ヘッダーの領域自体は必要だが、テキストは不要な場合。
これも直接的な代替方法ではありませんが、ヘッダーの表示方法を制御する関連する設定です。
特徴
QHeaderView::Stretch
は、列が利用可能なスペースを埋めるように伸縮します。- 例えば、
QHeaderView::Fixed
に設定すると、ユーザーが列のサイズを変更できなくなります。 QHeaderView::setSectionResizeMode()
を使用して、列のサイズ変更動作を制御できます。
コード例
// すべての列を内容に合わせて自動リサイズし、ユーザーによる変更を許可しない
treeView->header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::ResizeToContents);
treeView->header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Fixed);
// または、特定の列のみ
treeView->header()->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::ResizeToContents);
headerHidden
とは直接関係ありませんが、ヘッダーの視覚的な表示に影響を与えるため、カスタマイズの文脈で考慮されることがあります。- ヘッダーのサイズ変更動作を細かく制御したい場合。