QTreeView::header()で変わる！Qtツリービューのヘッダーカスタマイズ術

2025-05-27

`QTreeView::header()` とは

QTreeView::header() は、Qtの QTreeView クラスが提供するメンバー関数です。この関数は、ツリービューの列のヘッダー部分を管理するための QHeaderView オブジェクトへのポインタを返します。

QTreeView は、データモデル（QAbstractItemModel）から階層的なデータを表示するためのウィジェットです。データは列と行で構成され、各列には通常、その列の内容を示すヘッダーがあります。このヘッダー部分が QHeaderView クラスによって制御されます。

どんなときに使うのか？

QTreeView のヘッダーの外観や動作をカスタマイズしたいときに header() 関数を使います。具体的には以下のような場面で利用されます。

ヘッダーのイベント処理: ヘッダーのクリックイベントや、列のリサイズ、移動などのイベントを処理するために、QHeaderView のシグナルとスロットを利用することができます。
ヘッダーのスタイル設定: QSS (Qt Style Sheets) を使って QHeaderView のスタイルを変更することで、ヘッダーの色、フォント、背景などを細かく設定できます。
ヘッダーのカスタマイズ: QHeaderView オブジェクトを通じて、ヘッダーの各セクション（列）のサイズ変更モード、ソートの有効/無効、移動の可否、表示テキストの変更などを制御できます。
ヘッダーの表示/非表示: header()->hide() や header()->show() を使って、ヘッダー全体を表示したり非表示にしたりできます。

例えば、QTreeView のヘッダーを非表示にしたい場合は、次のように記述します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView> // QHeaderView クラスを使用するために必要

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // QStandardItemModel を作成し、データを設定
    QStandardItemModel model;
    model.setColumnCount(2); // 2列のモデル
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前"); // 1列目のヘッダー
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "年齢"); // 2列目のヘッダー

    QStandardItem *parentItem = model.invisibleRootItem();
    QStandardItem *item1 = new QStandardItem("アリス");
    QStandardItem *item2 = new QStandardItem("30");
    parentItem->appendRow({item1, item2});

    QStandardItem *item3 = new QStandardItem("ボブ");
    QStandardItem *item4 = new QStandardItem("25");
    parentItem->appendRow({item3, item4});

    // QTreeView を作成し、モデルを設定
    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // ヘッダーを非表示にする
    treeView.header()->hide();

    // QHeaderView のプロパティを変更する例 (例: 最後のセクションを伸縮させない)
    // treeView.header()->setStretchLastSection(false);

    // 特定の列のサイズ変更モードを設定する例
    // treeView.header()->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::Fixed); // 0列目を固定

    treeView.setWindowTitle("QTreeView::header() の例");
    treeView.show();

    return a.exec();
}

このコードでは、treeView.header()->hide(); の行で QTreeView のヘッダーを取得し、その hide() メソッドを呼び出すことでヘッダーを非表示にしています。コメントアウトされた行は、QHeaderView を通じてヘッダーの他のプロパティを変更する例です。

`QTreeView::header()` 関連の一般的なエラーとトラブルシューティング

QTreeView::header() は、QTreeView のヘッダー (QHeaderView オブジェクト) を操作するための重要なインターフェースですが、いくつか共通の落とし穴や、予期せぬ挙動に遭遇することがあります。

ヘッダーが表示されない

問題
QTreeView を作成し、モデルを設定しても、ヘッダーが全く表示されない。

考えられる原因とトラブルシューティング

モデルが正しく設定されていないか、データが空
QTreeView::setModel() が呼ばれていない、あるいは設定されたモデルにデータが全くない場合、ヘッダーが表示されないことがあります。
- 対策
  モデルが QTreeView に正しく設定されており、最低限のデータ（例: 1行でも）が存在することを確認してください。
QHeaderView の高さが0になっている
QHeaderView のサイズポリシーやセクションの高さが正しく設定されていない場合、表示されないことがあります。
- 対策
  treeView.header()->setDefaultSectionSize() や treeView.header()->setMinimumSectionSize() などで、適切なセクションサイズが設定されているか確認してください。
ヘッダーが非表示に設定されている
意図せず treeView.header()->hide(); を呼び出している可能性があります。
- 対策
  コードをレビューし、hide() の呼び出しがないか確認してください。
モデルにヘッダーデータが設定されていない
QTreeView は、表示するヘッダーのテキストをモデル (QAbstractItemModel の派生クラス) から取得します。QAbstractItemModel::headerData() メソッドが Qt::DisplayRole で有効な QVariant を返さない場合、ヘッダーは表示されません。
- 対策
  QStandardItemModel を使用している場合は、model->setHeaderData(columnIndex, Qt::Horizontal, "ヘッダーテキスト"); のように Qt::Horizontal と Qt::DisplayRole を指定してヘッダーデータを設定しているか確認してください。カスタムモデルを使用している場合は、headerData() メソッドの実装が正しいか（特に Qt::DisplayRole に対応しているか）確認してください。

ヘッダーのクリックイベントが発火しない

問題
QTreeView::header() を取得し、QHeaderView::sectionClicked() シグナルを接続しても、ヘッダーをクリックしてもスロットが呼び出されない。

考えられる原因とトラブルシューティング

MOCファイルの再生成忘れ（特にカスタムスロットの場合）
カスタムスロットを使用する場合、Qtのメタオブジェクトコンパイラ (MOC) が必要なコードを生成します。MOCファイルが古い、または生成されていない場合、スロットが見つからず、接続が失敗することがあります。
- 対策
  プロジェクトをクリーンして再ビルドするか、Qt Creatorを使用している場合は「Rebuild」を実行してみてください。
シグナルとスロットの接続ミス
- 古い記法 (Qt 4スタイル)
  connect(treeView.header(), SIGNAL(sectionClicked(int)), this, SLOT(mySlot(int)));
- 新しい記法 (Qt 5以降推奨)
  connect(treeView.header(), &QHeaderView::sectionClicked, this, &MyClass::mySlot); 特に新しい記法では、シグナルとスロットの引数の型が一致しない場合にコンパイルエラーになるため、間違いが起こりにくいですが、古い記法では実行時エラーになることがあります。
- 対策
  接続が正しく行われているか、シグナルとスロットの引数（特に int）が一致しているか確認してください。デバッグのために QObject::connect の戻り値を確認することも有効です（成功すれば true を返します）。
ヘッダーのクリックが有効になっていない
デフォルトではヘッダーのクリックは有効ですが、QHeaderView::setSectionsClickable(false); などで無効にされている可能性があります。
- 対策
  treeView.header()->setSectionsClickable(true); を呼び出して、クリックを有効にしてください。

ヘッダーのサイズ変更や移動ができない/意図通りに動かない

問題
ユーザーがヘッダーの列幅を変更できない、または列の順序を入れ替えられない。あるいは、プログラムから設定したサイズ変更モードが反映されない。

考えられる原因とトラブルシューティング

最後のセクションの伸縮設定
QHeaderView::setStretchLastSection(true) は、ビューの幅に合わせて最後の列が自動的に伸縮するようにします。これが有効になっていると、他の列のサイズ変更に影響を与えることがあります。
- 対策
  意図しない伸縮挙動がある場合、この設定を false にしてみてください。
ヘッダーの移動可能性の設定
QHeaderView::setSectionsMovable() の設定が原因です。
- 対策
  treeView.header()->setSectionsMovable(true); を呼び出して、ユーザーが列を移動できるようにしてください。
サイズ変更モードの設定
QHeaderView::setSectionResizeMode() で設定されるモードが原因です。
- QHeaderView::Fixed: ユーザーはサイズを変更できません。
- QHeaderView::Interactive: ユーザーはサイズを変更できます（デフォルト）。
- QHeaderView::Stretch: 列がビューの残りのスペースを埋めるように伸縮します。
- QHeaderView::ResizeToContents: 内容に合わせて自動的にサイズが調整されます。
- 対策
  意図する動作に応じて適切な setSectionResizeMode() を設定してください。特定の列 (section) に対して設定することもできます。

ヘッダーのスタイルが適用されない

問題
QSS (Qt Style Sheets) を使って QTreeView::header() のスタイルを設定しようとしているが、反映されない。

考えられる原因とトラブルシューティング

スタイルシートの適用方法
スタイルシートが正しく適用されているか確認してください。
- 対策
  qApp->setStyleSheet("..."); のようにアプリケーション全体に適用するか、treeView.setStyleSheet("..."); のように特定のウィジェットに適用しているか確認してください。両方を試す価値があります。
正しいセレクターの使用
QHeaderView のスタイルを設定するには、適切なQSSセレクターを使用する必要があります。
- 対策
  QTreeView QHeaderView { ... } のように、QTreeView の子要素として QHeaderView を指定してみてください。特定のセクション (::section) にスタイルを適用する場合は、QTreeView QHeaderView::section { ... } のように指定します。

モデルのデータ変更後にヘッダーが更新されない

問題
モデルのデータ（特に列数やヘッダーデータ）を変更した後、QTreeView のヘッダーが適切に更新されない。

考えられる原因とトラブルシューティング

headerDataChanged() シグナルの不足
特定のヘッダーデータのみが変更された場合、headerDataChanged(Qt::Horizontal, firstSection, lastSection) シグナルを発火する必要があります。
- 対策
  headerDataChanged() シグナルが適切な範囲で発火されているか確認してください。
modelReset() シグナルの不足
カスタムモデルで列数やヘッダーデータが大幅に変更された場合、ビューは modelReset() シグナルによって変更を検知します。このシグナルが適切に発火されていない可能性があります。
- 対策
  モデルの変更後に emit modelReset(); を呼び出しているか確認してください。ただし、QStandardItemModel などのQt標準モデルでは通常自動的に行われます。

Qt Creatorのデバッガー
Qt Creatorのデバッガーでステップ実行し、QTreeView::header() が nullptr を返していないか、返された QHeaderView オブジェクトが有効な状態であるか確認します。
qDebug() を活用する
qDebug() を使用して、QHeaderView のプロパティ（例: isSectionsClickable(), sectionResizeMode(), count() など）の値を確認し、期待通りの状態になっているかチェックします。

QTreeView::header() は、ツリービューのヘッダー部分 (QHeaderView 型) を取得するために使用されます。この QHeaderView オブジェクトを操作することで、ヘッダーの表示、サイズ変更、移動、ソート、スタイル設定など、多くのカスタマイズが可能になります。

以下の例では、一般的なユースケースをカバーします。

ヘッダーの基本設定とデータの表示

この例では、QStandardItemModel を使用して QTreeView にデータを設定し、ヘッダーのテキストを定義します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView> // QHeaderView クラスを使用するために必要

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    // モデルを作成し、列数を設定
    QStandardItemModel model(0, 3); // 3列のモデル
    
    // ヘッダーテキストを設定 (QHeaderView::setSectionsMovable() はデフォルトでfalseなので、ここで設定する必要はありませんが、例として含めます)
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "年齢");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "部署");

    // データ項目を追加
    QStandardItem *rootItem = model.invisibleRootItem();

    QList<QStandardItem*> row1;
    row1 << new QStandardItem("アリス") << new QStandardItem("30") << new QStandardItem("開発");
    rootItem->appendRow(row1);

    QList<QStandardItem*> row2;
    row2 << new QStandardItem("ボブ") << new QStandardItem("25") << new QStandardItem("営業");
    rootItem->appendRow(row2);

    QList<QStandardItem*> row3;
    row3 << new QStandardItem("チャーリー") << new QStandardItem("35") << new QStandardItem("人事");
    rootItem->appendRow(row3);

    // QTreeView を作成し、モデルを設定
    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // ウィンドウタイトルを設定し、表示
    treeView.setWindowTitle("基本ヘッダー表示");
    treeView.show();

    return a.exec();
}

解説

QTreeView::header() を直接呼び出すことなく、デフォルトのヘッダーが適切に表示されます。
QStandardItemModel::setHeaderData() を使用して、各列のヘッダーテキストを設定しています。QTreeView はこの情報を使ってヘッダーを表示します。

ヘッダーの表示/非表示、サイズ変更モード、列のソート

この例では、ヘッダーの表示状態、ユーザーによるサイズ変更の可否、およびソート機能を制御します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QStandardItemModel model(0, 3);
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "名前");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "年齢");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "部署");

    QStandardItem *rootItem = model.invisibleRootItem();
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("アリス"), new QStandardItem("30"), new QStandardItem("開発")});
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("ボブ"), new QStandardItem("25"), new QStandardItem("営業")});
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("チャーリー"), new QStandardItem("35"), new QStandardItem("人事")});
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("デイジー"), new QStandardItem("28"), new QStandardItem("開発")});

    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // --- QTreeView::header() の利用例 ---

    // 1. ヘッダーを非表示にする
    // treeView.header()->hide(); 

    // 2. ヘッダーセクションのサイズ変更モードを設定
    // QHeaderView::Interactive (デフォルト): ユーザーが手動でサイズ変更可能
    // QHeaderView::Fixed: ユーザーはサイズを変更できない
    // QHeaderView::Stretch: 利用可能なスペースを埋めるように伸縮
    // QHeaderView::ResizeToContents: 内容に合わせて自動的にサイズを調整
    treeView.header()->setSectionResizeMode(QHeaderView::Interactive); // 全ての列をユーザーが変更可能に (デフォルトですが明示的に)
    treeView.header()->setSectionResizeMode(0, QHeaderView::Fixed);      // 最初の列 (名前) は固定サイズにする
    treeView.header()->setSectionResizeMode(2, QHeaderView::Stretch);    // 最後の列 (部署) は残りのスペースを埋めるように伸縮

    // 3. ユーザーが列を移動できるようにする
    treeView.header()->setSectionsMovable(true);

    // 4. ソート機能を有効にする
    treeView.setSortingEnabled(true); // QTreeView 自体のソート機能を有効にする
    // QHeaderView のクリックでソートを有効にする（デフォルトでtrue）
    treeView.header()->setSectionsClickable(true); 

    // 5. 特定の列の初期幅を設定
    treeView.setColumnWidth(0, 100); // 「名前」列の幅を100ピクセルに設定

    treeView.setWindowTitle("ヘッダーのカスタマイズとソート");
    treeView.show();

    return a.exec();
}

解説

treeView.setSortingEnabled(true); を設定すると、ヘッダーをクリックすることでその列でソートできるようになります。QHeaderView の setSectionsClickable(true) と連携して機能します。
treeView.header()->setSectionsMovable(true); で、ユーザーがドラッグ＆ドロップで列の順序を入れ替えられるようになります。
treeView.header()->setSectionResizeMode() を使って、各列（または全ての列）のサイズ変更の挙動を設定できます。
treeView.header()->hide(); はヘッダー全体を非表示にします（コメントアウトされています）。

ヘッダークリックイベントの処理

ヘッダーがクリックされたときに何らかのアクションを実行したい場合、QHeaderView::sectionClicked シグナルを接続します。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>
#include <QMessageBox> // メッセージボックスを表示するために必要

// カスタムウィンドウクラスを作成
class MyTreeViewWindow : public QWidget
{
    Q_OBJECT // シグナル/スロットを使用するために必要

public:
    MyTreeViewWindow(QWidget *parent = nullptr) : QWidget(parent)
    {
        model = new QStandardItemModel(0, 3, this);
        model->setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "ファイル名");
        model->setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "サイズ");
        model->setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "最終更新日");

        QStandardItem *rootItem = model->invisibleRootItem();
        rootItem->appendRow({new QStandardItem("document.txt"), new QStandardItem("10KB"), new QStandardItem("2023-01-15")});
        rootItem->appendRow({new QStandardItem("image.png"), new QStandardItem("200KB"), new QStandardItem("2023-02-20")});
        rootItem->appendRow({new QStandardItem("report.pdf"), new QStandardItem("5MB"), new QStandardItem("2023-03-01")});

        treeView = new QTreeView(this);
        treeView->setModel(model);

        // ヘッダーがクリックされたシグナルをカスタムスロットに接続
        connect(treeView->header(), &QHeaderView::sectionClicked,
                this, &MyTreeViewWindow::onHeaderSectionClicked);

        // レイアウトにツリービューを追加
        QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(this);
        layout->addWidget(treeView);
        setLayout(layout);

        setWindowTitle("ヘッダークリックイベントの例");
    }

private slots:
    void onHeaderSectionClicked(int logicalIndex)
    {
        // クリックされた列のヘッダーテキストを取得
        QString headerText = model->headerData(logicalIndex, Qt::Horizontal).toString();
        QMessageBox::information(this, "ヘッダークリック", 
                                 QString("「%1」列がクリックされました。(論理インデックス: %2)")
                                 .arg(headerText).arg(logicalIndex));
    }

private:
    QTreeView *treeView;
    QStandardItemModel *model;
};

#include "main.moc" // MOCファイルのインクルード (Qt Creatorでは自動生成される)

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);
    MyTreeViewWindow window;
    window.show();
    return a.exec();
}

解説

スロットでは、このインデックスを使ってヘッダーテキストを取得し、メッセージボックスで表示しています。
sectionClicked シグナルはクリックされた列の論理インデックス (0始まり) を引数として渡します。
treeView->header() で取得した QHeaderView オブジェクトの sectionClicked シグナルを、onHeaderSectionClicked スロットに接続しています。
MyTreeViewWindow クラスを作成し、Q_OBJECT マクロを使用してシグナル/スロット機能を有効にしています。

ヘッダーのスタイル設定 (QSS)

QHeaderView はQSS（Qt Style Sheets）を使って見た目をカスタマイズできます。

#include <QApplication>
#include <QTreeView>
#include <QStandardItemModel>
#include <QHeaderView>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    QStandardItemModel model(0, 3);
    model.setHeaderData(0, Qt::Horizontal, "項目A");
    model.setHeaderData(1, Qt::Horizontal, "項目B");
    model.setHeaderData(2, Qt::Horizontal, "項目C");

    QStandardItem *rootItem = model.invisibleRootItem();
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("データ1"), new QStandardItem("値1"), new QStandardItem("詳細1")});
    rootItem->appendRow({new QStandardItem("データ2"), new QStandardItem("値2"), new QStandardItem("詳細2")});

    QTreeView treeView;
    treeView.setModel(&model);

    // --- QHeaderView のスタイルシート設定 ---
    treeView.setStyleSheet(
        "QTreeView {"
        "    background-color: #f0f0f0;" // ツリービュー全体の背景色
        "}"
        "QHeaderView::section {"
        "    background-color: #4CAF50;"    // ヘッダーセクションの背景色 (緑)
        "    color: white;"                // ヘッダーテキストの色
        "    padding: 5px;"                // パディング
        "    border: 1px solid #388E3C;"   // 境界線
        "    font-weight: bold;"           // フォントを太字に
        "}"
        "QHeaderView::section:hover {"
        "    background-color: #66BB6A;"    // ホバー時の背景色
        "}"
        "QHeaderView::section:pressed {"
        "    background-color: #2E7D32;"    // 押下時の背景色
        "}"
        "QHeaderView::section:first {"
        "    border-left: none;" // 最初のセクションの左境界線をなくす
        "}"
    );

    treeView.setWindowTitle("ヘッダーのスタイル設定");
    treeView.show();

    return a.exec();
}

:first などの擬似クラスを使って、特定のセクションに個別のスタイルを適用することも可能です。
:hover や :pressed といった擬似状態（pseudo-state）を使って、ユーザーインタラクションに応じた見た目の変化を設定できます。
QHeaderView::section は、各列のヘッダー部分を指すセレクターです。
treeView.setStyleSheet() を使って、QTreeView 全体と、その子要素である QHeaderView::section のスタイルを設定しています。

QTreeView::header() は QHeaderView オブジェクトへのポインタを返すため、厳密な意味での「代替手段」というよりは、QHeaderView オブジェクトそのものを直接操作することなく、ヘッダーに関連する特定の挙動を達成するための別の方法や考慮すべき点として理解するのが適切です。

QTreeView 自体のプロパティ・メソッドの利用

QHeaderView のプロパティの一部は、QTreeView クラス自身が便利なラッパーメソッドとして提供している場合があります。これは直接 header() を呼び出すよりも簡潔なコードになることがあります。

列の幅の設定
- QHeaderView::setSectionResizeMode(int logicalIndex, QHeaderView::ResizeMode mode);
- 代替手段/関連
  QTreeView::setColumnWidth(int column, int width); これは特定の列の初期幅を設定するのに便利です。QHeaderView::setSectionResizeMode() と組み合わせて使用することで、ユーザーがその幅を変更できるかどうかを制御できます。
- QTreeView::header()->setSectionsClickable(true); (QHeaderViewのクリックを有効にする) と QTreeView::setSortingEnabled(true); (QTreeViewのソートを有効にする) の組み合わせでソートが機能します。
- QTreeView::setSortingEnabled(bool enable) は、QHeaderView のクリック機能と連携してソートを制御する、より高レベルな方法です。
- 代替手段/関連
  QTreeView::setSortingEnabled(bool enable) を呼び出すだけで、ユーザーはヘッダーをクリックしてソートできるようになります。これは内部的に QHeaderView の設定に影響を与えます。

モデル(QAbstractItemModel)を通じたヘッダーデータの提供

ヘッダーに表示されるテキスト自体は、QTreeView のヘッダービューではなく、設定されたモデルから取得されます。

ヘッダーテキストの設定
- QStandardItemModel::setHeaderData(int section, Qt::Orientation orientation, const QVariant &value, int role = Qt::DisplayRole);
- カスタムモデルの場合、QAbstractItemModel::headerData() メソッドをオーバーライドします。
- 代替手段/関連
  QTreeView::header() を直接操作するのではなく、モデルがヘッダーのテキストを正しく提供することが、ヘッダーが表示されるための最も基本的な要件です。これはヘッダーの「内容」を決定する方法であり、ヘッダーの「見た目や挙動」を決定する QHeaderView の操作とは異なります。

QSS (Qt Style Sheets) によるスタイリング

QTreeView::header() を使って QHeaderView オブジェクトを取得し、その setStyleSheet() メソッドを呼び出すことも可能ですが、通常はアプリケーション全体または親ウィジェットの setStyleSheet() メソッドを使って、セレクター (QHeaderView::section など) を指定する方が一般的です。

QHeaderViewのスタイル設定
- treeView->header()->setStyleSheet("QHeaderView::section { background-color: blue; }");
- より一般的な代替手段
  qApp->setStyleSheet("QTreeView QHeaderView::section { background-color: blue; }"); または treeView->setStyleSheet("QHeaderView::section { background-color: blue; }"); これは QTreeView の子ウィジェットとしての QHeaderView にスタイルを適用するための標準的なQSSの書き方です。明示的に header() を呼び出す必要はありません。

QHeaderView の派生クラスの作成（上級者向け）

非常に特殊なヘッダーの挙動や描画ロジックが必要な場合、QHeaderView を直接サブクラス化し、そのカスタムヘッダービューを QTreeView に設定する方法があります。

カスタムヘッダービューの作成

// MyCustomHeaderView.h
class MyCustomHeaderView : public QHeaderView
{
    Q_OBJECT
public:
    explicit MyCustomHeaderView(Qt::Orientation orientation, QWidget *parent = nullptr);
    // 必要に応じてpaintSectionなどをオーバーライド
protected:
    void paintSection(QPainter *painter, const QRect &rect, int logicalIndex) const override;
};

// MyCustomHeaderView.cpp
MyCustomHeaderView::MyCustomHeaderView(Qt::Orientation orientation, QWidget *parent)
    : QHeaderView(orientation, parent)
{}

void MyCustomHeaderView::paintSection(QPainter *painter, const QRect &rect, int logicalIndex) const
{
    QHeaderView::paintSection(painter, rect, logicalIndex); // デフォルトの描画
    // ここにカスタム描画ロジックを追加
    painter->drawText(rect, Qt::AlignCenter, QString("C%1").arg(logicalIndex + 1)); // 例えば、インデックスも描画
}

// main.cpp
#include "MyCustomHeaderView.h"
// ...
QTreeView treeView;
MyCustomHeaderView *customHeader = new MyCustomHeaderView(Qt::Horizontal, &treeView);
treeView.setHeader(customHeader); // QTreeView::setHeader() を使用してカスタムヘッダーを設定
// ...

代替手段/関連
これは QTreeView::header() で取得できるデフォルトの QHeaderView を置き換える方法です。非常に低レベルなカスタマイズ（例: ヘッダーにチェックボックスを追加する、複雑な描画を行うなど）が必要な場合に有効です。

QTreeView::header() は、ツリービューのヘッダー部分である QHeaderView オブジェクトへの直接的なアクセスを提供し、そのプロパティやメソッドを操作するための中心的な手段です。

「代替手段」と呼べるものとしては、以下のようなアプローチがあります。

QTreeView の高レベルなラッパーメソッドの利用
ソート機能や初期の列幅設定など、QTreeView が直接提供するメソッドを使うことで、より簡潔に設定できる場合があります。
モデルからのデータ提供
ヘッダーのテキストはモデルから提供されるため、モデル側の実装が重要です。
QSSによるスタイリング
ヘッダーの見た目に関しては、QSSを使うことでコード量を減らし、デザインとロジックを分離できます。
QHeaderView のサブクラス化
デフォルトの QHeaderView の動作や描画を根本的に変更したい場合に、この方法を選択します。これは最も強力ですが、最も複雑なアプローチです。

Qt QTreeView::collapseAll()徹底解説：ツリー表示を効率的に折りたたむ方法

QTreeView は、Qtのウィジェットの一つで、階層的なデータをツリー形式で表示するために使われます。例えば、ファイルエクスプローラーのように、フォルダの中にさらにフォルダやファイルがあるような構造を表示するのに最適です。QTreeView::collapseAll() は、この QTreeView クラスのパブリックスロット (public slot) と呼ばれる関数です。この関数を呼び出すと、現在展開されている（開いている）ツリーのすべてのアイテムが閉じられ、階層が隠された状態になります。

Qt QTreeViewの「折りたたみ」を極める：collapsed()シグナルのすべて

Qt プログラミングにおける void QTreeView::collapsed() は、QTreeView ウィジェットが提供するシグナルの一つです。まず、QTreeView について簡単に説明します。QTreeView は、Qt のモデル/ビューアーキテクチャの一部であり、階層的なデータをツリー構造として表示するためのウィジェットです。例えば、ファイルエクスプローラーのようなツリー表示を実装する際に使用されます。ツリーの各項目（ノード）は、子項目を持つことができ、それらを「展開（expanded）」したり「折りたたむ（collapsed）」ことができます。

Qt 開発：QTreeView で columnAt() を活用したインタラクティブなUI実装

QTreeView::columnAt(int x) は、Qt の QTreeView クラスに属する関数の一つです。この関数は、指定された水平方向の座標（ピクセル単位）にある論理的な列のインデックスを返します。もう少し詳しく説明します。戻り値: 指定された x 座標が、いずれかの列の範囲内にある場合、その列の論理的なインデックス（0から始まる整数）が返されます。指定された x 座標が、どの列の範囲にも含まれない場合（例えば、ウィジェットの左端より左や、すべての列の右端より右）、通常は -1 が返されます。

QTreeView::header()で変わる！Qtツリービューのヘッダーカスタマイズ術

QTreeView::header() とは

どんなときに使うのか？

QTreeView::header() 関連の一般的なエラーとトラブルシューティング

ヘッダーが表示されない

ヘッダーのクリックイベントが発火しない

ヘッダーのサイズ変更や移動ができない/意図通りに動かない

ヘッダーのスタイルが適用されない

モデルのデータ変更後にヘッダーが更新されない

ヘッダーの基本設定とデータの表示

ヘッダーの表示/非表示、サイズ変更モード、列のソート

ヘッダークリックイベントの処理

ヘッダーのスタイル設定 (QSS)

QTreeView 自体のプロパティ・メソッドの利用

モデル(QAbstractItemModel)を通じたヘッダーデータの提供

QSS (Qt Style Sheets) によるスタイリング

QHeaderView の派生クラスの作成（上級者向け）

`QTreeView::header()` とは

`QTreeView::header()` 関連の一般的なエラーとトラブルシューティング